私家版・高校生物授業wiki内検索 / 「アメリカのロックフェラー研究所」で検索した結果
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特別授業/明治期の日本の生物学者たち
...の試練を克服し、単身アメリカのロックフェラー研究所に渡り、梅毒、ポリオ、狂犬病の研究を経て、世界的な医学者となった人物。そして最期はアフリカで黄熱病の研究半ばに自らも罹患し、非業の死に斃れた偉人。私たちの多くは彼の功績を謳いあげるストーリーを知っています。しかし、野口が帝国学士院賞を受賞した1915年に、同時にこの賞を受賞した、外山亀太郎(1867-1918)の名前と業績を知っている人を、私たちはほとんど見つけることができないでしょう。しかし、外山の「メンデル遺伝学を養蚕に応用し、世界初のハイブリッド品種を作ることに成功した」 という業績は、大正から昭和初期にかけての養蚕業の大成功を語る上ではずせません。家畜や作物の品種改良を目的としたアメリカ育種家協会が創設されたのは1903年のことで、彼はいち早く、当時最先端のメンデル遺伝学の応用を手がけたといえます。品種改良によって、より優れた... -
オズワルド・アベリー
ロックフェラー研究所で野口と同時代に研究にいそしんでいた有名な生物学者といえば、オズワルド・アベリー(Oswald Avery, 1877-1955)ですね。アベリーが、どのような実験手順で遺伝子の物質をDNAであると同定したか、まだ覚えていますか? -
「遺伝子は何という物質で構成されているか?」:グリフィスとアベリー
メンデルは、いわゆる遺伝の法則を発見したわけですが、まだ彼の理論において遺伝子(メンデルはエレメントと呼んでいた)は仮説以上のものではありませんでした。しかし、1913年、モーガンらの染色体地図の作成の成功によって、遺伝子が物質であることはわかりました。 「では、遺伝子は何という物質なのか?」 イギリスの厚生省に勤めるグリフィス(1879-1941)の研究分野は、当時の死因のトップ、肺炎でした。彼は、タイプ別の肺炎菌の出現頻度の変化から、宿主の体内で肺炎菌のタイプが変化するのではないかと仮説を立て、以下の実験を行いました。 1928年、実験を行っていたグリフィスは、不思議な現象を発見します。肺炎双球菌には、非病原性のR型(無鞘菌株)と、病原性のS型(有鞘菌株)がいます。いま、生きているR菌と、加熱して死滅させたS菌を混ぜてネズミに注射すると、ネズミは肺炎を発症しま... -
トマス・モーガンと、その周辺の人たち(その1)
アメリカ、ケンタッキー州で生まれたモーガン(Thomas Morgan, 1866-1945)は、「ショウジョウバエを使って染色体地図を作った人」として知られています。 (染色体地図:染色体上における遺伝子の相対的位置を図示したもの→ http //t.co/ydyNildV) 1913年にモーガンたちが初めてショウジョウバエで作成して以後、染色体地図はコムギ、カイコガなど多くの生物で作られ、やがてヒトゲノム計画(1945-2003)へと展開していくことになります。そんなモーガンは、もともと発生学者。ナポリ臨界実験所で、カエルの研究をしていました。 1894年に、カエル卵に遠心力をかけた場合の発生の様子の変化を、津田梅子(1864-1929)と共同で研究をしています。津田梅子、津田塾大学を作った人です。ナポリ臨海研究所ではちょうど同じ時期(1892年)、ドリーシュが... -
メンデル遺伝学の悩みどころ
メンデルの3法則について授業するときに、多くの先生方が迷う(だろう)ことについて。つまり、どのタイミングで、メンデルの3法則の“ネタばらし”をするか。 メンデルが遺伝の法則を発表したのは1886年。その頃は、遺伝を司る物質の本体がDNAであることはもちろん、「遺伝物質が細胞のどの部分に含まれているのか?」もわかっていませんでした。 「遺伝物質は核内に含まれている」という“見込み”がついたのは減数分裂の発見(1884年)以降。「遣伝物質は染色体上に存在する」という染色体説の提唱は、1902年。アメリカのサットンが、バッタの減数分裂の観察を通して、想定された遺伝物質と染色体の動きの一致を発見してからです。 (ちなみにサットン(1876-1916)が「染色体の動きと遺伝物質(当時はパンゲンと呼ばれていた)の動きの一致」の発見によって、メンデルの「分離の法則」を証明し... -
2011年に気になった生物学系の記事やプレスリリース
人工肉(cultured meat)の研究記事。昆虫食に並ぶ、未来の食糧不足の打開策になるかも。最後のコメントが印象的。[南カ薬科大]--South Carolina scientist works to grow meat in lab 白髪、脱毛を抑えるコラーゲンの仕組みが解明。そこはかとなく希望の光。17型コラーゲンノックアウトマウスが人ごとでない自分にとっては。[医科歯科大・北大]-- 毛包幹細胞が色素幹細胞を維持する仕組みを解明 “生き物地球紀行系”の記事。ウナギは生態に謎の多い生物で、雨が降ると陸にあがって草の間をを這いずり回ったりします。幸田露伴が得意げにそれを話し、皆が失笑する鼎談をどこかで読んだ記憶が。--天然ウナギの卵発見 世界初、完全養殖実用化へ期待 『もやしもん』でおなじみの腸内フローラの話。そういえば、2011年のノーベル医学生理学賞は、... -
11年度1学期期末試験
Ⅰ.次の文章を読み、以下の設問に答えなさい。 ※授業中、漢字で書かれた語句に関しては漢字で書くこと。 いまでこそ、「何が生物の発生を支配しているのか?」という説明には、遺伝子を用いた説明が一般的になされています。しかし、発生学のおよそ2300年間に渡る歴史のなかでは、この問いに対する説明として、長らく神学や形而上学が援用されていました。少なくともこの問いについて、物質・分子の働きに限定して説明する試みがなされるようになったのは、19世紀後半のドイツにおいてです。以下、発生のメカニズムの解明のためになされた、幾つかの実験を概観しましょう。 実験生物学の最初期に解明されることを望まれたのは、前成説と後成説のどちらがより発生のメカニズムとして妥当な仮説であるか? という問いでした。代表的な実験として、以下の3つをあげることができます。 1881年、実験発生学の創始者であるルー... -
カイコについての覚書
(カイコ以外のいろいろなメモ書きも混ざっています) □ 雌雄同体(性モザイク)のクワガタやアゲハチョウは稀少であり、コレクターのあいだで高額で取引される。 カイコにおいては性モザイク個体は簡単に作れる(過冷却処理 なぜか「必ず雌雄モザイク」になる) □ 背と腹のあいだで境界ができるタイプの性モザイクは出ない。 1/4モザイクが出現することもあるが、背と腹のあいだで境界ができるタイプの性モザイクは出ない。 (ニワトリなど、昆虫以外でも) □ ショウジョウバエの精子の長さは体長と同じ2mm □ カイコの性染色体(ZW/WW型)を発見した橋本春雄は農工大卒。日本ではメジャーではないけれど、海外では有名。 □ 調整卵の代表例が、一卵性双生児 畜産の分野だと、126の段階まで卵割を起こした割球から個体を作ることができたらしい。... -
生命学史年表
紀元前590年頃 軽症の天然痘から得られた物質(膿疱など)で天然痘に対する免疫を行っていた、中国・インドなど。 1347 イタリアのシシリー島で10月に発生した黒死病はヨーロッパの最南端のこの場所から北上し、3年経たないうちに3500キロメートル離れた北極圏にまで広がった。この発生だけでヨーロッパの全人口の約半分が死亡した。最近黒死病はペストでは無く、ウィルス出血熱だったのでは無いかという調査研究が発表された(Return of the Black Death , Wiley, 2004)。 14世紀 ルネッサンス期 1500年以前 1450 火縄銃の発明(火薬の改良) 1454 グーテンベルグの活版印刷(改良) 1492 コロンブスの新大陸発見羅(針盤の改良) 1543 Nicolaus Copernicus 天球の回転について出版(コペルニクスの地動説) ... -
ウニの発生のメカニズム
DATE 2010年05月13日、2011年05月13日 無脊椎動物(ウニ)の発生:バフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus)の発生実験の、シミュレーション。卵割から組織形成までの、発生の順序をたどる。つまり、「2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚→胞胚→プリズム幼生→プルテウス幼生」という順番をたどる。 ■バフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus) What? バフンウニとはなにか? バフンウニを含むウニ綱は棘皮動物門に属します。つまり、ヒトデ綱やナマコ綱と同じカテゴリです。棘皮動物門の特徴として、五放射相称があげられます。棘や管足の配置をよく見ると、等間隔で5列に並んでいるのがわかります。ヒトデはわかりやすいですね。ウニはわかりにくいですが、アリストテレスの提灯は、5つの歯で構成されて... -
Q.性染色体のX染色体、Y染色体とW染色体、Z染色体って何が違うのでしょうか?
DATE 111214 Q.性染色体のX染色体、Y染色体とW染色体、Z染色体って何が違うのでしょうか? A.まず、それぞれ形・大きさが違います。性染色体は、どれも常染色体から分化したもので、哺乳類・鳥類・爬虫類に関してはどのように分かれたかがわかっています。 性染色体の分化過程はまさに研究途上のトピックです。名古屋大学・動物遺伝制御学研究室のHPで研究成果の一部を観ることができます。昆虫や植物の性染色体の分化過程についてはちょっとわからないので、また改めさせてください。 また、性染色体が性決定に関与する仕方は、種によって大きく違います。ヒトのY染色体は高い性決定能力をもち、Y染色体があればオスになります(XXY型のクラインフェルター症候群の場合も、外見は男性です)。その一方で、ヒトと同じXY型のショウジョウバエは、常染色体とX染色体の比率で性が決定されま... -
プラグイン/ニュース
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 終末のアーカーシャ(終アカ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】最強パー... -
メンデル遺伝学の粒子説
メンデル遺伝の範囲は計算が大変なわりに、彼の業績があまりスポットされないのでそこをお話したいと思います。 7月20日にGoogleのロゴがメンデル(1822-1884)仕様になった(http //t.co/TizuOzwO)のを覚えている方も多いと思います。このロゴ、彼の発見した「優性の法則」をデザイン化したものです。高校のとき生物を選択した方は懐かしかったのでは。 メンデルの業績として、教科書は「優性の法則」、「分離の法則」、「独立の法則」の3つの遺伝法則をとりあげることが多いです。が、それらを支える【粒子説】を提唱したことこそが、彼のもっとも基礎的な業績だといえます。 当時は、ある形質が遺伝する場合、形質そのものがランダムに混合されて親から子へ伝わるという【混合説】が遺伝学の主流でした。そうではなく、形質のもととなる粒子状の要素elementが、親から子... -
発生生物学
発生生物学講義ノート@農工大 http //www.tuat.ac.jp/~flylab/Development/Development2.htm 教科書 「新しい発生生物学」 木下圭・浅島誠 講談社ブルーバックス 「分子発生生物学」 浅島誠・駒崎伸二 共著 裳華房 参考書 「ホメオボックス・ストーリー 形づくりの遺伝子と発生・進化」 ワルター・J・ゲーリング 浅島誠監修 東大出版会 「ウィルト 発生生物学」赤坂甲治他訳 東京化学同人 「発生生物学キーノート」八杉貞雄他訳 シュプリンガー・フェアラーク 「Developmental Biology 8th edition」, by Scott F. Gilbert, Sinauer Associations, Inc. 「Pri... -
イモリの発生のメカニズム
DATE 2010年05月20日、2011年05月20日 カエル(脊椎動物)の発生:カエルの「卵割→桑実胚→原腸胚→神経胚→尾芽胚→生体」の確認。そして、ウニ(無脊椎動物)とカエル(脊椎動物)の相違。 ところで、「なぜ、どの動物も(ウニもカエルもヒトも)発生の系は同じなのだろうか?」 これは、ホメオボックスの機能による。つまり、発生の諸プロセスを統御する遺伝子のパッケージは、多くの動物に共通している。 ■ウニとカエルの発生の過程の比較 【ウニ(図)】 受精卵 → 2細胞期 → 4細胞期 → 8細胞期 → 16細胞期 → 桑実胚期 → 胞胚期(孵化) → 原腸胚期 → プルテウス幼生 → 幼生 → 成体 【カエル(図)】 受精卵 → 2細胞期 → 4細胞期 → 8細胞期 → 16細胞期 → 桑実胚期 → 胞胚期 → 原腸胚期 → 神経胚期(孵化) ... -
2011年06月22日
1899年にウニの単為生殖を成功させたジャック・レーブ(Jacques Loeb, 1859-1924)の口癖は「私にはわかっている」だったそうです。何がわかっているのか。個体発生のプロセスです。受精や針・浸透圧ショックの刺激によってプログラムが一度動きはじめてしまえば、あとは個体発生が自動的に進行するのは、「当然のこと」だと彼は考えていました。 シュペーマン(Hans Spemann, 1869-1941)は、この「わかっている」過程が具体的にどのように進んで行くのかを、具体的に、詳細に追跡、確認したといえます。その結果、個体発生を説明するために導かれた概念が、「誘導」です。 彼はその概念にたどりつくまでに、結さつ実験(1902年)と、交換移植実験(1921年)を行い、「個体の発生運命は何によって決められるか?」という問いには灰色三日月(後の原口背唇部)、「個体の発生運命はいつ決... -
2010年度高校1年2学期シラバス
■概要 【遺伝(計算)】 生物が現す複雑な形質を決めているのは、じつは単位化されたいくつかの粒子の、シンプルな組み合わせである。グレゴール・メンデル(1822-1884)の発見したこの見解は、それまで約二千年間続いてきた固有名中心の生物学(=博物学)にとって衝撃的なものでした。メンデルの言っていることは、諸々の生物を貫く遺伝現象は、固有名を使わず、記号と数の関係性として解読・記述することができるということであり、それは感性や直観などから切り離されたものだったからです。2学期の中間試験までは、創られてまだ百年足らずの領域、Genetics(遺伝学)の基礎を学びます。 ■授業内容 9/9 1学期期末試験の答案返却と、解説 / シラバスの配布:動物の個体がたどる発生メカニズムについての復習。予定運命の決定される時期と、それを検証したシュペーマンの実験について。 9/11 ... -
ミツバチについての覚書
(以下はまだメモ書きです) □ ミツバチの巣は年間を通じておよそ35℃に保たれている。冬季は働き蜂が筋肉を震わせて発熱させているのである。蜂蜜はそのための燃料でもある。 □ リウマチ治療として、蜂毒が利用されることがある。 □ ミツバチの巣のハニカム構造は、航空機に利用されている。 ミツバチの巣(地面と水平)とスズメバチの巣(地面に垂直)の違い □ 形態はかなり異なるが、遺伝的には女王も働き蜂も変わらない。 働き蜂の幼虫を人工的な王台に移して、ローヤルゼリーを摂取させると女王になる。 (働きアリの場合は、女王の出す「女王分化阻害物質」というフェロモンのはたらきで卵巣が萎縮し、不妊のまま「はたらきアリ」となって生涯を終える。) 孵化後、96時間までのあいだにローヤルゼリーを摂取しつづければ、形態が決定する。 □ マンダラトキシン、スズ... -
メンデル遺伝学の背景
メンデルの実験はどのように画期的なものだったのか。メンデル以前の研究者たちは、遺伝現象とその法則性についてどのような見解を示していたのか。また、メンデルの研究報告は長らく無視されてきたが、それはなぜか。 -
2011年04月22日
2010年度の授業の紹介――「なぜ〈生物学の歴史〉を授業で扱うのか?」 What 2010年度の生物の授業では何を扱ったのか? 2010年度の授業では、一年間を通して、生物学そのものよりも、むしろ生物学にまつわる歴史を追ってきました。教科書、あるいは『セミナー生物Ⅰ+Ⅱ』の内容を、「科学史」の視座にチェックインして概観していく、という趣向です。とはいえ、本格的な科学史でなく、生物学上の大発見を、いくつかのシーンに分けて紹介していきました。その発見がなされる前は、どんな世界観が自明なもの、常識的なものとされていたのか? その発見は、どのような時代背景のもとでなされたのか? 発見者と同時代に生きていたほかの研究者たちは、なぜその発見をすることができなかったのか? ……など、人物にフォーカスを合わせてエピソードとともに紹介してきました 。 今日配布した、1学期のシラバスは、ほとんど... -
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生物授業ログへようこそ 管理人がおこなった高校生物の授業のログが載っています。 管理人がTwitterで紹介した自然科学関連の記事、質疑応答などが載っています。 「wiki内検索」が便利です。分類や体系化はあまりしていません。 授業の日付は「YYMMDD」で表記しています。 微速更新中。 基本テキスト 引用の略号は、以下のテキストに準拠したものです。本川達雄、谷本英一[編] 『高校 生物Ⅰ 改訂版』 啓林館 → 『教Ⅰ』 本川達雄、谷本英一[編] 『高校 生物Ⅱ 改訂版』 啓林館 → 『教Ⅱ』 鈴木孝仁[監修] 『フォトサイエンス 生物図録』 数研出版 → 『図録』 『セミナー生物Ⅰ+Ⅱ』 第一学習社 → 『セミナー』 -
近代植物学のはじまり(カメラリウス、アミーチ、リンネ)
植物では花が生殖器官であることを明らかにしたカメラリウス(1665-1721)、花粉管を発見した天文学者アミーチ(1786-1863)。植物の性現象は古くから認められていたにもかかわらず、なぜ動物に比べて植物の発生過程は研究が遅れたのか? (……つづく……) -
南方熊楠
ピンで一番話が尽きない「明治時代の生物学者」は、南方熊楠だと思います。彼は日本人として始めてNature誌に論文を掲載し(粘菌の研究)、人類学・考古学・宗教学などを独学、『十二支考』などを執筆。留学先の英国では「歩く百科事典」と呼ばれ、自在に嘔吐することができました。 参考文献 鶴見和子『南方熊楠』 水木しげる『猫楠』 -
植物発生学を遺伝学の前にやったほうが良いわけ
遺伝現象の研究は、19世紀半ば以降に本格化します。その進展を見ていく前に、それが生物学のどのような背景の下で行われたかをまず振り返ってみましょう。じつは、植物にそもそも「性」があることやその生殖の仕組みについての科学的理解がなされたのは17世紀以降のことです。減数分裂や重複受精などのメカニズムを確認し、そのあとでメンデルの実験の革新性について、計算のなかで実感してください。 -
2010年度高校1年1学期シラバス
■概要 【発生と分化】 直径数ミクロンの受精卵は、どのようなプロセスを経て巨大な生体となるのか。また、分裂するそれぞれの細胞は、どのタイミングで、なにをきっかけとして、異なる器官、神経系へと分化するのか。「卵細胞→卵割→桑実胚→原腸胚→神経胚→尾芽胚→幼生→個体」というプロセスを中心に考える。 ■授業内容 100415 自己紹介とガイダンス 100422 【 記念祭準備 】 100429 【 昭和の日 】 100506 さまざまな発生プロセス(一学期に行う課程の全体像の提示) 「無性生殖」、「有性生殖」とはなにが違うのか、なぜ違うのか、どのように違うのか。「分裂(酵母)、出芽(ヒドラ)、栄養生殖、胞子生殖」、そして、「配偶子生殖」について、それぞれ説明する。「生命はどのように生まれるのか?」という古代ギリシャからあった問いについて。 100513... -
本棚/松原謙一・中村桂子『生命のストラテジー』1990=1996
以下、松原謙一・中村桂子『生命のストラテジー』ハヤカワ文庫NF、1996年より抜粋(一部改変) 有性生殖では、子孫を作るために必ず相手を探さなければならない。これは、種の繁殖にとっては、かなり不利なことだ。それなのに、有性生殖をする種の方が優勢になったのは、どこかにその不利を越える有利さがあるからに違いない。ポイントは、原核細胞は《一倍体》であるのに対して真核細胞のほとんどが《二倍体》であるというところにある。 大腸菌は分裂前に細胞の中の遺伝子系(ゲノム)を二つに増やし、その一つずつをそれぞれの娘細胞に渡す。つまり、分裂直前の大腸菌には、ゲノムが二組ある。けれどもこれは、増殖過程でそのような時期があるというだけで、ゲノムを二つ持った一個の細胞として生存するわけではない。そして、この二つのゲノムは互いに同じである。大腸菌は常に一つのゲノムだけを大切に抱えている生物、つまり一倍... -
モーガンたちが「三点交雑」によって作った「染色体地図」のインパクトについて
メンデルもそうでしたが、19世紀から遺伝学における主要な発見をした多くの人は、「その発想はなかった」的なアイディアに基づく実験をしています。メンデルの場合は、「種の色や花の形などの遺伝形質をばらばらに分離して考えて、数学的に組み合わせて扱う」です。ふつうは思い浮かびません。 遺伝形質を担っているのが物質であることを、実験によって証明しようとしたモーガンの着想も、やはり「その発想はなかった」に属します。遺伝情報を担っているのが物質ならば、それぞれの位置を特定して、地図にすることができるはずだ。という、染色体地図にいたる発想です。 意外かもしれませんが、遺伝現象について、徹頭徹尾、実験だけで究明しようとしたことも、モーガンがラディカルだった点です。再生現象、発生学、遺伝、進化などは、20世紀に入っても「神秘めいた雰囲気」が濃厚で、「疑似哲学的たわごとがはびこっていた」(b... -
プラグイン/アーカイブ
アーカイブ @wikiのwikiモードでは #archive_log() と入力することで、特定のウェブページを保存しておくことができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/25_171_ja.html たとえば、#archive_log()と入力すると以下のように表示されます。 保存したいURLとサイト名を入力して"アーカイブログ"をクリックしてみよう サイト名 URL -
ロボトミー療法
ロボトミー手術。大脳皮質の前頭前野をアイスピック状の危惧で切除することで精神病患者を沈静させるという、ものすごい「療法」(もちろん患者は沈静化します、というか、廃人になります)は、1960年代まで行われていました。ちなみに創始者のエガス・モニスはノーベル医学生理学賞を受賞しています(1949年)。ノーベル賞の黒歴史といえます。でも、別にそのときのノーベル賞委員会がバカだったわけではありません。このあたりの話は、竹内薫『99.9%は仮説』光文社新書でも書かれているので興味のある方はどうぞ。 ちなみに、Wikipediaにある通り、人をロボットrobotのようにしてしまうからロボトミーではなく、ロボトミーlobotomyはロベクトミーlobectomy;葉切除と同義です。これは、葉を一塊に切除することを意味する外科分野の術語です(肺や脳などで臓器を構成する大きな単位を「葉lobe」... -
本棚/岩堀修明『図解・感覚器の進化』
岩堀修明『図解・感覚器の進化』講談社ブルーバックス、2011年 は、非常にお勧めです。私たちの自分の眼や耳が、どのような進化的プロセスを経て、この形になったのかを、詳細な図とともに丁寧に解説してあります。高1の1学期に発生学を、2学期に解剖学・生理学を学びましたが、現在、発生学と進化論を、解剖学・生理学的な視座において組み合わせた「進化発生学evolutionary developmental biology エボデボ」という分野が興隆しつつあります(2000年春に、愛知県の岡崎コンファレンスセンターで国際会議が開かれています)。エボデボの世界観に接するのにも、本書は多くの示唆を与えてくれるでしょう。 目次 第1章 感覚器とは何か どんな感覚を感知するかは「どんな刺激があるか」ではなく「どんな感覚器があるか」によって決まる。 第2章 視覚器 「眼」は無脊椎動物では皮膚からつく... -
特別授業/Skype、Twitter、ニコニコ動画
●【同期synchronization】について考える 濱野智史『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』、NTT出版、2008年 @hamano_satoshi Q.なぜtwitterのリプライがすぐに返ってくると嬉しいのか? なぜリツイートは早いほうが“価値がある”のか? →「選択同期」:独り言を、聞くも聞かないも自由 Q.なぜニコニコ動画において動画自体が見えなくなるほどの弾幕が喜ばしいのか? →「擬似同期」:錯覚による体験の共有。同期することの快楽にいつでもアクセスできる。 Cf. 実況、リアルタイムという“形式”が、コンテンツの“内容”を凌駕する、「ダダ漏れ」 Cf. 同じ曲をCDでも持っているのに、ついついニコニコ動画で聴いてしまう POINT 「情報の共有」から「視聴体験の共有」へ ●【実名real name】について考... -
2011年06月17日
■「前成説」・「後成説」 発生学の歴史をたどった1学期の中間試験の問題文ではふれませんでしたが、じつは17~18世紀、生物の発生に関して生物学会を二分する対立した考え方がありました。一つは、配偶子の中にすでに個体のミニチュアができ上っているという考え方で、「前成説preformationism」と呼ばれます。極端な前成説は「入れ子説」と呼ばれ、精子の中に人間のミニチュアが埋めこまれている右図(オランダの科学者ハルトゼーカーによる)が有名です。主な提唱者としては、顕微鏡を実用化のレベルにまで改良したレーウェンフック(1632-1723)、そしてシャルル・ボネ (1720-93)らがいます。ボネは卵の中にホムンクルス(成体のミニチュア、もっともボネはホムンクルスの中の器官の大きさや位置は成体のそれの単なる比例縮小版ではない、と考えていました)が入っており、その中に卵が、その卵の中に... - @wiki全体から「アメリカのロックフェラー研究所」で調べる