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ヒンバス虐


「さあヒンバス、餌の時間だよ」
 皿に山のように盛られた青いポロックを見た瞬間、水槽の中にいたヒンバスは
あからさまに嫌そうな顔をした。
「なんだいその顔は?早く美しく進化した君の姿を見たいのに・・・」
 そう言いながら、ヒンバスの主人は水槽の中に勢い良く手を突っ込み、無理やりヒンバスを
水槽の中から引っ張り出し、皿の前に置いた。

 ポケモンコンテスト。ポケモンの格好よさ、可愛さ、たくましさ、賢さ、美しさを競う
コンテスト。このヒンバスの主人が狙うのは、美しさコンテストの制覇。
 だから彼は、119番道路で釣竿をたらし続け、ついに目的のポケモン・・・美しさのコンディションを
最高にすることで美しさNO.1とも言うべきポケモン・ミロカロスの進化前形態であるヒンバスを、
ようやく手に入れたのだ。そしてミロカロスに進化させて、コンテスト制覇を狙うつもりであった。

 しかし、そのヒンバスの性格は、運悪く「意地っ張り」。彼女(このヒンバスは♀だった)が好きなのは
赤や紫のように、辛い味付けのポロック。逆に、今出されている青色のような渋い味付けは嫌い。
 更にこの主人、ポケナビを持っていない。要はこのヒンバスの性格や好き嫌いも分からない訳であって、
このヒンバスが今出されている青いポロックが嫌いである事は知らなかったのだ。

「この僕がこうして君に餌をやっているのに・・・そんなに食べたくないのか?」
 断固として目の前のポロックの山に口もつけようとしないヒンバスを前にし、主人はそう言った。やがて
主人は静かにヒンバスを抱き上げ、キッチンに向かった。嫌な予感を察したのか、ヒンバスは必死に
主人の腕の中でもがく。しかし彼はものともせず、静かに言った。

「せっかく僕が苦労して釣り上げてあげたのに・・・悪い子だ。少し、お仕置きしなきゃね」



 キッチンにたどり着いた主人は、棚の中からフライパンを取り出した。そしてコンロに火をつけ、
フライパンをコンロに置く。そして腕の中に抱いていたヒンバスを、そっと調理台の上に
置いた。
「お仕置きの前に、ちょっと待っていなさい」
 それだけ言い、魚ポケモンの天敵である脱水を防止する為の、霧吹きの水をかけてあげる事すらも
せず、主人はヒンバスをやや熱気のこもった調理台へ置いたままその場を立った。
 早くも体内の水分が欠乏し始めてやや弱り始めたヒンバスの元に戻ってきたとき、主人は
あの青いポロックの山を手に持っていた。
「おそらくこれが最後のチャンスだ、ヒンバス。食べなさい」
 こう言いながら、主人は勢い良く皿をヒンバスの前に、叩きつけるように置く。彼女の性格が
「意地っ張り」なのが災いしたのか、ヒンバスは皿から目を背けた。それを見た瞬間、
主人の中で・・・何かが切れた。

「・・・ッ・・・この・・・不細工魚がぁあぁああっ!!!」

 こう絶叫しながら主人はヒンバスの尾びれを乱暴に掴み、そのまま彼女をいい感じに熱せられた
フライパンの中に放り込んだ。突然襲ってきた強烈な熱さに、ヒンバスがのた打ち回る。
「なっ・・・てめっ、逃がすかよ!!」
 主人は怒鳴り、ヘラでヒンバスの身体を強く押さえつけた。どんどん奪われるヒンバスの水分。ヒンバスはもはや
暴れる体力すら残ってはいなさそうだった。彼は元々ポロックを上げることにだけ集中しておりバトルなどやらせては
いなかったのだから、当然といえば当然である。
「オイてめぇ!!この俺に反抗するたぁ、良い度胸してんじゃねぇかよ、えぇ!?
オメーなんか進化どころか手持ちにすら入れたくねーんだよ!!さっさと死ね!!死ねぇ!!
死んじまえぇッ!!」
 一人称が変わる程彼は頭にきていたようだった。



「・・・ふぅ」
 手にミトンをはめた主人は、フライパンの中で体じゅうに焦げあとをつけて息絶えたヒンバスを
黒いゴミ袋に、大量の生ごみと一緒に放り込んだ。
「やれやれ、僕とした事が・・・・つい、また熱くなってしまったよ。全く、ヒンバスってのには
何て偏食が多いんだろう」
 ゴミ袋の口を縛りながら、主人はこう独り言を言った。

「さてと・・・また新しいやつを釣りに行くか。今度は利口なのが掛かると良いな」
 例のごみの処分を終えた主人は、ネットボールがたくさん入ったデイバッグと釣竿とを
持ち、腰のボールからオオスバメを取り出した。かつて主人と一緒にかっこよさコンテストに挑んだ彼は
偶然にも勇敢な性格。辛い味付けが大好きであった。
 主人はオオスバメの背中に乗ると、命令した。
「オオスバメ、ヒワマキまで頼むよ」
 先ほどの彼の行動を知ってか知らずか、オオスバメは黙って頷き、飛び立った。

 それから数時間後、ヒンバスのうろこが張り付いたフライパンを見つけた、水ポケモン専門のトレーナーで
ある大家が通報したのがきっかけで、主人が暗き監獄に入る羽目になってしまったのは、別の話。
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