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優しき戦士と誇りの戦士



大帝国劇場。
ここで舞は、自分がいまタイムスリップしているという可能性を考えた。
この劇場のつくりは、さほど昔のものには思えなかったが、よく考えてみると、古臭い豪華さを感じた。
平成においても、豪華な建物は一握り。現代的な豪華さと、太正時代の豪華さの違いなどわからない。
とりあえず、舞はこの劇場に閉じこもっているよりも、外に出てみることにした。
このままここにいたって、舞は自分が今どの時代にいるのかがわからない。

まあ、一度外の光景を見てからまた劇場に戻って色々調べよう。
ここが時代ごと遡っている世界だというのなら、外の光景も遡っているはずなのだ。
そう思って、大きなドアを開けて外に出た。

「……あれ?」

舞は首をかしげる。
前方に広がるのは、舞のいた時代と何ら変わらない景色である。
──舞が想像したのは、半世紀以上前の光景だったのだが、そこは平成とほぼ違わない。
ただ、巨大な建物が聳え立つだけの街だった。

「どういうこと?」

パンフレットには、確かに太正という時代の女性たちが載っていた。
恐らく若くて20歳前後……当時西暦1920年くらいだから──と舞は頭の中で計算を始めた。
そうすると、100歳かそこらのおばあちゃんだ。生きていてもおかしくはない。
これはタイムスリップではなく、その老年の婦人たちを連れてきたといことか。
でも、そんな人はあの体育館にいただろうか……とにかく、もし本当に殺し合いにおばあちゃんが参加しているなら──

「ビッグバン! おばあちゃんたちに殺し合いさせるなんて、許さないんだから!」

大帝国劇場に背を向けて、舞は街へと駆け出した。
巻き込まれた老人たちを捜すべく。
そして、ビッグバンの野望と戦うために動きだすべく。

★ ★ ★ ★ ★

「……ヤツは! ビーファイターの!」

それからしばらくして、ギガロは街を走る舞を見かけ、様子を見た。
ギガロには舞は、あらゆる建物の中を探り、人を捜しているように見える。
彼女が孤立しているところを見ると、探し相手はビーファイターだろうか。そうと見て間違いないだろう。
ビーファイターの一人とは先ほど会ったばかりだが、わざわざギガロがそんなことを教えるものか。
とりあえず、試しに本当に能力が弱体化しているのを確認しようと、ギガロは彼女のもとに走っていく。
腕を構え、走るというより特攻しているかのような勢いをつけて。

「死ねぇっ! ビーファイター!」

ギガロが走ってくる気配を感じた舞は、咄嗟にギガロの突進をかわす。
こんなところで奇襲されて死ぬビーファイターではない。ギガロにもこうしてすぐに回避することがわかった。
だが、今のギガロの目的は奇襲ではなく接触。あくまで、相手がある程度能力を発揮した状態で戦わなければ能力を測る意味もない。

「ギガロ……! ギガロなの!?」

一方、舞はここにギガロがいることは知っているが、その変貌した姿に唖然とした。
かつて緑色の体色をしていたギガロが、いまや赤と白の怪物と化している。面影はほぼなく、口調と僅かな顔のつくりだけが原型を止めている。
無理に体の形を変えて強くなったような姿が、舞には痛々しくも見えた。
敵にこうして慈悲に近いものを感じてしまうのが、舞の長所だろう。

「その通り。百年美人によってパワーアップしたスーパーファイナルギガロだ!」

舞の呼びかけに答えるように、ギガロは名乗りをあげる。
百年美人とは何なのかわからないが、元々ギガロは生身で相手ができるほど弱くない。すぐに舞はビーコマンダーを構えた。
スーパーファイナルギガロ──彼はこれまで以上に強敵となりそうだ。
左手を地面と平行に置き、それと交わった右手を前に突き出して舞は叫ぶ。

「重甲!」

叫びとともに、舞の体をインセクトアーマーの甲殻が包んでいく。
赤きビーファイター・レッドルが、体の装甲を光らせる。赤と赤が対峙している。
レッドルは先手必勝とばかりに、インプットマグナムを抜く。

「ビートスキャン!」

同時に、敵の分析も済ませていた。今のギガロの胸部に弾丸の欠片が残っていることは、レッドルのレーダーが一瞬で感知する。
そのうえ、その周囲が焦げており、彼がその部分を銃撃されているのは誰の目にも明白だった。
ともかく、今ギガロを狙うとすれば、頭でも手足でもなく、一箇所しかないというのはわかった。

「あそこがギガロの弱点ね!」

当然インプットマグナムの銃口はギガロの胸部に向く。
だが、ギガロもそこが今の最大の弱点ということは重々承知しており、そこを突かれることは良しとしなかった。
そのため、ギガロの左腕が咄嗟に自らの胸を隠す。

「ビームモード!」

ギガロの庇う動作と同時に、レッドルのビームが命中する。
海生物の硬い甲殻がそれを弾くも、ギガロの腕に確かに硝煙が舞う。
やはり、能力は以前のギガロにも遥かに劣るのだ。────そう、スーパーファイナルギガロとなる前の彼よりも。

「あの花のせいか! グッ……!」

血を流していく左腕を、ギガロは押さえる。
傷口は確かに傷むが、へこたれるほどの痛みではない。とはいえ、弱体化した体でレッドルに勝てるという自信はなかった。
この殺し合いが始まってから間もなくは普段通りの身体能力で戦っていたはずのギガロにとって、明らかに普段と違う行動をとったのは、百年美人を食べたことである。
それからしばらくは仮面ライダーファム、ブルービートさえ圧倒する力で戦っていたはずなのだが、急に弱体化が進むということはあの花の副作用か何かもかんがえられる。あの能力の変化はドーピングに近いものがあったからだ。
必ずしも、良い結果だけを生むことはない。

「ギガロ!? 前より弱くなったみたい……」

「大きなお世話だ! 死ねっ! ビーファイター!」

とはいえ、簡単には引き下がろうとしないのもギガロだ。
確かに、撤退の二文字を知らないギガロではないが、このまま弱体化が進み、死に至る可能性も考えると、死に際にレッドルの首だけでも得ることができればまだ本望というもの。
このまま撤退し、何もせずに死ぬよりはマシだと考えたのだ。
できることは限られているが、ギガローダーが手にある以上は、銃撃もできると思い、ギガロはギガローダーを向ける。

「スティンガープラズマー!」

だが、ギガローダーから攻撃が発されることはない。
なぜなら、首輪による制限はこうした個人武器にも影響しているからだ。能力を発揮している人間でなければ、弾丸無限のビームなど使えない。
それゆえ、前方から接近戦で攻撃をしかけようとするレッドルに対し、一切の攻撃ができなかった。
回転する角型の刃を、ギガロはただ受けるしかなかった。

無念、としか言いようのない自らの人生を呪う。
彼にできるのは、せめて仲間のジェラにジャマールの未来を預けようと願うのみ──

しかし、ギガロの体に届く前に、レッドルのスティンガープラズマーは止められていた。
そこには舞の意思がこもっている。
ただ一方的にギガロを倒すなんて、そんなのビーファイターらしくない──そう、舞は思ったのだ。

「やっぱりこんなの戦いじゃないよ……これじゃあ、まるで虐めてるみたい」

「ほざけ! 敵である俺に情けをかけるというのか!」

ギガロは怒りに任せて、突き出されたレッドルの手首を強く握る。
だが、そのせいいっぱいの力も、今ではレッドルには感じないほどである。かつてはアーマーの外からでも締め付けられるほどの力を持っていたはずのギガロの腕が。
その弱弱しさに、舞は優しさで返そうとする。
レッドルの変身を解いた舞は、やはりそのギガロの手が少し舞の手首を痛めているということに気がついた。やはり、彼なりに強く握っていたのだ──。

「貴様らビーファイターに情けをかけられるほど弱くなったつもりはない! さあ、俺を殺すのだ、ビーファイター!」

「違うッ! あんたはこの地球の生物たちをイジメて、支配しようとするような悪いヤツだけど……私には倒せない!」

「甘っちょろいことを言うな! 所詮世の中には狩る側と狩られる側があるのみだ! 貴様ごときに……貴様ら甘えた虫ケラごときに俺の同志たちが殺されてきたと思うと反吐が出る! 殺さないというのなら、俺が貴様を殺してやる!」

ギガロは舞の腕を乱暴に突き放して、その腕を高く振り上げる。
舞の体を思いっきり叩きつけて殺そうというのだ。
眼前の女に、ギガロは強い憎しみを抱いていた。弱い物に情けをかける……? 数々の同胞を殺してきたビーファイターが言えることか。
そんな偽善が通るはずがない。なぜなら、今までギガロがいたガロア次元では弱者は狩られ、強者の絶対的な
支配が存在したのだ。
弱者として蔑まれ、狩られてきたギガロやその仲間を──救いもしなかったビーファイターがそんな偉そうなことを口にしていいはずがない。
舞の頭上に腕を振り下ろす。カニのハサミのようなその腕には、かなりの重量がありそうだった。
舞も思わず目を瞑った。

「そこまでだ!」

と、それを誰かが静止するように声をあげる。
舞とギガロは、同時にそちらの方を向いた。────そこにあったのは、黒き異形の姿である。
スナイパーのように、巨大なライフルを構え、兵士のような外見をした黒のロボットだ。
攻撃をやめたギガロも、その顔に入った傷のような痕に少しばかり威圧される。只者ではない、というオーラが確かにあった。

「何者だ、貴様!」

「俺の名はトップガンダー。この勝負、預けさせてもらう」

「何!?」

「この勝負はそこの女の勝ちだ。異論は認めない」

かつて獲物を殺すことだけに信念を掲げたトップガンダーだったが、いまや彼の信念もまた違ったものに変わっている。
勝利とは、敵を殺すこと、破壊することだけではないと気づいた男が、二人の勝負を見届けていたのだ。……まあ、確かにこの女の考え方は甘いと思うが、トップガンダーも全力を出さない相手には同じことをしただろう。
無論、それは舞のような優しさではなく、正々堂々の信念に基づいたものであるが。
二人の戦士は、そのトップガンダーの一言に唖然とした。

「何を言う!? 勝負は殺して初めて勝利となる!」

「それは違うな……。だが、その理屈に則って、俺が今お前を片付けてやってもいいが、どうするかな?」

トップガンダーはライフル銃の弾丸の出口を向けながら、ギガロを威圧する。
ロボットであるトップガンダーも、ギガロの弱点には一瞬で気がついた。
胸、それに左腕。この距離ではギガロがどう動こうと外さない。百発百中のガンマンに隙などなかった。
その圧倒的な力強さと自信は、ギガロにもすぐに伝わる。分が悪いように見えた。

「……わかった。今だけは敗北を認めてやろう、ビーファイター! だが、覚えておけ! 貴様の首を取りにまた来るということを!」

去ろうとするギガロを、トップガンダーは追おうともしない。
去る者追わず、だ──あの戦闘能力では、おそらくギガロがこれから他者に危害を加える心配もない。放っておくが吉と見える。
舞も同じ考えだろうとトップガンダーは思っていた。
しかし、次の瞬間舞の口から出た一言は、トップガンダーには信じ難い言葉である。

「あ、待って、ギガロ! 胸と腕の怪我、手当てさせてよ!」

「「何ッッッッッ!!!?」」

立ち去ろうとしたギガロも、思わず振り向いた。
ビーファイターとは、本当に随分とお人よしらしい。これまで、躊躇いなく仲間を殺してきたというのに。
立ち止まってしまったギガロに舞は駆け寄り、その左腕を看た。自分で怪我をさせたところだ。あれが胸に当たっていたら、怪我では済まなかったかもしれない。

「……隙を突かれて死んでも知らんぞ」

トップガンダーも唖然としながら近寄っていく。
確かに正々堂々、互いに万全な状態で戦いに挑みたいという気持ちがトップガンダーにはあるゆえ、相手を手当てしたいという気持ちはわからないでもない。
だが、そんなことのために殺される隙を作るのは馬鹿としか言いようがなかった。

「大丈夫! ……じゃないかもしれないけど、これじゃあちょっとギガロが可哀相だよ。確かにイヤなヤツだけど、怪我したままずっと戦い続けるなんて、悲しいよ……」

「どこまで俺を怒らせたいんだ、貴様らは! 弱い者に助けなど不要! ただ、死ぬのを見守っていてやればいいだけの話! 何故、それがわからんのだ!」

「私は私のやりたいようにやってるだけ。ジャマールがそうやって弱い者を支配しようとするなら、ビーファイターは弱い者を助けていく……それが私たちの流儀で使命よ。だから拒否はさせない。……それに、弱い人を助けようとする心こそが、本当の強さだって、私は思う」

ギガロの腕から流れていく血を、舞はハンカチで拭う。
ハンカチの色はギガロの血の色で染まっていくが、舞はまったく意に介さなかった。
ギガロはその手を振り払いたくなったが、……やめた。
今は隙を見よう。この女の真意が、本当にそんなことのためにあると、ギガロはどうも信じられなかった。
唯一助けてくれたのはガオーム──それがギガロの人生だったがゆえ、この出来事には呆然とせざるを得なかった。
舞はその大きな指先にハンカチを巻きつけた。

「とりあえず、私が怪我をさせたところはこれで終わり。次はそっちね。道具はないから、近くで何か使えるものを探したいんだけど……」

「俺が探して来よう。お前たちはそこにいるといい」

「ありがとう」

トップガンダーが使えるものの捜索を手伝うために名乗りをあげた。
とりあえず、ギガロにとっては邪魔者が一人消えたというべきか──それとも、この女の味方が一人増えたというべきか。

「……レッドル、聞け。ブルービートこと甲斐拓也に会った」

「え!?」

「向こうだ。向こうに行くといい」

「……今は、ギガロの怪我が優先だよ」

「どこかへ消えろと言っているんだ!!」

舞の言葉に、ギガロは怒ったように叫ぶ。
傷口の胸に、自分の言葉が響いて痛む。敵に情けをかけられるということが、こんなにも恥ずかしいことだとは……そして、何よりこんなに腹立たしいことだとは思ってもいなかった。
ガオームに絶対の忠誠を尽くしたはずの自分が、何故かこうして敵に手当てをされている。
ジャマールの仲間にどう顔を見せていいか、彼にはわからなかった。

「ギガロに仲間になれなんて言わない。せめて、怪我の手当てをさせてって言ってるの。だから──」

「くどい! くどいぞビーファイター!」

ギガロは舞の首を締め付けた。
ただ、この女の──ビーファイターの感情に飲まれないためだけに。
恥を恥と思えるうちに、この女を抹殺したほうが良い──そう考えたのだ。
右腕で舞の首を掴み、腕一本で彼女の体を持ち上げる。

「やめ……て……ギガロ…………」

「敵であるこの俺を甘く見すぎたのだ、貴様は!」

「甘い……かもしれない……馬鹿……かもしれない……だけど、それが……私だから……」

ギガロはそのまま突っ走り、舞の首を掴んだまま、建物の壁に押し付けた。
ハサミのような左腕から、ギガローダーが落ちる。
この手で、感覚さえ忘れないように舞の体を突き刺そうとしているのだ。
舞に巻いてもらったバンダナは、完全に血の色に染まっていた。彼が左腕に力を込めているという証だった。

「死ぬのだっ! 鷹取舞!」

彼は叫びとともに、怒りを解き放った。

【1日目 黎明/F-7 街】

【ギガロ@重甲ビーファイター】
【状態】胸に銃弾とビートルブレイクによるダメージ、百年美人によりパワーアップ、一時間四十分戦闘不能、唐突な弱体化により冷静さを失っている、腕から流血(ハンカチで止血)
【装備】ギガローダー@重甲ビーファイター
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~1
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いに乗る。
1:舞を殺す。
2:ビーファイターの甘えた考え方に怒り。
3:強化された状態で、ビーファイターやカリスを倒す(ビーファイターの首は持ち帰りたい)
4:ジェラ、ブラックビートに関しては保留。
※46話途中(ファイナルギガロにパワーアップ後)からの参戦です。
※百年美人@超人機メタルダーによって、能力が更にパワーアップしました。ただし、水に入ると逆に弱体化します。弱点には気付いてません。
※首輪による弱体化について、百年美人による影響が強いと考えており、このまま衰弱して死ぬ可能性も考えています。

【鷹取舞@重甲ビーファイター】
【状態】首を締め付けられて息が苦しい レッドルに二時間変身不可
【装備】ビーコマンダー@重甲ビーファイター
【道具】基本支給品一色、ランダム支給品0~2、花組出演作品のパンフレット@サクラ大戦
【思考・状況】
基本行動方針:ビッグバンを倒す。
0:苦しい……。まずはこの状況を切り抜ける。
1:たとえ敵でもギガロの手当てがしたい。
2:おばあちゃんたち(花組)を助ける。
3:ここでトップガンダーが来るのを待つ。
4:ギガロを助けたら、拓也に会いに行く。
※花組パンフレットより、大神以外のサクラ大戦キャラの顔と容姿がわかるようになりました。
※花組パンフレットの年号より、既に花組は年を取った後の老婆と考えています。

【暴魂トップガンダー@超人機メタルダー】
【状態】健康
【装備】愛用のライフル銃@超人機メタルダー
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:ビッグバンを倒す。
0:買出し中……。
1:メタルダーとの合流。
2:ネロス帝国の人間とはなるべく会いたくない。
3:ギガロの元に薬の類を届ける。
4:舞には賛同し切れないが、ともかくは善人と判断。
※本編終盤からの参戦です。

072:運命の切札 投下順 074:よみがえる記憶
072:運命の切札 時系列順 074:よみがえる記憶
043:力に選ばれたもの 鷹取舞
068:ギガロの脅威/KとYの気づかぬ再会 ギガロ
033:走る独眼竜トップガンダー トップガンダー
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