「俺は、俺はライジングサ~ン」
不愉快な目覚ましにより全員がたたき起こされる。
この日は日本一芋煮会が行われ、当日朝から整理券を配布している。お昼ごろに行くともう食べられないとのことなので、9時ごろ会場へ。
かなくろう邸からほど近く、歩いて行ける距離であった。
当日の天気は雨。しかしそれほど強くは降っていなかったため芋煮会は平常通り開催された。
早朝で雨、というコンディションでも大勢の人で賑わっており、整理券配布場所まで100m近い行列ができていた。
人気の高さが伺える。
受け取った整理券には「10:40から」と記載されていた。2時間近く間が空くので会場内をぐるりと回ることに。
6m大なべでは醤油味が作られているが、会場の別の場所では3m鍋による塩味の芋煮が提供されているとのこと。
これは食さねば、ということでここでも行列に並ぶ。案外スイスイと流れてくれたためあまり時を待たずして芋煮をゲット。人生初の芋煮を食す。
塩ベースの白いスープを一口。かなり美味い。
そしてメインの里芋が1個丸ごとゴロリ。これはイキイキ度高い。里芋が生きている。
肉多めの具だくさん。美味しすぎて一瞬で平らげてしまう。
正直もう一杯のために並んでもいいと思った。
これがIMONI。山形に触れた瞬間であった。
雨脚が強まる中、会場内では様々なお店が出ていた。
山形のB級グルメ「どんどん焼き」。(栃木にもどんど焼きという風習があるがそれとはまったく違った)
お好み焼きの生地のようなものを割り箸でぐるっと巻いて、ソースをべったりつけた食べ物。通常200円、めんたいもちチーズは300円とかなりリーズナブル。
山形県産のフルーツや野菜の販売、その他企業や自治体ごとの催しも行われ、大変盛況していた。
雨じゃなかったら本当に最高だった。雨が悔やまれる。ファッキン雨。
メインディッシュの時間が近づく。
自分とかなくろうさんとサムさんはA地点、BOYとセギナーさんは反対側のB地点で受け取ることに。
徐々に列が大鍋へと近づいていく。高まる高揚、高まる緊張。
シェフっぽい格好をした高校生?から受け取った芋煮は表面に大量の油が浮いていた。
スープを一口。うっ、油がすごい。少し甘めの醤油ベース、油を避けて飲めばなかなかおいしい。
醤油味の方は牛肉を使っているらしく、全体的に黒っぽい。
かなり煮込まれたらしい具材は細かくなり、ぽろぽろになっていた。
このスープを飲み干すと、恐らく今日一日胸やけに襲われるだろう、と感じた私は惜しみながらもスープをザバー。ただ他の人の芋煮を見る限り、それほど油っぽくはなかった。俺のだけか。あの高校生め。
会場を後にした我々はかなくろう邸へと舞い戻る。
無策のままどうしようか、と悩んでいたところ、山形ビエンナーレというイベントが開催されているとのことなので、その一会場である「文翔館」へと向かう。
かなくろうさんの車の後を追いながら駐車場に入ろうとすると、自分の車だけガードマンのおっさんが手で「×」を作り満車だと伝えてきた。おいおい一緒にいれてくれよ、と渋々踵を返し、別の有料駐車場へと停める。
かなくろうさんによると、そのガードマンに「後ろのスバルどこ行きました?」と聞いたところ「なんか先行っちゃったねぇ」とのたまったらしい。そしてあろうことか場内は空きがあったという。こういう勘違いから戦争が起きるのかと、そう思いましたね。
ぶーぶー文句を言いながら文翔館へ。
大正時代に建てられたらしいモダンな建物はなかなか堅牢な石造りで、るろうに剣心の映画撮影でも使用されたらしい。
館内の展示や装飾は常時無料で公開されている。
入り口でビエンナーレのパンフレットを受け取り、いざ中へ。
いきなりご立派な階段が現れる。なんかの舞台セットみたいだ。
最初は5人で見ていたが、私自身あまり興味のないものはささっと見終わらせてしまうタイプなので先行して見学。
芸大生の作品などが展示されていたが、あまりいい出来とは言えなかった。
うーん。
最速で館内を制覇し、入り口付近でぼーっとしていたらみんながやってきた。
しきりに「パースパース」喋っていたのでどこかで頭をぶつけたのだと思う。
文翔館をあとにした我々は山伏?がいるという喫茶店へ。
ただそこではビエンナーレのイベントである読書会のようなものが開催されており、あまり落ち着ける雰囲気ではなかった。
仕方ないので、店内に設置されているガチャガチャを引く。
1回200円で缶バッジと飴が2個入っていた。
それぞれビエンナーレに関連したデザインの描かれたバッジを引き当て、思い思いに見せ合う。
私はヘビの絵。BOYがしきりに欲しい欲しいと言っていた。
店を後にして、別の喫茶店を探す。
すぐ近くにあった「HACHINO'S」へ入店。
ケーキセットがあるが、種類はベイクドチーズケーキのみという潔さ。全員が注文する。
味はほのかに甘みを感じる程度。ほろほろと柔らかく、コーヒーに合うテイスト。
客は我々だけだったのでしばし歓談。
すでに宿のチェックイン時間になっていたのでそろそろ向かうか、と店を出る。
宿である「大の目温泉」までは車で10分程度、と想像よりもかなり近い。
イメージではかな~り山奥だと勝手に思っていたので、あまりの近さに驚いた。いい立地ですなぁ。
宿に着くとおばちゃんが一人。とても豪快な接客で我々の緊張もほぐれる。
宿の奥の奥、6人部屋が提供された。
入った瞬間カビくささを感じたものの、広さも申し分なく、おっさん5人を優しく出迎えてくれるいい部屋であった。
到着後、まずはひとっ風呂浴びようと温泉へ。
必要最低限の設備ではあるが、中は結構広い。ただ、凄まじく硫黄臭い。シャワーも硫黄臭い。硫黄臭すぎてそこらじゅう茶色に変色している。これぞ温泉って感じだ。
そのあたりは気にせず、デブがデブたらしく肢体を晒し、湯船へ。
熱い熱いと叫びながらも、大きなお風呂を堪能する。めったに入れないからね。
個人的に湯船には長く浸かってられないのでさっさと出る。
風呂に入ると眠くなるのは仕方ない。
重い腰を起こして次の目的である夕飯と酒盛りの買い出しを行う。
ご飯はかなくろうさんおすすめのとんかつ屋「とん八」へ。
ここでも芋煮が押されており、山形人の芋煮への密着ぶりが伺える。
バリエーション豊富なメニューから、私は一番ノーマルな上ロースかつ膳を注文。
みんなは私以上にボリュームのあるものばかり頼んでいた。(正直この時は眠くて食欲がない)
注文した品が届き、食う。美味い。
とんかつってのは、こう、奇を衒ってないけど、安定した美味さがあるね。
あととんかつ屋のキャベツってのはどうして美味いんだろうか。ゴマダレがセッティングされているのもにくい。
私がご飯を半分おかわりしたところ、BOYとかなくろうさんも普通盛りでおかわりを頼んだ。私は同じ茶碗で返ってきたが、二人の茶碗はどう見ても前の茶碗より大きい。しかも山盛り。普通盛りでも大盛りでもなく、山盛り。彼らはさぞ喜んだことであろう。
急にフードファイトが始まった彼らの奮闘は推して知るべき。
会計時にもらったドリンクバー割引券を全員かなくろうさんに押し付け、スーパーへ買い出しに。
サムさんがあらかじめお高い日本酒を買っておいたし、大酒のみはサムさんとかなくろうさんだけだったので量は少なめに、でもおつまみは多めに見繕う。
サムさんが最後にこっそり買っていたウェットティッシュが遠目からだとiPhoneの箱にしか見えず、あいつスーパーで何買ってんだ状態になっていた。
宿に戻ればさぁ宴。
ここからは宴会&ボードゲーム大会が始まる。
今回私が持ってきたのが「ごきぶりポーカー」と「ワードバスケット」そしてくろくま邸でも遊んだ「ドメモ」。
BOYは前述した「狩歌」と「Dixit」と「Lights」を。(あとダイエット&フレンズ、今回は未プレイ)
最初に「ごきぶりポーカー」をプレイ。
ルールは、
1. 全部で8種類ある嫌な生き物(ゴキブリ、ハエ、カメムシ、サソリ、カエル、ネズミ、コウモリ、クモ)をそれぞれのプレイヤーに押し付けあう。
2. 適当なプレイヤーが誰かを指名して、手札のカードを相手に「これは○○です」(○○は生物)と伏せて提示し、受けたプレイヤーはその真偽を考える。それが真であると的中させれば、提示者の前にカードが置かれる。また偽であると見抜いた場合も提示者の前に。ただしそれを外してしまった場合は、受けたプレイヤーの前にカードが置かれる。
3. これを繰り返していき、自分の前に1種4枚のカードが並んだプレイヤー、または手札が尽きたプレイヤーが負けとなる。
つまりこのゲームは「ブラフをかける(見抜く)」ゲームである。
他にも細かいルールがあるが、大まかにはこんな感じ。詳しいルールが知りたければ検索。
序盤は運ゲーであるが、中盤以降大きくゲーム性を変えた。場にカードが溜まってくると相手の「はったり」が恐ろしくなってくる。受けたカードは中身を見て次のプレイヤーに渡すこともできるため、この辺の戦略がキーとなる。
場にカードが3枚溜まると、その種のカードを押し付けられやすくなる。次のプレイヤーに押し付けるにしても、同様の作業を行わなければいけないため、失敗すると自分に返ってきてしまう。うーむ。単純ながら傑作だぞこれは。放課後さいころ倶楽部(マンガ)でも一巻で遊ばれていただけはある。またやりたい。
次は「ワードバスケット」。
ルールは、
1. あ~わが記述されたひらがのカードを使用し、中央のバスケットにあるひらがなを「頭文字」、手札を「語尾」としてしりとりを行う。
2. 必ず3文字以上。順番は決まっておらず早い者勝ちである。
3. 一番最初に手札を使い切ったものが勝者。
すごく分かりやすい。
買ったときはそれほど難しくないだろ、と思ったが、いざプレイしてみるとまったく言葉が出てこない。
場のカードが次々と切り替わってしまうため、悠長に考えていられないのだ。
とっさの閃きがカギとなり、盛り上がること必至。
「お前なんだその言葉」ってのもよく出る。
3つめはBOYの「Dixit」。
かな~り異質なゲームであった。
ルールは、
1. それぞれ不思議な絵柄が描かれたカードを手札にして親を決める。
2. 親は手札のカードを見て、内1枚をイメージを述べながら場に伏せて出す。
3. 子はそのイメージに近そうな手札を場に伏せて出す。
4. 親はそのカードたちを混ぜ、場に表にしていく。
5. 子は親がどれを出したか予想し、各自投票していく。
6. 当たった人と投票された人がそれぞれポイントをもらう。
今までにないタイプのゲームだ。
連想力が試されるが、あまり奇を衒いすぎると誰にも投票されない。ただ直球すぎると今度は全員に投票されドボン(全員に投票されると、各プレイヤーに点数が入る)
近すぎず遠すぎず、絶妙な言葉のセンスを問われる。
また点数を獲得するためには親のセンスを見抜き、的確にカードを言い当てる必要がある。
コミュニケーション系のゲームとしては最高峰だと思う。実際プレイしてみると全員がワイワイ楽しめるため、家族とかでも遊べるんじゃないかな。
次は「ドメモ」
これは前回のなまレポ参照のこと。
「Lights」も同様に。
最後はふたたび「狩歌」。
ただし皆の集中力が切れ始めていたのでルールが変わった。
1. 無作為な10枚から5枚をドラフト。
2. 曲を流し手元のワードがあれば加点。
案外ワードがヒットしないし何より盛り上がりに欠け、すごくイマイチだった。結局普通に遊ぶ。
こうして夜は更け、各自風呂へ。
気づいたらサムが爆睡していたのでこっそりごきぶりポーカーを遊ぶ。
私がかなくろうさんのカードをことごとく押し返し、退治した。なんでかすごく読みやすいんだよなぁ。
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