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風のうなりに血がさわぎ」(2011/08/28 (日) 14:44:26) の最新版変更点

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*風のうなりに血がさわぎ ---- 風見志郎は蒸気バイクを走らせていた。  捜し人がいるとはいえ、行くあてはない。海の付近、マップの西端、数分前に走ったばかりの道──あらゆる場所を走っている。  今のところ、その走った順はC-2、B-2、C-1、D-1、D-2、再びC-2とただ、舗装された道をランダムで走っていくだけ。それもペースはバイクとしては遅めに調整してある。  何せ、全エリアが禁止エリアになるまでにこのかくれんぼを終わらせなければならないのだ。  それも、禁止エリアに囲まれた状態で残り複数人いたとすれば、動くに動けなくなってしまう。  だからこそ、逆にバイクをゆっくりと走らせている。獲物をひとりひとり確実に殺していかねば、バイクが通り過ぎることだってあるのだ。  特殊な電波でも流しているのか、改造人間としての聴力も弱まっている。ただ、普通の人間のそれよりは遥かに強い。  人がいても、その音や声がこのバイクの音にはかき消されることはないだろう。 「……この近くか」  先ほども、その聴力でナガレを見つけている。  それと同じように、今もまた参加者を見つけ出そうとしている。  ……なるほど。どうやら、今聞こえた音は「死」の音らしい。  死を匂わせる音が幾つも聞こえている。──今聞こえたのは、何かを拾い上げる音だ。  先ほどまでの戦いの音は途絶えていることから、勝敗が決したということなのだろう。  風見はそちらの様子を見にいくため、蒸気バイクを押し始めた。  既にそこには誰の姿もない。  ただ、ひとつ転がる肉の塊を除いては。 「……本郷猛」  その男の名を呟く。  ショッカーにたてついたという裏切り者のホッパー。同じくホッパーとして生み出された風見には、不愉快な「古人」の一人。時代遅れの能力で、なおもショッカーと戦う馬鹿な男。  どうやら、既に何者かによって消された後らしい。  風見はすぐにその死体の様子を見た。  心臓を一突き。また随分とエグい死に方だ。これは人工心臓を持つホッパーにとっては、辛い一撃となることだろう。  死ぬに死ねずの数分間。まあ、どちらにせよ改造人間にも出血多量による死はある。  今、彼が動かないのは彼にとって幸であるといえる。  彼の死体には、あるはずのデイパックというものがない。拾い上げる音は、彼のデイパックと考えるべきか。  戦闘時のマスクと予想していたが、どうやら違ったらしい。  改造人間の彼を倒すとは、なかなかの強者であるといえる。  まず、人間にはどんな手を使っても不可能。  なら──  シザーズジャガー。  奴が先に本郷を消したということだろうか。  ナノマシンで作られた改造人間だけあって、彼は本郷や一文字を凌ぐ戦闘能力を持っている。  あのハサミがこの本郷の胸の穴を作り上げた者だという確証は無かったが、刃物を使うという点も同じである。  この刺殺という共通点と、本郷を狙っていたことが、彼が加害者であるという推測を立たせていた。  まあ、それだけでは確証に値しない。  なぜなら、シザーズジャガーは改造後の名前、風見志郎や本郷猛、一文字隼人など一部の改造人間は人間時の名前で名簿に載っているからだ。ホッパーがややこしいから、とかいくらなんでもそんな理由ではないだろう。  たとえば、ジャークムーンという名前もショカーの改造人間のような名前も気になる。  風見でも過去の改造人間やその人間名など全員の名前など記憶しているはずもないし(その証拠に彼は三田村晴彦の名前を知らない)、人間の名前で載っている参加者がいたら風見でもわからない。  まあ、どちらにせよ…… (……いずれは私もあの男と戦うことになるのか)  シザーズジャガーは、自分を改造人間にした張本人である。風見の秘書もまた、奴によってチェーンソーリザードとなった。  ある意味で仇であり、ある意味で恩人とも言うべき人間だ。  まあ、風見も彼に特別強い思い入れはない。躊躇うことなく戦えるのは良いが、先ほど言ったとおり彼は戦闘力が高い。 (楽に殺せる相手は限られているみたいだ……一文字も殺してくれるとこちらも楽だが)  風見はシザーズジャガーほどショッカーに心酔していない。  逆にショッカーのやり方には疑問を抱くこともない。  だから、一文字の殺害という任務も引き受け、この状況でもなお果たそうとしていた。  それでも、自らの手で殺さずとも他に殺してくれる人間がいるというなら、それはそれでありがたいというものだ。 (しかし……ショッカーから二年も逃げ延びた強敵も、こうしてみるとあっけない最期だ)  ショッカーに追われたものは、いずれふっと表社会から消えていく。  本郷という男は、裏では頻繁にショッカーの改造人間に襲撃を受け、その身体を汚してきた。  死にそうなことも何度もあっただろうが、二年という長い月日を生き延びたのだ。  一文字という男も、リジェクションという病に近い反応をそれだけ長い間耐え抜いてきた。そんな弱点があるというのに、彼を殺すことはいまだ果たされず。  そんな本郷の苦痛の日々は、先ほどここで終わった。  そう思うと、感慨深い気もする。 (あなたはよくやりましたよ……敵ながら賞賛に値する。だが、これからは新しい時代だ──)  風見志郎──ホッパーVersion.3は再びバイクに跨った。  風見の今の聴力の範囲に参加者はいないらしい。本郷を殺害した者もまだ近くにいるだろうが、その者が発する音は既に途絶えていた。  この本郷という男は既に過去になったのだ。これ以上、ここでこの男の死体を気にかけることに意味はない。  風見がホッパーになる二年も前に出来上がった改造人間。技術も当然劣る。本郷より後に作られた一文字も同じだ。  新時代は自分が作る──そう言わんばかりに、風見はバイクとともに消えていった。 【1日目 黎明/B-2 街】 【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】 【状態】健康 【装備】蒸気バイク@サクラ大戦、君島の銃(4/4)@スクライド 【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品0~4、首輪(アカツキ) 【思考・状況】 基本行動方針:ショッカーに帰還するため、皆殺し。 1:一文字隼人を殺す。 2:首輪を安全に外す方法を考える。 3:本郷や一文字に代わり、新しい時代を拓く。 ※本編序盤からの参戦です。脳改造が解けていません。 ※本郷を殺害した犯人としてシザーズジャガーを考えています。 ※自分たちのほかにも改造人間がいる可能性があるかもしれないと考えています。 |068:[[ギガロの脅威/KとYの気づかぬ再会]]|投下順|070:[[花を散らせよ、乙女の意地で]]| |068:[[ギガロの脅威/KとYの気づかぬ再会]]|時系列順|070:[[花を散らせよ、乙女の意地で]]| |017:[[金持ちナメんなよ]]|風見志郎||
*風のうなりに血がさわぎ ----  風見志郎は蒸気バイクを走らせていた。  捜し人がいるとはいえ、行くあてはない。海の付近、マップの西端、数分前に走ったばかりの道──あらゆる場所を走っている。  今のところ、その走った順はC-2、B-2、C-1、D-1、D-2、再びC-2とただ、舗装された道をランダムで走っていくだけ。それもペースはバイクとしては遅めに調整してある。  何せ、全エリアが禁止エリアになるまでにこのかくれんぼを終わらせなければならないのだ。  それも、禁止エリアに囲まれた状態で残り複数人いたとすれば、動くに動けなくなってしまう。  だからこそ、逆にバイクをゆっくりと走らせている。獲物をひとりひとり確実に殺していかねば、バイクが通り過ぎることだってあるのだ。  特殊な電波でも流しているのか、改造人間としての聴力も弱まっている。ただ、普通の人間のそれよりは遥かに強い。  人がいても、その音や声がこのバイクの音にはかき消されることはないだろう。 「……この近くか」  先ほども、その聴力でナガレを見つけている。  それと同じように、今もまた参加者を見つけ出そうとしている。  ……なるほど。どうやら、今聞こえた音は「死」の音らしい。  死を匂わせる音が幾つも聞こえている。──今聞こえたのは、何かを拾い上げる音だ。  先ほどまでの戦いの音は途絶えていることから、勝敗が決したということなのだろう。  風見はそちらの様子を見にいくため、蒸気バイクを押し始めた。  既にそこには誰の姿もない。  ただ、ひとつ転がる肉の塊を除いては。 「……本郷猛」  その男の名を呟く。  ショッカーにたてついたという裏切り者のホッパー。同じくホッパーとして生み出された風見には、不愉快な「古人」の一人。時代遅れの能力で、なおもショッカーと戦う馬鹿な男。  どうやら、既に何者かによって消された後らしい。  風見はすぐにその死体の様子を見た。  心臓を一突き。また随分とエグい死に方だ。これは人工心臓を持つホッパーにとっては、辛い一撃となることだろう。  死ぬに死ねずの数分間。まあ、どちらにせよ改造人間にも出血多量による死はある。  今、彼が動かないのは彼にとって幸であるといえる。  彼の死体には、あるはずのデイパックというものがない。拾い上げる音は、彼のデイパックと考えるべきか。  戦闘時のマスクと予想していたが、どうやら違ったらしい。  改造人間の彼を倒すとは、なかなかの強者であるといえる。  まず、人間にはどんな手を使っても不可能。  なら──  シザーズジャガー。  奴が先に本郷を消したということだろうか。  ナノマシンで作られた改造人間だけあって、彼は本郷や一文字を凌ぐ戦闘能力を持っている。  あのハサミがこの本郷の胸の穴を作り上げた者だという確証は無かったが、刃物を使うという点も同じである。  この刺殺という共通点と、本郷を狙っていたことが、彼が加害者であるという推測を立たせていた。  まあ、それだけでは確証に値しない。  なぜなら、シザーズジャガーは改造後の名前、風見志郎や本郷猛、一文字隼人など一部の改造人間は人間時の名前で名簿に載っているからだ。ホッパーがややこしいから、とかいくらなんでもそんな理由ではないだろう。  たとえば、ジャークムーンという名前もショッカーの改造人間のような名前も気になる。  風見でも過去の改造人間やその人間名など全員の名前など記憶しているはずもないし(その証拠に彼は三田村晴彦の名前を知らない)、人間の名前で載っている参加者がいたら風見でもわからない。  まあ、どちらにせよ…… (……いずれは私もあの男と戦うことになるのか)  シザーズジャガーは、自分を改造人間にした張本人である。風見の秘書もまた、奴によってチェーンソーリザードとなった。  ある意味で仇であり、ある意味で恩人とも言うべき人間だ。  まあ、風見も彼に特別強い思い入れはない。躊躇うことなく戦えるのは良いが、先ほど言ったとおり彼は戦闘力が高い。 (楽に殺せる相手は限られているみたいだ……一文字も殺してくれるとこちらも楽だが)  風見はシザーズジャガーほどショッカーに心酔していない。  逆にショッカーのやり方には疑問を抱くこともない。  だから、一文字の殺害という任務も引き受け、この状況でもなお果たそうとしていた。  それでも、自らの手で殺さずとも他に殺してくれる人間がいるというなら、それはそれでありがたいというものだ。 (しかし……ショッカーから二年も逃げ延びた強敵も、こうしてみるとあっけない最期だ)  ショッカーに追われたものは、いずれふっと表社会から消えていく。  本郷という男は、裏では頻繁にショッカーの改造人間に襲撃を受け、その身体を汚してきた。  死にそうなことも何度もあっただろうが、二年という長い月日を生き延びたのだ。  一文字という男も、リジェクションという病に近い反応をそれだけ長い間耐え抜いてきた。そんな弱点があるというのに、彼を殺すことはいまだ果たされず。  そんな本郷の苦痛の日々は、先ほどここで終わった。  そう思うと、感慨深い気もする。 (あなたはよくやりましたよ……敵ながら賞賛に値する。だが、これからは新しい時代だ──)  風見志郎──ホッパーVersion.3は再びバイクに跨った。  風見の今の聴力の範囲に参加者はいないらしい。本郷を殺害した者もまだ近くにいるだろうが、その者が発する音は既に途絶えていた。  この本郷という男は既に過去になったのだ。これ以上、ここでこの男の死体を気にかけることに意味はない。  風見がホッパーになる二年も前に出来上がった改造人間。技術も当然劣る。本郷より後に作られた一文字も同じだ。  新時代は自分が作る──そう言わんばかりに、風見はバイクとともに消えていった。 【1日目 黎明/B-2 街】 【風見志郎@仮面ライダーTHE NEXT】 【状態】健康 【装備】蒸気バイク@サクラ大戦、君島の銃(4/4)@スクライド 【道具】基本支給品一式×2、ランダム支給品0~4、首輪(アカツキ) 【思考・状況】 基本行動方針:ショッカーに帰還するため、皆殺し。 1:一文字隼人を殺す。 2:首輪を安全に外す方法を考える。 3:本郷や一文字に代わり、新しい時代を拓く。 ※本編序盤からの参戦です。脳改造が解けていません。 ※本郷を殺害した犯人としてシザーズジャガーを考えています。 ※自分たちのほかにも改造人間がいる可能性があるかもしれないと考えています。 |068:[[ギガロの脅威/KとYの気づかぬ再会]]|投下順|070:[[花を散らせよ、乙女の意地で]]| |068:[[ギガロの脅威/KとYの気づかぬ再会]]|時系列順|070:[[花を散らせよ、乙女の意地で]]| |017:[[金持ちナメんなよ]]|風見志郎||

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