なぜだ?!スーパーファイナルギガロ
ギガロの放ったビームは一瞬で、カリスの身体に吸収された。
変身のエネルギーが、それを立ちくらみ程度のものへと変える。
醒弓カリスアローは、確かにギガロを狙うために矢を向ける。
相手が敵だと認識した以上、一撃を先取するのは当然である。
フォースアローの雨を前方から受け、ギガロも一瞬ひるんだ。
「うがっ!」
しかし、敵の武器が矢だとわかった以上、狙いを定める隙も大きく、どこを狙われるかもすぐにわかるため、ギガロとしては好都合である。
ファイナルギガロを前には、カリスアローは封じられたも同然であった。
その証拠に、放たれた最後の一矢はギガロの身体へと届かず、ギガロの胸の前で左手がへし折っている。
カリスとしても、カリスアローが何度も使える武器ではないことは、戦闘経験上わかっていた。
相手はアンデッドでもなければ、仮面ライダーでもない。見たこともない異形である。
ならば、カリスの戦法がアローではない……むしろ、カリスアローよりもメインのものがあるということを知らないだろう。
本来、仮面ライダーはラウズカードで戦う。
相手はそれを知らずに、カリスアローを前提とした防御体勢に入るだろう。
カリスはそのために、三枚のカードを使った。
──FLOAT──
──DRILL──
──TORNADO──
スピニングダンス。
竜巻を帯びた蹴撃が、ファイナルギガロに突き刺さるような一撃を与えた。それは、竜巻の姿も合わさって、二枚目のラウズカードと同じ「ドリル」のような光景であった。
本来ならばトドメに使う──いわば必殺技なのだが、今彼は真剣に戦おうとは思っていない。 目くらまし程度に、スピニングダンスを浴びせてギガロに軽いダメージを負わせるのが目的であった。これで倒される相手ならば、非常に楽だが、 ギガロはビーファイター三人を凌駕するほどの相手である。この程度では死にはいないし、重傷も負うことはない。
とはいえ、カリスの読み通り、彼は上空からの攻撃への防御など思慮に入れていなかった。
そのため、次のカリスの行動を読み取るのには少し時間がかかった。
「……逃げたか」
そう、カリスの目的は最初から撤退にある。
何故ならば、彼は一人で戦っていたわけではない。──一人の少女を傍らに戦っていたからだ。
できれば、戦っている間に逃げて欲しかったのだが、彼女は目を見開き、呆然と腰を抜かしたままである。
彼女をどこか遠くへ連れて行く必要があった。
★ ★ ★ ★ ★
「あなたは……一体……」
古手梨花は、眼前の「人間」を見ながらそう聞いた。
冷静に考えれば、彼は一応敵から梨花の身を庇ってくれた恩人である。この人が何もしなければ死んでいたし、この人が一歩遅れても死んでいた。だが、彼が「変身」した瞬間、その記憶など飛んでしまう。
あるのは、畏怖敬遠の情。
カリスの姿──マンティスアンデッドの子孫であるカマキリという生物たちは、仲間を食う生物。ゆえ、その複眼は他者を睨んでいるようなゆがみを見せていた。あるいは、ジョーカーとしての死神の姿もそこに映っているのかもしれない。
人の姿をしている、相川始という男がそれと同一であることを知っている以上、彼女はその情を取り払うことができなかった。警戒が、彼女の口調を変える。
「俺の人間の名前は相川始。……見てのとおりだ、俺は本当は人間じゃない」
ブレイド、ギャレン、レンゲルといったアーマーを纏うライダーとは違い、カリスのそれはあまりに怪物的だった。そもそも、実際始はアンデッドのジョーカーでもある。化け物として見られるのも無理はないし、慣れていないわけではなかった。
……実際、人として生きたのはジョーカーの長い命の中で考えて、ごく最近の話だ。
「俺をどう思おうと勝手だが、君をこんなところに置いて行くわけには行かない。信用できるヤツに会うまで、俺と一緒に来てもらう」
始にとって信用できる人間といえば、この場では──剣崎一真、橘朔也、上城睦月、白井虎太郎。
虎太郎とは一悶着あるだろうが、この子を頼むといえば、それに応じてくれるだろう。
どちらにせよ、始は彼らと行動することはない。……というよりも、自分が彼らと──人間と共存できないのは自覚している。
それに、先ほどの相手とも決着をつけたい部分があった。
あの怪物は、アンデッドではない。にも関わらず、人間を襲う、爬虫類・甲殻類じみた異形をしていた。
「……ボクは構わないのですよ、にぱー☆」
梨花もどうするべきかは判断できた。
今のような怪物のいる山林の中、信用できるかできないかはともかく、一人で行動するよりも堅実である。彼の言葉が嘘にしろ、本当にしろ、梨花は死に慣れていた。
畏怖の念は変わらないが、ともかくは利用されるなら、利用し返そうと考える。
梨花と始は、そのまま街へと向かっていた。
★ ★ ★ ★ ★
「……これが俺の支給品か」
ギガロはデイパックの中身などに興味はなかったが、武器が入っているという言葉を思い出して開け始めた。
つい先ほどは、ギガローダーや己の実力を過信していた節もある。
自分やジェラやブラックビートがいるこの殺し合い……入っているのは単なる武器ではない、と期待していた。
「百年美人……? モンスターを強化する花か」
百年に一度しか咲かない、モンスターを強化する花──百年美人。
それは、まるで仕組まれたかのように彼の手元にやって来た。
生物としても扱われず、ましてや人間などと呼ばれることがなかった彼は、このときだけ自らがモンスターであったという現実を笑う。
彼はそれを口にし、飲み込んでいく。
すぐに、力がみなぎるのを感じることができた。
かつて凱聖ゲルドリングがこの花を食べ、メタルダーをも圧倒したことがある。
それと同じく、攻撃力、防御力、移動速度、耐久性……あらゆる能力が強まっていく。
だが、彼はまだ知らない。
同時に、この花を食べて力を得たものは、水に入ると弱体化する……諸刃の剣でもあることを。
「見ていろ、ビーファイター! そして名も無き戦士よ! 次は息の根を止めてやる!」
それを知らないまま、自らが無敵となったという錯覚に囚われ、彼は歩く。
彼もまた、遅れて街へと向かっていた。
【1日目 深夜/C-9 森】
【相川始@仮面ライダー剣】
【状態】健康、仮面ライダーカリスに二時間変身不可
【装備】ラウズカード(ハートA~9)@仮面ライダー剣
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1:梨花を剣崎や虎太郎に預ける。
2:それまでは梨花を守る。
3:ギガロとはいずれ決着をつけたい。
※38話以降からの参戦です。
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには乗らず、仲間を集めて生き残る。
1:始と行動する。ただし、信用はしていないし、場合によっては利用する。
2:部活の仲間を捜すか、始の言う「信用できるヤツ」に会う。
【1日目 深夜/B-9 森】
【ギガロ@重甲ビーファイター】
【状態】健康、百年美人によりパワーアップ、二時間戦闘不能
【装備】ギガローダー@重甲ビーファイター
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~1
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いに乗る。
1:強化された状態で、ビーファイターやカリスを倒す。
2:ジェラ、ブラックビートに関しては保留。
※46話途中(ファイナルギガロにパワーアップ後)からの参戦です。
※百年美人@超人機メタルダーによって、能力が更にパワーアップしました。ただし、水に入ると逆に弱体化します。弱点には気付いてません。
最終更新:2011年09月03日 01:24