輪廻



城戸真司の世界では、全ての戦いは終わったはずだった。
ミラーワールドのコアは破壊され、戦いは終わった。
秋山蓮、仮面ライダー、蓮の最後の願い……失ったものも多かったが。

しかし、街でカバンを開けてみればそこにあったのは、今真司が持っている龍の紋章のカードデッキである。
終わるべきだった戦いは、少し眠っていただけだったのだ。
真司は、周りを気にせずに叫び喘いだ。

──戦う運命。

真司の覚悟さえも打ち破って付きまとう戦火の嵐。
やめろ。やめてくれ。
そんな声を聞き入れてくれるはずもなく……

13人という、少数での戦いは100人と規模を増し、真司の前に降りかかった。

「蓮……」

名簿を見ると、「秋山」という名前はかなり上の方にあった。同時に、「浅倉」の名前も目に入る。
それから、北岡秀一、手塚海之、須藤雅史と知った名前が幾つかあった。いずれも面識がある。ただ、死人の名前も多く含まれているのが気がかりだが……。
この世界では、タイガの変身者は別の名前であるため、東條悟の名前は知る由もない。

蓮や、手塚、須藤……彼らは死んでも尚、また戦いに巻き込まれたということなのだろうか。
いくら何度、「願いが叶う」といわれても、この無限連鎖の戦いから抜け出そうと思わないのだろうか。

(俺は……そんなの認めない!)

魂さえ休ませず、何度も繰り返される殺し合いの渦。
その戦いを、真司は何度だって終わらせたいと思っていた。
自分ひとりが犠牲になっても、戦いを止めたい──それが真司の願いだ。

或いは、いつか自分も彼らと同じように、その願いのために戦いを始めるかもしれない。
ただ、くじけるまでは──それ以外の方法がないとわかるまでは──。

(この世界にもコアがあるはずだ! 蓮……悪いけど俺はまた、お前の願いを裏切る。少なくとも、この殺し合いだけは終わらせてみせる!)

それから、真司の行動もまた決まっていた。
ライダーバトルのときと同じだ。
蓮のように、この殺し合いにも本心ではやりたくないっていう人がきっといるだろう。
或いは、真司のように強く否定している人もいるかもしれない。
手当たり次第、人を見つけて殺し合いをやめさせていこう。誰も殺し合いをしなければ、ビッグバンだってつまらなくなって、こんなことはやめるだろう。

「あっ! そこの人! ちょっと待って──」

真司はそんな思考と同時に、参加者を見つけることができた。
腰に届くほどの長く黄色いつやのある髪……体格から、すぐに女性だというのがわかる。
まあ、この時点では声をかけただけで、真司にとってその人が信用にたる人物か、どういう風格の人間かはまだわからない。

「あら、誰かしら?」

振り向いた女性は、20代後半くらいに見える。
美女に部類されるだろうが、雰囲気はどこか怪しく、真司といえども胡散臭さを感じさせるオーラを出している。
おそらく、この人は怒ったときよりも笑ったときのほうが怖いんだろうな……。
とにかく、誰と聞かれたので名前を告げた。

「俺、城戸真司っていいます。俺がやりたいのはこの殺し合いの打倒です。賛同してくれる人を捜してるんです!」

「立派な考えね……。でも、あなたが本当にそれを思っているかはわからないわ。人間なんて、所詮裏では何を考えてるかわからないもの。……そう、こういう風にね」

女性は、真司に銃を向けた。
真司の背筋が凍った。この女性の目が、笑っているようにも見えた。
銃口は鋭利な刃物と違い、人を殺すための部分が露出していないから、余計に怖さを感じた。未確定なものが飛び出てくるような、得体の知れない恐ろしさだった。

「殺し合いなんて、やめてください!」

それでも、真司は自分の主張を貫く。
死にたくないんじゃない……真司は、殺し合いがしたくないのだ。
たとえどんな願いのためでも、殺し合いの結果で得て欲しくはない。──真司の誰よりも強いエゴである。 
殺し合いもしたくないし、誰かが殺し合いをするのも見たくない。本人たちが殺し合いをするのを望んでいても、絶対に。
この女性が発砲してほしくないのは、真司の命のためではなく、真司の心のためである。

「くすくすくす……本当に意見を曲げないのねぇ。……ちょっとからかっただけよ、城戸くん」

「え?」

「これはモデルガンよ」

ふっと身体の力が抜けるのを感じた。
真司の目の前で構えられていた銃は下ろされる。もし、反撃でもしていたらどうするつもりだったのだろう。
いや、真司を試していたのかもしれない。彼は、勝手にそう思い込んだ。
相手にとっては、挨拶程度のからかいで、そんなことは微塵も考えていないというのに。

「私は鷹野三四。殺し合いに乗ってはいないわ」

「じゃあ、俺と一緒に殺し合いを潰してくれますか!?」

「変わった口説き文句ねぇ……どうしようかしら?」

「もう、こんなときに冗談ですか!? やめてくださいよ!」

「ふふっ。その通り。冗談よ。そんなに慌てなくたっていいじゃない」

鷹野のペースは、真司にとっても難しいものだ。
何というか、つかみ所がない。人を見透かしてからかっているような節があって、最初の印象通り不気味だった。
ただ、やはり同じ志を持つ者を集めている真司にとっては一緒に行動したい相手だ。むしろ、ここで切るわけにはいかない。頭数としても、何人もの人を集めたいからだ。
このゲームのコアを捜すうえでも、人は多いほうがいい。

──とにかく、真司は嫌だという感情も殺して彼女を連れた。

(ふふっ。モデルガンと言ったけど、この銃はホンモノよ……)

まさか、三四が反撃されたときの対処法を考えないはずもない。
モデルガンであることを見抜かれ、攻撃される心配もある中で、モデルガンなどつきつけるはずがない。
軍人とはいえ、三四は別に体術で階級を上げてきたわけではないのだから。

三四はただ、今はまだこの銃を使うときではないと判断したから、こうして真司に協力するフリをすることにしたのだ。
無闇やたらと人を殺して回ることに、この状況で意味があるか。
無論、そういう馬鹿も何名かはいる。が、相手は99人。そんな勝ち方が通るわけはない。女王感染者──古手梨花だって、この状況ではいつの間にか死んでいる可能性がある。
今は牙を潜め、心強い仲間を数名集めるのが良いだろう。ただ、逆に集めすぎると、些細なことが不信を呼び、内部で糸がもつれ始める。真司の場合はそれを起こす心配などしていそうにも見えない。
そういう時のための銃でもある。
既に、三四のゲームは始まっていた。

【1日目 深夜/E-5 草原】

【城戸真司@仮面ライダー龍騎】
【状態】健康
【装備】龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:このゲームのコアを破壊し、殺し合いを止める。
1:殺し合い反対の賛同者を集める。
2:とりあえずは三四と行動する。
3:他ライダーとのことは保留。
※TVSPの「殺し合いを止める」終了後より参戦です。東條の名前は知りません。
※この殺し合いにもコアがあると思っています。
※殺し合いがループされていると感じています。蓮、手塚、須藤もそれに巻き込まれて蘇ったと考えています。

【鷹野三四@ひぐらしのなく頃に】
【状態】健康
【装備】「エンフィールドNo.1MkIスター・改(6/6)@サクラ大戦
【道具】基本支給品一式、ランダム支給品0~2
【思考・状況】
基本行動方針:とりあえずはうまく生き残る。
1:現在は殺し合いに乗らず、城戸と行動する。
2:なるべく仲間の人数を増やしたくはない。
※少なくとも部活メンバーに本性を表す前からの参戦です。

027:最強であることを証明するために 投下順 029:白の死神
027:最強であることを証明するために 時系列順 029:白の死神
初登場 城戸真司 063:コアミラーを破壊せよ
初登場 鷹野三四 063:コアミラーを破壊せよ

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最終更新:2011年08月21日 19:54