【月が…出ているぞ!】

ラ・ムールの地に在る『太陽神』。 そして太陽神を求め続ける『月神』。
朝には月は隠れ、夜には陽は沈む。決して出会うことのない二神。
だがしかし月神は執拗に延々と追い彷徨う。ラ・ムールの歴史の中で何度かある国家存亡の危機の中には、月神が太陽神を求め地上に降臨したことで発生したものもあるという。
異世界の空、天界でも特異な領域に存在する『月』は『太陽』と同じく異世界全土の夜に浮かぶ。
人智常識の及ばぬ月神は稀にラ・ムール以外の国にも降臨し、都度厄災や不可思議な現象を引き起こしている。
もしも、もしも何かの間違いで太陽神と月神が出会ってしまったらどうなってしまうのだろうか? ある神曰く「そりゃとんでも未曾有な面白いことが起こるに決まってんじゃン!」とのこと。
一体何が切っ掛けなのか?何を目的に探し続けるのか?歴史の中で連綿と研究が重なるも結論には至らず。
しかし、月神の降臨に遭遇するも幸いに生き延び無事を得た女性、幾代かのカーの妻、王妃の言が決定的な確証を生んだのである。
 「月神と遭いてその波動を受けた時に、私の中に月神が入ってくるのをはっきりと感じました。そして『彼女達』の想いも。
 それはとても純粋で執拗で狂おしいほどの『愛』。その募る想いが溢れることで夜の空から月が降りてくるのです。
 しかし悲しいかな、月神は太陽神にどうすれば出会えるのか分かりません。 故に太陽神の残照、私達地上に与えた力を求めるのです」
絶大なる力を持つ神の『迷走』は国家存亡に直結する事態であるが、その迷いの方向を導くことが出来るのであれば厄災も対処できるであろう。
頻度こそ少ないが、神攫い、町や村の消滅、往来への襲撃など月神の被害が重なってたラ・ムールは国家を挙げての月神討伐へと舵をきったのであった。
そして月神が降臨した夜、街道を埋め尽くす国軍と傭兵の混成軍。その先頭に立つは国家最高戦力であるカー。
想定通りにカーを狙ってきた隙だらけの月神に対し一斉攻撃をかける。神に対して一手先んじたと思われたその時、とんでもない事態が発生した。
夜空より突如舞い降りたのは別の月神。太陽神の力を最も強く受けたカーの波動を察知し、誰もが予想できなかった二つの月の登場。
一神でも国丸ごとで挑まなければならない状況からの阿鼻叫喚。太陽神の全身全霊、魂を削っての抗戦により朝を迎えたことでラ・ムールは存続したのである。
だがカーの消耗は多大で、その後の生涯は短いものとなってしまった。

 月神とカーを戦わせることは不可
全員一致での決定事項から戦闘のみではなく誘導、対話、懐柔など月神への対策は多岐に渡ることとなったが、ある程度の成果を収めるまでに至る。
現在では国内であれば月神の降臨をすぐさまに察知し、月神対策部隊が現場に急行可能である。
月神、その三姉妹神への研究も進み対策も万全と呼べるものにまでなった。
だがしかし、大ゲート誕生以降の月神の行動の変化は著しく被害発生なく潜伏するという異常事態まで発生している。
月夜の空。地上を探り見る月の光を遮る広葉を持つ遮月樹を街道沿いに多く植えるが、月が突如消失し新月となり月神が降臨すればそれも意味をなさなくなる。
これまでとは一変した月夜の様相、滅多矢鱈に試練を受ける奔放なカー。
今正にラ・ムールは国の分水嶺に差し掛かっているのかも知れない。

  • ある意味二つ(月神を一つとして)の神が降臨するどんな反応が起こるか分からない国なんだなラムールは -- (名無しさん) 2018-09-30 19:15:24
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最終更新:2018年09月30日 19:14