第10話

嘆きの棲まう島


~前回までのあらすじ~

強さが弱さになりうる
弱さもまた・・・


いよいよだ・・・

いよいよ・・・

力が満ちる・・・

藍の月が世界の答えを照らし示す・・・

憎き人間共・・・

必ず・・・


必ず・・・


「お願い目を開けて・・・」


「ロストしない・・・ 終わったな・・・」


「・・・!!!」


「許せない・・・!」


「そんな・・・嘘・・・ いや・・・」


「ウゥオヲオオオオオオオオオオオ!!!!!」

エルナ「!!!!!」ガバッ
アニャムー「んごみゅー んごみゅーぴるるるるZzz」

エルナ「今の夢は・・・」


~タウン 集会所~

ウル「もう これ以上はムリなのかもしれんの」
シェマ「え! ウル長老 一体どうしたというのですか急に!」

ウル「例のことじゃよ・・・ 今朝 また夢を見た・・・
   日に日に鮮明になっておる・・・」
ロンガ「むう! となると 手を打つほか無いか・・・」

ウル「じゃが まだ島民に知らせる勇気などない・・・
   もし島の者がパニックになれば・・・そのときは・・・」
シェマ「しかし 一部の者だけにでも 知らせるべきでは・・・」

ウル「・・・そう・・・じゃの・・・」
ロンガ「シェマが口を滑らす前に・・・」
シェマ「・・・」

~ファーム~

ナイジ「緊急招集?」
リトバ「はい なんでも団体遠征だとか
    今日の午後から長老の集会所で打ち合わせみたいなのがあるみたいですよ」
フラセール「っへー そのお呼びがかかったワケか ナイジも出世したなぁ」
ティッキ「みてみてー!これを使えばドゥルバードの卵が綺麗に割れるんだよー!」

ナイジ「ふーん まぁ 呼ばれたからには行かないとな・・・」
リトバ「デビュー戦から完全無敗!テングのナイジさん!選抜メンバーに選出!
    ってトコですかね~」
フラセール「伝説のブリーダー サクラゲンキの再来ナイジ!とも言われてるな」
ティッキ「ほめてほめてー!」
ナイジ「はは・・・ 忠告として受け取っておくよ・・・」

~タウン~

ナイジ「ん 早く来すぎたかな 誰もいないや」
???「あっ ナイジくん」


ナイジ「ベルさん!」
ベル「こんにちは この間のユタキナバル以来 かな 久しぶり」
ティタン「ゴーッ ゴーッ」ズシーンズシーン
ナイジ「へぇ! その節はどうも へへ」

ベル「ナイジくんの所にも召集状が?」
ナイジ「はい 長老から ってことはベルさんも?」
ベル「そうね 他にはレアルさんも呼ばれてるみたいよ 今日」
ナイジ「そ ソーソーたるメンバーですね・・・」

ベル「ふふ ナイジくん これまで無敗で上がってきてるもの
   私でも そこまで勝ち続けたこと ないから
   その実力が長老に評価されてるのよ きっと ね」
ナイジ「へへへ そういわれると うへへ」

レアル「おや お早いですね こんにちは」
ベル「ごきげんようレアルさん」
ナイジ「あ!レアルさん! ど どうもです!」

レアル「ははは やはり ナイジ君の所にもきていましたか
    それと 聞いていますよ秋季だけでBランク昇段!
    しかも無敗! いやぁ おいそれとできたものではないですね」
ナイジ「いやぁ~ 皆さんほどでは」

マッカム「その通りだな」
ナイジ「げ・・・(こ こいつもかよぉ・・・)」

マッカム「不愉快だな こんなガキと同列扱い・・・ 安く見られる覚えは無い
     どんな遠征だろうと オレとメギラスで十分だろうに・・・」
メギラス「グルル」

ベル「ふぅん ナイジくんに追い越されるの 怖いみたいね」
マッカム「なに・・・?」

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

ナイジ「え!なにこれ なにこの空気 怖いんですけど!」
レアル「はは・・・春の大会以来 あの二人はなにかと・・・
    おっと その辺にしておきましょうか 遠征の仲間なんですからね」

ベル「・・・」ゴゴゴゴ
マッカム「仲間だと・・・?」ゴゴゴゴ

レアル「ははは」
ナイジ「(え 何この人達 マヂ怖いんですけど・・・)」

エルナ「あっ!皆さん!こんにちは!」

ベル「あら エルナ様 ごきげんよう」
マッカム「チッ・・・」
レアル「こんにちは」

ナイジ「(あれ・・・?)エルナさんも遠征メンバーに?」
エルナ「うん そうよ 今回は南の方に船をだすから
    その辺に親しい人をってことで 同行させてもらうわ!
    詳しいことはこの後婆様から説明があるから
    さ 行きましょ」
アニャムー「にゃあああん!」

ナイジ「なんだろ・・・ なんかいつもと様子が違う気がする・・・」
チモック「キー?」

~集会所~

ウル「皆 集まったようじゃの これより今回の任務について説明しようと思う
   と その前に 第3の災厄・・・ ここにいる者は知っておるな」
ベル「・・・もとより」
マッカム「・・・」
レアル「はい」
ナイジ「(第3の・・・あれは確か・・・チモックが怪我したときに・・・)」

ウル「これまでおぬしらには その正体がなんなのかは知らせずにいたが・・・
   いよいよそれも隠し通せなくなってきた
   中にはもう察しておる者もおるじゃろう」

一同「・・・」

ナイジ「(やべぇ・・・ なんかオレ以外皆分かってる雰囲気がすげぇ・・・
    なにこの疎外感・・・)」

ウル「単刀直入に言おう ムーが復活しようとしておる」

ナイジ「・・・むー?」
エルナ「白き魔獣・・・ ムー・・・」

ウル「そう もはや伝説にしか名を残しておらん白き魔獣・・・
   あるとき突然 この世界に現れ
   大空を飛び回り破壊の限りを尽くし 人間すら食料とした・・・」
ナイジ「お おっかねぇな・・・」

ベル「でも ムーは伝説によると ヒノトリというモンスターに
   倒されたはず・・・」
ウル「うむ じゃが さしものヒノトリも ムーの邪悪な思念までは
   完全に消滅させることは出来なかったと言われておる」

ベル「その思念が時を経て 復活の兆しを 見せている・・・と」
ウル「うむ・・・ ベル そしてナイジや
   2人はシディララマ襲撃を 覚えておるじゃろ」

ベル「忘れもしません」
ナイジ「あの時は・・・ ベルさんに助けてもらって・・・
    (それでも 父さんと母さんは・・・)」

ウル「あれも ムーが力を増していることに関係があると ワシらは考えとる」

ナイジ「・・・!」

ウル「ムーは 滅石の影響を強く受けたモンスターと言われておる
   そのムーが 藍の月を引き寄せ 世界を瘴気で包み込み
   モンスターを凶暴化させ 海を溢れさせた・・・
   赤子が親を呼び寄せるように・・・の」

シェマ「アルレム長老が行方不明になられたのも このときのことです・・・」
ロンガ「アルレムのジジイ 今頃どこにいるのやら・・・」

ウル「・・・ ・・・どういうわけか 一度藍の月は軌道に戻り
   モンスターの凶暴化は納まったものの
   海は溢れたまま 今も各地で異常に成長したモンスターが目撃されておる
   ムーの復活が近いことは 明らかなのじゃ・・・」
ロンガ「そして・・・ ヴァシアタ長老一族の 夢 だな」

マッカム「夢だと・・・?下らん・・・」
ベル「よっぽど信じたくないのね」
マッカム「どういう意味だ・・・」ゴゴゴゴ
ベル「そのままの意味よ・・・」ゴゴゴゴゴ
レアル「お2人とも お話の途中ですよ」
ナイジ「(怖ェ!)」

ウル「そしてワシは夢を見た・・・ ある島にそびえる塔に・・・
   ヤツが・・・ ムーがいる夢を・・・」

レアル「その島の調査・・・そして ムーの討伐 今回の任務 というわけですね」
ウル「うむ ムーが完全に力を取り戻す前に なんとしてもその芽を摘む・・・
   そのために 今島にいるブリーダーで 最も信頼のおける者5人を
   今回召集したというわけじゃ」

シェマ「(本当は6人集まる予定だったんですけどね・・・)」ヒソヒソ
ロンガ「(アイツはそういうヤツだ 肝心なときに音信不通だ)」ヒソヒソ

ウル「マッカム!ベル!レアル!ナイジ! そしてエルナ・・・
   この島の未来は この世界の未来はおぬしらにかかっておると言ってもいい
   なんとしても今回の任務を成功してほしいのじゃ
   じゃが ムリにとは言わん・・・ 出発は明朝 デーボの船を予定しておる
   島民に心配をかけぬよう 見送りも出来ぬが・・・
   引き受けてくれるというのであれば・・・ どうか・・・
   どうか・・・ よろしくたのむぞい・・・」


エルナ「・・・はいっ!」
マッカム「金は3倍貰おうか・・・」
ベル「3倍の働きができるのは すごいことね」
ゴゴゴゴゴ・・・
レアル「世界を救う・・・ すばらしいじゃないですか もちろんお受けしますよ」
ナイジ「(ホント・・・なんでオレ こんなトコにいるんだろ・・・)」


~翌日 船着場~

ニェポ「ふぁあ~~~あ ねぇ姉ちゃん ホントにくるのかなぁ~」
ヒューリ「さぁな あと来たらちゃんと挨拶しろよ」
ニェポ「姉ちゃんそればっかり!あ!」
ヒューリ「お きたな・・・」

ナイジ「お おはよぅございます!」
ヒューリ「おう おはよう」

ベル「今日はお願いしますね 大きいのが 4体いますけど・・・」
マッカム「・・・よん・・・?」ゴゴゴゴ
ヒューリ「なぁに 心配いらないさ 親父の船だぜ
     もちろん多少暴れても大丈夫だが」
レアル「ははは」
ナイジ「(冗談に聞こえねぇ・・・)」

タッタッタ

エルナ「はぁ はぁ!ごめんなさい! 遅れちゃって!」
アニャムー「ニュワァ~~~オ」
ナイジ「いや 時間ぴったりじゃないですか」
エルナ「でも 皆 早くて はぁ! ん! あ! おはようございます!」
ヒューリ「おう おはよう じゃ すぐに出航できるよ 1番港だ」

~1番港~

デーボ「はあああっはっはっはっは!!! こりゃー!たしかにすげぇ面子だ!!」
エルナ「よろしくおねがいします!デーボさん!」
デーボ「おーう!エルナちゃん!まぁ~大船に乗ったつもりでいろ!
    なんてったって本当に大船だからな!はあああああああっはっはっは!!!」

ナイジ「(その大船も沈みかねないのが乗ってるけど・・・)」
ベル「フフフ 本当に何度乗っても大きな船 ね」ゴゴゴゴ
マッカム「確かにこの船なら暴れてもよさそうだ・・・」ゴゴゴゴ
レアル「ははは」

デーボ「ぃよおおおおおおおし!!! いい風が吹いてやがる!!!
    進路は南南東!! 張り切っていくぞォオオオオ!!!」
レシオネ「キュウウウイ!!」

ザバアアン!!


ナイジ
「(ユタトラを出て数日・・・オレたちは目的の島へ到着した・・・
 そこで目にしたのは 今だかつて 見たこの無いほど濃い瘴気に包まれた
 高く・・・ 高くそびえる塔だった・・・)」


ナイジ「すっ・・・
    げぇ・・・」
チモック「きゅぁー・・・」

ベル「ここが・・・」
ティタン「ゴォー・・・」

デーボ「瘴気をまとう孤島・・・船乗り仲間じゃそう呼ばれてるがな
    正式な名前はだーれも知りゃしねぇし
    島にある塔も 未だに踏破されたって話もきかねぇ」

マッカム「気流のせいで飛んで登ることも出来ないか・・・」
メギラス「グルル・・・」

レアル「瘴気も特別濃い・・・
    絆を結んでいないモンスターだと ・・・やられてしまうでしょうね・・・」
サバキ「ブルルッ・・・」

デーボ「オレは何があってもここで待つ!! だから必ず帰って来いよ!
    全員でな!!信じてるぜ!ヤローども!!」
レシオネ「キューイッ!!」

エルナ「・・・行きましょう・・・」
アニャムー「みゃああああ!!」

ナイジ
「(オレはその時 エルナさんの表情を見て
 気づいていたんだと思う この島で何が起きるか・・・)」

~嘆きの棲まう島~
最終更新:2011年10月16日 18:42
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