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爆発!爆発!大爆発!」(2011/09/17 (土) 23:43:29) の最新版変更点

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*爆発!爆発!大爆発! ----  ロロ、チューボの二人が立つ場所はアッシュフォード学園の校庭。  二人は数時間の歩みとともにここにいた(ロロの体力では、チューボの歩速についていく時点でもきつかった)。  周囲の地形は明らかに学園の街並みではない。しかし、逆に学園内はまるで違いがなく、庭の隅々まで完全に同じと見える。──模造としては、異常なほど精巧である。  本物であるはずがないというのに、それは本物と見間違うほどに全てが似通っていた。  となると、それほどビッグバンの力が強大だということだろうか。  少なくとも、この学園は、ルルーシュ、ロロ、カレン、扇らに見せ付けるために用意されているは確実だ。特にロロには、兄と日常を過ごした場所として思いいれも深い。  そんな場所を殺し合いに使おうと言うビッグバンには憎しみさえ沸いた。  が、兄の優勝のためには従うしか無い。おそらく、ルルーシュならば自分を蘇らせてくれるだろうから……などと、実の兄の心にもないことを考えつつ、ロロは周囲の様子を見直した。タグスロンの鎧の中では、視界が多少狭くなり、違和感も出るが、眼前の男を見るくらいは支障がない。  ここに来てからというもの、チューボはあらゆる角度から刀の様子を見ている……その姿は武人然としており、その外形を纏う鎧と合わさり、乙な光景を作り上げていた。  だが、そうして刃物を持っている男を前にしている以上は、ロロもいつでもギアスが発動できるように警戒していた。つまり監視だ。  学園の様子を見たいのも確かだが、この男への警戒を怠ってはならない。  警戒を緩める余地を与える前に、チューボは突如として言葉を発した。 「剣に錆なし! 豪将タグスロン、稽古のお相手を願う!」  広い敷地に来たチューボは、鍛錬をしたくなったらしいのだ。  確かにアッシュフォード学園の校庭は馬鹿広く、彼の武人の心や向上心が促されたのは無理もないと言える。  ネロス帝国は毎日のように演習を行い、誇るだけの強さを得てからメタルダーを倒そうとする人間の集まりだ。  だが、ロロはこんなところで味方(利用相手)と刃を交えるような真似はしたくはない。死のリスクを高めてどうするというのか。そのため、この言葉に戸惑いながらも、強い口調で言った。 「──いや、今は稽古などすべきではない!」 「ネロス帝国ヨロイ軍団豪将ともあろう者が何を言うか! 攻撃しないというなら、この暴魂チューボから先手をしかけさせてもらおう!」  言うだけ無駄だったらしい。  チューボはある意味熱心な性格で、日々の鍛錬を何があっても欠かさないという性格だったのだ。  それゆえ、タグスロンもまた鍛錬に賛同的だと考えていたのだろう。タグスロンの否定への少しの苛立ちとともに、チューボは刀を構え、ギロリと相手を睨む。  そのままロロに向けて走り出してくる。腕を振るような動作をしないにも関わらず、それは韋駄天の如き速度であった。 「てぇぇぇぇえいっ!!」  向かってくるチューボは、斬る直前に掛け声を上げた。  それゆえ、ロロは相手が斬りかかる瞬間を捉え、────チューボの時を止める。  自分でも奇妙なほど冷静だった。チューボがもはや人の枠を超えるほどに俊敏な動きをしたというのに。  すさまじい勢いで駆ける男の後ろに回り、ロロは薙刀を構える。この程度ならば、ロロの心臓が止まっても大きな支障はない。いつも使っているレベルだ。  そのまま、時が戻る。 「何!? 消えた!!」  驚愕のチューボは、タグスロンが背後にいることを気配で悟る。  すると即座に刀を構えなおしたが、…………やめた。 「……流石は豪将だ。腕は確かだな。これならばメタルダーも敵ではない」 「……」 「俺は向こうで鍛錬を続ける。戻ってくるまでは俺の荷物を預かっていてくれ」 「わかった」  ロロは内心ではホッとしている。  あれではいつ斬られても可笑しくはなかった。ギアスがなければ、あるいは発動が一瞬遅ければ死んでいただろう。まあ、ロロのように波乱の生き方をしている人間には日常だが、それにしても死にかけるのは慣れない。  ともかく、この男が自分に荷物を預けてしばらくどこかへ消えてくれるというのなら、それに越したことはないだろう。  チューボも鍛錬をしたかったが、その最中にデイパックをそこらに置いて、奪われるのはイヤだった。そのため、信頼できる人間にデイパックを預けたのだ。  安心したようで、そのまま、チューボは鎧を引きずるようにどこかへ消えていく。  ……さて。  まずはチューボが何を所持しているかの確認だ。あくまで奪取ではなく確認。  彼も所持品を確認している可能性があり、あるべきものが消えていたら信頼関係に皹が生まれる。相手がロロをタグスロンなる人物と見てくれる最高のシチュエーションを、くだらないことで水泡に返すわけにはいかないだろう。  ロロはひとつめの支給品を手に取る。 (使用者が限られる銃か……)  ディバイトランチャー。使用者はナイトレイダーの隊員に限られており、それがここにいるか否かはともかく、ロロにとってマイナスの意味しかなさない支給品であることは間違いない。  ナイトレイダーの隊員に奪われるリスクを考えると、破壊しておきたいものなのだが、そんなに柔な出来でないのく、それがチューボに疑念を抱かせる可能性があるのが残念である。  それから、もうひとつの支給品も手に取った。 (それに、サクラダイトの爆弾か)  ロロも知る高性能爆弾がデイパックに放り込まれていた。殺傷能力の高い武器ゆえ、ここにあるのは当然であろうと思えた。  殺し合いの支給品として支給するならば、こうしたものが確かに有効。ロロもタグスロンの鎧と薙刀以上に、このサクラダイト爆弾を支給されたほうが良かっただろう。 (今は怪しまれないためにも、あいつのデイパックに入れておくしかないか……)  ロロはそれを残念に思う。  まあ、うまくそそのかして敵を爆破させるポイントに設置することもできるだろう。  おそらく利害関係も一致する。 「おーい! 助けてくれぇっ!」  と、サクラダイト爆弾をデイパックに戻した時、遠くからチューボの声が聞こえた。  助けを求める声、か。危険でもあるが、信頼関係を崩さないためにも出向いた方がいいだろう。  仕方が無い。  ロロは動きにくい体を前に出し、声の元へ向かっていった。 ★ ★ ★ ★ ★ 「変わったヤツが多いな、このバトルロワイアルとかいうものは……」  白波鋼一はあれからしばらく、この豪奢な学園の校舎に肩を任せて身体を休めていた。しばらく誰も来ることはないと思っていたのだ。  元々、そういう家柄にあった白波家には本来あるべき場所に近い。  この学園の設備はかなり整っており、白波にも休み場はいくらでもあった。  だが、他の参加者が入ってきた時、白波の中から安息の時間など消え去る。こちらに向かってくる鎧の男をギロリと睨んだ。 「どうやら、また動かなければならないようだな……」  ウィンチェスターライフルを構えた白波は、鎧の男に一度、その弾丸を撃った。  が、鎧はかなり硬いらしく、跳ね飛んでいく。跳弾した弾は、地面に刺さる。  まあ、これは白波にとっても想定の範囲内である。試しにやったという程度だ。  彼としては、この弾丸のひとつくらい、容易にくれてやるもの。本命はザンリュウジンだ。  この一撃は、ある意味で相手に気づかせるためのものだった。  無論、それで鎧の男──チューボも自分を銃撃した敵の存在に気づかないはずがない。チューボからすれば、仮面とマントをつけていようが相手は人間。  生意気にも自分に銃を向けた生身の人間だ。当然、押し切れる相手だと認識していた。確かにチューボも同じ人間であるが、能力は桁違いだろう。  すぐさま、その男に向けて言葉を発する。 「──見たな!? 人間! 俺の姿を見た者は生かしておけん」  ネロス帝国の団員を見た者は殺害だ。そうして彼らの暗躍は成り立つことになる。  鍛錬のためにここへやってきたチューボも、人間に会って銃撃を受けるとは思っていなかっただろう。  愛用の刀を構え、すぐさま相手の下へと駆けて行く。普通、こんなことをされれば、相手は怯える様子を見せるのだが、今この仮面の男には凛とこちらを見据えたままだった。 『さっさとやっちまおうぜ』 「わかっている、ザンリュウジン」  白波はザンリュウジンを構え、「リュウジンキー」と呟くとそれらを力に変身しようとする。  ザンリュウジンにリュウジンキーが刺さった時、ザンリュウジンの声が鳴った。 ──チェンジ・リュウジンオー── 「斬龍変身!」  白波のマスクは、シャープな黒から、ごつごつとしたドクロマークの黒へと変わる。その名は魔弾闘士リュウジンオー。  その一瞬の変身に、チューボは戸惑い、突撃の動作を一瞬遅らせた。  そんなチューボの腹部に、長斧が突き刺さった。ザンリュウジンのアックスである。  チューボは、自分の戸惑いを後悔しながら、体勢を立て直す。  敵はまるでメタルダーの如く、人の姿をしながら異形へと変身したのだ。一筋縄でいく相手ではない。 「てやぁっ!」  遠距離に立ったところで、チューボはその頭部の三日月から手裏剣を出す。  それはチューボの身体に隠された武器の一つである。  幾つもの三日月が、すさまじい速さでリュウジンオーに向かっていった。  冷静に状況を見たリュウジンオーは、その一つ一つを的確に打ち落とした。  が、これの特徴は、物体に当たると爆破する点である。  打ち落としたはずの手裏剣が爆破し、リュウジンオーはひるんだ。  そこへつけこみ、チューボは刀を脇に向かっていく。  剣術の達人である彼にも、こうした手は基本として使われる。 「せいっ!」  リュウジンオーの左肩から右わき腹にかけて、斬撃を与える。一瞬後退したリュウジンオーだが、すぐに身体を持ち直してザンリュウジンの刃を両腕で前方に向けてたたきつける。  そこにあったのは、チューボの頭である。  チューボの頭部の三日月が無残にも破壊される。もちろん、鎧の中にある頭にも相当な負担がかかったことだろう。 「……ぐっ!」  武器の一つを破壊されたことで、チューボは嘆いた。  愛用の刀では、ザンリュジンよりもヒットが短い。それゆえ、今の武器で分が悪いのは確かだ。  と、その時、今の相棒のことを思い出す。  タグスロン──彼は薙刀が武器。そのうえ、常に兄と二人で行動することが多い彼はチームワークにも長ける。  彼を今ここで召喚すべきか──。 「おーい! 助けてくれぇっ!」  情けないながらも、タグスロン──ロロを呼ぶ大声を発した。  それまでは何とか時間を稼ぎたいものである。  攻撃はしかけず、一撃一撃を確かに回避していく方が良い。 ★ ★ ★ ★ ★  駆けつけたロロが見たのは、チューボへと襲い掛かる仮面の戦士であった。  長斧を振るうリュウジンオーと、それを剣をうまく使って防いでいくチューボである。 『仲間が来やがったぜ!』 「構わん。二人とも倒すのみだ!」  ロロは、すぐに狙いをつけられたことに戦慄する。二つの声が聞こえた事から、近くにもう一人いる可能性を、ロロは疑う。  ロロとしては、もう少しチューボに時間を稼いでいて欲しかったところだった。  だが、チューボがこれ以上時間を稼げないということを示す事象が、すぐに起こってしまったのだ。 「ぐっ!」  一区切りついたと見たのか、ザンリュウジンはチューボの刀をへし折った。  いや、すでに耐久地が限界だったのかもしれない。ともかく、折れた刃が地面に刺さり、チューボもロロも分の悪さを痛感した。  先端のない刀を構えるチューボは何を思って対峙しているのだろう。  まあ、どちらにせよロロの考えはすぐに読み取れる。  剣を失った剣士に使いようはない。たとえ、どれだけ強い力を持っていようと、ここで道連れの死を求めてくるような男を、味方につけていたくはない。  ──切る。  この男は、ここで切る。  これ以上は邪魔だ。  ……が、切ったところで、もう片方の敵がどうにもならないだろう。  うまく、この男を活用できる切り方はないだろうか。  この男はどう見積もってもあと数十秒の命。どちらにせよ、彼に待つのは死である。  それを悟ってか、チューボは叫んだ。 「応戦だ! 応戦を頼む!」  そんなチューボの必死の要求がロロの耳に入ったとき、  ────ロロ以外の二名の体感時間が止まった。 (これを使うのは勿体無いけど……)  サクラダイト爆弾。  数秒でデイパックから取り出しされたその破壊兵器を持ち、ロロはすぐさまチューボの元に向かった。  すぐに心臓はきつくなる。ロロのギアスは、発動中、己の心臓長を止めてしまう。とてもじゃないが、長い時間できるものじゃないのだ。  それゆえ、ロロは少し駆け足であった。  チューボの兜を外し、鎧の中にサクラダイト爆弾を詰め込む。 (くっ……もう持たない……っ!)  ロロのギアスは、チューボの兜を装着したところで停止してしまった。  なんと、ロロの眼前にチューボがあり、リュウジンオーがあるのだ。  相手も相手で、一瞬で彼が眼前まで移動したことを驚愕している。 (今のうちに……っ!)  時が戻って間もなく──それは、相手が驚き凍り固まる、第二の体感時間静止である。  それを利用し、ロロはチューボの背後から、逃走を試みた。  手元にあるスイッチが押されれば、チューボの身体は大爆発を起こす。その際に近くにいれば、自分もダメージを受けることは間違いなしだ。  だから、ロロの足取りは鎧の重さに耐えながらも、出来うる限り俊敏なものであった。 「おいっ、どこに────!?」  一連の「タグスロン」の不可解な行動による疑問の声は、爆音にかき消された。  タグスロンの親指が既にスイッチを絡め取っていたのである。  そのせいで、チューボはタグスロンの行動への解も知ることなく、まして自分が死ぬ事さえ気づかずに、炎の中に消えていた。  鎧はかなり丈夫なようで、被害はロロが思ったよりも遥かに小さい。木っ端微塵に吹き飛んだチューボの鎧のひとかけらがロロの足に飛んできた。  ロロはそれを掴み、生存のための尊き犠牲を前にした証として、デイパックに入れる。 (この近くにまだ誰かいるかもしれない……すぐに逃げないと!)  そういえば、先ほど敵は二つの声を喋っていた。  誰かが周囲の様子を連絡していた様子がある。爆発に巻き込まれた方の相手を確認する暇などない。  一切、ロロやチューボに手出しをしなかったことから、狙撃などできる状態じゃない──武器はないと察せるが、それでもこの学園からは逃げたほうが良さそうだと感じ、ロロは走った。 ★ ★ ★ ★ ★  白波は目の前で起こったことがまるでわからなかった。  衝撃があまりに強かったために変身も解けており、ゼロのマスクとマントをつけて、煙の中から飛び出ていく。  一酸化炭素中毒にもなりかねない。 「……なんだったんだ、今のは……」 『ヤツは、白波とアイツの体感時間を止めてやがったんだ』 「何!?」 『俺たちに何かをする様子はなかったから様子を見てたんだが、まさか爆弾だったとはなぁ』 「……なるほど。コイツは仲間に裏切られたわけか」  白波が見た、黒煙の中では、その男がどんな無残な姿になっているかもわからなかったし、見たいとも思わない。  ともかく、今知ることができたのは、相手が体感時間を止める能力をもっているという点だった。  そのうえ、協力するには信頼に足らないタイプ。まあ、仲間を作らない白波が考えることではないが。 「ここからは離れたほうがよさそうだな」 『ああ』  白波とザンリュウジンは、体勢を立て直そうと、黒煙を背景にして歩き出した。  目的のためには、次の敵も容赦なく斬る──その考え方はまだ変わらない。  仲間に裏切られて死んだこの男も哀れではあるが、自分もさぞ哀れに見えるだろう、と少しだけ思った。 &color(red){【暴魂チューボ@超人機メタルダー 死亡】} &color(red){残り85人} 【1日目 早朝/A-2 アッシュフォード学園】 【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【状態】心臓に多少の負担がかかっています、タグスロンの鎧を装着 【装備】タグスロンの鎧と薙刀@超人機メタルダー、ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス 【道具】基本支給品一式×2、チューボの鎧の破片、サクラダイド爆弾の爆破スイッチ(爆弾は使用済み)@コードギアス 反逆のルルーシュ 【思考・状況】 基本行動方針:兄を優勝させるため、殺し合いに乗る。 1:ともかく今は逃げる。 ※チューボの名前を知りません。 ※メタルダー、ネロス帝国、軍団長、タグスロンなどメタルダー世界の断片的なキーワードは知っています。 ※リュウジンオーには別の場所から連絡をする仲間がいると思っています。 ※ロロのギアスは、支給品などには効きませんので、ゲキリュウケンたちは問題なく意思を保てます。 ※ディバイトランチャーは弧門、凪、石堀しか使用できません。 【白波鋼一@魔弾戦記リュウケンドー】 【状態】健康、ゼロの服装、リュウジンオーに二時間変身不可 【装備】ザンリュウジン+リュウジンキー@魔弾戦記リュウケンドー、ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ、ウィンチェスターライフル(11/14)@現実 【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品1~3 【思考・状況】 基本行動方針:優勝し、元の世界に帰って天地に復讐する。 0:学園を出る。 1:元の世界に帰れるなら何でもするが、帰れる可能性が高いので参加者を殺す。 2:殺人は少し申し訳ない気持ちもある。 3:スザク、シンク、まどかなどの捜索。 4:体感時間を止める能力を警戒。 ※参戦時期は第18話で悪夢を見てから。 ※ホッパーをS.H.O.Tの新たな生態改造人間と誤解しています。 ※鎧の男(ロロ)が体感時間を止める能力があることを知りました。 |079:[[放送までのTimelimit]]|投下順|| |079:[[放送までのTimelimit]]|時系列順|| |024:[[『弟』]]|暴魂チューボ|COLOR(red):死亡| |024:[[『弟』]]|ロロ・ランペルージ|| |040:[[激突!仮面ライダー対魔弾闘士]]|白波鋼一||
*爆発!爆発!大爆発! ----  ロロ、チューボの二人が立つ場所はアッシュフォード学園の校庭。  二人は数時間の歩みとともにここにいた(ロロの体力では、チューボの歩速についていく時点でもきつかった)。  周囲の地形は明らかに学園の街並みではない。しかし、逆に学園内はまるで違いがなく、庭の隅々まで完全に同じと見える。──模造としては、異常なほど精巧である。  本物であるはずがないというのに、それは本物と見間違うほどに全てが似通っていた。  となると、それほどビッグバンの力が強大だということだろうか。  少なくとも、この学園は、ルルーシュ、ロロ、カレン、扇らに見せ付けるために用意されているは確実だ。特にロロには、兄と日常を過ごした場所として思いいれも深い。  そんな場所を殺し合いに使おうと言うビッグバンには憎しみさえ沸いた。  が、兄の優勝のためには従うしか無い。おそらく、ルルーシュならば自分を蘇らせてくれるだろうから……などと、実の兄の心にもないことを考えつつ、ロロは周囲の様子を見直した。タグスロンの鎧の中では、視界が多少狭くなり、違和感も出るが、眼前の男を見るくらいは支障がない。  ここに来てからというもの、チューボはあらゆる角度から刀の様子を見ている……その姿は武人然としており、その外形を纏う鎧と合わさり、乙な光景を作り上げていた。  だが、そうして刃物を持っている男を前にしている以上は、ロロもいつでもギアスが発動できるように警戒していた。つまり監視だ。  学園の様子を見たいのも確かだが、この男への警戒を怠ってはならない。  警戒を緩める余地を与える前に、チューボは突如として言葉を発した。 「剣に錆なし! 豪将タグスロン、稽古のお相手を願う!」  広い敷地に来たチューボは、鍛錬をしたくなったらしいのだ。  確かにアッシュフォード学園の校庭は馬鹿広く、彼の武人の心や向上心が促されたのは無理もないと言える。  ネロス帝国は毎日のように演習を行い、誇るだけの強さを得てからメタルダーを倒そうとする人間の集まりだ。  だが、ロロはこんなところで味方(利用相手)と刃を交えるような真似はしたくはない。死のリスクを高めてどうするというのか。そのため、この言葉に戸惑いながらも、強い口調で言った。 「──いや、今は稽古などすべきではない!」 「ネロス帝国ヨロイ軍団豪将ともあろう者が何を言うか! 攻撃しないというなら、この暴魂チューボから先手をしかけさせてもらおう!」  言うだけ無駄だったらしい。  チューボはある意味熱心な性格で、日々の鍛錬を何があっても欠かさないという性格だったのだ。  それゆえ、タグスロンもまた鍛錬に賛同的だと考えていたのだろう。タグスロンの否定への少しの苛立ちとともに、チューボは刀を構え、ギロリと相手を睨む。  そのままロロに向けて走り出してくる。腕を振るような動作をしないにも関わらず、それは韋駄天の如き速度であった。 「てぇぇぇぇえいっ!!」  向かってくるチューボは、斬る直前に掛け声を上げた。  それゆえ、ロロは相手が斬りかかる瞬間を捉え、────チューボの時を止める。  自分でも奇妙なほど冷静だった。チューボがもはや人の枠を超えるほどに俊敏な動きをしたというのに。  すさまじい勢いで駆ける男の後ろに回り、ロロは薙刀を構える。この程度ならば、ロロの心臓が止まっても大きな支障はない。いつも使っているレベルだ。  そのまま、時が戻る。 「何!? 消えた!!」  驚愕のチューボは、タグスロンが背後にいることを気配で悟る。  すると即座に刀を構えなおしたが、…………やめた。 「……流石は豪将だ。腕は確かだな。これならばメタルダーも敵ではない」 「……」 「俺は向こうで鍛錬を続ける。戻ってくるまでは俺の荷物を預かっていてくれ」 「わかった」  ロロは内心ではホッとしている。  あれではいつ斬られても可笑しくはなかった。ギアスがなければ、あるいは発動が一瞬遅ければ死んでいただろう。まあ、ロロのように波乱の生き方をしている人間には日常だが、それにしても死にかけるのは慣れない。  ともかく、この男が自分に荷物を預けてしばらくどこかへ消えてくれるというのなら、それに越したことはないだろう。  チューボも鍛錬をしたかったが、その最中にデイパックをそこらに置いて、奪われるのはイヤだった。そのため、信頼できる人間にデイパックを預けたのだ。  安心したようで、そのまま、チューボは鎧を引きずるようにどこかへ消えていく。  ……さて。  まずはチューボが何を所持しているかの確認だ。あくまで奪取ではなく確認。  彼も所持品を確認している可能性があり、あるべきものが消えていたら信頼関係に皹が生まれる。相手がロロをタグスロンなる人物と見てくれる最高のシチュエーションを、くだらないことで水泡に返すわけにはいかないだろう。  ロロはひとつめの支給品を手に取る。 (使用者が限られる銃か……)  ディバイトランチャー。使用者はナイトレイダーの隊員に限られており、それがここにいるか否かはともかく、ロロにとってマイナスの意味しかなさない支給品であることは間違いない。  ナイトレイダーの隊員に奪われるリスクを考えると、破壊しておきたいものなのだが、そんなに柔な出来でないのく、それがチューボに疑念を抱かせる可能性があるのが残念である。  それから、もうひとつの支給品も手に取った。 (それに、サクラダイトの爆弾か)  ロロも知る高性能爆弾がデイパックに放り込まれていた。殺傷能力の高い武器ゆえ、ここにあるのは当然であろうと思えた。  殺し合いの支給品として支給するならば、こうしたものが確かに有効。ロロもタグスロンの鎧と薙刀以上に、このサクラダイト爆弾を支給されたほうが良かっただろう。 (今は怪しまれないためにも、あいつのデイパックに入れておくしかないか……)  ロロはそれを残念に思う。  まあ、うまくそそのかして敵を爆破させるポイントに設置することもできるだろう。  おそらく利害関係も一致する。 「おーい! 助けてくれぇっ!」  と、サクラダイト爆弾をデイパックに戻した時、遠くからチューボの声が聞こえた。  助けを求める声、か。危険でもあるが、信頼関係を崩さないためにも出向いた方がいいだろう。  仕方が無い。  ロロは動きにくい体を前に出し、声の元へ向かっていった。 ★ ★ ★ ★ ★ 「変わったヤツが多いな、このバトルロワイアルとかいうものは……」  白波鋼一はあれからしばらく、この豪奢な学園の校舎に肩を任せて身体を休めていた。しばらく誰も来ることはないと思っていたのだ。  元々、そういう家柄にあった白波家には本来あるべき場所に近い。  この学園の設備はかなり整っており、白波にも休み場はいくらでもあった。  だが、他の参加者が入ってきた時、白波の中から安息の時間など消え去る。こちらに向かってくる鎧の男をギロリと睨んだ。 「どうやら、また動かなければならないようだな……」  ウィンチェスターライフルを構えた白波は、鎧の男に一度、その弾丸を撃った。  が、鎧はかなり硬いらしく、跳ね飛んでいく。跳弾した弾は、地面に刺さる。  まあ、これは白波にとっても想定の範囲内である。試しにやったという程度だ。  彼としては、この弾丸のひとつくらい、容易にくれてやるもの。本命はザンリュウジンだ。  この一撃は、ある意味で相手に気づかせるためのものだった。  無論、それで鎧の男──チューボも自分を銃撃した敵の存在に気づかないはずがない。チューボからすれば、仮面とマントをつけていようが相手は人間。  生意気にも自分に銃を向けた生身の人間だ。当然、押し切れる相手だと認識していた。確かにチューボも同じ人間であるが、能力は桁違いだろう。  すぐさま、その男に向けて言葉を発する。 「──見たな!? 人間! 俺の姿を見た者は生かしておけん」  ネロス帝国の団員を見た者は殺害だ。そうして彼らの暗躍は成り立つことになる。  鍛錬のためにここへやってきたチューボも、人間に会って銃撃を受けるとは思っていなかっただろう。  愛用の刀を構え、すぐさま相手の下へと駆けて行く。普通、こんなことをされれば、相手は怯える様子を見せるのだが、今この仮面の男には凛とこちらを見据えたままだった。 『さっさとやっちまおうぜ』 「わかっている、ザンリュウジン」  白波はザンリュウジンを構え、「リュウジンキー」と呟くとそれらを力に変身しようとする。  ザンリュウジンにリュウジンキーが刺さった時、ザンリュウジンの声が鳴った。 ──チェンジ・リュウジンオー── 「斬龍変身!」  白波のマスクは、シャープな黒から、ごつごつとしたドクロマークの黒へと変わる。その名は魔弾闘士リュウジンオー。  その一瞬の変身に、チューボは戸惑い、突撃の動作を一瞬遅らせた。  そんなチューボの腹部に、長斧が突き刺さった。ザンリュウジンのアックスである。  チューボは、自分の戸惑いを後悔しながら、体勢を立て直す。  敵はまるでメタルダーの如く、人の姿をしながら異形へと変身したのだ。一筋縄でいく相手ではない。 「てやぁっ!」  遠距離に立ったところで、チューボはその頭部の三日月から手裏剣を出す。  それはチューボの身体に隠された武器の一つである。  幾つもの三日月が、すさまじい速さでリュウジンオーに向かっていった。  冷静に状況を見たリュウジンオーは、その一つ一つを的確に打ち落とした。  が、これの特徴は、物体に当たると爆破する点である。  打ち落としたはずの手裏剣が爆破し、リュウジンオーはひるんだ。  そこへつけこみ、チューボは刀を脇に向かっていく。  剣術の達人である彼にも、こうした手は基本として使われる。 「せいっ!」  リュウジンオーの左肩から右わき腹にかけて、斬撃を与える。一瞬後退したリュウジンオーだが、すぐに身体を持ち直してザンリュウジンの刃を両腕で前方に向けてたたきつける。  そこにあったのは、チューボの頭である。  チューボの頭部の三日月が無残にも破壊される。もちろん、鎧の中にある頭にも相当な負担がかかったことだろう。 「……ぐっ!」  武器の一つを破壊されたことで、チューボは嘆いた。  愛用の刀では、ザンリュジンよりもヒットが短い。それゆえ、今の武器で分が悪いのは確かだ。  と、その時、今の相棒のことを思い出す。  タグスロン──彼は薙刀が武器。そのうえ、常に兄と二人で行動することが多い彼はチームワークにも長ける。  彼を今ここで召喚すべきか──。 「おーい! 助けてくれぇっ!」  情けないながらも、タグスロン──ロロを呼ぶ大声を発した。  それまでは何とか時間を稼ぎたいものである。  攻撃はしかけず、一撃一撃を確かに回避していく方が良い。 ★ ★ ★ ★ ★  駆けつけたロロが見たのは、チューボへと襲い掛かる仮面の戦士であった。  長斧を振るうリュウジンオーと、それを剣をうまく使って防いでいくチューボである。 『仲間が来やがったぜ!』 「構わん。二人とも倒すのみだ!」  ロロは、すぐに狙いをつけられたことに戦慄する。二つの声が聞こえた事から、近くにもう一人いる可能性を、ロロは疑う。  ロロとしては、もう少しチューボに時間を稼いでいて欲しかったところだった。  だが、チューボがこれ以上時間を稼げないということを示す事象が、すぐに起こってしまったのだ。 「ぐっ!」  一区切りついたと見たのか、ザンリュウジンはチューボの刀をへし折った。  いや、すでに耐久地が限界だったのかもしれない。ともかく、折れた刃が地面に刺さり、チューボもロロも分の悪さを痛感した。  先端のない刀を構えるチューボは何を思って対峙しているのだろう。  まあ、どちらにせよロロの考えはすぐに読み取れる。  剣を失った剣士に使いようはない。たとえ、どれだけ強い力を持っていようと、ここで道連れの死を求めてくるような男を、味方につけていたくはない。  ──切る。  この男は、ここで切る。  これ以上は邪魔だ。  ……が、切ったところで、もう片方の敵がどうにもならないだろう。  うまく、この男を活用できる切り方はないだろうか。  この男はどう見積もってもあと数十秒の命。どちらにせよ、彼に待つのは死である。  それを悟ってか、チューボは叫んだ。 「応戦だ! 応戦を頼む!」  そんなチューボの必死の要求がロロの耳に入ったとき、  ────ロロ以外の二名の体感時間が止まった。 (これを使うのは勿体無いけど……)  サクラダイト爆弾。  数秒でデイパックから取り出しされたその破壊兵器を持ち、ロロはすぐさまチューボの元に向かった。  すぐに心臓はきつくなる。ロロのギアスは、発動中、己の心臓長を止めてしまう。とてもじゃないが、長い時間できるものじゃないのだ。  それゆえ、ロロは少し駆け足であった。  チューボの兜を外し、鎧の中にサクラダイト爆弾を詰め込む。 (くっ……もう持たない……っ!)  ロロのギアスは、チューボの兜を装着したところで停止してしまった。  なんと、ロロの眼前にチューボがあり、リュウジンオーがあるのだ。  相手も相手で、一瞬で彼が眼前まで移動したことを驚愕している。 (今のうちに……っ!)  時が戻って間もなく──それは、相手が驚き凍り固まる、第二の体感時間静止である。  それを利用し、ロロはチューボの背後から、逃走を試みた。  手元にあるスイッチが押されれば、チューボの身体は大爆発を起こす。その際に近くにいれば、自分もダメージを受けることは間違いなしだ。  だから、ロロの足取りは鎧の重さに耐えながらも、出来うる限り俊敏なものであった。 「おいっ、どこに────!?」  一連の「タグスロン」の不可解な行動による疑問の声は、爆音にかき消された。  タグスロンの親指が既にスイッチを絡め取っていたのである。  そのせいで、チューボはタグスロンの行動への解も知ることなく、まして自分が死ぬ事さえ気づかずに、炎の中に消えていた。  鎧はかなり丈夫なようで、被害はロロが思ったよりも遥かに小さい。木っ端微塵に吹き飛んだチューボの鎧のひとかけらがロロの足に飛んできた。  ロロはそれを掴み、生存のための尊き犠牲を前にした証として、デイパックに入れる。 (この近くにまだ誰かいるかもしれない……すぐに逃げないと!)  そういえば、先ほど敵は二つの声を喋っていた。  誰かが周囲の様子を連絡していた様子がある。爆発に巻き込まれた方の相手を確認する暇などない。  一切、ロロやチューボに手出しをしなかったことから、狙撃などできる状態じゃない──武器はないと察せるが、それでもこの学園からは逃げたほうが良さそうだと感じ、ロロは走った。 ★ ★ ★ ★ ★  白波は目の前で起こったことがまるでわからなかった。  衝撃があまりに強かったために変身も解けており、ゼロのマスクとマントをつけて、煙の中から飛び出ていく。  一酸化炭素中毒にもなりかねない。 「……なんだったんだ、今のは……」 『ヤツは、白波とアイツの体感時間を止めてやがったんだ』 「何!?」 『俺たちに何かをする様子はなかったから様子を見てたんだが、まさか爆弾だったとはなぁ』 「……なるほど。コイツは仲間に裏切られたわけか」  白波が見た、黒煙の中では、その男がどんな無残な姿になっているかもわからなかったし、見たいとも思わない。  ともかく、今知ることができたのは、相手が体感時間を止める能力をもっているという点だった。  そのうえ、協力するには信頼に足らないタイプ。まあ、仲間を作らない白波が考えることではないが。 「ここからは離れたほうがよさそうだな」 『ああ』  白波とザンリュウジンは、体勢を立て直そうと、黒煙を背景にして歩き出した。  目的のためには、次の敵も容赦なく斬る──その考え方はまだ変わらない。  仲間に裏切られて死んだこの男も哀れではあるが、自分もさぞ哀れに見えるだろう、と少しだけ思った。 &color(red){【暴魂チューボ@超人機メタルダー 死亡】} &color(red){残り85人} 【1日目 早朝/A-2 アッシュフォード学園】 【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】 【状態】心臓に多少の負担がかかっています、タグスロンの鎧を装着 【装備】タグスロンの鎧と薙刀@超人機メタルダー、ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス 【道具】基本支給品一式×2、チューボの鎧の破片、サクラダイド爆弾の爆破スイッチ(爆弾は使用済み)@コードギアス 反逆のルルーシュ 【思考・状況】 基本行動方針:兄を優勝させるため、殺し合いに乗る。 1:ともかく今は逃げる。 ※チューボの名前を知りません。 ※メタルダー、ネロス帝国、軍団長、タグスロンなどメタルダー世界の断片的なキーワードは知っています。 ※リュウジンオーには別の場所から連絡をする仲間がいると思っています。 ※ロロのギアスは、支給品などには効きませんので、ゲキリュウケンたちは問題なく意思を保てます。 ※ディバイトランチャーは弧門、凪、石堀しか使用できません。 【白波鋼一@魔弾戦記リュウケンドー】 【状態】健康、ゼロの服装、リュウジンオーに二時間変身不可 【装備】ザンリュウジン+リュウジンキー@魔弾戦記リュウケンドー、ゼロの仮面とマント@コードギアス 反逆のルルーシュ、ウィンチェスターライフル(11/14)@現実 【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品1~3 【思考・状況】 基本行動方針:優勝し、元の世界に帰って天地に復讐する。 0:学園を出る。 1:元の世界に帰れるなら何でもするが、帰れる可能性が高いので参加者を殺す。 2:殺人は少し申し訳ない気持ちもある。 3:スザク、シンク、まどかなどの捜索。 4:体感時間を止める能力を警戒。 ※参戦時期は第18話で悪夢を見てから。 ※ホッパーをS.H.O.Tの新たな生態改造人間と誤解しています。 ※鎧の男(ロロ)が体感時間を止める能力があることを知りました。 |079:[[放送までのTimelimit]]|投下順|081:[[王を超える切札]]| |079:[[放送までのTimelimit]]|時系列順|081:[[王を超える切札]]| |024:[[『弟』]]|暴魂チューボ|COLOR(red):死亡| |024:[[『弟』]]|ロロ・ランペルージ|| |040:[[激突!仮面ライダー対魔弾闘士]]|白波鋼一||

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