1-16

アブソル虐

作者: ◆W9zwQ0DCVU


アブソル―――災いポケモン。
大きな事故や天災をいち早く察知する能力を持つ。

そして気のいい事に、わざわざそれを伝えに人里に下りてくることがある。



+ + + + +


リズミカルにリュックの荷物を鳴らして、一人の少年が街に飛び込んできた。
胸にモンスターボールをしっかりと抱え、真っ直ぐポケモンセンターへと駆ける。
彼の胸には、アブソル。
つい今し方そこの草むらで捕まえてきたものだ。
珍しい種なので逃げられてしまうかと思ったが、意外にも
一か八かで一発投げをしたスーパーボールにアブソルは大人しく収まった。
…それ程までに、このアブソルは弱っていたのだ。
体のあちこちに切り傷や火傷の痕があり、毒まで食らっているらしい。

―――まずは治療だ!

少年は胸のボールを両手で守るように持ち、ただポケセンへと急いだ。
…そんな様子を、俺は細めた目でじっと追っていた。

あのアブソル、死ななかったのか。

ポケセンに飛び込んだ少年は、係の女性にカウンター越しに何事かをまくし立てた。
早く回復してくれ、無事に元気になるのか…と言ったところだろうか。
ポケセンの自動ドアの中でのやりとりを想像しながら、俺は少年からアブソルを奪う算段をしていた。

元はと言えば、少年の捕まえたあのアブソルは俺が逃がしたものだった。
アブソルと言えば、人里に姿を現した後で必ず災いが起きる事で有名だ。
どんな力があるかは知らないが、災いを呼ぶ厄介者のポケモンなど滅びた方がいいに決まっている。
草むらで偶然アブソルを捕まえた俺は、奴の目を潰し舌を抜き尾を焼き足を折り、
殺虫ポケ剤をスプレー缶1本分しこたま咥内や目に放射した上で元の草むらに捨てておいた。
つい数時間前、今日の午前中の事だ。
明日には腐れアブソルの死体ができあがっている筈だったが―――
その前に他のトレーナーに保護されるとは、予定外もいい所だった。

…ュン…

ポケセンの自動ドアが風に似た音をたてて開いた。
はっと顔を上げる。
と、例の少年が先ほどとは対照的なにこやかな顔で出てくるところだった。
「ようし、お前の名前は今日から"アブー"だぞ!」
そんな事を言って、片手に持ったボールを陽に透かせる。
どうやらアブソルは無事に回復されたらしい。
…俺は茂みの中で音をたてないようにグラエナのボールを取り出すと、少年に向けて静かに身構えた。


―――酷く恐ろしい夢を見ていた気がする。
この狭い空間が、噎せ返るような血の匂いで溢れている。
なぜだろう、ひどく頭が痛い…

―――パシャンッ!

「!!」
突然頭から冷水を浴びせられ、アブソルは飛び起きた。
ボールから出しても昏々と今まで眠り続けていた。表面上は回復されても、疲れが残っていだのだろう。
「…ウゥー…!」
びしょ濡れのアブソルは、すぐに状況を察したようだ。
死を迎えようとしていた自分が、いつの間にか回復している事。
そして自分が暴行を受け瀕死にまで追いやられた地下室に、何故かまた舞い戻っている事。
殺風景で血生臭い地下室のすみに俺の姿を見つけると、アブソルは牙を剥き出しにして唸った。
…が、残念ながら唸る以上の事をする術は、今のアブソルにはなかった。
俺が予め、アブソルを床に縛り付けておいたからだ。
四肢をそれぞれ鎖につなぎ、俯せの大の字になるように左右に鎖を開く。
鎖は両側の壁からピンと張っているので、アブソルはみっともなく
腹を床につけたまま、立ち上がることもできない。

俺がニヤニヤしながらアブソルに歩み寄ると、アブソルはいっそう激しく唸った。
唯一自由になる首を左右に振り、頭についた水滴を俺の足に飛ばす。
それが今のアブソルにできる、ささやかで最大の反抗だった。


「実質、お前は俺に手も足も出せない」
わざと少し意地の悪い声を出し、俺はアブソルの左後ろ足のそばに移動した。
床に貼り付けられているアブソルには、俺の姿を視界に入れることはできない。
しきりに身をよじるアブソルの左後ろ足を、からかうように爪先で小突いた。
それから大きく反動を付けて垂直ジャンプ。
体重の全てを衝撃に変え、衝撃の全てをかかとの一点に集中させ―――
バキッボリンゴキグチャッ!!
俺の下で、アブソルの左後ろ足の先が砕け、平たくなる音が響いた。
「ガッ…クァアアアアアアアアア―――!!!!」
アブソルの絶叫が地下室内にこだまする。
それが途切れないうちに、右後ろ足、右前足、左前足と次々に潰して回る。
ぴょんぴょん、ぴょん…まるで幼稚園のお遊戯だ。
俺は胴体を飛び越したり、片足飛びで回ったり、胴をまたいで右・左・右・左…とリズミカルに踊った。
バキャッ、バギィ、ぱグチャァッ、ゴリッ…
「ギャアゥー、ウァアアガアァゥ…ワァアアヒィイギャアァアア―――」
一歩踏む度にアブソルの音色は変化した。
足をばたつかせるのでジャンプで踏むのも難しくなるが、これはこれで面白いゲームだ。
足の先から少しずつ時間をかけて、どの足も肘・膝の辺りまで粉砕しておく。
しなやかで美しかった四本の足の先が、単なるグズグズの肉片と白い欠片と
ぶちまけたトマトジュースになる頃には、もはやアブソルは声も出なくなっていた。
気力が尽きたか気絶をしたか―――
とにかく無反応ではつまらないので、もう一度水をかけて起こすことにする。
…いや、待てよ。
ただの水を掛けるより、もっと面白いもので遊んでみようじゃないか。
俺はアブソルが自力では逃げられない事を改めて確認し、地下室から自宅へと戻る階段を駆け上がった。


俺が地下室に戻ってきても、アブソルは先ほどと全く同じ体勢で伸びていた。
やはり痛みで気絶してしまっていたようだ。
俺は自宅から持ってきた二本の瓶をアブソルの上で構え、傷口に向けて中身を振りかけた。
ジャバジャバ…と大量の液体がアブソルの体を濡らし、流れた血をまだらに薄める。
アブソルはしばらく目を覚まさずに横たわっていたが、にわかに顔を上げると狂ったようにのたうち回り始めた。
「グアァア、ギャアウァアアア、アグァアアー!!!」
使い物にならない足を必死に動かし、何とか逃れようともがく。
そんなに動くと逆にしみると言うのに…何てったって俺は大量のレモン汁を掛けているのだから。
四肢を拘束していた鎖はとうに解けてしまっているが、アブソルはダルマのように酸性プールを転がる他ない。
アブソルの手足の先はミンチ状に潰れており、折れた骨があちこちから皮膚を突き破って顔をのぞかせている。
そこへ容赦なくレモン汁を掛ける。アブソルは半狂乱で暴れ続けた。
「うくく…何か地味だなぁ。美味しいかい、アブソル」
「グア、ガアァァアァア―――!!!!」
空になってしまった瓶を片づけながら、しばらくは様子を見守ることにする。
顔を歪め、ばたばたと不格好に暴れるアブソルというのもなかなか見物だ。
そのうちにアブソルの頭の角が、三日月の光を放ち始めた。鎌鼬が起こる前兆だ。
俺はとっさにアブソルの頭を踏み、鼻先を床に押し付けた。
「グガッグウゥ…!」


呼吸に合わせるように、アブソルの頭の角がじんわりと点滅している。
いくらこの角が強力な武器でも、頭を動かせなければ意味はない。
俺はジーンズの後ろから、やはり自宅から持ってきた金槌を取り出すと、無造作にアブソルの角に打ちつけた。
ガキーン!
澄んだ音が響いた。
金槌はアブソルの角にうまい具合に命中し、粉砕とまではいかなかったが大きなヒビを入れる事ができた。
「グ…ギ…」
アブソルが体を震わせながら、定まらない焦点で俺を睨む。
手足の感覚は麻痺してしまったのか、もうやたらと暴れようとはしない。
俺はアブソルの頭を押さえていた足を浮かし、顔面を蹴り飛ばして離れた。
ひっくり返ったアブソルの荒い息が、ヒューヒューと震えている。
頭蓋骨に響く金槌の音色は、アブソルの気力をかなり奪ったようだ。

…最終的にはこのアブソルは、やはりあの草むらに放置するつもりだ。
が、アブソル程の大きさのポケモンの死体となると、手で運ぶのは無理がある。
死んだポケモンはボールには入らないのだ。
だから外に棄てておけば勝手に死ぬ程度に、ここで痛めつけておく必要がある。
俺はカバンの中からフレンドリィショップのロゴが入ったビニール袋を取り出し、右手の拳にすっぽりとかぶせた。
大きな買い物をした時のものなので袋も大きく、俺の右腕は二の腕辺りまでくるまれる。
「フン…人間に災いを持ってくるんじゃねぇよ…この悪魔」
「ウウウ…!」
どこまでも反抗的な目をする。
こんなポケモンが一部では大人気だというのだからお笑いだ。
俺はもう一度アブソルの顔を蹴り、尻尾を掴んでレモン汁と血のプールから引きずり出した。


仰向けになって伸びているアブソルの後ろ足の側へ移動し、俺は
申し訳程度に残っている左右の太股を掴んだ。
不自然に途切れたその先からはまだ血が流れ出ていて、右手のビニール袋が滑る。
両足を広げさせ、俺は右手をアブソルの股間に忍ばせた。
そして肛門と思しき窪みに指先を当て―――
ズググッググググ…!!
「ッギャッ…ガアァアアアグゥウアァアアァァアァ―――!!!」
俺の右腕はアブソルの肛門を裂き、腹の中へと侵入した。
途中、曲がりくねったS字結腸の壁にぶち当たってしまったが、力任せにそのまま進む。
アブソルの体は何度も大きく跳ね返り、口からは押し出されたように血が溢れた。
俺は更に右腕をめり込ませた。肘を越え、ビニール袋で汚れないぎりぎりの所まで埋没させる。
既にアブソルは白目を向き、だらしなく舌を垂らしていた。
右腕に直接伝わってくる血流と鼓動のリズムだけが、アブソルの命がまだ続いている事を教えてくれた。
腹の上から左手を添え、右手の位置を確認すると、右腕の先は肋骨の側まで達しているようだ。
呼吸・循環器を傷つける訳にはいかないので、少しだけ引き抜く。
胃より少し下の腹の辺り、小腸だの肝臓だのがある辺りで、俺は腹の中身をむちゃくちゃに引っ掻き回した。
アブソルの体がゆっくりと反り返ってゆき、その口からはヒィィ――と風の音が漏れた。


俺は自分のグラエナ2匹をボールから出した。
普通、トレーナーは自分のポケモンには、市販品のポケモンフードを与えている。
が、俺のグラエナ達は生肉しか食わない。
俺が合図をすると、2匹のグラエナ達は血溜まりへと走った。
グズグズに千切れたアブソルの手足を、血を啜りながら胃に入れている。
俺はアブソルの腹の中で、手に当たる内蔵を適当に掴んだ。
「ゲゲッグガァア…」
アブソルが白目を向いたまま、頭を左右に激しく振る。
が、構わず俺は臓器を掴んだまま右腕を肛門から引き抜いた。
ブチッ…!グブプ…ジュプ…
大量の血と粘液を纏った俺の手には、こぶし大の丸い臓器が握られていた。
「ほれ、お食べ」
それをグラエナ達の方へ投げてやる。取り合って食べる姿が可愛らしい。
俺は再びアブソルの肛門に腕を突っ込んだ。
そして今度は紐状の臓器を探り当てると、そろりと引き出してみた。
アブソルの肛門から、少し捻れ傷ついた腸が顔を出す。それをゆっくり、どんどん手繰り出す。
肛門からはみ出た内蔵の描く輪は、いびつに歪みながら大きくなっていった。


…一瞬、アブソルが意識を取り戻し、俺をキッと睨みつけた。
燃えるような、深い、澄んだ瞳。
触れた者を殺してしまう、呪われた宝石ような瞳。
それが一瞬、俺を正面から捉え、その呪いを振りかけた…気がした。

が、次の瞬間には消えていた。
俺の横からグラエナのうちの1匹が飛び出し、アブソルの腸にかぶりついたからだ。
どうやら手足だけでは食い足りなかったらしく、もう1匹に取られまいと腸をくわえて走り出す。
自らの内蔵に引きずられ、アブソルは再びきょろりと白目を剥いた。
「こら!メッ!」
俺は慌ててグラエナを制した。こんな事をしたらアブソルが死んでしまう。
俺はグラエナ達の為に、飛び出た腸をはさみで切り取ると、更に二等分してそれぞれに与えた。

アブソルの瞳は、もう光を宿してはいなかった。
だらりと垂れた舌先を僅かに震わせ、喉の奥からヒュウ、ヒュウと小さく息の音を立てる。
時折ヘドロが下水道管につまったような、くぐもった水音と共に血を吐き出し。
…あの眼差しが、最後の強気だったのだろうか。
俺はアブソルをボールに戻した。

ちらりとグラエナ達の様子を見ると、2匹ともまだ床の血を啜っていた。
よほど空腹だったのか、それともアブソルの血肉はそんなに美味なのか。

ふと、もしまたアブソルが、死ぬ前に他の人間に保護されたら―――と思う。
だがすぐに、それでもいいな、とも思う。
その時はまた奪い取り、違った方法で命を握り潰してやるだけだ。
これ以上ない程の苦痛を味わせてやろう。
生きているのが嫌になり、心からこの世にいたくないと思うまで。
人間に災いを与える自分の生き方に、心から疑問を覚えるまで。

あれこれ考えているうちに、いつの間にか俺の股間は大きく勃起していた。
最終更新:2011年03月24日 18:23
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。