【p_ps】プロローグ
今より２０年程前に、大陸全土を巻き込む戦争で大勢の大人達が死んでしまった世界──【エルヴァ・グレイス】戦渦に巻き込まれた大勢の大人と、身を護ることの出来ない非力な子供達がたくさん亡くなってしまい、
その後生き残った大人達が孤児院を作り、身寄りのない孤児達は身を寄せ合いながら細々と暮らしている。
そんな生活を続けて来た半年後、少しずつ大陸各地にに【不可思議なもの】が現れるようになった。
それは真っ黒い子供のような、生き物と呼称するのも正しいかどうか分からないもので、
「たすけて」「まだしにたくない」と、ひたすら悲痛な言葉を発しながら生者を追い回してくる存在であり、戦争で荒んでいた人々の心を更に苦しめた。
後に、人々はそれのことを【人と似て非なるもの】という意味と畏怖を込めて、【黒い影＜シャム＞】と呼ぶようになる。
突如として現れた黒い影に人々は恐れ戦いた。討伐しようにも、何をどうすればいいのか分からなかったからだ。
しかし、黒い影の存在を確認してからずっと研究をして来た【ヒュム・ノワール】という会社が、
数年後ついに黒い影を退治出来る【人】を作ることに成功した。それが【世界を浄化する者】…通称【浄化者＜パージ＞】である。
また、ヒュム・ノワール以外にも浄化者が現れ始めた。
彼らは特殊な事情で能力が開花し、その能力を人々に役立てるために、自らでギルド【ピュア・ブランク】を設立する。
浄化者が黒い影を討伐し始めてから、世界は安定したかのように思えた。
実際、戦後１０年で戦争の爪痕を無くすくらいの科学の発達を見せ、人々の生活は豊かになっていった。
浄化者の数も増え始め、黒い影が駆逐されるのも時間の問題かと思われた。
…しかし、何故か依然として黒い影の数は一定以上減ることはなく、未だ世界はその恐怖に曝され続けている。
子供達は、そんな混沌とした世界の中に生きているのである。
