金持ちナメんなよ



 アカツキ・ナガレは一応は殺し合いに乗ってはいなかった。
 というのも、彼はこういう一門にもならない時間は好きじゃないからだ。
 自分を巻き込まないようにやってくれ、という気持ちだろう。
 正直言うなら、本当に手段が殺し合いに乗って最後の一人になるしかないのなら、そうするだろう。
 が、現状ではまだそれ以外の方法だって考えられる。たとえば、主催者の元に向かって、自分たちを解放するように申し出るとか……。
 まあ、そういう風に追える可能性がある以上は、あまり罪を重ねないほうがいい。

 ……というわけだ。


(全く、こんな首輪つけやがって……金持ちナメんなよ)


 絶対脱出して、この銃を突きつけてやる。
 もう、いっそのこと半殺しだ。ボコボコにしても文句は言えないだろう。
 殺せ、とか、逆らったら殺す……とかいちいち命令するようなヤツが、手のひら返したように困り果てるのが見者だ。


(ん……? 近くに誰かいるのか?)


 アカツキの耳に、バイクの音が聞こえた。
 どうやら、誰かがバイクを使ってどこかへ移動しているらしい。
 なるべくなら、隠れてやりすごしたい。そう思い、アカツキは街の角に隠れた。


(へえ……。旧式のバイクだな)


 なんとかやり過ごしたようだ、とアカツキは隠れるのをやめる。
 遠めで見た限りでは、あれは少し変わったバイクのように思えた。
 まあ、これはちょっとした予感だが……。

 その刹那──

 アカツキの首が背後から強い力で締め付けられ、身体が持ち上げられた。
 突然の出来事に、後ろを振り向くこともできなかった。

 それは、先ほどバイクに乗っていた男のもう一つの姿──ホッパー Version.3。
 その姿が異形であることも、アカツキの首が回らない限りは知るよしもない。


「誰だよ、アンタッ!!」

「──風見志郎」

「風見志郎? 俺をどうするつもりだっ!!」

「悪いが、……死んでもらう」


 風見の口調は冷徹で、アカツキも思わず恐ろしさに震える。
 感情はあるようだが、それを押し殺しているような口調だった……。
 そう、徹底的に押し殺された感情が、殺人という行為を可能にしている。そんな印象。


「待てっ! 俺の知っている情報は全て話す! だから──」

「興味はないな」


 左手でアカツキの首を掴んだまま、風見はもう片方の手を手刀に使った。
 狙った箇所は首である。
 まるで悪夢のような光景だった。

 アカツキの首が、地面に落ちる。
 血が吹き出たアカツキの身体は、既に先ほどまであった命を失っている。懐に銃があった。これがあれば安心とでも思っていただろうか。
 血を浴びたホッパーV3は、その仮面を脱いだ。


 彼は、ショッカーによる改造人間だった。
 本郷猛や一文字隼人の抹殺を命じられた改造人間・ホッパーVersion.3。
 後に仮面ライダーとなるはずの男だったが、今や彼はそれだけの器ではない。
 殺人に抵抗がなく、ただショッカーの犬である彼。
 当然、死にたくはない。なるべく早くショッカーの元に帰り、殺害を報告するのが彼の任務だ。


 アカツキの持ち物を全て奪い、蒸気バイクに跨った。
 それと、何かに使えるかもしれない──コレ、首輪も奪ってある。
 首輪はないに越したことはないから、解析のために一つ拝借したのだ。一応、皆殺しすれば済む話だが、禁止エリアも多少は厄介。
 首輪を安全に取り外す方法があるなら、なるべく早くそれを実行したい気持ちもある。


 ショッカーの改造人間・風見志郎は、アカツキの死体を後にした。


【アカツキ・ナガレ@機動戦艦ナデシコ 死亡】
残り97人


【1日目 深夜/C-2 街】


【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】
【状態】健康、V3に二時間変身不可
【装備】蒸気バイク@サクラ大戦、君島の銃(4/4)@スクライド
【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品0~4、首輪(アカツキ)
【思考・状況】
基本行動方針:ショッカーに帰還するため、皆殺し。
1:本郷猛、一文字隼人を殺す。
2:首輪を安全に外す方法を考える。
※本編序盤からの参戦です。脳改造が解けていません。

016:正義の仮面 投下順 018:モーレツに正義の味方
016:正義の仮面 時系列順 018:モーレツに正義の味方
初登場 風見志郎 069:風のうなりに血がさわぎ
初登場 アカツキ・ナガレ 死亡

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2011年08月27日 23:50