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ルリルリの割と真剣な悩み




「やっぱり……バカばっか」


 この殺し合いストーリーの中、一番最初にホシノ・ルリが呟いた言葉として描かれたのがそれだった。
 幼い外見ながら、その知性ゆえ、世の中を見る力は達観している。
 彼女が何をそう評論したのか。
 それが正当な評価なのかどうかはともかく、ルリはそれを呟くのが限界に近かった。
 ルリは何も、何の危険もない温室でこんなことを呟いたわけではなく、ある意味地獄ともいえる一室で、命の危険を感じながら呟いていたのだ。
 というのも、ルリがいま居る場所は────


「ん? 何か言いましたか、ルミさん!」


 ────物理的にありえないような超スピードで走る、バランスとセンスの最高に悪い車の中なのだから。
 喉を上ったり下ったりする嘔吐の予感を必死で押さえ、ルリはこの男が思いっきりルリの名前を間違えているのを無視した。
 何故、こんな男にホイホイついて行ってしまったのか。
 言うなら、彼はなんでも人捜しをしているだけで、悪意を働くつもりはないと言い、ルリもそれを信用したからである。迂闊に信用してしまうのは、この人間が武器を持っていなかったからだ。
 確かに、大の男が乗る車に乗るのも抵抗はあったし、何かされる可能性もあった。が、カズヤや劉鳳という、彼が挙げた名前と情報はこの男との関係ごと明示されていたし、でまかせではなさそうだと判断できた。
 ただ、そんな信頼を裏切るかのように、この車体が浮いたり重力に引かれたりと、非常に忙しく、こいつに殺される──とかそんな風な思考に達せない……というか、むしろこのスピードに殺されるのでは?

 で、ルリが結果的に、今何を思っているかというと……


(私も結構バカよね……オェッ……)


 こんな男の車に乗ってしまった自分への強い叱責だった。
 ルリは思考にさえ、嘔吐に近い音声が流れていることに気付く。
 ただし、筆者もみんなのアイドルであるルリルリに吐かせるわけにはいかず、これからもうまい加減で書いていけたらな……とだけ思うのみで、スピードを出しすぎてしまったクーガーの車体をどうにかすることなどできるはずもない。
 その辺りはルリルリ本人の精神力に任せておきたい。


「あれ? 俺の車が急にスロゥリィになったような……」


 ルリが我慢の限界に達する直前に、クーガーの車は乗用車並のスピードになり始めた。
 というか、気付かなかったが、ルリが今見ている光景は山道のものだ。気がつけば、山に登っていたらしい。しかも、舗装されていない土の道を……。
 まさか、こんな無茶をするとは。既に、捜し人の二、三人追い越しているのではないか?


「バカ……」


 呟くと共に、車のアルターが消え、ただの車に変わってしまった。
 こんな山道では、もうこの車は使い物にはならないだろう。ちなみに、この車の持ち主である涼村暁という男に、万が一にでもルリが会ったら、バカと何回言うだろうか。
 というか、この車の持ち主のバカがこの惨事を見て、何と呟くかが見物だ。


「ふぅ……これじゃあ、歩けませんねぇルミさん」

「ルリです」

「すみませぇん、人の名前をおぼえるのは苦手で」


 こいつは名前を覚える気がないのか。正真正銘のバカなのか。バカ田大学出身か。
 とにかく、バカを連呼する少女としては、支給されたムチでビシッと叩いてしまいたいくらいだが、それはルリのキャラクターではない。
 まあ、名前くらい好きに呼ばせておこう。本名がヤマダなのにダイゴウジとか名乗るバカもいる。ルリだって、普段はルリルリとか呼ばれてるし。


「クーガーさん……あれ」


 それよりも、ルリが気にするべきは山道の木々の向こう側にいる女性。
 指を差し、クーガーにもわかるように教える。人に指を差すのはいけない、と教えられたが、この場合仕方ない。というか、相手も気付いてないし構わないだろう。


「う~ん、見たところ普通の女性のようですが、一応様子を見てみましょう」


 クーガーとルリは気付かれないよう、後ろからその女性に近付いた。
 何か言っている様子だ。というか、その女性を見ていると、何もないところを睨んでブツブツと呟いているように見える。
 ある程度距離は離れているが、他に音はないので、よく耳をすませば聞こえる声だった。


「殺してやる殺してやる殺してやる……暁以外は全員殺してやる……」


 ぞっとするような言葉が聞こえた。ルリは大人のマナーを知っているので、こういう人間の言葉は聞こえなかったことにしよう。
 というか、向こうも気付いていないのだから、「彼らは何も見なかった」。これで全部おしまいだ。
 どうせ、この手の女は「私の男以外殺してやる!」といいつつも、結局何もせずに終わってしまうのがパターン。


「どうやら、見なかったことにしたほうがよさそうですね」

「そうですね」


 ガサッ


「「あ」」


 思わず、二人は堂々と足音を出して歩いてしまった。
 道は草だらけの落ち葉だらけ。気をつけて抜き足差し足忍び足をしなければ、すぐに音が鳴る。
 そのうえ、誰もいないからよく響く。


「誰だ!!」

「逃げましょう、ルミさん!」

「ルリです」


 ルリはクーガーによって体がヒョイと持ち上げられて驚く。
 ルリの体重は軽く、クーガーが持ち上げるにはすぐだった。
 クーガーはルリを背中におぶると、全速力で走り出す。これは基本的に彼の得意分野だ。
 アルター能力などなくとも、逃げ足は当然速い。


「あ! 待て……!」


 という、追跡者の声さえ一瞬で終わる。
 ルリをおぶりながら、そしてアルター能力未使用でありながらも、クーガーはすさまじいスピードで走っていた。むろん、疲労も大きいし、アルター能力を使っているときほどのスピードはでないが。
 ともかく、山をランダムに走っていき、数分の時が流れる。
 小夜子が追って来れようはずもない。


「いやあ、山頂からの光景は最高ですなぁ、ルミさん!」

「ルリです」

「失礼。人の名前を覚えるのは苦手で」


 気付けば山頂。見晴らしのいい山頂である。
 どこをどう走ってきたのか、だいたい、普通は逃げるときは下に向かわないか……そのほうがラクじゃないか。
 そんなことはもう考えるだけ無駄だろう。この男が下に落ちていくか、あるいは上に這い上がっていくか。もう、その辺りはルリも察した。つまり……


「やっぱり、バカ」

「何か言いましたか? ルミさん」

「ルリです」

「失礼、人の名前を……」



★ ★ ★ ★ ★



 一方、その頃……


「これは暁の車よ! 暁が近くにいるのね! 隠れても無駄よ、暁! 出てきなさい!」


 バカが廃棄された暁の車の周りを徘徊していた。



【1日目 深夜/A-9 山頂】

【ストレイト・クーガー@スクライド】
【状態】疲労(中)、アルターを一時間半使用不可
【装備】不明
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1:カズヤと劉鳳を捜す。
2:ルミさんと一緒に行動する。
3:なぜアルターが解除されたのか……?

【ホシノ・ルリ@機動戦艦ナデシコ】
【状態】健康
【装備】鞭@現実
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
1:クーガーと一緒に行動する。
2:自分の仲間や、カズヤさんと劉鳳さんを捜す。


【1日目 深夜/B-8 森】

【小夜子@超光戦士シャンゼリオン】
【状態】健康
【装備】不明
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品1~3
【思考・状況】
基本行動方針:暁以外全員殺して2人だけの世界を創る。
1:暁がこの辺りにいると予想。張り込む。
2:さっきの二人にまた会ったら……?
※第24話途中からの参戦です。
※小夜子の前には、森に廃棄された緑のシトロエン・2CV@超光戦士シャンゼリオンがあります。

031:消えゆくJ/暴れん坊闇将軍 投下順 033:走る独眼竜トップガンダー
031:消えゆくJ/暴れん坊闇将軍 時系列順 033:走る独眼竜トップガンダー
初登場 ストレイト・クーガー 078:Discovery(前編)
初登場 ホシノ・ルリ 078:Discovery(前編)
初登場 小夜子
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