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カゴノトリ

作者:マリルリ虐待の人


C-Side 1

ボクは「彼女」が好きだ。
でも最近、「彼女」に言い寄ってくる子がいることに気付いた。
幼なじみの男の子だ。そういえばそいつの家には、何故か鳥かごが沢山あった。
理由を聞いても、「うーん、別に。」としか答えてくれなかった。
変なヤツ。あんなヤツにとりつかいを名乗る資格なんてない。
真のとりつかいはボクなんだ。


B-Side 1

僕は彼女が好きです。
でも彼女が、彼女の飼い主に溺愛されているのも知っています。
しかし、僕は彼女に恋してしまったのです。彼女が二、三日
家に帰ってこない時なんて、僕はその間心配で夜も眠れなくなります。
彼女は飼われてる身なのに自由過ぎます。危険が多すぎるのです。
ところで、我が家には鳥かごだけではなく、小動物用のケージも沢山あります。
僕の父が都会でペットショップを開いているからです。
でも、彼女には全て小さすぎます。もっと大きな籠を探さなくては。



A-Side 1

一生の不覚だった。まさか私としたことが、こんな男に捕まってしまうだなんて。
あの男の動機は解っている。私の姿をまるで絵画のように鑑賞して楽しむつもりなのだ。
とはいえ、この待遇は酷いと思う。この鳥かご、いや、何かの動物用の檻には、
なんと電流が流れるようになっているのだ。
今私が立っているあたりは安全だが、檻の外壁に触れると、
たちまち電撃の餌食となってしまう。
ああ、あの青空が恋しい。自由に大空を飛び回っていた日々はもう還って来ないのか。
「ピジョーーー」思わず情けない声を出してしまった。
早く助けてに来て下さい、私のマスター。

後編に続く)



(途中までですが)続き書きます。


B-Side 2

「ピジョーーー」後ろから彼女の声がしました。
その声で僕の意識は現実へと戻りました。どうやら、僕は眠っていたようです。
「アリス」僕は彼女の名前を呼びました。
彼女は僕を睨みつけましたが、僕は気にせずに言葉を続けます。
「おはよう。あれ?羽根が傷ついてるじゃないか。また逃げ出そうとしたのか、いけない子だね。」
そう言って僕は檻ごしに、彼女へ傷薬をかけてあげました。
彼女の羽根が、綺麗な輝きを取り戻します。僕はとても満足でした。
愛しの彼女、アリスがこうして僕の目の前にいるのです。ふいと飛び去ってしまうこともないのです。
そうそう、アリスを捕まえた時は、スリーパーに活躍してもらったのでした。
1時間ほど前に、僕は森の遊歩道にあるベンチで、ぼんやりしていました。
その時です。アリスがすぐそばの草むらに着地したのは。
僕の近くに彼女が降り立ったのは、きっと偶然でしょう。でも僕はチャンスだと思って、
ボールからスリーパーを出しました。そしてアリスを指差し、こう命じたのです。
「スリーパー、あの娘に催眠術」
すぐさま、アリスは眠ってしまいました。



僕はアリスの体を持ち上げようとしました。しかし、小学生の僕には重すぎて、
一人では到底運べそうにありません。スリーパーに手伝ってもらい、ようやくここまで来れました。
なんとか彼女の体をカゴの中に置くと、僕は電流のスイッチを入れました。
本来、この檻は凶暴なポケモンを捕まえておく為のもので、
ポケモンが檻を壊そうとして檻に触れると、電流が発生しそれを食い止める、という訳です。
アリスの攻撃力は高いので、このカゴ(こう言った方がアリスにはふさわしい)
でならば彼女でも大人しくしてくれることでしょう。


C-Side 2

「彼女」がいなくなった。ボクは「彼女」こと、アリスを探していた。
アリスが突然いなくなるのは今日に始まったことじゃない。
でも今回は違う。森に入っていったのは解っているのに、いくら探しても見付からないんだ。
「アリスー、アーリースー」近くで呼べばすぐ来るはずなのに、未だに反応がない。
もしや、誰かにさらわれたんじゃないだろうか。
と、地面を見回していたボクの視界に一枚の羽が飛び込んできた。
アリスの羽だ。間違いない。
しかも、落ちていた羽は一枚だけじゃなかった。



地面には幾つもの羽が線を描いて、ある方向へとボクを手招きしていた。
この羽を辿れば、アリスに会える。
ボクはそう確信し、羽の示す先へ足を進めた。


A-Side 2

「無駄だって。この倉庫は完全防音なんだから」
何度も必死に叫ぶ私を見ながら、男はそう言って笑った。
しかし、私にはわかるのだ。マスター(ご主人様)がすぐ近くに来ていることが。
だから私は叫び続ける。マスターがここを見落とさないように。
やがて、倉庫のドアがどすんどすんと音を立て始めた。男は、驚きを顔から隠せないでいる。
そして遂に、扉は開かれた。
マスターは肩で息をしていたが、私を見ると顔に笑みを浮かべた。そして私の方へ駆け寄って来た。
「(あ、危ないっ!!)」「来るな!」
私と男は同時に叫んだ。しかし、既にマスターは檻に触れてしまっていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」
マスターの体に電撃が走る。すぐにマスターは檻から離れた。


最終更新:2011年04月16日 14:20
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