私家版・高校生物授業wiki
Q.DNAが酸化すると、RNAになりますか?
最終更新:
bioota2010
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DATE:120118
Q.DNAの糖が酸化するとどうなるのでしょうか。RNAになるのでしょうか。
A.たしかに、DNAの糖(デオキシリボース)の化学式C5H10O4を見ると、RNAの糖(リボース)の水酸基の一つが水素原子に置き換えられた形をしています。(cf.『図説』92頁)
しかし、DNAの糖が酸化しても、RNAにはなりません。
なぜ、DNAの糖が酸化しても、RNAにならないのか。それはDNAの糖が酸化しても、RNAの塩基であるU(ウラシル)が、A(アデニン)と塩基対を形成するわけではないからです。通常、DNAはA-T、G-Cの塩基対を形成します。この塩基対がA-U、G-CとなるとRNAになるわけですが、DNAの糖が酸化すると、G(グアニン)が酸化されて8-oxoGができ、これがAと塩基対を形成します。
つまり、「DNAが酸化しても、酸化したDNAになるだけで、RNAになるわけではない」のです。DNAが酸化すると、遺伝暗号(コドン)に沿って作られるタンパク質の構造が変化することになります。その結果、組織の機能低下を引き起こすことになります。このDNAの酸化の主因が、活性酸素です。
Wikipediaの「デオキシリボ核酸」の項にも載っていますが、DNAとRNAの生体内での役割は大きく異なります。DNAは核内で遺伝情報の蓄積・保存(←静的)、RNAは遺伝情報を核外に伝えたり、アミノ酸を運んだりと、一時的な処理を担います(←動的)。