第20話

船はとても遠くへ


~前回までのあらすじ~
すごくあっさり

~ファーム~

ナイジ「・・・というわけです」
リトバ「なんか 淡々と語られましたが・・・
    すごく大きな発見だと思うんですけど・・・」
フラセール「だよなあ ヒノトリを見たなんて
      言っても信じてもらえないくらい凄い発見だ」

ナイジ「でもマイヤさんの言うには体だけじゃ
    ヒノトリも機能しないって・・・」
マイヤ「・・・ まぁ そう書いてあるから 古代文字で」
ティッキ「今はもう氷の底だしねー」

リトバ「あ! ヒノトリにはムーみたいな思念体がないんでしょうか?」
マイヤ「聞いたこともないわね」
フラセール「即答だな・・・」

エルナ「・・・やっぱり ムーは
    私達人間の手で倒さなきゃいけないのね」
ナイジ「お オレもそう思ったんです!
    ヒノトリに頼れないって知って むしろ 使命感というか」

マイヤ「もう残された選択肢は少ないわ
    出来るだけ早くトーチカに行って ムーの分身を叩く
    そうする他ないんじゃなくて?」
リトバ「でもウル長老が絶対許してくれませんよね・・・」
ティッキ「うぅー」

ナイジ「・・・また抜け出すように内緒で行くしか・・・」
フラセール「出て行けたとしてもあの距離だと・・・
      長引けば数ヶ月の船旅になるだろうし・・・」
リトバ「帰ってこれる保証も・・・」
エルナ「私も・・・ トーチカへ行った船が帰ってこないなんて
    婆様に聞いちゃったら・・・ 今船を出すのは・・・」
ナイジ「確かに 百発百中だし・・・ ウル長老の夢・・・」
マイヤ「・・・」


マイヤ「アナタたち 今が平和ならそれでいいの?
    ムーが復活するまでは安全だから
    災厄が起きるまで幸せでいれば そう言いたいの?」

エルナ「だとしたら 何が悪いの!?
    少しでも長く 皆と一緒にいたいの!
    皆も・・・ 皆もそうでしょ!?」
フラセール「エルナちゃん・・・ そうだな
      今後ムーが復活しても
      皆で力を合わせれば倒せるかもしれないしな」
リトバ「そ そうですよ! それにウル長老が
    皆無事に帰ってくる夢を見るかもしれないし・・・」
ナイジ「(行くのはオレなんだけどな・・・)」

マイヤ「かもしれない かもしれないって・・・
    ムーが復活してからじゃ遅いかもしれないのよ!」

ティッキ「・・・じゃあ ティッキが一人で行く!!」
マイヤ「あら 私も行くわよ
    少なくとも何もせず手をこまねいてるよりマシね」
フラセール「・・・ ティッキちゃん それにマイヤ女史・・・
      言い方は悪いかもしれないけど・・・
      2人が行って何になるっていうんだい?」

ティッキ「何にならなくても行く!!
     今のティッキたちが幸せでも
     未来の人たちにつらい思いをさせたくない!
     あのときのティッキみたいに
     一人ぼっちにさせたくない!!」
フラセール「ごめんなさい」
ナイジ「・・・」

マイヤ「戻ってこない故郷とかのことを愚痴る馬鹿女」
リトバ「う・・・」

マイヤ「師匠だか何だか知らないけど不幸自慢ばかりのキザ男」
フラセール「・・・」

マイヤ「人と一緒にいなかったからっていい年してガキみたいな娘」
ティッキ「・・・」

マイヤ「連れていたモンスターがいなくなったからって
    ナイジの世話をして気を紛らわすズルイのもいるわね」
エルナ「・・・」

マイヤ「あと寝癖のひどい なんちゃってブリーダーもそうね」
ナイジ「え・・・」

マイヤ「そんなのがこれ以上増えるかもしれない
    それでもいいの!?私は御免だわ」
エルナ「・・・」
ティッキ「それを言うなら 一緒に旅してた人がいなくなったから
     やさぐれた眼鏡のお姉さんも追加だねー」
マイヤ「・・・」
ティッキ「・・・」
マイヤ「・・・そうね 言い過ぎたわ」

フラセール「・・・分かった!分かった! オレも行くよ!
      2人の言うとおりだ あんな思い
      他の誰にも して欲しくないからな」
リトバ「じゃあアタシも行きます! 石とかを投げて戦います!」
ナイジ「(だちょークラブのノリじゃないか・・・)」

エルナ「でも でも 皆が行ったからって
    今ここにいる人で ムーを倒せるとしたら
    ナイジとチモックだけ・・・
    私達が束になって戦っても どうにもならないって・・・
    ・・・分かってるじゃない・・・」
ナイジ「(・・・冷静に考えたらそこに収束するよな・・・)」

エルナ「それに この島からトーチカに行けるとしても
    デーボさんの船だけ・・・
    行きたくても行けないことだって・・・
    戦いたくても戦えないじゃない・・・」
マイヤ「なら私がどこへでもいけるような船を造るわ
    それが出来るまでここで働いてあげるから 感謝しなさい」
ナイジ「・・・」

ティッキ「ティッキも手伝う!」
フラセール「もちろんオレも」
リトバ「・・・あ アタシは~・・・ 手伝います・・・」
マイヤ「そうと決まれば早速設計にかかるわ
    いい? アナタ達2人がなんと言おうと
    私達はトーチカへ行きますから じゃ」

エルナ「・・・」
ナイジ「・・・オレも・・・?」
チモック「キュー・・・」


ナイジ「・・・皆行っちゃいましたね・・・」
エルナ「ナイジ・・・
    皆 本当にしばらくしたらトーチカに行っちゃうと思う
    なんとか 止めないと・・・ 皆・・・」
ナイジ「・・・お オレも 引き止める方法を探してきます!」
エルナ「・・・うん・・・!」

~タウン~

ナイジ「とは言ったものの・・・
    どうすればいいかなぁ~~・・・」

ランナ「んナアアアアアイジイイイイ!!!」
ナイジ「げぇっ!ランナ! と・・・
    み みなさんお揃いで・・・」

ランナ「・・・トーチカに行くって」
ナイジ「ど どこでソレを・・・ あ」

ミリーア「薄情なやっちゃ もっと早うに言うてほしかったわ~」
ボバン「うん うん あ ナイジくん こんにちわ!」

ナイジ「あ どうも で なん ですか? この集まりは」
ランナ「バカ」
ガッ
ナイジ「あいたー!バケツで殴るなよ!」

ランナ「みんなアンタたちがムーを倒しに行くっていうから
    協力してくれたんじゃない!それにこれ桶!」
ナイジ「えぇ!? でも オレそんなこと言った覚えは・・・」

ツェーテ「マッカムさんが島中を回ってお願いしてましたわ」
アトリ「半ばあれは脅迫だったがね・・・」
ナイジ「えぇ!? あの鉄仮面が!? ありえん・・・」

ランナ「まぁ そういうこと だからウチからは
    船に貯蔵できる保存食と水 アンタにツケてあげるから
    感謝しなさいよね」
ナイジ「それって押し売りっていわないか・・・?」

ミリーア「ミリーアちゃん秘蔵の仙薬!たんまりもってってや!
     コミコミで10万! 出世払いでええで!」
ナイジ「・・・」

ボバン「家財工房とギルド会館からは 船のパーツと推進剤だよ!
    チューンナップは任せておくれよ!」
クワージィ「出来ることといったらコレくらいだからねぇ」
ナイジ「クワージィさん ボバンさん!」

ボバン「あと ファームに頼まれてたベッドを送っておいたよ
    でも 旅立ちの日に 寝坊しないようにね!」
ナイジ「あ ありがとうございます!!」

ガラカラ「モンスターの装備は任せておくんな!
     とっておきの護符を用意しといたよ!」
アトリ「ボクからは この鍵時計を・・・
    いついかなる場所でも時を見失わないように
    限りある時を告げる 美しい 鍵時計を・・・」
ナイジ「た・・・大切にします!」

ツェーテ「私からは こちらをお贈りしますわ」
ナイジ「こ これは・・・!」
ツェーテ「蒼銀スクド鎧 私の店で一番の装備ですわ
     ナイジさんの体に合うよう仕立てましたのよ」
ナイジ「す すごい・・・ も もらっていいんですか!」
チェーテ「あったぼ・・・ もちろんですわ」

ナイジ「やったー! 皆さん ありがとうございます!」チラッ
モーディ「・・・!」
ナイジ「・・・」
モーディ「・・・う な なんなのねその目は・・・」

ボバン「はっはっは! モーディさんはこの一大プロジェクトで
    物流ラインを確保してくれたんだよ!」
ツェーテ「そうですわね モーディさんがいなければ
     手に入らないような材料もございましてよ」
ナイジ「そ それは・・・ ありがとうございました!」
モーディ「そ そうなのね モーディもやるときはやるのね!」

ナイジ「これで すぐにでもトーチカへ行けます!
    必ず 必ずムーを倒して帰ってきます!」

シェマ「これは何の騒ぎですか」
ロンガ「ガッハッハ! 上からも見えてたぞ!」
ナイジ「ゲ」

シェマ「ゲ とはなんですか ゲ とは・・・」
ロンガ「そう身構えるな! オレたちは味方だ!」
シェマ「私とロンガ長老で なにか出来ることはないかと」
ロンガ「おう! そんで コレをお前にやろう!」

ナイジ「これは・・・」
シェマ「光ってない光の剣です」
ナイジ「・・・それって要するにただの剣じゃ・・・」

ロンガ「ガッハハハハ! それは中々の指示具だぞ!
    なんせモンスターへの指示だけでなく
    行くべき道を光で指し示す 2重の意味での指示具だからな!」
シェマ「道に迷うことがあれば 力になることでしょう
    早速装備してみるといい」
ナイジ「はい! ええと・・・ ちょっと失礼して・・・」



ナイジ「ど どうかな?」
ランナ「弱そう」
ミリーア「ナイジはんより鎧と剣の方が強そうやわ」
ナイジ「ぐっ・・・!」
ボバン「ま まぁまぁ・・・」

シェマ「コホン・・・
    物資面だけでなく 今島にいる最高のメンバーで
    ムー討伐のチームを募っているところです」
ロンガ「今オレ達が出来ることをやる!
    そのことに 悪いことなんて何もない!
    オレ達はトーチカに行けないが
    何かを託すことはできる!!」

ボバン「頼んだよ!」
ツェーテ「未来のために」
アトリ「今という時を」

ガラカラ「いつでも見守ってるよ!」
クワージィ「少しでも力になれたらいいのぉ」
ミリーア「ウチの信用にもかかわるんやで!」
モーディ「な・・・ なのね!」

ランナ「必ず 帰ってきなさいよ
    でないと・・・ メシ抜きだから!」
ナイジ「みんな・・・ ありがとう ありがとう・・・」

モルグ「はいはい 茶番はそこまでですよー!!!」
ざわっ・・・
ナイジ「お おっさん!
    しばらく見なかったから安心してたのに・・・」

モルグ「やかましい! 大きなお世話じゃー!!」
ミリーア「茶番とはえらい言い様でんな モルグはん」

モルグ「だってそうじゃないかー!
    トーチカだよ! 大海嘯を経て より危険になってる!
    そこにいるムーだって今までのどんなムーより強い!
    勝てるという確証もない! ウル長老だって夢を見てない!
    違いますか皆さん!」

ナイジ「・・・そんなの やってみなきゃ分からないだろ!」
モルグ「私には分かるー 100回やって 100回負けるー」
ガラカラ「おとぎ話にでてくるセリフだね・・・」

モルグ「本当は皆 自分が危険な目に遭わずに
    ナイジ達だけを送り出そうとしてるだけなんじゃないのか
    本当は皆勝ち目がないと 分かってるんじゃないのか」
一同「・・・」

モルグ「それなのに 笑顔で背中を押すのは
    残酷すぎるんじゃないかな 私は反対だね」
ランナ「さっきから黙って聞いてたらぁぁ・・・」

ナイジ「それでも・・・」
ランナ「!」
モルグ「なんじゃらホイ」
ナイジ「それでもオレは行く!
    出来ることがあるとすれば それしかないんだ!」
ランナ「ナイジ・・・」

モルグ「・・・いいだろう そこまで言うというのなら
    トーチカへ行きたいというのであれば・・・
    それなりの力を示してもらおうか・・・」
ナイジ「・・・なんだと・・・」

モルグ「私を倒してから行くことだな・・・」


ナイジ「悪いなおっさん オレはもう決めたんだ」
ランナ「ナイジ・・・ この生ゴミはああいったけど
    私たち・・・」
ナイジ「分かってる 言わないでくれよ」

ナイジ「いつでも一緒だ」
ランナ「くさっ・・・」
ナイジ「・・・」

シェマ「皆さん このことはウル長老にはくれぐれも内密に・・・」
ロンガ「よーし!! 準備ができるまで全力でバックアップだ!」

一同「おー!!」
最終更新:2011年11月23日 18:04
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