【異世界の乗用荷獣】

 広がる荒野、広がる草原、果て無き地平線!向こうには山あり谷あり森もある、ここは新天地!
 そんな新天地の中でも地球と繋がるゲートのある町ニシューネン市。
 新天地の中心ペンギン都市と大動脈も開通し南部オルニトへの街道も直に完成するという。
 特異なる神【レギオン】の一風変わった管理により各地様々な統治模様が功を奏したのか、異世界各地より様々な人や物が流入し今や異世界一二を争う活気溢れる国である。
 自動車販売営業争いに負けて支店が潰れた流れにのって会社都合退職になり人生の次を思案していた頃に荷物をまとめて乗り込んだ異世界で流れ流され行き着いたニシューネン市の酒場。
 そこで意気投合した運送屋の店主ペリカンの人に勧められるまま市郊外の乗用荷用の獣育成舎で働くことになった。
 伴侶もおらず残った親達はのんびり年金生活という身軽さはこういう時にサクっと決断できてよい。
 ということで幌竜車駅舎・竜具屋“疾風竜具”・荷獣用品店“ウィステナ”の協賛による獣育成舎の売れ筋の獣などを紹介したい。
 なお販売している獣は大抵の人でも乗れる様に徹底調教されており、簡単な操獣マニュアルが付属。繁殖周期で発情しないように去勢しているので繁殖は不可能になっております。


エッグフット

主にオルニトの森林地帯から新天地南部のサバンナ地帯に生息する翼を持たず地を走る走鳥類である。
前脚が退化しており小さな突起がある程度で、狭い場所をすいすいと疾走して肉食獣などから逃げながら草や虫などを捕食する。
卵みたいに丸い体に短い体毛、蜥蜴のような尻尾はバランサーの役割をしており短い嘴はとても頑丈である。
体は大きくなっても2メトルほどで尻尾を含めても3メトル程度。なので乗れるのは精々大人が二人程度か大型種族の大きくない人が一人。
運搬量は大きくない反面、屈強で素早い脚捌きで速度は高い。連続で走行しても一時間に一回くらいのペースで食事休憩を勝手に始めるので留意が必要である。
基本的に脚が発達しているのは雄なので売られているのは雄である。
オルニトでは【 走る肉卵 】(ミトンカ)と呼ばれ森の中の肉食材として狩られている。
繁殖力が高く孵化して最初に視覚に入った動体を親と認識するため調教はし易く、人の移動のためとしては鉄板の乗用獣と定着している。
値段:やや安い / 操獣難度:楽 / 走破性:やや高い / 速度:速い / 馬力:低い

ライホーン

新天地中央から東部にかけて広く生息する5メトルを越える大きな体の雑食獣。硬い皮膚に頭部の三本角が特徴である甲皮獣類である。
古代恐竜トリケラトプスとサイを合わせたような風貌であるが、いざ走り出すとその速度は人を優に超える。
加えて見た目に比例した牽引力を持っており、大型種族の二人三人や大きな荷橇を牽くこともできる。
脚が短いために高い段差を越えることができないが泳ぐことはできるので河川渡航も可能である。
のんびりした性質なので走り出すために気持ちを高ぶらせるのに手間がかかったり、一旦食事や睡眠に入ると満足するまで動きを止めるのが扱い辛いところである。
どうしても先へ進みたい場合は高揚剤として【 桃色の針山 】(ピッキーニードル)という新天地荒野に広く分布するサボテンを乾燥させ粉にしたものを燻し煙を吸わせる。
岩に激突しても平然とする頭部の強固さなのでライホーン自体はどうということはないのだが、搭乗している者には大きな衝撃なので速度の出し過ぎには注意が必要である。
小回りを利かして操るには手綱を引いてとても太いライホーンの首を動かさないといけないため相当な腕力が必要である。
食事量は多いが病気や環境に強く体力もあるが大きく成長するまでに年月を要するために成獣の値はそれなりに張る。
二頭いればキャラバン隊の物資もまとめて牽引可能なので新天地を長距離移動する商人などに人気が高い。
値段:高い / 操獣難度:やや難 / 走破性:並み / 速度:やや速い / 馬力:かなり高い

ピットランナー

オルニトから新天地にかけての広い範囲、地中に穴を掘り生活する穴熊の一種の鋼毛獣類である。
地中で暮らすのは天敵の少ない安全地帯だからであり、地上での活動には特に問題はないが少し臆病で警戒心が強い性質である。
地中を移動する種であるためか体はそう大きくならないのだが乗用として繁殖された種は地上に適し体躯も大きくなっている。
3~4メトルの体は固い毛で覆われているがその下は強い筋肉で構成されており、四肢は太い指爪により力強く走る。
四肢を別個に動かす器用な走法で平坦な道であれば結構な速度で走ることができ、爪と膂力により急勾配でも走破することも可能である。
只、周囲に肉食獣などの類を察知すると地中に潜り出すため、搭乗者はそれらを撃退する術を持っておくことがスムーズな走行の肝である。
豊富な筋肉を持つがエネルギー変換効率が良く体内に貯め込むことも可能であるため、出発前に多目に食事を与えることで間の食事量と回数を減らすことができる。
持ち前の警戒心から調教には人柄も重要になってくるという種であることから乗用に育てるのは中々難しい。
人二人程度に荷物を背負わせる運用が主であり、数頭編成で遠方辺境へ赴く冒険隊などに重用されている。
値段:やや高い / 操獣難度:並み / 走破性:高い / 速度:並み / 馬力:やや高い

新天地を移動する際に乗用荷獣が入用の場合は関係各所店舗で申して頂ければご案内いたします。
舎では更に多くの獣を取り揃えていますので、興味がある方は足をお運び下さい。


スレに出てきた絵から想像し、新天地ニシューネン市発の獣屋のセールスを考えてみました

  • 安価なものって自転車感覚か原付感覚かどれくらいのお値段なんだろう -- (名無しさん) 2017-07-30 17:36:56
  • 生き物だから機械じゃないというのが地球での乗り物とはちょっと違った印象を与えるんだろうなと。乗ってみたいのはピットランナー -- (名無しさん) 2017-08-01 02:37:08
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最終更新:2017年07月30日 02:43
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