第4話

魔性の瞳


~前回までのあらすじ~
ナイジは無事ブリーダー試験に合格し
ウルから渡された地図を頼りに個人ファームへとたどり着いた
あたりはすっかり真っ暗になっていた

ナイジ「お ここかな 結構歩かされたけど へー!いいトコじゃないか」
チモック「キュー♪」

~ファーム~

ナイジ「ブリーダー試験のときも共用ファームで訓練したけど
    やっぱ個人ファームだと自由に使えそうでいいな チモック」
チモック「キ」

ナイジ「そういえば派遣されたっていう助手さんとやらに挨拶を・・・
    ってどこにもいないな 外かなぁ・・・」

???「ペケジさぁああああん」

ナイジ「U・GYAAAAAAAAAAA!!!」

リトバ「あぁあああよかったぁ~~~~ホントにペケジさんだったぁ~~
    私ですぅ~リトバです~~シディララマのおおぉ」
ナイジ「うぉお~ おお・・・ リトバ・・・ あぁリトバさん・・・! 
    分かりましたから離してください あとオレナイジです」

リトバ「みぃ ジュッ 道にまよって 真っ暗で怖かったんですよ
    途中白いオバケも出てきて大変だったんです うえぇえ」
ナイジ「そ それは大変でしたね・・・」

リトバ「ズズッ スン ジュルルッ っは じゃあ改めて自己紹介を・・・
    今回派遣された調教助手のリトバです お久しぶりです ペ
    ナイジさん」
ナイジ「・・・そうかぁ リトバさんはこっちでもブリーダーの助手をやってんですね
    シディララマにいた頃からクリュテさんトコの食材屋でよく会いましたからね」

リトバ「私も同じシディララマのナイジさんの担当だって言われてホッとしたんですよ!
    今回の配属先一覧 怖そうな人ばっかりで!
    でもまあ欲を言えばベルさんみたいな強くてキレイな
    ベテランブリーダーのところに配属されたかったんですけど
    こんなご時勢ですしワガママばっかり言ってられませんよね・・・
    あ!でも別にナイジさんのところがイヤってワケじゃないので
    これからよろしくお願いします」
ナイジ「は・・・はぁ・・・」

リトバ「あとポストにナイジさん宛てに大きい包みがつっこんでありましたけど」
ナイジ「ん どれどれ ウル長老から・・・ ・・・棒 指示棒だ!」

リトバ「よかったじゃないですか!これで買いに行かなくて済みますね!
    そうだ!折角なんで調教助手について説明しますね!
    私の仕事は主にブリーダーさんがモンスターを育てるのを補佐することです
    給餌やトレーニングの管理とかしますんで
    でも料理とか掃除とかは自分でやってくださいね
    昇格の手続きとかもやりますけどあんまりファームから出たくないので
    その辺は察してください じゃあ今日は疲れたので寝ます!
    おやすみなさい!」

ナイジ「・・・ だ 大丈夫なんだろうか・・・」
チモック「キュ~・・・」

~翌朝 タウン~

ロンガ「おお ナイジか! どうだ! ファームの方は!
    オレが特別に選んでやった土地だからな!ガッハハ!」
ナイジ「げちゅ~ん・・・」
ロンガ「ガッハ・・・」
ウル「あんまり寝れておらんようじゃの・・・」
ナイジ「助手さんに ベッド取られて・・・ 床で寝るしか・・・」
ロンガ「ガッハッハ!すまん!ばあさんから助手が派遣されてたのを忘れとった!
    笑って許せよ若いの!」
ナイジ「ヘヘッ・・・ヘ・・・
    あ ウル長老 指示具ありがとうございました」
ウル「おお エルナのお下がりで悪いんじゃがの・・・
   うぅむ 後で寝袋でも送っておいてやらねばの・・・
   それはそうと昨日言った通り 今日は遠征に行ってもらおうと思う」

ナイジ「遠征ですか」
ウル「うむ どうやら最近になって近海の島々でノラモンが
   多く見られるようになっておる その調査に行ってほしいのじゃ
   そうじゃのぉ ソルバノ島にある塔に行ってもらおうかの」
シェマ「そうですね!遠征のつかみを覚えるのにも丁度良いでしょう!」

ナイジ「ソルバノ島・・・ですか どうやって行けば・・・」
ウル「なんじゃ そんなことも分からんのか シェマや 教えておやり」

シェマ「今なら船着場のヒューリ君に頼めばソルバノ行きの船が出せるはずです
    ・・・この 出航許可証を持っていきなさい これをデーボに渡せば
    ソルバノを含めた海域へのパスポートになる」

ナイジ「これをヒューリさんに渡す ソルバノ行きの船 塔の調査・・・ですね」
ウル「今日中に帰ってこれるじゃろ 良い結果報告を待っておるぞ」
ロンガ「ガッハッハハ!キバってこいよ!」

ナイジ「ハイッ!よし いくぞ!チモック!」
チモック「キューン」

ウル「・・・行ったの じゃが本当に良かったのかのぉ・・・」
シェマ「試験結果を見るに実戦の経験が十分とは言えませんからね・・・
    つい先日調査されたばかりのソルバノはその実力を試すのに
    適した場所と言えるでしょう」
ロンガ「ガッハッハ!ナイジには悪いがまずはお手並み拝見というわけだな!」

~船着場~

ナイジ「ヒューリさん!」
ヒューリ「おお ナイジじゃないか どうした 今日は大会はないぞ」

ナイジ「違いますよ!遠征です遠征!ソルバノまで!」
ヒューリ「あぁそうか お前もブリーダーになったんだったな
     ソルバノか あそこは協会からの許可が要るからね」

ナイジ「あ これ 出航許可証! シェマさんから貰いました」
ヒューリ「ん どれどれ 確かに見せてもらったよ
     親父!ソルバノまで船をだしてやっておくれよ!」

デーボ「おうよっ おっ! おめぇはこの間の新米じゃねぇか やりやがったな!」
ナイジ「どうも ナイジです・・・」

デーボ「オレはデーボ!このユタトラ一の船乗りよ!よろしくな!」
ヒューリ「自分で言うかい・・・」

デーボ「いいじゃねぇかよ!それくらいの気持ちでやらなきゃな!
    で ソルバノでいいんだな!丁度今い~風が吹いてんだ!
    これならオレのレシオネであっという間だぜ!さぁ乗った乗った!」
ナイジ「わわっ 分かりました あ! ヒューリさん 行ってきます!」
ヒューリ「おう がんばってこいよ」

~デーボの船~

ナイジ「しかし いっつみてもデッカイレシオネですね・・・」
デーボ「そうだろうそうだろう!オレでもびっくりするくらい大きくなりやがって!
    やっぱりデカイモンスターは強いからな どんな荒波もなんのそのよ!
    お!見えてきたぜ あれがソルバノ島だ」

~ソルバノの塔~

デーボ「ここの塔は5階まであるからな~ まぁ夕暮れまでにはここに帰ってこいよ!」
ナイジ「色々とどうも!帰りもよろしくお願いします じゃ 行ってきます!」

ナイジ「さて 調査ということはノラモンなんかの観察だろうな
    大人しいノラモンは放っておいて・・・
    襲い掛かってくるようなモンスターは倒しておくか」


ナイジ「あぁ プランテだ ムステもいる ルセタラでもよく見かけたなぁ・・・
    はは ケンカしてる こういう生態系も大切にしないとな」


ナイジ「お ありゃなんだ プランテの亜種かぁ 初めて見るなぁ
    でもさっきから・・・ ノラモンの数が随分少ないような・・・」


ナイジ「ふぅ だいぶのぼってきたな・・・ あの扉の先が5階だろうな
    時間までに終わりそうだな チモック」
チモック「キュッキュ」


ナイジ「開けたところに出たな 枯れ木が一本立ってるだけ・・・か
    なーんだ 大したことなかったな!」
チモック「キー♪」

ギギ

ナイジ「ん 今あの木から音がしたぞ クルでもいるかも 見てみよう」
チモック「ンキュ」

ナイジ「この洞なんか怪しいも」
チモック「キキーーーーーーーーー!!」
ナイジ「!びっくりした なんだよチモック」

チモック「クフー!」
ナイジ「チモック?・・・」

ギギィ

ギィ・・・

ナイジ「マジかよ・・・」

オグルモック「グォオオオオオオオオオオ!!!」

そこにあった枯れ木はノラモンが木に擬態していたものであった
当然見習いブリーダーのナイジが知る由もないようなモンスター・・・
モック種のモンスターである

ナイジ「なんだよ こんなの聞いてねぇよ!!
    逃げるぞチモック!」

ナイジは考えるよりも早く 一瞬でその実力差を感じ取った
そしてすぐさま方向を変え扉の方へと走ったが・・・

チモック「キー!!キー!!」
ナイジ「今度はなん・・・うわああ!!」

敷き詰められた石畳を隆起させながら根っこを伸ばし
その先にある扉を覆うオグルモック その大きく裂けた口がつりあがる・・・
あたかも笑っているかのように・・・

ナイジ「ね 根っこで扉をふさぎやがった!戦うしか ねぇのか!」
チモック「キキュイ!」

オグルモック「ゴアアアアア」

ナイジ「・・・!相手は枯れ木だ!炎はよく効くはず・・・ッ!!
    チモック!ソウルファイア!!」
チモック「キュウーー!!」

ボンッッ!!

直撃 しかし シェマのニャーニャー人形(笑)を一撃で破壊しつくす
ソウルファイアも 急な発動とあまりに大きな能力差の前では
ただ敵を激昂させるだけの技であった・・・

オグルモック「グァ・・・ッッ・・・ゴコォオオオオオオオ!!」
ナイジ「き 効いてねぇ・・・!」

オグルモック「グッグッォ・・・」

カッ・・・

低い唸り声を上げたオグルモックの目が煙のような鈍い光を放った
その視線の先にいたナイジに 本人が理解しようのない痛みが走る

ナイジ「うッッ!!」
チモック「キューー!?」

ナイジ「・・・っ!? なん だよ 今の・・・ 気持ちわりィ」
チモック「キュー!」

体が動かない その場に崩れ落ちるナイジ
頭も思うように働かず 目も霞む・・・

そんなブリーダーの身を案ずるようにチモックはナイジの元へと飛ぶ
しかし次の瞬間オグルモックはその巨大で邪悪な形状をした腕を振り下ろす









ドシャ・・・

鈍い音が部屋に広がる
ナイジは薄れていた視界にその音の正体を見る
叫ぶ・・・

ナイジ「
    ァァア゙アァアアアア゙ッッ・・・・!!」

オグルモックの魔眼の効果が薄れなんとか動けるようになったナイジは
体をひこずりながらもチモックの元へ向かう
地面に叩きつけられぐったりとするチモックを感覚のない両手で抱えこむと
棒のような足を 震える足を地面に突きたてて逃げ回る

その様子を愉しむかのようにオグルモックはその顔をゆがめる・・・
移動能力を持たない自分が 確実に獲物を仕留める方法を
このモンスターは知っていた ただ誤算があるとすれば・・・

オグルモック「ゴァグアアアアアアホ!!」

オグルモックが全身を軋ませながら鈍い叫び声を上げた
ナイジやチモックによるものではない 外側から来た何かに
扉を覆っていた自らの根を焼き払われたのだ

???「アニャムー!もう一度ムーンファイア!!」
アニャムー「みゃああああああああ!!!」

ドォンッッ!!
木の化け物の目と思しき部位に二つに分かれた炎弾が命中する
その技の主はアニャムー・・・ そしてそのブリーダーはエルナ・・・
偶然通りかかった島で 自分の教え子が遠征に着ていると
デーボに聞いた矢先感じた違和感・・・邪悪な気配を辿り・・・

オグルモック「グァアアアアア!!!」

化け物が両の目を押さえ苦しんでいるスキにエルナはナイジの元へ駆け寄る

ナイジ「え・・・ エルナさんっ・・・」
エルナ「ナイジさん!大丈夫!?」
ナイジ「はぁ は・・・ エルナさん・・・ チモックが チモックが・・・」
エルナ「これは・・・ ・・・!!」

ナイジはボロボロになったチモックを両手でおさえながら
普段からは想像もつかないようなくしゃくしゃの顔で訴えかける
なにが起きているのか冷静に判断できないのも無理はない
そんなナイジとチモックを見てエルナはこう伝えた

エルナ「ナイジさん よく聞いて! あなたはすぐこの塔をおりて
    デーボさんの船で治療を受けて! この木の化け物は私がなんとかするわ」
ナイジ「で でも・・・ エルナさんが・・・」

エルナ「見くびらないで! あなたは・・・ あなたが今できることをして!
    アニャムー!!」
アニャムー「ふぎぃーおげひゃろろろブルシァアアアアア!!!」

オグルモック「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

オグルモックの咆哮を耳にし体が目を覚ましたナイジは
言われたとおりにデーボの元へと走った・・・
その顔には大量の涙が なんの力もなく流れていた

エルナ「(木の化け物・・・ おそらく密林特有のモンスター・・・
    ヴァシアタではこんなモンスターについて知る機会はない・・・
    得体の知れない敵と対峙したときはまずは様子見をしないと・・・)」
アニャムー「ッフー」

ジリジリと2体のモンスターの間に熱が走る
先に動いたのはオグルモック 体を捻りその大きな腕を振りかぶる

エルナ「!アニャムー!下がって!」
オグルモック「ゴォッ」

ブォン!!
チモックを叩き落したときとは比べ物にならない衝撃が腕から発せられ
距離を置いていたエルナとアニャムーでもその力の大きさを十二分に感じ取った

アニャムー「フグゥウウウ!」
エルナ「あっ・・・!・・・腕を振るっただけでこの威力・・・
    普通のモンスターじゃない・・・アニャムー!気を抜いちゃダメよ!
    (どんなモンスターでも攻撃の際スキができる・・・
    それを突き詰めていけば・・・!)」

オグルモック「ゴァアア・・・」

するとオグルモックは低く唸りながらおもむろに自分の口に腕を突っ込み
その中にあった石のようなものを取り出し 自分の目の前に掲げた

エルナ「!あの石は・・・!」

エルナはその石の正体を知っていた その性質も・・・
その石が持つ力も・・・ だからこそ今やらなければいけないことが理解できた」

エルナ「アニャムー!その石をスパイクで叩き落して!!」
アニャムー「みゃっ!!!ぎーーーー・・・」

アニャムー「にゃっっ!!!」

バシィッッ
一気に接近し石を叩き落すアニャムー

オグルモック「オオ゙ッ!!?」

ガシャア!!
床へと落ちバラバラに崩れた石を見て
オグルモックは今までにないようなうろたえ方を見せたが
すかさず目の前にいる敵に 今度は2本の腕を使い攻撃をしかけた

エルナ「アニャムー!顔面に向かってスパイク!」
アニャムー「みゃっ!」

バシッッ!
オグルモックの顔面を蹴るように繰り出されたスパイクは
ダメージを与えると同時にアニャムーの体を敵から離れた位置へと運んだ

その動作によりオグルモックの攻撃は空振りし 体勢を大きく崩す
今こそ好機! そう悟ったエルナはアニャムーに必殺技を命じた

エルナ「アニャムー!!
    ムーンエクスプロージョン!!」
最終更新:2011年08月08日 02:08
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。