ネタがない時の朗読ネタとかになるんじゃないかな。読むといい。
みんなも連続謎小説とか、書けばいいと思うよ!?
みんなも連続謎小説とか、書けばいいと思うよ!?
+ | 「2012年愛とスープ」-羽濡湾派示 |
「2012年愛とスープ」-羽濡湾派示
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+ | 「イス」-クシーマンド太郎 |
「イス」-クシーマンド太郎
2012年9月9日 らなもとそのさんで朗読させていただいた、未完の小説の原稿です。
ワヌワンバジ
イスになりたかった。日本人は痔が多すぎる。痔にもいろいろあるが、とにかく長く座る上でのイスに対して
嫌悪感を抱いている。だから私はイスになりたい。人をいじめぬく事に対してはあまりすきではない。好きで はないが、この使用者をいじめ続けるイスに対しての憧れがある。なくてはならない、体を重心に置くこの行 為はなにか、普段から迷惑をかけられるイスに迷惑をかけるというギブアンドテイクで使用者イスはまるで世 の真理で動かされているソウルメイトのように感じられたからだ。
10年前、デスク用にDIYショップで買ったこのイスをとうとう寄付することになった。まだ使えることは使える
が、下のねじ止めをおそらく我が家で買っているシャム猫のちーちゃんが遊んで取ってしまったのだろう。ち ぃちゃんは分解するのが得意だ。この前なんかはラジオセットを跡形もなくみじんにしてしまった。 私の10歳の誕生日に買ってもらった大切なラジオカセット。私は酷くうんざりした。他にもエサを食べないの にちらかす文鳥のぴぃちゃん。はねて脱走を目論むメダカのめっちゃん。始末が大変なのでこれ以上衝動的に ペットを飼うのは止めることにする。
二週間ぶりのデスク周りの整頓を終えて、イスを抱え持つ。重さのせいか息がしにくい。二階の自室から一階
の仏閣を通り、玄関へ向かう。そのとき、イスを抱えていたせいか、つい玄関の前の小さな段差に思わずつま づいてしまい、つるりと私の手からイスが抜け、ガンッドシャアと音を立て、玄関の床へグラリと横になった。
「うわぁ!」
私は声を上げた、とたんにイスから血がこぽこぽと流れ出て広がっていく。これは…私の血だ!私にも痔の気
があり、イスが変色するほど酷く、そのため座布団をイスの上へ置いて、疲れや汚れを座布団でカバーをして いた。おそらく私の痔が座布団を通り越して、血をスポンジの原理で貯水していたのだろう。私は乱れた。 とにかくこぼした血の処理を行わなければいけない。タオルを取りに脱衣所に移動した。朝6時に起きて顔を 拭いたタオルを手に持ち、玄関へ向かった。しかし、なにか話し声が玄関からコソコソ聞こえてくる。誰か いるのか?私は警戒を強め、話し声のする方向へ、にじり詰め寄った。どういう風に対処しようか妄想しなが らタオルを握っていると、そういえば私の武器はタオルしかないではないか。冷静になる。もし相手がドスや らなにやら光物を持っていたらどうしたものか。相手の手をタオルで絡みとり、動きを封じ込めるか。そもそ も私にはそんな技術はない。止血程度にしかならないだろう。私はこのままでは危険だと判断し、玄関ではな く進路を台所へと変え、音を立てぬよう移動した。
まな板と一緒に立ててあった包丁を手に取った。昔の記憶がふと頭に過ぎる。生まれて初めて暴力を振るい、
カッターナイフで人を切りつけた。9歳だった。図画工作質で創作活動を楽しんでいるアンバランスな私は、 前から私にちょっかいを出していた尾田君が私の手元にある製作途中の切り絵をぶんどり、だせぇと罵声を浴 びせたあと突然私の切り絵はビリビリと音を立て、チリチリと床に舞い踊った。その切り絵はは二週間かかっ て下絵を完成させて、ようやくカッターナイフで切る作業へ移っていた時だった。私は言葉よりも先に体が 動いた。不運だった。気持ちが高ぶり、ついカッとなってしまい右手に備えていたカッターナイフで尾田君の 右唇からそのまま耳まで切りつけてベロンベロンになってしまった。今だったら学校を取り上げた問題になっ ていたのだろう。しばらく尾田君は顔を見せず、やっと学校に来たと思ったら顔面包帯だらけで顔は確認でき なかった。あれから尾田君は私にはちょっかいを出さなくなった。ざまあ味噌漬けとその時は内心スッキリし ていたが、未だ刃物を見るたびに思い出してしまう。今更になり内心尾田君に会える機会があったら、若気の 至りだったんだ、許してくれと謝りたくても状況が生まれないからそういう罪を背負ってこれからも生きてい くのだろう。実に、実にスッキリしない。
包丁を手に抱えながら、ひと時が過ぎていた。私は今の状況を再度確認し、包丁を腰の辺りに構え、玄関へと
向かった。話し声は聞こえず、静かになっていた。私の気配に気づき、去ったのか?私はため息をつき構えを 解き、安堵した。途端にすごい力で上着を下へと引っ張られ、床へ叩き付けれた。頭とひじを強く打った。こ んなにグワングワンするのは初めてだ。畜生め、すでに家に入り込んでいやがったのか。酷い血の香りがした。 そんなに強く打ち付けたのか?私は息を荒げながら、とっさに手を振り上げたが握っていた包丁は確認できな かった。最悪だ。
(ぶたないで!)
直接私の心に語りかけるよう何者かが私に話しかけた。テレパシーというよくある超能力だろうか。今までに
ない感覚に私は驚いたというより、恐怖に陥り、身動きが取れなくなってしまった。しばらくしてからまた私 の心に繰り返し、語りかけるように何者かが言い続けた。
(私は痔のようせいです…私は痔のようせいです…私は痔のようせいです…)
痔のようせいだと、バカな…
意識を取り戻し、気がつくと玄関に集めのタオルケットに、やわらかなシーツを敷いた上に私は横になってい た。頭をゆっくり起こし、耳を澄ますと台所からコツコツと何かを煮るような音が聞こえる。私は、少しため らい、考え事をしながら台所へと向かった。真っ赤なドレスを着た若い女性が我が家のガスを勝手に使い、す でに二品とも出来上がっていた。私が想像していたビジョンとは異なった。今このいる場所から移動せず、目 の前にいる女性に語りかける。 「あなたは一体何者なのだ」 真っ赤なドレスをふわぁりと靡かせ、こちらを振り向いた。私は女性を見つめた。美しい人だ、この世にこれ ほどまで研ぎ澄まされた女性はいるのだろうか。私は静かに女性に近づきそっと右手を手を取る。 「私には金がない、おかげで唯一の同居人だったペットもみんな餓死していなくなった。ここにはガスも電気 も何も通ってないはずなんだ、何故ここにいて普段どおりの生活が出来ているんだ、それもこんなにも短時間 で」 彼女は私の手を見つめ、何も切り出そうとしない。一時が流れ、私はもう一度彼女に問いかけようとした時、 彼女はこちらをスっと見上げ、左手を握り締めて差し出した。ゆっくりと拳が解けていき、赤い真珠のような ものが出てきた。 「これは、この世界の核となるものです。アイデイアセフイロスといいます。この世界の生活に飽きたら噛み 砕いてもらっても構いません。その時この世界は消滅します。」 私は表情を濁らせる。そもそも情報が少なすぎるし、アイデイアセフイロスとはなんなのだ、ここは夢なのか。 夢にしては現実味があるし、なんでそんなところに私はいるのか。家からも出ていないし、なにもわからない。 ただの強盗じゃないのか、この人は。今この状況に私はうまく把握できない。しかし周りを見渡すと、一部ペ ンキのようなもので、壁が抜けていたり、この辺は都会であるはずなのに、こんなにも静かである。何かずれ ていることはわかってはいた。 「今まで住んでいた世界とは違うのか、どういう事か、詳しく教えてほしい」 女性は静かに声を荒げる私の顔の様子を伺う。だんだん顔が近づいてきたので、噴出しそうになった。 「あんたは一体なにものなんだ」 女性は足を交差させ後退し、キッチンのほうへ顔を向け、たんたんと語り始めた。 「私は血の妖精です。あなたのイスから生まれました。染み込んだ血が日々プレスされる事によって質量とし ての科学変化が起きて思考能力を持つ形として変化することが出来ました。しかしこの段階では私はまだ生物 としてミジウンコ程度の力しか発揮できていませんでした。この段階でも奇跡だったのです。しかし、あなた は働きすぎで、尻から出る血の量が半端ではなかった。そうしたら、イスを寄付すると決めたあの晩を境に、 あなたは仕事を終えるとそのまま一息ついて倒れこんでしまいました。そしてそのまま、死んでしまいました。 その時、私はこのままではいけない。そう強く願った瞬間、不思議な力に目覚めたのです。イスから今の私が 誕生したのです。」
彼女は赤い調味料を、ぐつぐつと音を立てる煮付けのなべにスッスと振りかざて、話を続けた。
「アイデイアセフイロスは、あなたが住んでいた現現世でもう浮世でもない。移動手段となるターミナルが各 次元に存在しているだけ。この世界はあなたが存在していた次元とは表裏一体ではなく、ただ行きたい次元が 紐を伸ばすように作られていく」 女性は一息をいれ、ガスを止め、右手にある食器棚の器を選び始めた。そういう次元はともかく、私は死んで いるのか。近々、私は死ぬだろうと薄々は感じづいていたのだが、しかし、あまりにも突然すぎる。本当に死 んでしまうだなんて、私は死んでから納得してしまった。 「それにしても、なぜアイデイアセフイロスなんだい?何故ここに飛ばされたんだい?」 女性は再びなべを使い、水を沸かしはじめた。ゆっくりと水はお湯へと沸騰する間も返事することなく時間だ けが過ぎる。ダンマリか畜生め。何もしないのでは時間がもったいない。これからどうするか、台所から居間 へと続くドアを開け、受話器が置いてあるところにメモ用紙があったので、とにかく家の中を観察し何かをま とめようとした。
私は自室へ戻った。今までの研究の成果を確認しに行った。しかし、机の横の道具箱の一番下の中にしまってお
いた研究の成果が、手で確認したのにどこにもなかった。ふと視線を感じ振り向くと、赤い服の女性が立ってい た。彼女の目からはポロポロと涙が流れている。
「もうちょっとでした」
赤い服の女性はそうつぶやき終えると、頭をカクっと下に俯いた。私は彼女に近づこうと思ったその時、床に置
いてあったゴミ箱をボンっと蹴飛ばした。幸いゴミ箱の中には何も入ってはいなかった。私はゴミ箱を元の位置 に戻し、彼女に近づき顔を下から覗いた。彼女は私の顔を確認するとさらに涙の勢いが強くなった。私は顔を引 っ込め、彼女が落ちつくまで周りの整理を始めた。私の机の手あたり次第確認すると、過去の研究の記録などが ごっそりと出てきた。しかし、目当てのものではなかった。私はこれから百年後の世界の危機の為の新薬の研究 をしていた。百年後、この地球にエネルギー弾"HGL砲"が飛んできて地球を包み込む。植物がその光に当たるとメ キメキと止まらぬ成長を始め、最後には爆発をしてしまう。昔、海外で西瓜が突然謎の爆発を遂げたニュースが あった。生物学者の間では光のせいではないかと言われている。さらに六万年前、ネアンデールタール人がまだ 絶滅していなく、人が自然の上を求め文化のレベルを構築最中の在りし時。いびつな成長を遂げた人骨と石板が シベリア当たりで発見された。石板には遠くの山に天から光が落ちて山を包み込み、みるみるうちに天を目指す ように上へ上へと伸びていくのを確認した。だんだん山が落ちつきを取り戻していた頃に、様子を見に行った猟 師たちが異様な光景を目にした。頭がぼんぼんに膨れ上がりうずくまって頭を抱え込んでいる人達を確認したら しい。我々は常に危険に晒されていると悟った人々は天と地の宗教性の記録を書き継いでいた。その記録は公には 公開されていない。私はあるきっかけで学者になっていたが、石板の発表を聞いた学者たちは縮みあがっていた。 しかし私は安堵していた。すでに私はこの"HGL砲"を全身で浴びていたからだ。 当時八歳だった私はお笑いブームに乗っかり頭をバリカンで剃り、丸坊主にした。帽子をかぶり学校へ登校した。 八時半の出席時間まで私は鏡に向かい、帽子を外し頭を確認していた。時には頭をなでなで触ったりして、床屋で 今まで浪費したお金のことを考えると胸が苦しくなった。トイレには洋式があり、ズボンを履いたまま便座の上に 腰を置いて、深く息をついてリラックスした。しかし一服しようし始めてからすャイムが鳴り始めた。急いで私は 帽子を取り、再度鏡の前に立ち、確認をした。そのまま帽子をかぶらず、教室までゆっくり歩いていき、ぬらりと入 室した。朝礼が行われ、学校としての一日が普段通りに終わった。坊主は期待はずれだった。私はいつも帰る道上 周りの道ではなく、遠回りの下回りを辿っていく。水田に辿りつくと、水路がやたらと目に入ってうざったく感じ た。水路の上の水田からニョキニョキとツタのようなものが生えており、まるでお風呂に浸かるようにどっぷりと 水路に気持ち良さそうに根っこを伸ばしている。私はむなくそ悪くなり、感情のままに水路に浸かる根っこをグッ とわし掴んだ。掴んだ後から、さぁどうしてくれようかと私は嫌がる方法をすぐさま6つぐらい頭に浮かべた。 その時、横のカーミラーがだんだん強く光り始め、車が何がかと確認しようとした時、私の全身は光につつまれた。 まばゆい光に包まれ、私はしばらく目が開けることができなかった。ようやく目が瞼と馴染み、ゆっくりと目を開 けて周りを確認すると自分の背より高い植物の存在に気付いた。私はしょっていたカバンを開け、筆箱からカッタ ―を取りだし、出来るだけ成長した部分を切り取って家に帰った。そしてこのツタこそが私の最後の研究となった 。私はひらめきにはすぐれているが、寝ると病気なほど忘れてしまう。ノートは記録を取ることができる。私にと って第二の脳のような物であった。しかし、今ここにはない。私は、もう一度、確認したかった。いつのまにか私 は尻もちをついて俯いていた。私を上から覗きこむようにして赤い服の女性は立っていた。
「この空間には不完全のものは持ちこむことができないんです」
私は聞こえぬふりをした。私には答えが必要だった。彼女は私の様子を伺っている。何かを期待しているのだろうか。
ふと生前の頃を思い出した。そうすると、私の中から気というものが抜けていくのがわかった。
「これから本当は、天国に行く必要が貴方にはあるかもしれません。それには一度、現実に帰らなければいけないのです。
このままでは、人類の歴史というものが貴方という存在が輪廻転生を経て、一体いくつもの年月が流れていくのかも想像できないのです。 貴方と言う存在に対して、実は人類の発展というものに対して重すぎるのです」
人
ノ⌒ 丿 _/ ::( / :::::::\ ( :::::::;;;;;;;) すべての生き物は そういう風に出来ているのだ \_―― ̄ ̄::::::::::\ かつてあなたは私だったのかもしれぬ・・・ ノ ̄ ::::::::::::::::::::::) ( ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;人 / ̄――――― ̄ ̄::::::::\ ( :::::::::::::::::::::::::::::::::) \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
彼女は私の自室を抜け、一階に向かっていった。私はしばらく自室で一人、横になった。
糸冬
(6572文字ほどお借りしました) |
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