狙われたビーファイター!?



ゆっくり、着実に近付いていく必要がある。
相手がどういう性格なのかも確認できない以上は、あまり接触を早めるのは得策ではないだろう。
向こうが二人で行動している以上、普通に考えれば二人は協力関係にあると思われる。
だが、片方がもう片方を騙しているということだってあるのだ。
女子高生と、それより遥かに年上と思われる男性のペアという時点で、信用し難い。
男女のペア、という時点で信用もしにくいし絡みにくいものだ。
ここは敢えて二人への接触は避けるか……。
わざわざ無用な接触をして信用できない仲間を増やすわけにはいかない。

最初は一人ずつ捜していき、自然と増えていくのを待ったほうがいい。
まあ、まどかやスザク、本郷の場合ならその限りではないが……。
そう、それだ。見知った人間がまだこの近くにいるのだ。
自分を襲った相手もいるが、隠れながら行動すればうまく撒くことだってできるかもしれない。

参加者は無闇に増やしておこうというのは軽率だ。
二人のうちの片方が信用できるというならまだしも。
だいたい、こんなところで様子見をし続けるというのは、怯えながら過ごすということだ。
それより、まどかたちを捜していったほうがどれだけ勇気がいることか。
そして、結果としてどれだけ良いものが得られることか。

(……とにかく、二人に見つからないように逃げるか)

ささっと、二人の様子を見つつ、後方に下がっていく。
冷静に考えれば、二人との距離は結構離れていたはずだった。
だから、ゆっくり振り向いて歩いて行っても、おそらくは気づかれることはなかっただろう。
だが、この異常な緊張状態が、こうした慎重な行動をとらせ──

裏目に出てしまうのだ。

「あだっ!」

アスファルトのでっぱりに靴底が引っ掛かり、バランスを崩した体が重力にしたがって地面に打ち付けられる。
その瞬間、一瞬の痛みとともに、恐怖が頭の中を過ぎった。
その声に反応した男が、肝を硬直させてそちらを見た。

「誰だっ!?」

それは非常に強張った声だった。だから、彼らの様子を覗いていた男女への引け目もあって、すぐに逃げようと、倒れた上体から彼らの逆方向を向く。
肩を通したデイパックも、身体を元の体勢に戻すには邪魔。
ただ、今考えるべきはいかに効率よく逃げるか──今、彼らからどういう風に逃げるか。

「待て! このヤロ!」

男が追ってくる──

急いで逃げなければ!
ただ、全速力のダッシュを繰り返す。
その瞬間に、足の筋肉が許す限りのスピードで彼らから逃げていく。
相手がどれくらい近くにいるかもわからない。
後ろを振り向いたりする暇もないし、ましてや強張った顔は目を開けることさえできない。
このまま目を開けると、たぶん汗が目に入ってくる。
いや、既に目がピリピリと痛み始めていた。
前、前、前。なんとなく道は前に続いていることがわかった。
だが、不安になって目を見開いて咄嗟に路地に回る。

「……はぁ…………はぁ…………」

どうやら、全てを失った代わりに、彼らからは逃げられたらしい。
今は、まどかたちと合流することを考えよう。
それまでの間ならば、こうして見つかると同時に逃げていけばなんとかなる。
何せ、この広いマップの100人。
冷静に考えれば、見つかるはずがない。逃げていけば勝てる範囲だ。

(あのデイパック……殺人をしないならお荷物なんじゃないか?)

ここにある様々な民家や店から、あらゆる道具は手に入るはず。
スーパーやコンビニの物が全て姿を消しているとは考え難い。
名簿には目を通したし、まどかたちの知り合いもはっきりとは覚えてないとはいえ、名前を聞けば思い出せる。
マップも後で調達してポケットに入れればいいだけの話。
ならば、あのバッグは逃げるときに煩わしいだけ。
いくら重さが皆無とはいえ、腕を振れば身体にぶつかって行動を遮るのは確かだ。

(ここは……どこだろう。近くに店はないか……?)

路地裏を出たシンクは、住宅街に来てしまったようだった。
ともかく、この辺りでは店も何もないだろう。
ある程度歩いて、飲み物や食べ物を飲んでどこかへ行くか。
そういえば、汗をかいたときはスポースドリンクがいいんだっけ。
ビッグバンも、水なんか支給したって水分補給にもならないだろうに……。
疲れた体を、前に持っていくようにシンクは歩いていった。

☆ ☆ ☆ ☆ ☆

「クッ! 俺たちを監視してたやつがいる!」

大作は声を荒げた。先ほど、物音がした方に行ってみると、デイパックが落ちていたのだ。
中身を見てみると、入っていたのは武器になりそうにないものである。
男性向けの着衣が入っているのだが、これが彼の所有物だろうか。
ある程度大柄な人物のスーツらしいが、大作はそれを着る気にもならない。

「……あとは……」

「梅干?」

蘭がデイパックに入っている梅干のパックを手に取った。
どうやら、正真正銘の梅干らしい。
これが監視者の支給品なのだろうか。少なくとも、食料は蘭も大作ももっと別のものが支給されていたはずだ。
無論、オープンカフェで食料を調達できた通り、この食料の支給というものに差があっても意味はないのだが。

「……蘭ちゃん、とにかく俺たちも監視を警戒しよう」

「そうですね。でも監視されてるなんて、なんだか少し厭な気分だわ……」

「なぁに、次にやって来たら、この俺がギッチョンギチョンにしてやるぜ! 安心しな!」

大作は正面突きのポーズをする。蘭も空手家だが、この男はかなり筋がいいらしい。
力強さを持つ空手を使えそうだ。
カンナといい、大作といい、随分強い人に守られてきたのだと蘭は実感する。

【1日目 黎明/C-2 住宅街】

【羽田シンク@ヒーローズオペレーションF】
【状態】疲労(特大)
【装備】なし
【道具】なし
【思考・状況】
基本行動方針:生き延びる。
1:水分補給のため、店を探す。
2:まどかたちを捜したい。
3:スザクに会ったら逃げた理由や本郷のことを尋ねる。
4:なるべく、知り合いやまどかたちを最優先。それ以外は信用できない限り合流はしない。
※スザクの言うブリタニア軍などを妄想の中のものだと思っています。
※基本的に、ゲームに乗らない人間にデイパックは不要と考えています(マップは調達したい)。

【1日目 黎明/C-3 街】

【片霧大作@重甲ビーファイター】
【状態】健康、罪悪感
【装備】ビーコマンダー@重甲ビーファイター
【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品0~2、大神の戦闘服@サクラ大戦、梅干@超光戦士シャンゼリオン
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いからの脱出。
0:なにものかの監視を警戒。
1:一刻も早く知り合いを捜す(コナン、哀、アイリスが優先)I
2:蘭と行動する。
3:カンナが心配。
※サクラ大戦、名探偵コナンの参加者について知りました。
※リュウガはジャマールの一員だと思ってます。

【毛利蘭@名探偵コナン】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いからの脱出。
0:なにものかの監視を警戒。
1:一刻も早く知り合いを捜す。
2:大作と行動する。
3:コナンや父親、カンナのことが心配。
4:ビーファイターとジャマールの存在に驚き。
※重甲ビーファイター、サクラ大戦の参加者について知りました。
※ビーファイター世界の情報を得ました。
※リュウガはジャマールの一員だと思ってます。

070:花を散らせよ、乙女の意地で 投下順 072:運命の切札
070:花を散らせよ、乙女の意地で 時系列順 072:運命の切札
041:限りなく遠い世界 羽田シンク 079:放送までのTimelimit
041:限りなく遠い世界 片霧大作
041:限りなく遠い世界 毛利蘭

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最終更新:2011年09月09日 22:49