第17話

花は咲いている


~前回までのあらすじ~

アトロポスさん

~シディララマ第一階層広場~

カチャリ・・・ ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

マイヤ「よし 開いたわ さぁ ルセタラへ向かうわよ」

カルダオ「あれ? シェマ長老は?」
ナイジ「いや もう帰ってもらった
    たしかに・・・アトロポスさんがいたら心強いけど・・・」
レアル「モルグさんとは別ベクトルでイライラしますからね」
カルダオ「(シェマさん今頃泣いてるんじゃないかな・・・)」

~ルセタラ丘陵~

ナイジ「うわああ・・・ なつかしい・・・
    あぁ この神殿跡地 小さい頃よく遊んだなぁ・・・」
レアル「でも 棲んでいるモンスターは様変わりしているようです
    気をつけていきましょう」
マイヤ「いちいち相手する必要も無いわ まずは最上流の水門まで
    一気に進むわよ」


カルダオ「ん おい! あの小川に誰か倒れてるぞ!!!」
ナイジ「なんだって!? って アレは・・・」

モルグ「・・・」

ナイジ「・・・おっさんだ・・・」
カルダオ「ホントだ! 本当に生きてた! すげぇ!」
レアル「でも どこか上の空ですね・・・」

ナイジ「よう おっさん 無事でよかったな」
モルグ「・・・ あ ナイジさん どうも」
ナイジ「・・・ おっさん?」

モルグ「・・・いい 天気ですね・・・」
ナイジ「いや 瘴気ですごく曇ってるんだが・・・」

カルダオ「すげぇじゃねぇかおっさん! どうやって助かったんだ!?」
モルグ「・・・たこさん」
カルダオ「・・・た たこ?」

モルグ「たこさんがたすけてくれたのです」
ナイジ「・・・だめだ・・・どこかで強く頭を打ったらしい・・・」
レアル「まぁ ここに置いとくのもなんですし 連れて行きましょう・・・」
モルグ「お散歩ですか いいですね」

カルダオ「やっぱシディララマこええええええええええええ!!!!」


~ルセタラ丘陵・水門~

マイヤ「さぁ ここまでくればもう少しよ 戦闘の準備をしなさい」
ナイジ「へぇ 水門は壊れてないみたいだ ん? なにかいる」


マイヤ「あら・・・ 随分と物騒なモンスターが住み着いてるわね・・・」
カルダオ「あのマムーはなんてモンスターなんだ?」
レアル「ペトラバシレ・・・」

カルダオ「ほとばしる屁?」
モルグ「女性の前ですよ」
カルダオ「え あ あぁ・・・ ごめんなさい・・・」
ナイジ「キレイなおっさんだな・・・」

マイヤ「ノラモンというよりは この土地のヌシというべきかしら
    その中でもペトラバシレ・・・ あのマムー種は
    何百年も昔からいくつもの伝承とともに生きてきた・・・
    全盛期のアルレム長老でも勝てるかどうか分からないようなヤツよ」
ナイジ「あ 知ってる 1晩あれば村ひとつなくなっちゃうとか・・・」
カルダオ「お おっかねぇな・・・ 勝てる気がしねぇよ・・・」
マイヤ「まぁ 怒らせなければ襲ってこないわ さ 先に進むわよ」


~ルセタラ丘陵・渓谷上部~

レアル「急におどろおどろしくなりましたね・・・」
カルダオ「なんか そこらへん中に骨が落ちてるし・・・」
マイヤ「そして あいつがここのボスよ」
ナイジ「げっ・・・ あ あれは・・・ モックぅ・・・!!!?」

トルルモック「ぐおっ ぐおっ ぐおっ・・・」

マイヤ「トルルモック・・・
    長老アンテロにしこたまボコボコにされたのに
    まだ懲りてないのね」
レアル「と いうことは 雷属性のモンスターを薦められたのは・・・」
カルダオ「アイツと戦うことを見越してのことってワケか!」
マイヤ「ふふん そういうことよ」

チモック「きゅー・・・」
ナイジ「チモック・・・ 大丈夫だ 今は 仲間だっている・・・!」

マイヤ「・・・でも 妙に落ち着いてるわね・・・
    いわば絶体絶命のピンチだってのに・・・」

トルルモック「グォオオオッゴッゴゴゴ!!」


ボコッ ボコッ・・・ズボッ・・・

メズハン「コカカカカ」
ゴズハン「カタカタカタ・・・」

カルダオ「うえええ!!!骨だ!!」
マイヤ「なるほど・・・ 手下がいるってわけね・・・
    でも 残念でしたわね」
レアル「そうですね」

ナイジ「え? ・・・・・・あ そうか」
チモック「キュ?」

トルルモック「グオッホッホッホ!!!」
メズハン「ギー!」
ゴズハン「ごきゃきゃ!」

ナイジ「チモック! ソウルファイア!!」
チモック「きゅっ!!」

バオォン

メズハン「ウギャーーン」ボオオオオ!!!
ゴズハン「カソオオオオオ!!!」ボャーーー!!!

トルルモック「ごっぐわっ!!!?」

ナイジ「いやぁ! アンデッド系は火に弱い!
    エルナさんに習ったとおりだったよ!」
チモック「きゅー!!」

トルルモック「ぐ ぐわー!!!」

カルダオ「じゃ! アイツにはしばらく眠っててもらうか!」
ラーネイル「グルルルル・・・」
レアル「そうですね サバキ!」
サバキ「モヒンッ」

トルルモック「グォ・・・ グォオオオ・・・」

2人「雷撃!!!」

トルルモック「イヤアアアアアアア!!!」

ズバシィィィィーッ・・・・・・

モルグ「ああ キレイですねぇ・・・」


トルルモック「・・・」プスプス・・・

カルダオ「そっちあったか?」
レアル「いえ みつかりません」
ナイジ「マイヤさん ほんとにここで合ってるんですか?」
マイヤ「なっ! 間違いないわよ!
    逆に言えばここでしか取れないっていうくらいよ!
    もっと血眼になって探しなさいよ!!」
モルグ「私もお手伝いします」

~1時間後~

カルダオ「・・・ないな・・・」
ナイジ「ないですね・・・ 骨は100本くらいあるのに・・・」
レアル「諦めてはいけません! まだ崖の上とか・・・!」
マイヤ「そうよ! もしこのまま見つからなかったら 
    私がバカみたいじゃない! そんなの許さないわ!」
モルグ「力を合わせ なんとしても見つけましょう」

~さらに1時間後~

カルダオ「・・・」
レアル「なんとかいってくださいよ・・・」
ナイジ「マイヤさん・・・ ここ ないですよ・・・」
マイヤ「そ そんな・・・ 咲く時期も間違ってないハズ・・・」
モルグ「やはり 瘴気の影響もあるのでしょうか・・・」

カルダオ「・・・しかたねぇ 今回は出直すしかねぇべ!」
ナイジ「・・・そんな!!」
レアル「・・・このままここに残るのも危険ですね・・・
    一度ユタトラへ帰り 対策を考えるのも手でしょう・・・」
マイヤ「く 悔しいけれどそれが正解かもね・・・ 屈辱・・・!」

~ルセタラ丘陵・水門~

ナイジ「・・・ウル長老・・・」
マイヤ「屈辱 屈辱 屈辱」ブツブツ・・・
レアル「この花は・・・ 違いますね・・・ ・・・」
カルダオ「はぁ~ あのペトラなんとかってヤツ のんきにお昼寝だぜー
     こっちは探し物が見つからなくて大変だってのによー・・・」
ナイジ「仕方ないですよ あいつも悪気があるわけじゃ・・・」

ペトラバシレ「ぱぉ・・・ ぐぅ・・・」

ナイジ「んん?」


ナイジ「ミリュレ花だ!!!」
カルダオ「なんだって!!!?」
ナイジ「ほら! あの!ペトラバシレの左のキバ!!」
マイヤ「・・・!あ あれは確かにミリュレ花よ!
    ほらみなさい! 私の言った通り!この辺に生えるのよ!!」
レアル「でも・・・ 考えうる最悪の位置に生えてますね・・・」

ペトラバシレ「ぷくぷく・・・」

ナイジ「でも 取りに行くしかない!!」
カルダオ「でも ・・・だれが?」
マイヤ「私はイヤよ! あんなのムリに決まってるじゃない!」
レアル「せめて・・・ 引き抜くことができれば・・・」

一同「・・・」
モルグ「・・・」

一同「・・・」
モルグ「私ですか」


モルグ「・・・」そろそろ・・・

ナイジ「本当に大丈夫かな・・・」
カルダオ「なんか 今の状態のおっさんを行かすのは
     気が引けるけどな・・・」
マイヤ「失敗したときのデメリットが少ない順に行くのは当然よ・・・」
レアル「モルグさん アナタのことは忘れません・・・」

モルグ「・・・」そろそろ・・・
ペトラバシレ「んぴゅう・・・」

ナイジ「よし・・・ いけ・・・!」

モルグ「・・・」すっ・・・

プチ

ペトラバシレ「すうーーー こここ・・・」

ナイジ「よっしゃああああ・・・!」
カルダオ「まだ寝たままだ・・・ いけるぞおおお・・・」

モルグ「・・・・・・」ニコッ!

ナイジ「とれたのは分かったから
    手なんか振ってねぇでさっさと持って帰って来い・・・!!!」
マイヤ「なにやってんのよアイツはああああ・・・!!!」

モルグ「んぶえええええっくしょおおおおい!!!!」
ペトラバシレ「ぱおっっっ・・・!!!!」ビクンッ!!

ナイジ「ええええええええええええええ!!!!!!!???」
カルダオ「起きたああああああああ!!!!」

モルグ「うう ずびぃー 花粉症なのわすれてました」
ペトラバシレ「・・・」ゴゴゴゴゴゴ・・・

モルグ「あ・・・ どうも・・・」

ペトラバシレ「パアオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」ブォンッッ!!

メリッ・・・

モルグ「もるぐっ・・・」

ドゴひゅううううううん・・・

モルグ「ああああああああああああああああああああああ
    れええええええええええぇぇぇぇぇ・・・」

キラーン・・・

カルダオ「おっさんフッ飛んだあああああああああああ!!!!!」
ナイジ「それよりも花があああああああああああ!!!!!!!!」
マイヤ「飛ばされるなら花を手放して行きなさいよーーー!!!!」

レアル「おや? あれは・・・」

ひらひら・・・

カルダオ「あ」

ヒラヒラ・・・

マイヤ「あら」

ポト・・・

ナイジ「・・・あ ミリュレ花・・・」

一同「・・・」

ナイジ「やったあああああああああ!!!!」
カルダオ「ミリュレ花ゲットオオオオオオオ!!!」
レアル「やりました! やりましたよみなさーん!」
マイヤ「これで私の正しさが証明されるわー!!!」

ペトラバシレ「ばおおおおおおおおおお!!!!」


ナイジ「って!!! アイツのこと忘れてたああああああ!!!」
カルダオ「うわあああ!!! こっちにくるぞおおおお!!!」
レアル「に に・・・」
マイヤ「逃げるのよおおおおおおおおおおお!!!!!!!」

ぱおおおおおおおおぉぉぉん・・・
ぎゃあああぁああああ・・・


~シディララマ港~

デーボ「お! 帰ってきたみたいだな!! よう皆!ごくろ・・・」

ナイジ「はぁー はぁー・・・花・・・ とれ ましたよ・・・」
チモック「きゅー! きゅー!」
カルダオ「ぜー ぜー・・・ もう シディララマには こないぞ・・・」
ラーネイル「ケハァー! ケハァー!」
レアル「う・・・ 横腹が・・・ はー はー・・・」
サバキ「ぶろろっ・・・」
マイヤ「ひぃーーー ひぃいい・・・ うううう・・・!」

デーボ「・・・な 何があったかは 聞かないほうがよさそうだな・・・」
レシオネ「きゅいん・・・」

???「・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ」

バシャーン!!

デーボ「ん? なんだぁ? いま何か空から海に落ちてきたぞ!」

モルグ「ぶはあああああ!!!!」バサー!

ナイジ「お・・・おっさーーーん!!!」

モルグ「うぐおおおあああああああ!!!!
    きさまらああああああ!!!! ゆるさんじょおおおおおお!!!
    この私を捨て駒に使いおってぇえええええええ!!!!」
カルダオ「あ 汚いほうのおっさんに戻ってる・・・」
レアル「吹っ飛ばされたショックで・・・ かわいそうに・・・」
マイヤ「ああ もう面倒だから出発してくださいな」

デーボ「ん? お おう・・・ よーし! レシオネ!
    ユタトラへ帰るぞ!!」
レシオネ「きゅっひぃ!」ザパァー

モルグ「きええええええ!!! まてえええ!!
    またんかあーーーー!!!おえっぷ!」ザバザバ

シンム「ムッシュムッシュ♪」

~数日後~

ウル「・・・さて まずはありがとうと言っておこう・・・」
ナイジ「い いやぁよかったですね! 無事! その! 治って!」
ウル「うむ それもこれも ミリュレ花を持ち帰ってくれたおかげじゃ・・・」

ウル「じゃが あれはシディララマにしか咲かない
   これが何を意味するか 分かっておるの?」
シェマ「い いえいえ! あれはたまたまその辺に生えていたのですよ!」
エルナ「そ そうよ!たまたま生えてたのよ!ね!ナイジ!」
ナイジ「そう! 採集してたら 見覚えのある花があって!!!」

ウル「ワシの目は誤魔化せんぞ!! おぬしら!
   クナレヤに続きシディララマに船を出しおったな!!」
ナイジ「げっ! どうしてそのことを・・・!! あ しまった!」

ロンガ「いや・・・ その なんだ 酔ったデーボが全部話していった
    当日に・・・」
ナイジ「な゙・・・」

ウル「ナイジたちだけならともかく・・・シェマ!!!
   影武者などという姑息な手を使って 島を抜け出すとは・・・!!」
シェマ「う! バレていたとは・・・!!!」
ウル「バカにするでないわ! あんな肉の塊と見間違うほど
   ワシは衰えておらんわ!!!」

シュマ「・・・・・・」しくしく・・・
アトロボス「ぱくぱく」むしゃむしゃ
ナイジ「あんたたちは悪くねぇよ・・・ 悪いのはあの左のやつだ・・・」

ウル「ナイジ!おぬしはブリーダー失格じゃ!
   そしてシェマ!おぬしは・・・死刑じゃ!!!」
シェマ「ええ!? なにやら私の罰だけ妙に重い気がするのですが・・・!」
ナイジ「そ そんな・・・」

エルナ「婆様! そんな あんまりです! シェマさんはともかく・・・」
シェマ「うんうん ・・・え」

シェマ「は!そ そうだ! ・・・ゴホン!」

シェマ「地方の代表の間で揉め事が起こった場合・・・
    長老の多数決で決める・・・ そういう取り決めでしたね・・・」
ウル「む・・・ むぅ!」

シェマ「シディララマ長老代理の名において・・・
    ナイジら優秀なブリーダーについて
    クナレヤをはじめとする遠征地への出航を許可する!!」
ロンガ「がーっはっはっは!!!ガランカナン長老!!
    右に同じ!!オレも賛成だ!!」
エルナ「シェマさん・・・ロンガ長老!」

ロンガ「婆さん! これで決まったようだな!」
ウル「むぅ・・・! ワシも すこし熱くなり過ぎたようじゃ・・・
   分かった・・・ 認めよう・・・ じゃが・・・
   これからそういうことをするときは 一言でよい・・・
   ワシらに伝えておくれ・・・」
ナイジ「は・・・ はい!!」

シェマ「ふぅ これで一件落着 ですね!」
ロンガ「ガッハッハ! ちゃんと空気を読めるようになったじゃないか!」
ウル「じゃが まだ決めなければならぬことがひとつあるぞ」

シェマ「え!? ほかに何か問題が!?」
ウル「おぬしの死刑のことじゃよ・・・ シェマ・・・」
シェマ「え」
ロンガ「ガッハッハッハ! そうだったなぁ・・・
    オレもさすがにアレは出すぎたマネだと思うな!」
シェマ「え え」
ナイジ「腹くくれよー!シェマ長老ー!!」
シェマ「え え え」

シェマ「う! う!! うわああああああああああぁぁぁぁぁ・・・」
最終更新:2011年10月20日 01:39
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