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ツクシ虐

コピペらしいけど、良作なのではっときます


地元の人間でも迷うという、ウバメの森。時に虫ポケモンを求め、ツクシも何度も歩いた。
さくり、ぱきり、と足元で音がこぼれる。嗅ぎなれたみずみずしい空気と、ひやりとした温度。
アチャモを連れ去ったのは、大きな縄張りを持つスピアーの巣ではないかと、アチャモがさら
われた地点を見て考える。
前に、巣の位置を確認したことがある。ツクシの予想が合っていれば、もう少しここから
進んだところに、スピアーの巣があることになる。

しばらく行くと、やがて羽音のうるさい、1本の大樹にたどり着く。
その茂った大きな木1本が、他のポケモンを寄せ付けない、毒蜂の住み家そのものであった。
木の枝、葉の間を行き来するスピアーの成虫を見ながら、ツクシは彼らの餌として捕らえら
れてしまった、アチャモの姿を探した。
「・・・・!」
アチャモは、虫ポケモンの吐き出す糸にぐるぐる巻きにされ、樹の根元に転がっていた。
外傷はあまり見当たらないが、恐怖と身動きの不自由さのため、逃げ足を滞らせている
様子だった。


ツクシは茂みの影を移動し、なるべくアチャモに近い位置へ行く。
同時に、巣を出入りしているスピアーたちの動きを見る。
(さすがに、卵が孵化する時期なだけあって・・・警戒しているな。
でもだいたい、スピアーの注意に入らない場所がある)
組織を成し巣を構成するスピアーには、作業を能率化するために、ある
程度飛ぶ方向や路線が決まっている。
それをかいくぐってアチャモに近づき、救出して早々に逃げる。
もちろん気づかれてしまったらバトルで押すしかないが、この数を相手
にするのは骨が折れる。あくまで穏便に済ませたい。
見張るように宙を飛んでいた1匹のスピアーが、交代のためか巣に引き
返そうとした、そのときだ。
ツクシは茂みから飛び出し、すかさずアチャモを抱きかかえる。
アチャモのほうは、不安げにツクシを見上げていた。
「大丈夫。君のご主人に頼まれて、助けに来たんだ」
アチャモに、その言葉は届いていないのか。
恐怖に押しつぶされるように、アチャモは突然大声を上げた。
「ちゃ―――――――――ッ!」
「し、静かにしてっ」
混乱しているのだろうか、めちゃくちゃに炎を吐き出している。
この騒ぎに、スピアーが気付いてしまったらしい。
あっという間に、周りをスピアーに囲まれてしまった。




逃げようにも、どこから逃げればいいのかとっさに判断がつかないほどの数である。
ツクシは、アチャモを持った手を振り上げ、茂みの方向へ思い切り投げた。
アチャモの体は綺麗な放物線を描き、やわらかな木の葉の上に落ちた音が、かすかにした。
「逃げろ! その糸は君なら切れる!」
それだけ大声で言うと、ツクシはモンスターボールを取り出した。
「・・・これだけの数を相手にするには、」
中に入っているのは、ストライク。一番頼りになる存在でもある。
「ストくん、いけ・・・・っうわっ!?」
ボールを地に放ろうとしたとき、スピアーの毒針が撃ち込まれる。
とっさに避けたが、毒針は雨のように次から次へと降ってきた。
「うわっ・・・わっわっわ・・・うわぁぁぁッッ!」
いったん攻撃が始まると、反撃が難しいことは、ツクシにも当然わかってはいた。
だがアチャモが予想外に騒いでくれたせいで、素早い対応ができなかったのである。
「・・・ッつ・・・・・」
毒針が一本、深く刺さった右足を引きずる。
スピアーの毒には、打った瞬間相手をしびれさせる即効性の毒と、じわじわと
体を蝕む遅効性の毒がある。
今撃たれたのは、即効性の毒が含まれたものだ。
右足が、刺された太股から足先にかけて、言うことを聞かなくなっている。
2メートルほど進んで、ツクシはその場に膝をついてしまった。
「く・・・歩けない・・・」
身動きの取れなくなった獲物を、スピアーたちが取り囲む。
そもそも、ツクシが自分でアチャモの主人 ――ルビーに説明した通り、
アチャモはスピアーの幼虫・ビードルの餌として連れてこられたのだ、
それを逃がしてしまえば、食べ物のすさまじい恨みは逃がした犯人へ
向けられるのは当然である。


それどころか、時に人間をも獲物にするというこの凶暴な毒蜂たちが、
罠にかかったウサギのような状態の、しかも『強いトレーナー』である
こと以外はただの子供である少年を、ただで帰すとは考えにくかった。
簡単に言えば、ツクシはあのアチャモの代わりに、食われてしまう危険があるのだ。
いや、危険じゃすまない。現に彼らは、ツクシにその鋭い両腕の針を向けて、
いつでも串刺しにできるように構えている。
「まいった・・・な」
もはや冷静でいられなく、それを無理やり冷静にしている。
だから余分に冷静で、余分に恐怖が心に取り付いて、行動をためらう。
そうしているうちに、取り囲んでいたうちの1匹が、体から糸を出し始め、
ツクシの腕を拘束してしまった。こうなってしまうと、逃げようがない。
その後のスピアーは、やり慣れたというかさすがの速さで、獲物の両手
両足を糸で拘束し、大樹に繋いでしまった。
まるで手械についた鎖につるされ、これから拷問でも受けるような体制
になってしまっているのである。
それでもスピアーは飽きず、ツクシの周りを取り囲んだままである。
恐らく、こいつは普通の獲物でなく、今この瞬間に息の根を止めるべき
かもしれない、と考えているのだろう。
どうやら、そのツクシの予想は的中しているようで、1匹のスピアーが
ツクシの前へ寄ってきた。
そのままツクシの腹の辺りに、数本の毒針を撃ちこむ。
「うあっ・・・!」
鋭い痛みに、ツクシは一瞬顔をゆがめる。体を蝕む異物が、血液に混じって体を巡る感触。
それでも、たかだか細い毒針の数本が、すぐに人間の息を止めるだけの作用があるはずもない。
体の小さなキャタピーならともかく、そう簡単に意識は失わない。
スピアーは首を傾げ、今度は左太股に数本。
「くああッッ!」
半ズボンの生地に守られていない、素足の部分に深く針が食い込む。
白い足を伝って赤い血の筋が5本ほど、重力に従って流れ出す。
針を抜くにも、手が使えないから抜けない。
ツクシは刺さり口から視線をそらし、ひたすら歯を噛み締めた。別のスピアーが近づく。


なかなかしぶといな、とでも言うように、今度は右肩、連続してそのまま
右腕に流すように針を撃ちこむ。
「ぎ、あ、ぁあぁッ、ッ・・・く、・・・」
細腕に針が何本も刺さりこんでいる。刺さった直下の皮膚の下に血液
が溜まっているのか、少し青くあざのように浮かび上がる。ツクシは肩で息をする。
(か、貫通してる・・・かも・・・?)
刺された腕の反対側の皮膚を、針が突き破っている感触がする。
やはり、細い腕を針が貫通してしまっているのだろう。それでも、傷を見る勇気はない。
やがてスピアーたちも、毒針を撃つだけでは相手はくたばらないと理解したらしい。
1匹のスピアーが、その両腕の太い針をかかげた。
(この姿勢は・・・)
『ダブルニードル』という技に違いない。スピアーの得意技で、両腕の
この太い針を、直接相手に差し込む技だ。
スピアーはまず、ツクシの左脇に左腕の針を差し込む。
「い、たあぁぁぁぁあっ・・・」
十分刺さったところで、引き抜く。それと同時に、血液が花びらのように
飛び散り、大樹の幹を、辺りの低草に花を咲かせた。
次に、右腕の針を下腹部に差し込む。差し込まれた瞬間、ツクシの口から血液が逆流してきた。
「ごは・・ッ・・・!」
唾液に混じった血が、口の端から流れ出る。
吐き出した瞬間その飛沫が飛び、刺したスピアーの体をも汚した。
血にまみれた右腕の針を、スピアーはゆっくりと引き抜いた。
もはや、痛いなどという次元ではない。
内臓に穴があいたのかわからないが、ツクシは気分が悪くて嘔吐する
ように、何度も何度も食道をしゃくりあげる。そのたび、少量の血が唾液
に混じって、地面に吐き出された。
ツクシは自分の吐き出した物を見ていたが、次第にそれも霞んでくる。
どうやら、毒が体全体に回り始めているらしい。
いくら人間はそう簡単に毒にやられないとしても、時間が経てばいずれ
害が大きくなる。ツクシは瞬きを繰り返し、なんとか意識を保とうと努力した。


しかし、朦朧としかけているのは事実である。意識はあるものの、頭が上手く働かず、
そう、眠気に近いような状態であるのだ。そのせいで、ツクシの動きがほとんどなくなる。
それを見て、スピアーたちは『死んだ』と判断したらしい。
ツクシに近寄っていたスピアーの1匹が、ツクシの足に噛み付いた。
「い・・・・っつ・・、・・・・ぁ、」
ギリ、と堅い口を、柔らかい肌に容赦なく立てる。
「いや、や、痛いッ、やめて・・・ああああッ!!」
スピアーが噛み付いた部分の肉が噛み切られ、えぐり取られる。
悲鳴をあげたことで、まだ『死んでいない』とスピアーは認識する。
しかし、『食っても抵抗できない』と同時に認識される。
1匹のスピアーに続いて、その場にいた大量のスピアーがツクシの体へと向かってきた。
数匹のスピアーは、息の根を止めようと体を刺したり、体当たりをしてくる。
その他また数匹は、可愛い我が子の餌となる肉を引きちぎろうと躍起になる。
「ぐ、ぎあぁぁッ、つ、ァあッ・・・げほッ・・・くあぁぁぁッ!」
体に強い衝撃が与えられるたび、血を吐いて服を赤く染め、食いちぎら
れるたび、破壊される痛みに悲鳴をあげる。
もはや人のものとは思えないくらい、声を裏返して。
それでも、この深い森では、助けてはもらえない。声は人には届かない。
このまま、彼らの餌食になって死ぬしかないのだろうか。
虫を『採る』自分が、その虫に『獲られる』なんて なんて皮肉なんだろう。
「がっ、げほっ・・・」
吐き出すものも、底をついているという感じだった。
血反吐も出ない様子で、ツクシはひたすら体を脈打たせる。
血だらけで、少しずつ体が引き裂かれて、いっそのことなら一思いに
体を裂いて欲しいものだ。とまで思えてくる。

意識が急速に、徐々に薄れるのを感じた。
自分の血を見すぎたショックもあるのだろうが、それ以上に失った血液
と回っている毒の影響だろう。
もはや抵抗も、痛みに悲鳴もあげられない。あげる気力もない。
ツクシは静かに視線を地面に落とし、ふと気を失った。
ツールボックス

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