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朋也「軽音部? うんたん?」 最終回
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:41:58.23:+UZ/pLeq0
春原「じゃあな」
翌日の朝。
春原を見送りに、みんなで駅に集まっていた。
春原を見送りに、みんなで駅に集まっていた。
朋也「ああ、達者でな」
唯「元気でね、春原くん」
澪「また、会おうね」
紬「向こうに行っても、いつまでも元気な春原くんでいてね」
梓「いろいろと、お世話になりました。ありがとうございました」
憂「私、春原さんのことずっと覚えてますね。岡崎さんの親友で、面白くて素敵な人だって、忘れません」
和「社会人なんだから、あまり突飛なことはしないようにね」
皆それぞれ、様々な言葉を送る。
264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:43:15.12:jpDSDOMkO
律「………」
澪「律…おまえもなにか言ってあげろよ」
律「うん…」
律「………」
一歩前に出る。
春原「………」
律「………」
そして、春原と向かい合った。
律「あのさ…今までいっぱい喧嘩したけど…けっこうおもしろかったぜ」
春原「僕も、そうだった気がするね…なんとなくだけど」
律「そっか…」
春原「まぁね…」
律「でさ…あんた、こっちの方が好きだったよな」
カチューシャを外す。
そして…
そして…
春原「うわっ」
265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:44:07.59:+UZ/pLeq0
春原の頬に唇を押し当てた。
律「ばいばい…春原くん」
春原「………」
その箇所を手で押さえ、口を半開きにして目を丸くする春原。
しまりのない顔だ。けど、それも少しの間のこと。
すぐにいつもの、憎めないニヤケヅラに戻った。
しまりのない顔だ。けど、それも少しの間のこと。
すぐにいつもの、憎めないニヤケヅラに戻った。
春原「ああ…バイバイ、田井中」
初めてその名を口にした。
そして、荷物を重そうに抱え、改札口を抜けていく。
帰っていく…今日、この場所から。いつだって陽気だったあの男が。
また会える日を思いながら、ここで見届ける。
俺の…親友を。
そして、荷物を重そうに抱え、改札口を抜けていく。
帰っていく…今日、この場所から。いつだって陽気だったあの男が。
また会える日を思いながら、ここで見届ける。
俺の…親友を。
律「…いっちゃったか」
澪「律…」
律「ん…」
少し寂しそうな顔のまま、外していたカチューシャをかけ直す。
律「よぅし、そんじゃ、今から遊びに行くぞっ!」
その時からもういつもの部長の姿に戻っていた。
髪を下ろしていたのは、普段の自分と区別したいという心理もあったからかもしれない。
髪を下ろしていたのは、普段の自分と区別したいという心理もあったからかもしれない。
266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:45:28.03:jpDSDOMkO
律「あ、でも、岡崎と唯はついてくるなよ?」
律「おまえらは、こっからデートだ! わはは!」
律「こい、澪!」
澪「あ、ちょっと、なんで私だけひっぱるんだよっ」
梓「律先輩、さっきのキスって、やっぱり…」
律「うるへーっ! ただのその場のノリだっ! 深い意味はなぁーいっ」
紬「くすくす…りっちゃん可愛いっ」
和「いいものが見れたわ。忘れないように記録をつけておきましょう」
律「って、和、やめんかーいっ!」
俺と唯をその場に残し、雑踏の中に消えていく。
憂「岡崎さん、お姉ちゃんとのデート、楽しんでくださいねっ」
言って、憂ちゃんもその後を追っていった。
唯「うわぁ、置いていかれちゃった…」
朋也「どうする? 俺たちも追うか?」
268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:47:56.68:+UZ/pLeq0
唯「う~ん…せっかくデートするように言われちゃったから、そうしようよっ」
朋也「そっか…そうだな、そうしようか」
唯「うんっ」
―――――――――――――――――――――
俺たちは歩いた。
春の光の中を。
ゆっくりと、ゆっくりと。
ずっと手をつないで。
唯の小さな手が、愛おしくて…仕方がなかった。
唯が好きで好きで、仕方がなかった。
俺は… 立ち止まってしまった。
春の光の中を。
ゆっくりと、ゆっくりと。
ずっと手をつないで。
唯の小さな手が、愛おしくて…仕方がなかった。
唯が好きで好きで、仕方がなかった。
俺は… 立ち止まってしまった。
朋也「なぁ、唯」
唯「なに?」
朋也「あのさ…」
唯「うん」
朋也「………」
朋也「…別れよう」
今日言おうと決めていた。
きっぱりと終わらせて、引きずることなく前に進んでいくべきだった。
きっぱりと終わらせて、引きずることなく前に進んでいくべきだった。
270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:48:52.10:+UZ/pLeq0
唯「…え?」
朋也「おまえはさ…もっといろいろ見て、それで付き合う男を決めた方がいい」
朋也「今までは狭かったんだ。そこに、たまたま俺が現れただけなんだよ」
朋也「だから…」
…言葉が出なかった。
代わりに涙がとめどなくあふれ出た。
ぽたぽたと地面に落ち続けていた。
子供のように、俺は泣き続けた。
代わりに涙がとめどなくあふれ出た。
ぽたぽたと地面に落ち続けていた。
子供のように、俺は泣き続けた。
唯「朋也…」
朋也「………」
唯「朋也…」
朋也「なんだよ…」
唯「歩こう?」
朋也「なんでだよ…」
唯「朋也と歩きたいからだよ」
朋也「やめとけよ…俺、もう彼氏じゃないんだぞ…」
唯「まだ私が答えてないからセーフだよ。だから、ね?」
271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:51:11.14:jpDSDOMkO
朋也「………」
朋也「…好きにしろよ」
唯「うん、好きにするね」
俺の泣き濡れた顔を笑いもせずに、そう唯は言った。
―――――――――――――――――――――
唯「あのね、私、大学卒業したら、この町に戻ってこようと思ってるんだ」
朋也「………」
唯「それでね、その時には…」
立ち止まる。
唯「朋也…私をお嫁さんにしてください」
朋也「………」
唯「えへへ…プロポーズだよ?」
朋也「馬鹿…そんなの受けられるわけないだろ」
唯「どうして?」
朋也「俺たちは、その時にはもうただの知り合いなんだよ…知り合いとは結婚しないだろ…」
272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:52:18.54:+UZ/pLeq0
唯「そうだね。でも、朋也は違うよね。ずっと付き合ってた彼氏なんだから」
朋也「だから…それは、もう…」
唯「嫌だよ。別れるなんて、絶対に嫌だよ。朋也だってそうでしょ? だから泣いてるんでしょ?」
朋也「………」
唯「心配しないで。絶対に戻ってくるから。夏休みだって帰ってくるよ」
唯「冬休みも…クリスマスだってそうだよ」
唯「ね? 私、ずっと朋也のこと、好きでいるよ」
できるのだろうか…本当に。
それは、ただ、そうありたいという願いなんじゃないだろうか…。
それは、ただ、そうありたいという願いなんじゃないだろうか…。
唯「朋也も、私のこと好きでいてくれるよね? っていうか、今もそう…ってことで合ってるよね?」
朋也「…ああ…好きだよ…」
唯「じゃあ、やっぱり相思相愛だよっ。別れる必要なんてどこにもないんだよ」
朋也「そっか…」
唯「そうだよっ」
俺がいない4年間という長い時間の中で、唯は変わってしまわないだろうか。
また、俺も気持ちが薄れていってしまわないだろうか。
会えない日々に耐えられるだろうか。
また、俺も気持ちが薄れていってしまわないだろうか。
会えない日々に耐えられるだろうか。
274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:53:37.90:jpDSDOMkO
越えていけるだろうか。
歩いていけるだろうか。
………。
でも、ずっと頑張り続けて…
そして、最後にはやり遂げた俺たちだったから…
きっと登っていける。
その先へ、歩いていける。
そう、思えた。
歩いていけるだろうか。
………。
でも、ずっと頑張り続けて…
そして、最後にはやり遂げた俺たちだったから…
きっと登っていける。
その先へ、歩いていける。
そう、思えた。
朋也「唯」
俺はその細い肩を抱きしめた。
朋也「俺、ずっと待ってるから…」
275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 12:54:25.36:+UZ/pLeq0
そして、
朋也「その時は、結婚しよう…」
告げていた。
唯「うんっ、お願いしますっ」
現実味のない、子供の口約束。
叶うかどうかは定かじゃなかったけど…実現できるよう、俺は…
叶うかどうかは定かじゃなかったけど…実現できるよう、俺は…
立ち止まることなく、歩きたかった。
どこまでも、どこまでも。
ずっと続く、坂道でも…
ふたりで。
―――――――――――――――――――――
完