勝手に読書感想文
ポスト・ヒューマン誕生 コンピュータが人類の知性を超えるとき The Singularity is Near
シンギュラリティを広めたレイ・カーツワイルの著作。カーツワイルは、近い未来にコンピュータの能力が人間と同等以上になると唱えている。その予測は正しいと思うが、2045年というのは、早すぎると思う。2つ理由を挙げる。
1つは、ムーアの法則が2010年代は行き詰まりに見えていること。Pentium 4から、CPUのクロック数は3-4 GHzで停滞している。僕は初代Pentiumの60 MHzからPentium 4の3-4 GHzまでクロックアップしていった時代が20歳代に重なったものだから、今の状況はヤキモキする。昔は2-3年経てば倍の性能のCPUが手に入ったのに。
もう1つは、大規模な脳のシミュレーション研究が今されているようだが、スパコンで脳の一部のシミュレーションはできるけれども、それで何か脳の理解につながるとは考えにくい。現在の詳しい動向を知らなくて申し訳ないが、2010年まで脳科学の研究者をしていた経験からの直感では、そう思えてならない。むしろ、今のディープラーニングが、脳とは方法が違うかもしれないけれども知能を実現するという目標には筋が良いのではないか。
いやはや、カーツワイルの楽観主義に毒されてちょっとゲンナリ。