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吹寄「上条。その……吸って、くれない?」⑥
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吹寄「上条。その……吸って、くれない?」⑥
745 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:01:22.15 ID:K3kfwNTAo
「じゃ、じゃあ。俺が……責任とって、飲む」
「はまづら。はまづらの病気は、バニーさんだけじゃなかったの?」
「はまづら。はまづらの病気は、バニーさんだけじゃなかったの?」
うら寂れたアパートの一室。
「アイテム」の元メンバーたちがたむろする場所として浜面が用意したその一室で、
自分の体のことを横に置いて、痛ましい目で滝壺が、想い人である浜面仕上を見つめていた。
「アイテム」の元メンバーたちがたむろする場所として浜面が用意したその一室で、
自分の体のことを横に置いて、痛ましい目で滝壺が、想い人である浜面仕上を見つめていた。
経緯はこうだ。
ロシアに行ったりしていろいろ大変だった浜面たちだが、なんとか学園都市には戻ってこれた。
学園都市から命を狙われる身だったが、「上」と交渉できるカードを手に入れ、
二人を取り巻く危機的な状況は改善しつつあった。
とはいえすぐさま安全とも言えず、帰国後しばらくは滝壺の身を人知れぬところに匿っていたのだが、
ギリギリの状態からなんとか復活した程度の滝壺の体調は能力の調整をすぐに必要としていた。
……ということで、せめてもの助けにと浜面が裏ルートで薬を入手したのだが。
ロシアに行ったりしていろいろ大変だった浜面たちだが、なんとか学園都市には戻ってこれた。
学園都市から命を狙われる身だったが、「上」と交渉できるカードを手に入れ、
二人を取り巻く危機的な状況は改善しつつあった。
とはいえすぐさま安全とも言えず、帰国後しばらくは滝壺の身を人知れぬところに匿っていたのだが、
ギリギリの状態からなんとか復活した程度の滝壺の体調は能力の調整をすぐに必要としていた。
……ということで、せめてもの助けにと浜面が裏ルートで薬を入手したのだが。
「はまづら。私ははまづらを疑ったりなんてしないから、はまづらが用意してくれたものはなんでも受け入れるから。
だけど、不意打ちではまづらの趣味に走るのはやめてほしい」
「ちち、違うって! なんつーかこんな風にしといて言い訳するのもなんだけど、
これ学園都市自体も想定外だったんだよ。買ったときには俺にも誰にも想像がつかなかったんだって!
何度も言ってるけど、これ別に俺の趣味じゃないから!」
「……って言うことは、はまづらは。胸の小さい女の子が好きなの?」
「サイズは今関係ねェ! てか彼女の胸からその、母乳が出るシチュエーションって特殊すぎるだろ」
「でもはまづらは、それを望んだんだよね?」
「違う! 断じて望んでない! そりゃ個人的な趣味を語れば母性的な女の子っていいなーとは思うけど」
だけど、不意打ちではまづらの趣味に走るのはやめてほしい」
「ちち、違うって! なんつーかこんな風にしといて言い訳するのもなんだけど、
これ学園都市自体も想定外だったんだよ。買ったときには俺にも誰にも想像がつかなかったんだって!
何度も言ってるけど、これ別に俺の趣味じゃないから!」
「……って言うことは、はまづらは。胸の小さい女の子が好きなの?」
「サイズは今関係ねェ! てか彼女の胸からその、母乳が出るシチュエーションって特殊すぎるだろ」
「でもはまづらは、それを望んだんだよね?」
「違う! 断じて望んでない! そりゃ個人的な趣味を語れば母性的な女の子っていいなーとは思うけど」
一言、余計だった。
隔意のある滝壺の視線が、さらに浜面から距離をとるような感じになった。
隔意のある滝壺の視線が、さらに浜面から距離をとるような感じになった。
「はまづら。私もはまづらの好みには合わせたいけど、こういうやり方はちょっと」
「だーかーらー、どうしてこれがわざとじゃないって点を認めてくれないんだよ」
「だって」
「だーかーらー、どうしてこれがわざとじゃないって点を認めてくれないんだよ」
「だって」
恨みがましい目で滝壺に睨まれた。無理もない。
……ちょっと胸が豊かなだけの普通の女子高生である滝壺の胸から、なぜだか母乳が出るようになってしまったのだから。
それも、浜面の買ってきた薬のせいで。
で、「どうしたらいいかわならない。本当は赤ちゃんにあげるためのものなのに」とつぶやかれたので、
浜面としては責任を取って飲む、という結論に至ったわけだったのだ。
だってそれ以外に浜面ができることなんてないわけで。
……ちょっと胸が豊かなだけの普通の女子高生である滝壺の胸から、なぜだか母乳が出るようになってしまったのだから。
それも、浜面の買ってきた薬のせいで。
で、「どうしたらいいかわならない。本当は赤ちゃんにあげるためのものなのに」とつぶやかれたので、
浜面としては責任を取って飲む、という結論に至ったわけだったのだ。
だってそれ以外に浜面ができることなんてないわけで。
「ねえ、はまづら」
「なんだ?」
「わざとじゃないのはもしかしたら信じられるかもしれないけど。吸いたいって思ってるのは本当?」
「え、いや」
「なんだ?」
「わざとじゃないのはもしかしたら信じられるかもしれないけど。吸いたいって思ってるのは本当?」
「え、いや」
母乳にそこまで執着はない。
しかし、よく考えると母乳を飲ませるには胸をはだける必要があるわけで、
要するにまだキスしかしていない二人の仲を進展させる理由を公然と得られるわけで。
……その逡巡が、滝壺から信頼を奪っていく。
しかし、よく考えると母乳を飲ませるには胸をはだける必要があるわけで、
要するにまだキスしかしていない二人の仲を進展させる理由を公然と得られるわけで。
……その逡巡が、滝壺から信頼を奪っていく。
746 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:02:04.97 ID:K3kfwNTAo
「やっぱり。はまづらは吸いたいんだ」
「え、いや、誤解だそれは!」
「はまづらの病気は私が思っていたより深刻なんだね。でも、大丈夫。わたしはずっとはまづらと一緒だよ。
ゆっくり、治していこう?」
「俺は普通だって!」
「……バニーさんが好きなのに?」
「だからそれは誤解で」
「本来ありえないような場所で女の子が肌の露出の多い服を来ているシチュエーションが好きなのに?」
「……」
「え、いや、誤解だそれは!」
「はまづらの病気は私が思っていたより深刻なんだね。でも、大丈夫。わたしはずっとはまづらと一緒だよ。
ゆっくり、治していこう?」
「俺は普通だって!」
「……バニーさんが好きなのに?」
「だからそれは誤解で」
「本来ありえないような場所で女の子が肌の露出の多い服を来ているシチュエーションが好きなのに?」
「……」
それは確かに浜面の趣味だった。ぐうの音も出なかった。
しかし、フェティシズムのひとつやふたつ持っていたって、男としては健全なはずだ。
しかし、フェティシズムのひとつやふたつ持っていたって、男としては健全なはずだ。
「……だめなのか」
「え?」
「男がそういう浪漫を持ってちゃ、だめなのか」
「駄目って。はまづら」
「え?」
「男がそういう浪漫を持ってちゃ、だめなのか」
「駄目って。はまづら」
絶対にいるはずだ、賭けてもいい。
この学園都市のどこかには必ず、彼女の胸から母乳が出たのをいいことに、
授乳プレイを楽しんだ奴が絶対に一人くらいはいる。絶対にだ。
この学園都市のどこかには必ず、彼女の胸から母乳が出たのをいいことに、
授乳プレイを楽しんだ奴が絶対に一人くらいはいる。絶対にだ。
「お前は俺のこと病気って言うけど、じゃあどういう趣味の男が好みなんだよ」
「……普通の人」
「普通ってなんだ。定義は。どんなフェチが普通なんだ」
「はまづら。熱くならないで。普通の人は、そういう変な趣味は持ってないよ」
「世の中の男にそんな奴ァいねえ!!!!」
「……普通の人」
「普通ってなんだ。定義は。どんなフェチが普通なんだ」
「はまづら。熱くならないで。普通の人は、そういう変な趣味は持ってないよ」
「世の中の男にそんな奴ァいねえ!!!!」
絶対に、真理だと思う。
なんらかのフェティシズムを持たない男など、それは男ではない。
なんらかのフェティシズムを持たない男など、それは男ではない。
「なあ滝壺」
「なあに? はまづら」
「俺がこういう趣味だったら、お前は俺と縁を切るのか」
「そんなことないよ」
「じゃあ、俺の趣味を受け入れてくれたっていいだろ」
「それは……」
「なあに? はまづら」
「俺がこういう趣味だったら、お前は俺と縁を切るのか」
「そんなことないよ」
「じゃあ、俺の趣味を受け入れてくれたっていいだろ」
「それは……」
困ったように、滝壺は辺りを見回した。しかし何も滝壺の助けになるものはない。
掃除は浜面がしたから綺麗だが、基本的に殺風景な、他には誰もいない部屋だった。
いくばくかの逡巡を置いて、滝壺は再び浜面の目を見た。
掃除は浜面がしたから綺麗だが、基本的に殺風景な、他には誰もいない部屋だった。
いくばくかの逡巡を置いて、滝壺は再び浜面の目を見た。
「はまづらは、バニーさんだったらどんな女の子でもいいの? おっぱいが出れば誰でもいいの?」
「そんなことはない。お前だけだ」
「バニーさんじゃない私は、好きじゃない?」
「んなわけないだろ。ほら、こないだだってキスしたし」
「うん」
「そんなことはない。お前だけだ」
「バニーさんじゃない私は、好きじゃない?」
「んなわけないだろ。ほら、こないだだってキスしたし」
「うん」
747 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:02:38.99 ID:K3kfwNTAo
確かに、あの時はそういう浮ついたタイミングじゃなかった。
というか今まで、滝壺はいかなる時もバニーコスに身を包んだことはない。
というか今まで、滝壺はいかなる時もバニーコスに身を包んだことはない。
「……じゃあ、一回だけ。わたしも着てみようかな」
「へっ?」
「へっ?」
どういう、風の吹き回しだろうか。浜面は滝壺の心中がわからなかった。
思わず滝壺をまじまじと見つめてしまう。
滝壺としては、浜面の趣味を理解するのが恋人としての勤めなら、
一度くらいは、そういう自分の望まないシチュエーションに飛び込んでみようかと思ったのだった。
思わず滝壺をまじまじと見つめてしまう。
滝壺としては、浜面の趣味を理解するのが恋人としての勤めなら、
一度くらいは、そういう自分の望まないシチュエーションに飛び込んでみようかと思ったのだった。
「もしかして、バニーさんの服、ここにある?」
浜面は、答えに窮した。なぜなら答えは「ある」だからだ。
もちろん、浜面が買ったわけじゃない。このアパートの一室はイベント企画会社の夜逃げ跡なのだ。
そこかしこに着ぐるみだのが転がっている。
……その中にバニーコスがあるのを把握済みなのはまあ、浜面の趣味なのだが。
もちろん、浜面が買ったわけじゃない。このアパートの一室はイベント企画会社の夜逃げ跡なのだ。
そこかしこに着ぐるみだのが転がっている。
……その中にバニーコスがあるのを把握済みなのはまあ、浜面の趣味なのだが。
「ないことは、ない。サイズは知らないし」
「……はまづら」
「……はまづら」
ひどく痛ましい目で、滝壺に見つめられる。
自分が悪いんじゃないのに、いたたまれなかった。
自分が悪いんじゃないのに、いたたまれなかった。
「べ、別に無理して着なくていいんだからな?」
「うん。着たいわけじゃないけど、はまづらのこと、理解したいから」
「うん。着たいわけじゃないけど、はまづらのこと、理解したいから」
ちょっと頑張って作った笑みに浜面はある種の感動を覚えた。滝壺の包容力は、いつだって浜面を癒してくれる。
浜面は、滝壺の決意が揺らがないうちに、こないだバニーコスを見つけたダンボールを開いた。
たぶんサイズは、大丈夫だった。滝壺は平均的な女の子だし。
浜面は、滝壺の決意が揺らがないうちに、こないだバニーコスを見つけたダンボールを開いた。
たぶんサイズは、大丈夫だった。滝壺は平均的な女の子だし。
「これ……」
「うん」
「ホ、ホントに着てくれるのか?」
「はまづらが、して欲しいなら、いいよ」
「うん」
「ホ、ホントに着てくれるのか?」
「はまづらが、して欲しいなら、いいよ」
ゴクリ、と浜面は音を立てて口の中にたまった唾液を嚥下した。
それを見ている滝壺の中に、やっぱり不安が膨らんでいく。
やはり、浜面は病気なのではないかと。
それを見ている滝壺の中に、やっぱり不安が膨らんでいく。
やはり、浜面は病気なのではないかと。
「……してくれ。滝壺のバニー、観たい」
「わかった。それと、胸も吸うんだよね」
「……あの、お願いします」
「わかった。それと、胸も吸うんだよね」
「……あの、お願いします」
バニーコスを着るには今日の滝壺のブラは不適切だ。
どのみちノーブラになるのなら、もう吸わせても一緒だ。
……滝壺の中での価値観は、そういうことになったらしかった。
どのみちノーブラになるのなら、もう吸わせても一緒だ。
……滝壺の中での価値観は、そういうことになったらしかった。
「はまづら。今からこっちの部屋で着替えるけど、絶対に覗いちゃだめだからね」
「お、おう。約束は守る」
「……うん」
「お、おう。約束は守る」
「……うん」
748 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:03:12.84 ID:K3kfwNTAo
釈然としない思いで滝壺は返事をした。いっそ、入り込まれたほうがまだ納得がいく。
裸を見るのは我慢できるけど、バニーを見るのは我慢できないという浜面の趣味が、ますます不安になった。
ひどく軽くて心もとないバニースーツを浜面から受け取って、滝壺は小さな部屋の扉を閉じた。
裸を見るのは我慢できるけど、バニーを見るのは我慢できないという浜面の趣味が、ますます不安になった。
ひどく軽くて心もとないバニースーツを浜面から受け取って、滝壺は小さな部屋の扉を閉じた。
「……てか、これ、ラッキーなんだよな」
ひどく自分の恋人に勘違いされたせいでなんだか落ち込んだ気持ちになっているが、
よく考えたら彼女の初おっぱいの瞬間だ。もっと感動してもいい。
よく考えたら彼女の初おっぱいの瞬間だ。もっと感動してもいい。
「滝壺のおっぱい、おっぱい」
誰もいないのをいいことに、ぼそっとつぶやいてみる。
抱きしめたことはあるので、なんとなくサイズは読める。
……正確には、カップサイズを示すアルファベットが決して若くないということがわかっている、というだけだが。
どんな色か、形か。そう考えるだけでちょっと下半身がワクワクし始めたのを浜面は感じた。
抱きしめたことはあるので、なんとなくサイズは読める。
……正確には、カップサイズを示すアルファベットが決して若くないということがわかっている、というだけだが。
どんな色か、形か。そう考えるだけでちょっと下半身がワクワクし始めたのを浜面は感じた。
「やべ。こんなとこ誰かに見られたらマジ洒落にならねーな……」
幸いここは人通りなど皆無の場所だ。
治安に難有りだが、ロシアへの大旅行を済ませたあとの浜面にしてみれば安全で涙が出るレベルだった。
かさかさ、しゅるしゅるという音が奥から聞こえる。
そうした生活音が漏れることに滝壺は頓着していないらしかった。
その無防備さが、なんだか浜面の興奮を妙に誘う。
治安に難有りだが、ロシアへの大旅行を済ませたあとの浜面にしてみれば安全で涙が出るレベルだった。
かさかさ、しゅるしゅるという音が奥から聞こえる。
そうした生活音が漏れることに滝壺は頓着していないらしかった。
その無防備さが、なんだか浜面の興奮を妙に誘う。
「はまづら。一応、着終わったけど」
「お、おう」
「お、おう」
扉越しに会話をする。
「はまづらはこれを見ても、おかしくなったりしない?」
「へ?」
「はまづらの病気……趣味が、これでひどくなったらどうしようって思って」
「だ……大丈夫、だと思う」
「はまづら……?」
「へ?」
「はまづらの病気……趣味が、これでひどくなったらどうしようって思って」
「だ……大丈夫、だと思う」
「はまづら……?」
扉越しに気遣わしげな声が響く。真剣に滝壺は自分の身を案じてくれているらしかった。
その健気さは間違いなく可愛いのだが、いかんせん、ずれている。
……いや、ずれてはいないのか。確かに滝壺のバニー姿なんぞ見てしまったら、正気は何割か吹っ飛ぶだろう。
その健気さは間違いなく可愛いのだが、いかんせん、ずれている。
……いや、ずれてはいないのか。確かに滝壺のバニー姿なんぞ見てしまったら、正気は何割か吹っ飛ぶだろう。
「そ、それじゃそっちに行くから」
「お、おう。あ、こっち窓があるから、嫌なら俺がそっちに」
「だめ」
「え?」
「お、おう。あ、こっち窓があるから、嫌なら俺がそっちに」
「だめ」
「え?」
749 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:03:52.69 ID:K3kfwNTAo
割と明確な拒否だった。
「こ、こっちは。私が脱いだ服があるから、ダメ」
「わ、悪い! 咄嗟に気がまわんなくてよ!」
「うん。それじゃ開けるね」
「わ、悪い! 咄嗟に気がまわんなくてよ!」
「うん。それじゃ開けるね」
ほんの数秒を、無限に近い感覚で待つ。
体のラインがはっきり見える服だから、つい胸元だとか太ももだとかがどういう感じなのかと夢想してしまうが、
はじめに見えたのは、ぴょっこりと頭の上で折れ曲がった、長い耳だった。
体のラインがはっきり見える服だから、つい胸元だとか太ももだとかがどういう感じなのかと夢想してしまうが、
はじめに見えたのは、ぴょっこりと頭の上で折れ曲がった、長い耳だった。
「はまづら」
「お、おう……」
「お、おう……」
うさ耳はカチューシャとして滝壺の髪の上から生えていて、すぐに滝壺の顔が扉の奥から現れた。
憂いのある表情に、浜面はやられてしまいそうだった。
心の中で、叫ぶ。
――そうそう、この非日常さに戸惑う感覚がサイコーなんだよっ!
まあ、表情には一切出さないのだが。
憂いのある表情に、浜面はやられてしまいそうだった。
心の中で、叫ぶ。
――そうそう、この非日常さに戸惑う感覚がサイコーなんだよっ!
まあ、表情には一切出さないのだが。
「大丈夫……?」
「え?」
「バニーさんを見て、体がおかしくなったりしてない?」
「あ、当たり前だろ」
「……」
「え?」
「バニーさんを見て、体がおかしくなったりしてない?」
「あ、当たり前だろ」
「……」
どうも、滝壺の晴れない顔は恥じらいではなく浜面への気遣いらしかった。
だが、体に異常がありまーす主に下半身でーす、というのはさすがに言えない。
滝壺は疑わしい目を浜面に向けたまま、二三歩歩いて部屋の外に出てきた。
だが、体に異常がありまーす主に下半身でーす、というのはさすがに言えない。
滝壺は疑わしい目を浜面に向けたまま、二三歩歩いて部屋の外に出てきた。
「綺麗だ……」
知れず、口からそんな言葉が漏れた。
滝壺に着せたバニーコスは胸元からお腹の下までを覆う部分が真っ白なやつだった。
表面をうさぎの毛を模してモコモコにしてある。そしてふんわりと柔らかそうな滝壺のお尻には、
まん丸なしっぽがちょこんと付いていた。
タイトな作りな上に滝壺の体にぴったりとフィットして体のラインをあけすけに晒しているもんだから、
年頃の浜面としては、そりゃあもう、どストライクだ。
かなり深刻なところまで切れ上がり胸の谷間なんかがばっちり見えている胸元と、
首元に巻いた小さな赤いスカーフとの間の肌が露出した部分がとても白く艷やかだった。
太ももはもちろん、網タイツに包まれている。
網目が細かすぎてストッキングっぽいのは減点だが、初めて見る滝壺の太ももは、肉付きの加減がまさに浜面好みだ。
滝壺に着せたバニーコスは胸元からお腹の下までを覆う部分が真っ白なやつだった。
表面をうさぎの毛を模してモコモコにしてある。そしてふんわりと柔らかそうな滝壺のお尻には、
まん丸なしっぽがちょこんと付いていた。
タイトな作りな上に滝壺の体にぴったりとフィットして体のラインをあけすけに晒しているもんだから、
年頃の浜面としては、そりゃあもう、どストライクだ。
かなり深刻なところまで切れ上がり胸の谷間なんかがばっちり見えている胸元と、
首元に巻いた小さな赤いスカーフとの間の肌が露出した部分がとても白く艷やかだった。
太ももはもちろん、網タイツに包まれている。
網目が細かすぎてストッキングっぽいのは減点だが、初めて見る滝壺の太ももは、肉付きの加減がまさに浜面好みだ。
「はまづら。はまづら。私の声、きこえてる?」
「お、おお。聞こえてるって。」
「大丈夫? 血圧とか心拍数とか、血糖値とか」
「最後のはわかんねーけどあとのは正常だ」
「お、おお。聞こえてるって。」
「大丈夫? 血圧とか心拍数とか、血糖値とか」
「最後のはわかんねーけどあとのは正常だ」
750 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:04:39.14 ID:K3kfwNTAo
無論、興奮している状態として普通だ、ということだが。
「よかった。バニーさん見ても、鼻血でてないよ」
「当たり前だ。こないだのあれはただの偶然であって」
「当たり前だ。こないだのあれはただの偶然であって」
そう言いながら、何気なく浜面は鼻をこする。
「いてっ」
ちょっと荒っぽかった。慌てている証拠だろうか。
「これなら、はまづらの症状はそんなに深刻じゃないんだね。
ちょっとずつ慣らして、完治させよう?」
「え、いや。完治ってのはどういう状態だ?」
「えっと」
ちょっとずつ慣らして、完治させよう?」
「え、いや。完治ってのはどういう状態だ?」
「えっと」
その瞬間。
鼻から、ドロリと暖かいものが、流れ出た。
鉄くさい匂いのする、なにかだった。
鼻から、ドロリと暖かいものが、流れ出た。
鉄くさい匂いのする、なにかだった。
「は、はまづら……やっぱり、やっぱりだめだよ! こんなことしたら浜面が死んじゃう」
「い、いやこれは鼻こすったせいで」
「で、でも私がこれを着なかったら浜面の病気は収まったかもしれないのに」
「関係ねえよ! この鼻血はお前のバニーコスとは一切カァンケイねェェんだよォォォ!!」
「い、いやこれは鼻こすったせいで」
「で、でも私がこれを着なかったら浜面の病気は収まったかもしれないのに」
「関係ねえよ! この鼻血はお前のバニーコスとは一切カァンケイねェェんだよォォォ!!」
慌てて近くのティッシュで鼻血を拭き取る。
量は少なかったらしく、一度拭き取るともうほとんど出てこなかった。
量は少なかったらしく、一度拭き取るともうほとんど出てこなかった。
「はまづら……私、着替えてくるから。もう浜面の体に負担をかけないようにするから」
滝壺が、後悔を感じている目で、謝るように浜面にそう言った。
「だ、大丈夫だ! ってかほんとにビョーキとかそんなんじゃねえから!
ほ、ほらもう一つやることがあるだろ? お前の体のことなんだし、そっちを心配しろよ」
ほ、ほらもう一つやることがあるだろ? お前の体のことなんだし、そっちを心配しろよ」
ここまで来て、そっちの夢を諦めることなんて、できない。
ほんの少し、あの開いた滝壺の胸の谷間に人差し指を差し込んで下におろすだけで、
滝壺の、おっぱいが拝めるのに。
ほんの少し、あの開いた滝壺の胸の谷間に人差し指を差し込んで下におろすだけで、
滝壺の、おっぱいが拝めるのに。
「わ、私のことは大丈夫だから。今までと違って辛いことはないし、原因も治し方もわかってるんだし」
「けどよ。結構張ってきついんだろ?」
「それは、そうだけど……。でも本当に私は大丈夫だから、はまづらは自分の心配をして」
「それこそ大丈夫だよ。俺の……病気は普通の病気だし、治らなくても普通だ」
「言ってることがおかしいよ、はまづら」
「けどよ。結構張ってきついんだろ?」
「それは、そうだけど……。でも本当に私は大丈夫だから、はまづらは自分の心配をして」
「それこそ大丈夫だよ。俺の……病気は普通の病気だし、治らなくても普通だ」
「言ってることがおかしいよ、はまづら」
751 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/23(水) 01:05:49.13 ID:K3kfwNTAo
痛ましい目で滝壺がこちらを見つめてくる。
変な心配をされまいと普通に振舞っているつもりなのだが、
滝壺にはそれが余計に、去勢を張っているように見えるらしかった。
変な心配をされまいと普通に振舞っているつもりなのだが、
滝壺にはそれが余計に、去勢を張っているように見えるらしかった。
「滝壺。嫌なら、しない。けど滝壺がこうなっちまったの、今回は俺の責任だし」
「うん……」
「流しに捨てたりするの、嫌なんだろ?」
「うん」
「だ、だから、俺が、吸うから」
「うん……」
「流しに捨てたりするの、嫌なんだろ?」
「うん」
「だ、だから、俺が、吸うから」
浜面は、怖がらせないようにゆっくりと滝壺に手を伸ばした。滝壺は、拒まなかった。
もう浜面には、滝壺の胸元しか見えていない。
その表情が、泣きそうなくらいなのを、気づいていなかった。
滝壺は、浜面の手がかすかに震えているのを見て、たまらない気持ちになっていた。
やっぱり、禁断症状があるに違いない。浜面は、どこかおかしいのだ。心の病気なのだ。
母乳をほしがるなんて、きっと、幼少期に何かがあったのだろう。
――私が、浜面を癒してあげなきゃ。
浜面が大切な自分の彼女である滝壺に触るのに緊張して手が震えたのだとは、全く思いもよらない滝壺だった。
もう浜面には、滝壺の胸元しか見えていない。
その表情が、泣きそうなくらいなのを、気づいていなかった。
滝壺は、浜面の手がかすかに震えているのを見て、たまらない気持ちになっていた。
やっぱり、禁断症状があるに違いない。浜面は、どこかおかしいのだ。心の病気なのだ。
母乳をほしがるなんて、きっと、幼少期に何かがあったのだろう。
――私が、浜面を癒してあげなきゃ。
浜面が大切な自分の彼女である滝壺に触るのに緊張して手が震えたのだとは、全く思いもよらない滝壺だった。
「さ、さわるぞ」
「はまづら。大好きだよ」
「お、俺もだ。愛してる」
「はまづら。大好きだよ」
「お、俺もだ。愛してる」
このタイプのバニーコスは胸元のガードが思いの外しっかりしている。
力をいれて脱がせることになるが、滝壺の肌を傷つけることだけは避けねばならない。
慎重に慎重を期して、浜面が自分の指をそっと滝壺の胸の谷間のあたりにかけた、その瞬間だった。
力をいれて脱がせることになるが、滝壺の肌を傷つけることだけは避けねばならない。
慎重に慎重を期して、浜面が自分の指をそっと滝壺の胸の谷間のあたりにかけた、その瞬間だった。
「おっはよー」
無造作に、ガチャリと玄関のドアノブがひねられる音がした。
……ここは、人通りの少ない裏寂れたアパートの一室だ。
自分たち以外の人なんて、誰もこないような場所。
問題は、その自分たちというのが滝壺と自分の二人ではなくて、
麦野沈利と、絹旗最愛というさらに二人の女性も含んでいることだけ。
……ここは、人通りの少ない裏寂れたアパートの一室だ。
自分たち以外の人なんて、誰もこないような場所。
問題は、その自分たちというのが滝壺と自分の二人ではなくて、
麦野沈利と、絹旗最愛というさらに二人の女性も含んでいることだけ。
「浜面、挨拶くらいしなさいよね。滝壺も」
玄関の靴でこちらがいることは気づいたのだろう。
麦野が、すたすたと、二人のいるリビングに歩いてきた。
逃げるような暇は、なかった。
麦野が、すたすたと、二人のいるリビングに歩いてきた。
逃げるような暇は、なかった。
「浜面、そんなトコで何を……」
言い訳を考える暇もなかった。
麦野は機嫌が良かったのか、足取りも軽やかに、二人のもとにあっという間に接近した。
滝壺はバニーコスを着ていて、浜面はその胸元に手を差し込まんとしている、そんな状態の二人のもとに。
思い出したように、浜面の鼻からもうひと筋、鼻血が流れた。
言い訳なんぞ、しようもなかった。
麦野は機嫌が良かったのか、足取りも軽やかに、二人のもとにあっという間に接近した。
滝壺はバニーコスを着ていて、浜面はその胸元に手を差し込まんとしている、そんな状態の二人のもとに。
思い出したように、浜面の鼻からもうひと筋、鼻血が流れた。
言い訳なんぞ、しようもなかった。
「麦野。おはよう」
場違いなほど普通の挨拶を滝壺が投げかける。麦野の反応は、しかし滝壺の方には向かなかった。
視線が指したのは浜面の方だった。一言、麦野がつぶやいた。
視線が指したのは浜面の方だった。一言、麦野がつぶやいた。
「はーまづらぁ」
その表情はにこやかだが、顔に殺すと書いてあった。
「ちょっ! 待て待て待て待て待て待てまてえええええええェェェェェェーー!」
直後。
『原子崩し』のビーム砲が、浜面めがけて降り注いだ。
『原子崩し』のビーム砲が、浜面めがけて降り注いだ。