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モンスターズ・オペレーション




 ──このバトルロワイアルは、夢を壊す帝王ビッグ・バンの提供でお送りします──


 昔、ある町に小さな玩具売りをする青年がいた。
 彼の発案した玩具は好評を得て、やがて「発明家」としても名を残すことになる。

 言うならば、この物語は彼の作った玩具。
 その結果が悲劇であれ、喜劇であれ、玩具は楽しむものである。
 彼はその過程を楽しんでもいたし、時に不満足そうに見ているときもあった。


 玩具は必ずしも動かしたいようには動かない。
 その可動範囲に限りがあるとおり、性能に限界がある。
 また、ガチャポンからカードがランダムに排出されるように、運にも関わりがある。
 必ずしも使い手の動かしたいようには動かない。

 彼は「人間」という玩具の「自分の動きたいように動く」という性質をたいへん厄介に思っていた。
 玩具の持つ不確定性は、時に売り手に利益も与えるし、不利益も与える。
 彼は基本的に、売り手であった彼はその不利益に憤り、必要以上に利益を求めようとする性格であった。
 批判を受けるような商法を利益を得続けた。


 そして、ある日、とんでもない玩具を作り出した────。




★ ★ ★ ★ ★




「朝なのダ! 起きるのダ! ジリリリリリリリリリリ……」

 ハ●太郎の目覚まし時計が鳴る音がした。
 昔、俺──藤宮炎──が持っていたやつだ。朝7時にセットしたのに夜7時に鳴ってブン投げた記憶がある。録音機能もついてた。
 身体を覆う掛け布団の感覚も、身体を押す敷布団の感覚もない。体育の時間に学校の体育館に寝転がったときのような感覚だった。
 辺りを見回すと、自分と同じように人々がけだるそうに身体を起こし始めていた。あれだけ大きな音で目覚まし時計が鳴ったのだから厭そうに起きるのも仕方がない。
 それにしても、ここにいるのは────知らない人たちだ。見たことのない人たちだ。
 ここも見たことのない場所だし、見れば、鎧(?)を被った人間もいるし、仮面を被った人間もいる。
 異様な雰囲気を感じるに、寝起きといえど時間はかからなかった。

「さて、我が 《 ビッグ・バン 》 の実験に選抜された100人のラッキーマンの皆さん。よく眠れましたか?」

 体育館というからには、俺達がいるここが床で、目の前にはステージがあった。
 その声は、そのステージから聞こえるものだった。




★ ★ ★ ★ ★




「さて、諸君には色々聞きたいこともあると思うが、まずは私の説明を聞いていただこう」

 ビッグバンはステージから見下ろせる人間──その数100人を前に、これから何をしようというのか、その野望の説明を開始する。
 豪奢な椅子にもたれながら彼らを見下ろしていると、正真正銘────彼らは、玩具なんだと思わせる。
 このビッグバンを前に、おそらくは文句を言いたげなやつが過半数はいる。こちらを睨んでいる人間は、訝しげな視線も含めるなら見事全員である。
 それでも、ビッグバンの立つステージには、見えない壁があるということを彼らは知らないだろう。

「まずは簡潔に本題を話そう。私の名はビッグバン。諸君らには、私の玩具となって、最後の一人になるまで《殺し合い》をしてもらう!」

 直球。あまりにも直球に。
 ビッグバンは、ざわつく人々を前に、何の躊躇もなくストレートに目的を話した。
 あらゆる人物の口から批判が起こるが、皮肉にもその批判が、他の批判と交じって耳に入らないのが愉快であった。
 前方にいた、扇要という男はステージに乗り出そうとしたが、その身体が特殊な電磁波によって弾かれ、宙に浮いた。彼の知り合いと思しき女性が近寄って心配すると、彼はすぐに頭を抑えて立ち上がる。
 もはや、彼に闘争心はなかった。
 そこにいる誰もが、その電磁波は簡単には打ち破れないものだと悟る。

 その時、一人の男が周囲を気押しながら前にしゃしゃり出てきた。
 金髪、ヘビ柄ジャケット、そして────どこか楽しそうな笑み。
 参加者の誰かが、彼を「浅倉!」と呼んだ。

「何か用かね? 浅倉威クン」

「いや、簡単なことを聞きたい。……その殺し合いは、いつ始まるんだよ?」

 誰もが先延ばしにしたいと思っているその出来事について、早く始まれと期待せんばかりの笑みで言った浅倉に、体育館はざわついた。

「まあ、待ってくれ。ほんの数分待ってもらえばいい。まずは《武器》の説明、《禁止エリア》の説明、《首輪》の説明がいる」

「なんだ? それは……」

 その時、浅倉もはっとした。あまりに軽量で、ネックレスはおろか、肩に羽毛が乗ったような感覚だったが、首に何かがある。
 ……首輪、とはこれのことか。誰もが気付いた。

「まあ、彼のように殺し合いをしたくてたまらない人間もいる。だが、言ったとおり説明を聞かなければ死ぬ確率が高まるだけだ。居眠りするほどの長話ではない。まあ、聞かずに死ぬのも自由だが……」

 それから、静寂の時間とともに改めてビッグバンは口を開いた。

「殺し合いのルール。これは単純だ。これから転送される場所で、参加者を見つけ次第殺害してもらえればいい。
 三日分の食料ほか、サバイバル用品はこちらで全員に支給する。これは全員共通だ。しかし、武器が同じでは面白味がない。そこで、武器はそれぞれ違うものを支給することにした。
 弱い武器、強い武器、医療用品、防具、あるいは二つ揃って初めて意味を成すものもある──そこは運に身を任せていただこう」

「禁止エリアについては────まあ、その名のとおり入ってはいけないエリアだ。
 入ったが最後、無残にもその命を散らす羽目になる。最初は禁止エリアはないが、時間が経つにつれこちらが伝える。
 その手段は、転送先に点在しているスピーカーからの6時間おきの放送だ。それまでに出た死者の数や諸連絡はこの放送によって伝える」

「そして、残った首輪の話だが────」

 ここで、ビッグバンは妙な間をおいた。
 そして、ニヤリと笑った。

「これは先ほど、真っ先に私に逆らった愚か者を例にして教えてやろう……扇要っ!!」

 名指しされた扇は固唾を呑み、険しい表情で前に出てきた。
 いやな予感はしているが、こういう場合、強気に出る必要もある。場合によっては、関係ない人が傷つく場合があるだろう。

「俺に用か……ビッグバン」

「簡単なことだ。その首輪は爆弾になっている」

「……やっぱりか」

「外そうとしても爆発する。先ほど言った禁止エリアに入ってもだ。対ショック性で、たとえ人外のものであれ、この殺し合いの覇者とならん限りは絶対に外れることはない」

「クソッ!」

「だが、そんなことを言われても実感が沸かないだろう。羽のように軽いからな。だから、それを証明しようというのだ、お前の身体で!!」

 ビッグバンが手元にあった何かの装置のボタンを押した。
 そのテレビやエアコンのリモコンのような装置だろう。明らかにそれは参加者側に向けられていた。

(南無三……っ!)



 バァンッッッッ!!!



 羽毛のような軽さとは裏腹に、発された音は鼓膜に今だに余韻を残させていた。
 血が体育館の床を、赤く染めた。汚れた、というより……ビッグバンにはその血の海が綺麗な情景に見えただろう。
 死を覚悟し、呆然としていた扇の前に赤い髪の少女が駆け寄った。

「扇さんっ!」

「嘘、……お、俺、生きてるぞ!?」

 その体育館で起きた一つの死は扇のものではなかった。
 ──いや、ある意味では扇の半身は引き裂かれたようなものだ。

 綺麗な銀色の髪が舞っている。
 扇が顔を上げたとき、目の前に転がっていた首は、扇のよく知る褐色の美女のものだった。

 このとき、扇の中で何かがプツン、と切れた。
 自分の周りに99人もの人間が見つめ、その中にはまだ年端もいかない女の子もいるというのに、一人の男が心の底から絶叫し、泣いた。
 そんな扇の赤い顔とは真逆に、その顔を笑みでゆがめながら、ビッグバンが語りかける。


「扇、キミにチャンスをやろう。これはここにいる誰にとっても朗報だ。今から言うことを、よく聞け」

「この殺し合いの覇者には、私の生涯をかけて作り上げた最強最大の玩具を受け渡そう。
 クックックッ……いや、これだけでは納得してはもらえないか。しっかり話しておこう。
 その玩具は、殺し合い覇者の《 限 定 品 》だ。それに相応するだけの力を持つ────そう、言うなら、全ての望みを叶える玩具!! 諸君らはその玩具に導かれてここに来たのだ!!」

 一部の参加者は、既に自分たちが特殊な力でここにやって来たことを察していた。
 自分が簡単に意識を失い、こんなところに監禁されるということも信じていないからだ。
 それだけの自信を持つ参加者もいる──無論、首輪がある以上、彼の前では玩具なのだが。

「叶える願いは自由! 死者の蘇生、不老不死、帝王の権利、億万長者!
 今失った、ヴィレッタという女──いや、君は千草と呼んでいたな。彼女の命も例外ではない。
 或いは、日本。君が日本を取り戻すために戦った話を私はよく聞いている。日本を手に入れることも難ではない」

「さて、もう必要な説明は全て終えた。喜べ、浅倉。──────遂に、開幕だ」

 浅倉の笑みとともに、体育館から全ての参加者がいなくなった。




【ヴィレッタ・ヌゥ@コードギアス 反逆のルルーシュ 死亡】
【BATTLE ROYALE START】


投下順 001:。笑
時系列順 001:。笑
初登場 ビッグバン
初登場 藤宮炎 010:罪と罰
初登場 浅倉威 010:罪と罰
初登場 扇要 005:No work, no pay.(働かざるもの食うべからず)
初登場 紅月カレン
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