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吹寄「上条。その……吸って、くれない?」⑤
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meteor089
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吹寄「上条。その……吸って、くれない?」⑤
590 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/10/13(木) 22:17:56.05 ID:HwrfW5Sjo
「お、お邪魔します……」
「うん……」
「うん……」
時間は、夜。ちょっと長居すればすぐに日付をまたぐような時間帯だった。
だいたいの学生が部屋に収まり食事なり風呂なりしている頃に、
上条はそっと女子寮に忍び込んでいた。場所はもちろん、吹寄の部屋。
早々に空いたドアから体を滑り込ませ、人目を避ける。
だいたいの学生が部屋に収まり食事なり風呂なりしている頃に、
上条はそっと女子寮に忍び込んでいた。場所はもちろん、吹寄の部屋。
早々に空いたドアから体を滑り込ませ、人目を避ける。
「その、こんな時間の呼び出しでごめんなさい」
「それはまあ、いいんだけど」
「それはまあ、いいんだけど」
なんとなく落ち着かない。
そりゃそうだ。恋愛関係にある男女が、こんな夜に、ベッドのある一室で二人っきりなのだ。
しかも訪いの目的が、彼女の胸を吸うためだともなればそりゃあ緊張だってするのである。
そりゃそうだ。恋愛関係にある男女が、こんな夜に、ベッドのある一室で二人っきりなのだ。
しかも訪いの目的が、彼女の胸を吸うためだともなればそりゃあ緊張だってするのである。
「メールでも言ったけど、やっぱ明日の朝まではもたない気がして」
「そ、そうか」
「そ、そうか」
昼に学校でしてから、夕方にもう一度吸っていたのだが、どうやら今日は多い日らしかった。
夕方に交換したばかりのアドレスから、また吸って欲しいとメールが来たときは、
だんだん慣れてきた上条でも思わずどきりとしたものだった。
夕方に交換したばかりのアドレスから、また吸って欲しいとメールが来たときは、
だんだん慣れてきた上条でも思わずどきりとしたものだった。
「あのさ、と、当麻」
「ん?」
「お茶とか、飲まない?」
「あ、ああ。よかったらもらうけど」
「わかった。じゃあ淹れるわね」
「ん?」
「お茶とか、飲まない?」
「あ、ああ。よかったらもらうけど」
「わかった。じゃあ淹れるわね」
変に呼びなれない感じで、吹寄が名前を呼んだ。
お茶はそりゃいただけるのならいただくが、
一体どういう風の吹き回しなのだろうか。
お茶はそりゃいただけるのならいただくが、
一体どういう風の吹き回しなのだろうか。
「制理?」
「え?」
「なんかぎごちないけど、どうかしたのか?」
「……えっと」
「え?」
「なんかぎごちないけど、どうかしたのか?」
「……えっと」
目を天井の方に泳がせながら、吹寄がやかんを手にする。
おもてなし用なのだろうか、あまり減っていない紅茶のティーバッグを一つ取り出した。
おもてなし用なのだろうか、あまり減っていない紅茶のティーバッグを一つ取り出した。
「あのさ、何度も貴方に付き合ってもらってるけど」
「うん」
「ゆっくり話すような時間、とったことなかったなって」
「そういやそうだな」
「うん」
「ゆっくり話すような時間、とったことなかったなって」
「そういやそうだな」
毎度、胸を吸うのがまずありきで、それ以外の時間なんてとったことなかった。
「ちょっとそれを不満に思ったんだけど、あたしからお願いしたことだから、
貴方に文句を言うのも筋違いかなって思って」
貴方に文句を言うのも筋違いかなって思って」
591 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/10/13(木) 22:18:22.40 ID:HwrfW5Sjo
つまりこのお茶の時間は、胸を吸うこと以外に取りたい、二人の時間だということらしかった。
考えてみれば、こんなに可愛い女の子を彼女にしたというのに、デートのひとつもしたことがなかった。
まあ、まだ付き合って二日目だが。
考えてみれば、こんなに可愛い女の子を彼女にしたというのに、デートのひとつもしたことがなかった。
まあ、まだ付き合って二日目だが。
「ごめんな、そういう気遣い、できなくて」
「べ、別にいいわよ。バタバタしてたし」
「落ち着いたら、デートしようぜ」
「えっ?」
「べ、別にいいわよ。バタバタしてたし」
「落ち着いたら、デートしようぜ」
「えっ?」
なぜか、驚かれた。
「……彼氏彼女なら、当然のことだと思うんですが」
「そ、それはそうだけど。貴方の口からそんなこと聞いたから驚いただけ」
「そ、それはそうだけど。貴方の口からそんなこと聞いたから驚いただけ」
一体自分はどのような男だと思われていたのだろうか。
視線での追求を避けるように吹寄は台所へ逃げて、やかんに水を汲んだ。
静寂が、部屋に広がる。鈍い冷蔵庫の駆動音が耳についた。
視線での追求を避けるように吹寄は台所へ逃げて、やかんに水を汲んだ。
静寂が、部屋に広がる。鈍い冷蔵庫の駆動音が耳についた。
「不思議ね。二人っきりで、こんなことになるって」
「まあ、そうだよな。制理と話すっていったら、大概怒られてた気がするし」
「あ、貴方が悪いんでしょう。学校に来なかったり、女子と変なことになったり!」
「最後のは否定するぞ! そんなことあったわけねぇ」
「嘘!」
「変なことになってたら、制理とこんなことになる前に上条さんに彼女がいたことになるんですが」
「……私がはじめての彼女?」
「うん」
「本当に?」
「嘘ついてどうするんだ、そんなの」
「そっか」
「まあ、そうだよな。制理と話すっていったら、大概怒られてた気がするし」
「あ、貴方が悪いんでしょう。学校に来なかったり、女子と変なことになったり!」
「最後のは否定するぞ! そんなことあったわけねぇ」
「嘘!」
「変なことになってたら、制理とこんなことになる前に上条さんに彼女がいたことになるんですが」
「……私がはじめての彼女?」
「うん」
「本当に?」
「嘘ついてどうするんだ、そんなの」
「そっか」
カップ二つぶんの水だから、あっという間にシュシュと音を立て始めた。
さっとカップを温めて、沸かしたてのお湯を注ぎ入れる。
さっとカップを温めて、沸かしたてのお湯を注ぎ入れる。
「簡単なのでごめんね」
「いや、自分じゃ紅茶なんて淹れないし」
「実を言うとブレックファスト用のブレンドなんだけどね。うち、これしかなくて」
「コーヒーとか飲まないのか?」
「あるけど、夜にコーヒーは飲まないもの。それに普段は、買ってきた牛乳かジュースが多いしね」
「一人暮らしならそんなもんだよな」
「いや、自分じゃ紅茶なんて淹れないし」
「実を言うとブレックファスト用のブレンドなんだけどね。うち、これしかなくて」
「コーヒーとか飲まないのか?」
「あるけど、夜にコーヒーは飲まないもの。それに普段は、買ってきた牛乳かジュースが多いしね」
「一人暮らしならそんなもんだよな」
ティーバッグの入ったマグを、吹寄がそっと机に置いた。
そして自然な感じで、上条の隣に腰掛けた。
二人で、ベッドにもたれかかりながら、肩をくっつけ合う。
そして自然な感じで、上条の隣に腰掛けた。
二人で、ベッドにもたれかかりながら、肩をくっつけ合う。
592 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/10/13(木) 22:19:13.01 ID:HwrfW5Sjo
「ティーバッグだから一分もあればできるから」
「ああ」
「出すぎで渋いのが嫌なら、早めに出してね」
「わかった」
「砂糖とミルクは、いるならこれ使って。気の利いたお茶菓子はないけど」
「いいって。ありがとな、気を使ってくれて」
「うん。こんな時間に来てくれてるのに、お礼としてはささやかすぎるけど」
「なんだよ、水臭いぞそういうの」
「そうかな」
「……まあでも、実はスゲー嬉しい」
「本当?」
「ああ。なんか、気遣ってもらえるっていいよな」
「うん。あたしもそう思ってる。ありがとね、すぐ来てくれて」
「ああ」
「出すぎで渋いのが嫌なら、早めに出してね」
「わかった」
「砂糖とミルクは、いるならこれ使って。気の利いたお茶菓子はないけど」
「いいって。ありがとな、気を使ってくれて」
「うん。こんな時間に来てくれてるのに、お礼としてはささやかすぎるけど」
「なんだよ、水臭いぞそういうの」
「そうかな」
「……まあでも、実はスゲー嬉しい」
「本当?」
「ああ。なんか、気遣ってもらえるっていいよな」
「うん。あたしもそう思ってる。ありがとね、すぐ来てくれて」
そっと吹寄が上条の腕に自分の頭をあずけた。
一分だけの短い待ち時間を、そうやって過ごす。
一分だけの短い待ち時間を、そうやって過ごす。
「静かだなー」
「そうね。やっぱり、朝や昼とは違うわね」
「学校でって、なんだかんだで落ち着かないよな」
「そりゃ当たり前でしょう。しちゃいけないことをしているんだもの」
「そうね。やっぱり、朝や昼とは違うわね」
「学校でって、なんだかんだで落ち着かないよな」
「そりゃ当たり前でしょう。しちゃいけないことをしているんだもの」
砂糖とミルクポーションを持って吹寄が入れるかと尋ねた。
ミルクだけと答えると、上条のぶんまで茶葉を取り除いてミルクを注いでくれた。
セットでいくつか持っているだけなのだろうが、ふたりでお揃いのマグにお茶をいれ、
静かに飲むこの時間がなんだか嬉しかった。
ふうふうと、吹寄がカップの表面を吹く音がする。
ミルクだけと答えると、上条のぶんまで茶葉を取り除いてミルクを注いでくれた。
セットでいくつか持っているだけなのだろうが、ふたりでお揃いのマグにお茶をいれ、
静かに飲むこの時間がなんだか嬉しかった。
ふうふうと、吹寄がカップの表面を吹く音がする。
「制理がこんなに、可愛いって知らなかった。」
「も、もう。恥ずかしいでしょうが。今はもうちょっと落ち着いた話をしなさいよ」
「わかった。じゃあ、キスしよう」
「ちょっと。全然落ち着かない話じゃない」
「そうじゃなくて、落ち着いたキスしようぜ」
「え?」
「も、もう。恥ずかしいでしょうが。今はもうちょっと落ち着いた話をしなさいよ」
「わかった。じゃあ、キスしよう」
「ちょっと。全然落ち着かない話じゃない」
「そうじゃなくて、落ち着いたキスしようぜ」
「え?」
不意打ちはしない。急ぎもしない。そういう気分だった。
吹寄を待たせたまま、紅茶を口に含む。
ちょうどいい加減の風合いだった。
朝用だからかどこかスパイシーな香りが鼻に抜けるのを感じながら、
上条は吹寄の髪を撫でた。
そして、見つめ合う。ちゃんと、吹寄の準備はできていた。
吹寄を待たせたまま、紅茶を口に含む。
ちょうどいい加減の風合いだった。
朝用だからかどこかスパイシーな香りが鼻に抜けるのを感じながら、
上条は吹寄の髪を撫でた。
そして、見つめ合う。ちゃんと、吹寄の準備はできていた。
「ん……」
音も立てず、かるく唇の触れ合うキスをした。
「どう?」
「うん。その、こういうのは嫌じゃない、わね」
「うん。その、こういうのは嫌じゃない、わね」
ふう、と軽く息をついて吹寄が体に入っていた力を抜いた。
自分の前では肩肘を貼らずに羽を伸ばしてくれるのだと解って、嬉しくなる。
自分の前では肩肘を貼らずに羽を伸ばしてくれるのだと解って、嬉しくなる。
「俺といて、そうやって体を楽にしてくれるの、嬉しいよ」
「え? もう、そういうエッチなこと考えるのやめなさいよね」
「そういう変な意味じゃないって。好きな女の子が、自分と居る時に自然体で居てくれるのが嬉しいって話」
「当麻は、あたしといて肩肘張らない?」
「張ってるように見えるか?」
「ううん。いつもどおり」
「そういうこった」
「え? もう、そういうエッチなこと考えるのやめなさいよね」
「そういう変な意味じゃないって。好きな女の子が、自分と居る時に自然体で居てくれるのが嬉しいって話」
「当麻は、あたしといて肩肘張らない?」
「張ってるように見えるか?」
「ううん。いつもどおり」
「そういうこった」
目線を交わしあって、二人でクスリと笑った。
上条がそっと手を握ると、自然な感じで吹寄も握り返してくれた。
上条がそっと手を握ると、自然な感じで吹寄も握り返してくれた。
「紅茶、どうかな?」
「美味いよ」
「ありがとう」
「美味いよ」
「ありがとう」
それだけ言って吹寄は言葉を重ねるのをやめた。
嫌な沈黙じゃ、なかった。
嫌な沈黙じゃ、なかった。
632 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/12(土) 00:56:52.18 ID:YXjYWgT/o
カップ一杯の紅茶がお腹の中に収まるまで、たわいもない話を二人で交わす。
「……まだ、あの宿題やってないの?」
「ごめんなさい」
「宿題なんて貯めておくほどやりたくなくなるの、わかってるでしょう」
「いやほんと、そのとおりなんですけどね。上条さんにも、
できない理由というか突発的自体というのがありまして」
「……」
「制理?」
「ごめんなさい」
「宿題なんて貯めておくほどやりたくなくなるの、わかってるでしょう」
「いやほんと、そのとおりなんですけどね。上条さんにも、
できない理由というか突発的自体というのがありまして」
「……」
「制理?」
急に黙り込んだ吹寄を怪訝に思って、上条はその表情をのぞき込む。
「ごめん。可愛くないね」
「はい?」
「自分でもわかってるんだけどさ」
「急になんだよ」
「あたしって説教臭いな、って」
「……あー」
「はい?」
「自分でもわかってるんだけどさ」
「急になんだよ」
「あたしって説教臭いな、って」
「……あー」
言われてみれば、今のは付き合う前の同じノリだった。
「まあ、これがあたしの性分だし。これでいいと思ってるところもあるんだけど。
やっぱり、貴方の前でもずっとこうっていうのはね」
「嫌なのか?」
「当麻こそ、彼女がこんなじゃ嫌でしょ?」
「んー、でもこれが普通の制理だからなあ」
「そう思われるのが嫌なの」
「なんで?」
「なんで、って」
やっぱり、貴方の前でもずっとこうっていうのはね」
「嫌なのか?」
「当麻こそ、彼女がこんなじゃ嫌でしょ?」
「んー、でもこれが普通の制理だからなあ」
「そう思われるのが嫌なの」
「なんで?」
「なんで、って」
吹寄が言いよどんで、咎めるように上条を見た。
すっと体を離し、自分と上条の分のマグを手にとって、立ち上がった。
そして振り向きざまに、一言こぼした。
すっと体を離し、自分と上条の分のマグを手にとって、立ち上がった。
そして振り向きざまに、一言こぼした。
「貴方にくらい可愛いって思われたい、って思っちゃ駄目?」
その拗ねたような響きが、上条をクラっとさせた。
こんな可愛いところが、吹寄にあったのか。
こんな可愛いところが、吹寄にあったのか。
「制理」
「……なによ。付いてこなくていいわよ」
「……なによ。付いてこなくていいわよ」
台所の流しに立った吹寄の後ろに、そっと立つ。
633 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/12(土) 00:57:38.37 ID:YXjYWgT/o
「今の、めちゃくちゃ可愛かった」
「えっ?」
「ツンデレ委員長ってのは、悪くないもんだな」
「っ?! バ、バカ! 変なステレオタイプで呼ばないで!」
「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど。
とにかく、今の吹寄はすんげえ可愛かった」
「……本当に?」
「嘘なんてついてないって。ほら」
「あっ」
「えっ?」
「ツンデレ委員長ってのは、悪くないもんだな」
「っ?! バ、バカ! 変なステレオタイプで呼ばないで!」
「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだけど。
とにかく、今の吹寄はすんげえ可愛かった」
「……本当に?」
「嘘なんてついてないって。ほら」
「あっ」
マグを洗う腕を邪魔しないように、吹寄の胴に上条は腕を回した。
そしてぎゅっと、後ろから抱きしめる。
そしてぎゅっと、後ろから抱きしめる。
「もう。変なところ触らないでよ」
「こう抱きしめたら当たるのは仕方ないだろ。それに、初めて触ったわけじゃないし」
「それはそうだけど」
「時々素直になる制理が、可愛いよ」
「……どこでそういう褒め方、覚えたの?」
「お、覚えたって。本音で言ってるだけだって。
それとも何か。もっと馬鹿にするようなこと言った方が嬉しいか?」
「それは、やっぱり褒めてもらえたほうが嬉しいけれど」
「こう抱きしめたら当たるのは仕方ないだろ。それに、初めて触ったわけじゃないし」
「それはそうだけど」
「時々素直になる制理が、可愛いよ」
「……どこでそういう褒め方、覚えたの?」
「お、覚えたって。本音で言ってるだけだって。
それとも何か。もっと馬鹿にするようなこと言った方が嬉しいか?」
「それは、やっぱり褒めてもらえたほうが嬉しいけれど」
きゅっと、水道のコックをひねって吹寄が水を止めた。
洗ったマグを近くのかごに置いて、手をタオルで拭いた。
その吹寄の肩を押して、上条は自分の方を振り向かせた。
洗ったマグを近くのかごに置いて、手をタオルで拭いた。
その吹寄の肩を押して、上条は自分の方を振り向かせた。
「制理」
「……当麻。そ、その」
「ん?」
「大好き」
「……当麻。そ、その」
「ん?」
「大好き」
上条は返事をしなかった。
頑張って素直になろうとした吹寄が可愛すぎて、
言葉で褒めるよりキスを早くしたかった。
頑張って素直になろうとした吹寄が可愛すぎて、
言葉で褒めるよりキスを早くしたかった。
「んっ……! ん、ん」
「制理。俺も好きだよ」
「うん。嬉しい。その、二人の時は、できるだけ可愛くなる、から」
「ありがとな、制理。俺もできるだけ優しくする」
「うん……!」
「制理。俺も好きだよ」
「うん。嬉しい。その、二人の時は、できるだけ可愛くなる、から」
「ありがとな、制理。俺もできるだけ優しくする」
「うん……!」
今に戻る時間も惜しんで、上条は、吹寄に口付けを続けていく。
きゅっと上条に回された吹寄の腕が、刺激を与える度にぴくんと反応するのが楽しかった。
きゅっと上条に回された吹寄の腕が、刺激を与える度にぴくんと反応するのが楽しかった。
634 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/12(土) 00:59:05.37 ID:YXjYWgT/o
「ん、ふ、はぁ……」
「制理」
「え……?」
「制理」
「え……?」
キスをしながら移動して、ベッドの傍に二人で立つ。
吹寄の目は、もうとろんとしていた。
吹寄の目は、もうとろんとしていた。
「このまま、するか?」
「あ、うん。えっと……」
「あ、うん。えっと……」
自然に誘えたつもりだったのだが、吹寄が、戸惑ったような顔をした。
ちょっと自信があっただけに上条は心中がっくりとなった。
ちょっと自信があっただけに上条は心中がっくりとなった。
「ごめん。嫌ならちゃんと待つ」
「あっ、ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったんだけれど」
「あっ、ごめんなさい。そういうつもりじゃなかったんだけれど」
吹寄は、慰撫するように上条の胸に顔をうずめた。
「いつも、そういう流れでしちゃうでしょう?」
「そういう、って?」
「もう。その、エッチな流れっていうか」
「そうかな」
「そうよ。いっつもあたし、流されるみたいで」
「嫌だったか?」
「違う。そういうのじゃないの。だけど、こんな夜に二人でそういうことになったらって」
「そういう、って?」
「もう。その、エッチな流れっていうか」
「そうかな」
「そうよ。いっつもあたし、流されるみたいで」
「嫌だったか?」
「違う。そういうのじゃないの。だけど、こんな夜に二人でそういうことになったらって」
言われてみれば、確かに危険なシチュエーションだ。
歯止めが効かない場合、行き着くところまで行ってしまう。
特に女の子の吹寄からしたら、不安かもしれない。
歯止めが効かない場合、行き着くところまで行ってしまう。
特に女の子の吹寄からしたら、不安かもしれない。
「じゃあ一回、落ち着いてからにするか?」
「うん。ごめんね。それでもいい?」
「制理が安心できる方法でいこうぜ。それが一番いい」
「ありがとう。……彼氏になってもらうまで知らなかったけど、優しくしてくれて、嬉しい」
「可愛い彼女にだからな」
「あは」
「うん。ごめんね。それでもいい?」
「制理が安心できる方法でいこうぜ。それが一番いい」
「ありがとう。……彼氏になってもらうまで知らなかったけど、優しくしてくれて、嬉しい」
「可愛い彼女にだからな」
「あは」
照れながら、吹寄は嬉しそうに笑った。
「しかし、どうやって落ち着くか」
「手を出さなかったら、大丈夫よ」
「え?」
「その。当麻があたしに変なことをしなければいいだけなの」
「……要は悪いのは俺だと」
「そ、そうでしょ。ほら、横になって」
「……え?」
「手を出さなかったら、大丈夫よ」
「え?」
「その。当麻があたしに変なことをしなければいいだけなの」
「……要は悪いのは俺だと」
「そ、そうでしょ。ほら、横になって」
「……え?」
635 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/12(土) 01:00:21.37 ID:YXjYWgT/o
吹寄が指さしたのはベッドだった。
どう考えても、そこは落ち着く場所ではない。
どう考えても、そこは落ち着く場所ではない。
「あ、貴方が変なことしなければいいの。
手であたしに触っちゃだめ。吸うときも、変な吸い方はだめ」
「変な吸い方ってどんなのですか吹寄先生」
「そ、その。噛んだりとか、舌で舐めたりとか」
「純粋に吸えと」
「だからそう言っているの! ほら、さっさと寝る!」
「お、おう」
手であたしに触っちゃだめ。吸うときも、変な吸い方はだめ」
「変な吸い方ってどんなのですか吹寄先生」
「そ、その。噛んだりとか、舌で舐めたりとか」
「純粋に吸えと」
「だからそう言っているの! ほら、さっさと寝る!」
「お、おう」
いわゆる吹寄らしい手つきで、子犬の首でもつまむように上条の頭をベッドに押し付けた。
そのベッドから吹寄の匂いがして、ひどく上条はドキドキした。
そのベッドから吹寄の匂いがして、ひどく上条はドキドキした。
「な、なによ。静かになって」
「いやだって、これ、制理のいつも寝てるベッドだろ」
「っ?! ちょ、ちょっと匂い嗅がないで」
「いい匂いがする」
「そんなわけないでしょう! その、もう一週間以上はシーツ洗ってないから……」
「いや、それくらいは普通だろ。もう寒いし」
「でも」
「制理の匂い、好きだよ」
「……」
「いやだって、これ、制理のいつも寝てるベッドだろ」
「っ?! ちょ、ちょっと匂い嗅がないで」
「いい匂いがする」
「そんなわけないでしょう! その、もう一週間以上はシーツ洗ってないから……」
「いや、それくらいは普通だろ。もう寒いし」
「でも」
「制理の匂い、好きだよ」
「……」
黙ったまま、吹寄が上条の頭のそばに腰掛けた。
ぽんぽんと太ももを叩いたので、上条は体全体をベッドに乗せて、吹寄の太ももを枕にした。
ぽんぽんと太ももを叩いたので、上条は体全体をベッドに乗せて、吹寄の太ももを枕にした。
「あたしも」
「ん?」
「当麻の匂い嗅ぐと、落ち着くから」
「お、おう」
「恥ずかしいから電気消すけど、変なことはしないでね」
「制理が嫌なことは絶対しない。約束する」
「うん」
「ん?」
「当麻の匂い嗅ぐと、落ち着くから」
「お、おう」
「恥ずかしいから電気消すけど、変なことはしないでね」
「制理が嫌なことは絶対しない。約束する」
「うん」
部屋の真ん中の証明を吹寄は落として、ベッドサイドのライトをつけた。
それだけで、場が一気に夜めいた雰囲気になる。
それだけで、場が一気に夜めいた雰囲気になる。
「あんまり見ないで」
「脱いでるところ、見たいんだよ」
「駄目」
「駄目っていっても見るからな」
「嫌なことはしないっていったじゃない」
「見られるの、制理は嫌じゃないだろ?」
「なんでそう思うのよ」
「だって、死ぬほど綺麗な体だから」
「馬鹿! そんなわけないのに」
「脱いでるところ、見たいんだよ」
「駄目」
「駄目っていっても見るからな」
「嫌なことはしないっていったじゃない」
「見られるの、制理は嫌じゃないだろ?」
「なんでそう思うのよ」
「だって、死ぬほど綺麗な体だから」
「馬鹿! そんなわけないのに」
だが、吹寄はそれ以上抗議をしなかった。
部屋着のトレーナーから腕を引き抜き、そっと頭から脱いでいく。
上条は、その光景を不思議な高揚感とともに見守った。
服の下は、ブラだけだった。豊かな胸のラインを電灯が照らしている。
吹寄が、脱いで乱れた髪をなおした。
そして、上条のすぐ目の前、ブラのカップの部分に両手を当てて、縦にずらすように動かした。
ぷつんと軽い音がしてすぐ、拘束を解かれた乳房が重たげに揺れた。
部屋着のトレーナーから腕を引き抜き、そっと頭から脱いでいく。
上条は、その光景を不思議な高揚感とともに見守った。
服の下は、ブラだけだった。豊かな胸のラインを電灯が照らしている。
吹寄が、脱いで乱れた髪をなおした。
そして、上条のすぐ目の前、ブラのカップの部分に両手を当てて、縦にずらすように動かした。
ぷつんと軽い音がしてすぐ、拘束を解かれた乳房が重たげに揺れた。
「すげえ……」
「本当に、エッチなんだから」
「本当に、エッチなんだから」
怒るような目をしながら、吹寄はカップに当てていた手を外し、
肩からそっと、ブラを外した。
見慣れたはずではあるけれど、上条は見とれてしまった。
ツンと尖った胸の先端と、そして胸全体が描くその曲線に。
肩からそっと、ブラを外した。
見慣れたはずではあるけれど、上条は見とれてしまった。
ツンと尖った胸の先端と、そして胸全体が描くその曲線に。
646 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:01:09.77 ID:3R8WP1Kmo
「制理。それじゃ」
「あ、待って」
「あ、待って」
手を伸ばそうとしたら、吹寄に止められた。
「え、なんで?」
「そ、その。触ったらまたいつもみたいに暴走するんじゃないかと思って」
「暴走って。したことないだろ?」
「どの口でそんなこと言うのよ」
「そ、その。触ったらまたいつもみたいに暴走するんじゃないかと思って」
「暴走って。したことないだろ?」
「どの口でそんなこと言うのよ」
吹寄が、膝上から自分を見つめる上条の髪を撫でた。
怒っているのかと思ったら、表情は柔らかかった。
怒っているのかと思ったら、表情は柔らかかった。
「制理」
「なあに?」
「なあに?」
普段よりずっと柔らかいその声に内心で驚きながら、
上条は吹寄に可愛がられるままになる。
吹寄は、自分の子供でも可愛がるかのように、上条の髪を撫でたり、
頬や耳に触れて、形を指でなぞった。
上条は吹寄に可愛がられるままになる。
吹寄は、自分の子供でも可愛がるかのように、上条の髪を撫でたり、
頬や耳に触れて、形を指でなぞった。
「なんか変な気分だ」」
「うん。実はあたしも、変に落ち着いてて不思議」
「吸わせてくれよ」
「うん。いいよ」
「うん。実はあたしも、変に落ち着いてて不思議」
「吸わせてくれよ」
「うん。いいよ」
吹寄が柔らかく笑った。そして、ぐっと自分の体をかがめて、
体全体で膝上の上条の頭を包み込むようにした。
必然と、吹寄の乳房が上条の顔のすぐ上にあてがわれることになる。
上条は口を大きく開けて、その乳首を、たっぷりと口に含んだ。
体全体で膝上の上条の頭を包み込むようにした。
必然と、吹寄の乳房が上条の顔のすぐ上にあてがわれることになる。
上条は口を大きく開けて、その乳首を、たっぷりと口に含んだ。
「ん――」
咳ととれなくないような、かすかな声を吹寄が漏らした。
口の中に入ってきた吹寄のあたたかみを感じて、上条は唾液を分泌させる。
それを乳首の周りに塗りたくるように舌を動かしてから、
自分の口の内側と吹寄の乳房の間に空気が入らないように、しっかりと吸い付いた。
口の中に入ってきた吹寄のあたたかみを感じて、上条は唾液を分泌させる。
それを乳首の周りに塗りたくるように舌を動かしてから、
自分の口の内側と吹寄の乳房の間に空気が入らないように、しっかりと吸い付いた。
「あ、は――」
吹寄の声は、今までより静かで、ずっと深い感じがした。
そっと吸い付いたせいか、唇に吹寄の胸の柔らかさを感じる。
よく母乳の出る吸い方というのにも慣れてきたので、
上手く唇で甘噛みすると、口の中に吹寄の味が広がった。
そっと吸い付いたせいか、唇に吹寄の胸の柔らかさを感じる。
よく母乳の出る吸い方というのにも慣れてきたので、
上手く唇で甘噛みすると、口の中に吹寄の味が広がった。
「……ふふ」
「んー?」
「んー?」
647 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:01:41.54 ID:3R8WP1Kmo
吹寄が、自分を見下ろして笑っていた。
クスクスという感じの笑いで、活動的な吹寄には珍しい。
そして自分が笑われている理由がなんとなくわかるのが気恥ずかしかった。
クスクスという感じの笑いで、活動的な吹寄には珍しい。
そして自分が笑われている理由がなんとなくわかるのが気恥ずかしかった。
「当麻が赤ちゃんみたい。気づいてるのかしら。すっごい甘えた表情、してるの」
「んー」
「んー」
自覚はないでもない。
女の子にこうやって撫でてもらっておっぱいを与えられると、
記憶にすら残っていないようなずっと昔の条件反射がよみがえるのだ。
言い訳をするのも面倒に思いながら、ゆるゆると絶え間なく口の中に溢れてくる母乳を嚥下する。
そんな上条を、吹寄は幸せそうに見つめる。
女の子にこうやって撫でてもらっておっぱいを与えられると、
記憶にすら残っていないようなずっと昔の条件反射がよみがえるのだ。
言い訳をするのも面倒に思いながら、ゆるゆると絶え間なく口の中に溢れてくる母乳を嚥下する。
そんな上条を、吹寄は幸せそうに見つめる。
「こういう幸せは、ほんとは貴方じゃなくて、二人で赤ちゃん授かってからなのにね」
「……」
「……」
黙って、上条は吹寄を見つめた。吹寄はまた、なあにと首をかしげて微笑んだ。
ものすごく際どいことを言ったのに、吹寄には自覚がないらしかった。
上条に母乳を上げるのが幸せなのかとか、二人で赤ちゃんを授かるとか。
突っ込めばきっと赤くなってうろたえるだろう。
でもこの雰囲気を壊したくなくて、上条は追求しなかった。
黙って、吹寄のお腹に触った。
ものすごく際どいことを言ったのに、吹寄には自覚がないらしかった。
上条に母乳を上げるのが幸せなのかとか、二人で赤ちゃんを授かるとか。
突っ込めばきっと赤くなってうろたえるだろう。
でもこの雰囲気を壊したくなくて、上条は追求しなかった。
黙って、吹寄のお腹に触った。
「ちょっと。変なところ触らないの」
「ん」
「ん」
触っても、子宮の場所はわからなかった。当然だが。
いつか、吹寄を孕ませることがあるのだろうか。
好きな女の子に家族になって欲しいという気持ちを、上条は不意に抱いた。
いつか、吹寄を孕ませることがあるのだろうか。
好きな女の子に家族になって欲しいという気持ちを、上条は不意に抱いた。
「そろそろ、出なくなってきた?」
「ん。ああ」
「そっか。今日もありがとね」
「礼なんていいって。なあ、制理」
「ん?」
「好きだ」
「うん。あたしも」
「結婚してくれ」
「……いいよ。あたしは今年度中に結婚できるようになるから」
「あー」
「ん。ああ」
「そっか。今日もありがとね」
「礼なんていいって。なあ、制理」
「ん?」
「好きだ」
「うん。あたしも」
「結婚してくれ」
「……いいよ。あたしは今年度中に結婚できるようになるから」
「あー」
冗談を真剣に返されると、困る。上条は結婚できる年までまだ間があった。
それに、働いてもいないのに結婚なんて、という感覚を上条は持っていた。
それに、働いてもいないのに結婚なんて、という感覚を上条は持っていた。
「大学、吹寄は行くのか?」
「え? うん。今のところはそうしようかなって。当麻は?」
「まだ高校一年で実感ないからなあ」
「そういうこと言ってると、すぐに慌てる時期が来ちゃうわよ」
「そりゃそうだけど」
「え? うん。今のところはそうしようかなって。当麻は?」
「まだ高校一年で実感ないからなあ」
「そういうこと言ってると、すぐに慌てる時期が来ちゃうわよ」
「そりゃそうだけど」
648 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:02:12.63 ID:3R8WP1Kmo
真剣に考えなきゃな、と上条は思った。
吹寄とずっと一緒にいたいなら、結婚したいなら。
遊んでるだけじゃダメで、ちゃんと、社会の中で仕事をしなければならない。
ヴィジョンのない今のままをずっと続けることはできない。
吹寄とずっと一緒にいたいなら、結婚したいなら。
遊んでるだけじゃダメで、ちゃんと、社会の中で仕事をしなければならない。
ヴィジョンのない今のままをずっと続けることはできない。
「制理に愛想つかされないようにしないとな」
「そんなにあたし、薄情に見えるの?」
「そういう事を言ってるんじゃないって。
やっぱり、好きな子に結婚してくれって言うんだったら、ちゃんとしないと」
「そうね。でも、当麻はなんとかしちゃう気がする」
「え?」
「土御門とかと一緒にいるときは馬鹿ばっかりやってるけど、
大事なところとか、何とかしなきゃいけないことっていうのは、
当麻はわかってるような気がするから」
「買いかぶりすぎだろ」
「そうかな。頼もしく思ってちゃいけない?」
「過剰な欲求をされても答えられませんのことよ?」
「過剰かな」
「……頼ってもらえるくらいには、頑張るさ」
「そんなにあたし、薄情に見えるの?」
「そういう事を言ってるんじゃないって。
やっぱり、好きな子に結婚してくれって言うんだったら、ちゃんとしないと」
「そうね。でも、当麻はなんとかしちゃう気がする」
「え?」
「土御門とかと一緒にいるときは馬鹿ばっかりやってるけど、
大事なところとか、何とかしなきゃいけないことっていうのは、
当麻はわかってるような気がするから」
「買いかぶりすぎだろ」
「そうかな。頼もしく思ってちゃいけない?」
「過剰な欲求をされても答えられませんのことよ?」
「過剰かな」
「……頼ってもらえるくらいには、頑張るさ」
上条は体を起こして、吹寄にキスをした。
吹寄の腕が、首に絡まる。その腕を手でつかんで、上条は吹寄を押し倒した。
吹寄の腕が、首に絡まる。その腕を手でつかんで、上条は吹寄を押し倒した。
「制理」
「当麻」
「当麻」
見つめ合う。吹寄の瞳に不安の色はなかった。
「どこまでなら、していい?」
「最後までは、だめ」
「耳噛んでもいいか?」
「……一つ一つ聞くのも、だめ」
「なんで?」
「恥ずかしいから……」
「じゃあ、して欲しくないことやれたら、やめてって言ってくれ」
「うん」
「だめ、じゃやめないからな?」
「え?」
「制理はもっとして欲しいときにだめって言うだろ?」
「そ、そんなことない……!」
「最後までは、だめ」
「耳噛んでもいいか?」
「……一つ一つ聞くのも、だめ」
「なんで?」
「恥ずかしいから……」
「じゃあ、して欲しくないことやれたら、やめてって言ってくれ」
「うん」
「だめ、じゃやめないからな?」
「え?」
「制理はもっとして欲しいときにだめって言うだろ?」
「そ、そんなことない……!」
上条の視線を避けるように、吹寄がうつむく。
その顔をのぞき込むようにして上条はまたキスをした。
その顔をのぞき込むようにして上条はまたキスをした。
「ん……」
「愛してる。制理」
「あたしも、大好き」
「名前読んでくれよ」
「当麻……あ、ん。当麻ぁ」
「愛してる。制理」
「あたしも、大好き」
「名前読んでくれよ」
「当麻……あ、ん。当麻ぁ」
649 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:02:41.70 ID:3R8WP1Kmo
名前を呼んでくれと言っておきながら、上条はそれを遮るようにキスをする。
その合間に切れ切れに名前を囁く吹寄の色っぽさを、耳で堪能する。
その合間に切れ切れに名前を囁く吹寄の色っぽさを、耳で堪能する。
「……当麻?」
「ちょっと待ってな」
「ちょっと待ってな」
不意に体を離した上条を、寂しさを感じながら吹寄は見上げた。
薄手のセーターを、脱いでいるらしかった。
薄手のセーターを、脱いでいるらしかった。
「ベッドで制理とくっつくと、ちょっと暑くてさ」
「……」
「……」
もぞもぞとセーターを脱ぎ捨て、おざなりにたたんで床に投げる。
下はTシャツらしかった。
上条は、吹寄が意味ありげな瞳で自分を見つめているのに気づいた。
言うのをためらっているような、そんな感じ。
下はTシャツらしかった。
上条は、吹寄が意味ありげな瞳で自分を見つめているのに気づいた。
言うのをためらっているような、そんな感じ。
「どうかしたか?」
「あの、さ……」
「制理?」
「あの、さ……」
「制理?」
吹寄がシーツを引き寄せた。胸元が、それで隠れる。
口元位までを隠すようにしながら、おずおずと口を開いた。
口元位までを隠すようにしながら、おずおずと口を開いた。
「あたしだけ裸なの、恥ずかしい」
「……いつものことだろ?」
「い、いつもはたくしあげるだけで脱いでないじゃない」
「まあ、そうだけど。どうしたらいいんだ?」
「……いつものことだろ?」
「い、いつもはたくしあげるだけで脱いでないじゃない」
「まあ、そうだけど。どうしたらいいんだ?」
服を着たいという意味なのだろうか、と内心で残念に思いながら上条は確認する。
しかし、吹寄が言いたいのはそういうことではなかった。
もっと、恥ずかしくて、大胆なこと。
しかし、吹寄が言いたいのはそういうことではなかった。
もっと、恥ずかしくて、大胆なこと。
「ねえ。当麻も、上、脱いで」
「――制理」
「だ、だって。あたしだけって、恥ずかしいじゃない」
「わかった」
「――制理」
「だ、だって。あたしだけって、恥ずかしいじゃない」
「わかった」
上条は、シャツに手をかけて唐突に吹寄の気持ちに共感できた。
年頃の男子として、たしかに女子の前で半身を晒すというのは、気恥ずかしかった。
男の自分でこれなんだから、吹寄はもっとだろう。
意を決して、さっと上条はシャツを首から引き抜いた。
年頃の男子として、たしかに女子の前で半身を晒すというのは、気恥ずかしかった。
男の自分でこれなんだから、吹寄はもっとだろう。
意を決して、さっと上条はシャツを首から引き抜いた。
「あ……」
「な、なんだよ。あんま見るなよ」
「なんでよ。あたしの体、いっぱい見てるんだからあたしだって当麻の体、見てもいいでしょ」
「いやでも、なんか小っ恥ずかしいじゃん」
「あたしがどれだけ恥ずかしい思いしてると思ってるのよ」
「制理のは、綺麗だからいいんだ」
「理由になってないわよ。それに」
「え?」
「当麻だって、なんか、かっこいい」
「はい?」
「な、なんだよ。あんま見るなよ」
「なんでよ。あたしの体、いっぱい見てるんだからあたしだって当麻の体、見てもいいでしょ」
「いやでも、なんか小っ恥ずかしいじゃん」
「あたしがどれだけ恥ずかしい思いしてると思ってるのよ」
「制理のは、綺麗だからいいんだ」
「理由になってないわよ。それに」
「え?」
「当麻だって、なんか、かっこいい」
「はい?」
650 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:03:44.04 ID:3R8WP1Kmo
特別鍛えているわけでもない体だ。
腹筋が割れてることもないし、胸板が厚いこともない。
貧乏食のおかげかすらっとしてはいるが、それは貧相という言葉とも相性が良かった。
腹筋が割れてることもないし、胸板が厚いこともない。
貧乏食のおかげかすらっとしてはいるが、それは貧相という言葉とも相性が良かった。
「男の子なんだな、って」
「俺が女の子に見えたことがあったのか?」
「そうじゃなくて。やっぱり女子の体とは全然違うじゃない」
「当然だろ」
「……もう。茶化さないでよ」
「ごめん」
「俺が女の子に見えたことがあったのか?」
「そうじゃなくて。やっぱり女子の体とは全然違うじゃない」
「当然だろ」
「……もう。茶化さないでよ」
「ごめん」
言いたいことはわからないでもなかった。
何度見ても、吹寄の体には惹きつけられる。
自分と違うからだろうか、その体のラインを見ただけで、落ち着かない気分になるのだ。
そういう気持ちと、一緒なのかもしれない。
何度見ても、吹寄の体には惹きつけられる。
自分と違うからだろうか、その体のラインを見ただけで、落ち着かない気分になるのだ。
そういう気持ちと、一緒なのかもしれない。
「抱きしめていいか?」
「うん。来て……」
「うん。来て……」
恥ずかしそうなのに、どこか期待しているのを感じさせる声だった。
上条の肩に吹寄の手が触れられる。その感触だけで頭がクラクラしてきた。
吹寄の手が首に回されるのと同時に、上条は、吹寄に覆いかぶさるようにして体全体をくっつけた。
上条の肩に吹寄の手が触れられる。その感触だけで頭がクラクラしてきた。
吹寄の手が首に回されるのと同時に、上条は、吹寄に覆いかぶさるようにして体全体をくっつけた。
「はあぁぁぁん!」
切なそうな吹寄の声が、部屋に響いた。
上条だって、その声が意味しているのと同じ気持ちで、心の中がいっぱいだった。
気持ちよくて、嬉しい。
上条だって、その声が意味しているのと同じ気持ちで、心の中がいっぱいだった。
気持ちよくて、嬉しい。
「すげ……」
「当麻ぁ……ああ」
「当麻ぁ……ああ」
肌がひんやりしているのに、暖かい。
そして、腕だとか腰だとか、思ったよりも骨張ったところがあたって硬い感じがするのに、柔らかい。
不思議な二律背反。
体全体で女の子を抱く感覚というのは、とても不思議で、とても気持ちがいい。
手のひらを大きく広げて、吹寄の頭を撫で、背中をさする。
そして、腕だとか腰だとか、思ったよりも骨張ったところがあたって硬い感じがするのに、柔らかい。
不思議な二律背反。
体全体で女の子を抱く感覚というのは、とても不思議で、とても気持ちがいい。
手のひらを大きく広げて、吹寄の頭を撫で、背中をさする。
「はぁぁ、ああ」
ひどく安心したような、深い呼吸。
とろけるような目で、吹寄が上条を見上げた。
とろけるような目で、吹寄が上条を見上げた。
「凄いな」
「うん。……どうしよう、あたし、おかしくなりそう」
「なってもいいよ。ずっと抱きしめてるから」
「うん。お願い。離さないで……」
「うん。……どうしよう、あたし、おかしくなりそう」
「なってもいいよ。ずっと抱きしめてるから」
「うん。お願い。離さないで……」
そのまま口付けをする。吹寄に積極さはなかった。舌もおざなりにしか差し出してくれない。
だけど、その理由もわかるから上条は気にならなかった。
体のどこかをなでる度に、吹寄が喘ぐように深い呼吸をするから。
上条の与える感触に、陶然としているのがありありとわかる仕草だった。
だけど、その理由もわかるから上条は気にならなかった。
体のどこかをなでる度に、吹寄が喘ぐように深い呼吸をするから。
上条の与える感触に、陶然としているのがありありとわかる仕草だった。
651 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:04:17.39 ID:3R8WP1Kmo
「どこを触って欲しい?」
「……ぇ?」
「どこを、触って欲しい?」
「……ぇ?」
「どこを、触って欲しい?」
答えを、吹寄に強要する。
耳元で囁く声も快感のもとになるのか、吹寄が悶えるように首をうねらせた。
そして、目をつぶったまま恥ずかしそうに笑う。
耳元で囁く声も快感のもとになるのか、吹寄が悶えるように首をうねらせた。
そして、目をつぶったまま恥ずかしそうに笑う。
「当麻の、好きなところに触って」
「どこでもいいのか?」
「だめなところは、だめっていうから」
「だめ、じゃ止まらないって行っただろ?」
「……でも」
「ん?」
「やめて、って言えないわよ」
「なんで?」
「怖いから、だめな場所はあるけど、やめてって言えない」
「どこでもいいのか?」
「だめなところは、だめっていうから」
「だめ、じゃ止まらないって行っただろ?」
「……でも」
「ん?」
「やめて、って言えないわよ」
「なんで?」
「怖いから、だめな場所はあるけど、やめてって言えない」
言葉が強すぎるのだ。やめてというのは。
それが吹寄の正直な気持ちだった。
だめ、なら言える。だけど、上条に止めてとは言えなかった。
触っていいかどうかは、上条に全部察して欲しかった。
それに、きっと、上条ならひどいことはしないと思う。
それが吹寄の正直な気持ちだった。
だめ、なら言える。だけど、上条に止めてとは言えなかった。
触っていいかどうかは、上条に全部察して欲しかった。
それに、きっと、上条ならひどいことはしないと思う。
「あたしが嫌なことは、しない?」
「当たり前だ」
「じゃあ、何してもやめてって言わないから。優しく、して」
「……わかった」
「ありがと。とうま……あっ、あっ」
「当たり前だ」
「じゃあ、何してもやめてって言わないから。優しく、して」
「……わかった」
「ありがと。とうま……あっ、あっ」
吹寄が言い終わるより先に、耳を甘噛みしてやった。
反応は顕著だ。体をくねらせるようにして、吹寄がはねた。
耳の複雑な形をなぞるように舌を這わせると、ぎゅっと吹寄が目をつぶった。
反応は顕著だ。体をくねらせるようにして、吹寄がはねた。
耳の複雑な形をなぞるように舌を這わせると、ぎゅっと吹寄が目をつぶった。
「はぁん!」
「気持ちいいか?」
「き、聞かないで」
「声、出てる」
「……わかってる、から。言わないでよ」
「気持ちいいか?」
「き、聞かないで」
「声、出てる」
「……わかってる、から。言わないでよ」
分かってたって、止められないのだ。
上条が耳を攻めるのをやめた。それが寂しくて、吹寄は上条を探す。
もちろん体はべったりくっついているのに、おかしなことだった。
上条が耳を攻めるのをやめた。それが寂しくて、吹寄は上条を探す。
もちろん体はべったりくっついているのに、おかしなことだった。
「当麻……」
「制理?」
「あ、な、なんでもない」
「おねだりか?」
「制理?」
「あ、な、なんでもない」
「おねだりか?」
かあっと顔に血が登るのを吹寄は感じた。
完全に上条に見透かされていた。
完全に上条に見透かされていた。
652 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 00:04:54.31 ID:3R8WP1Kmo
「もっとしてください、は?」
「え……?」
「してほしいんだったら、ほら、おねだり」
「……できない、わよ」
「なんで?」
「だって」
「じゃあ、抱きしめるのも終わりな?」
「あっ、だめ、だめ」
「え……?」
「してほしいんだったら、ほら、おねだり」
「……できない、わよ」
「なんで?」
「だって」
「じゃあ、抱きしめるのも終わりな?」
「あっ、だめ、だめ」
すっと体を離しかけた上条を引き止めるように、腕をつかむ。
にっと笑った上条がとても意地悪く見えて、吹寄は切なくなった。
すぐに、もう一度抱きしめられた。だけどそれ以上のことを、上条はしてくれなくて。
にっと笑った上条がとても意地悪く見えて、吹寄は切なくなった。
すぐに、もう一度抱きしめられた。だけどそれ以上のことを、上条はしてくれなくて。
「もっとしてください、は?」
「……馬鹿」
「……馬鹿」
吹寄の、負けだった。もしかしたら、これからもずっと負け続けるのかもしれない。
上条と目が合う。だけど恥ずかしくて、目を見ては言えなかった。
上条と目が合う。だけど恥ずかしくて、目を見ては言えなかった。
「もっと、してください」
「ん。いい子だ」
「ん。いい子だ」
同級生なのに。同い年の自分をお子様扱いするなんて。
だけど、嫌な気持ちは全然なかった。
こういう扱いをされることの恥ずかしさと倒錯感、そしてそれを受け入れそうな自分が怖いだけだった。
一度、受け入れてしまえばそれは全て、会快感館に変わる。
上条が、耳の裏を舐め上げた。
だけど、嫌な気持ちは全然なかった。
こういう扱いをされることの恥ずかしさと倒錯感、そしてそれを受け入れそうな自分が怖いだけだった。
一度、受け入れてしまえばそれは全て、会快感館に変わる。
上条が、耳の裏を舐め上げた。
「ふぅん、んんん」
泣きそうなくらいの切ない声を聞いて、上条は自身の興奮を抑えきれなくなりそうだった。
このまま、全てを自分のものにしてしまいたい。
それに、こうやって時間をかけて吹寄の心と体を崩していけば、手に入れられるかもしれない。
抱きしめるという行為が、守ってあげるという意味合いだけじゃなくて、
征服してしまいたいという意味合いを含むものに、変わりつつあった。
このまま、全てを自分のものにしてしまいたい。
それに、こうやって時間をかけて吹寄の心と体を崩していけば、手に入れられるかもしれない。
抱きしめるという行為が、守ってあげるという意味合いだけじゃなくて、
征服してしまいたいという意味合いを含むものに、変わりつつあった。
「ん、あっ……!」
背中を撫でていた手を、上条は、そっと前に伸ばした。
ついさっきまで吸っていた豊かな胸に、上条は手のひらを押し当てた。
ついさっきまで吸っていた豊かな胸に、上条は手のひらを押し当てた。
666 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 23:05:20.42 ID:3R8WP1Kmo
「ふあぁ、あっ、あ」
吹寄の胸は、大きい。手のひらには収まりきらない。
仰向けになった吹寄の胴の上で広がった乳房を、
手でまとめるように、あるいはすくい上げるように揉みしだく。
乳房に沈み込んだ指を一本ずつ別々に動かすと、
わずかに勃ち始めた乳首が、あちこちを向いた。
仰向けになった吹寄の胴の上で広がった乳房を、
手でまとめるように、あるいはすくい上げるように揉みしだく。
乳房に沈み込んだ指を一本ずつ別々に動かすと、
わずかに勃ち始めた乳首が、あちこちを向いた。
「制理のおっぱい、可愛いよな」
「んっ、へ、変なこと言わないの」
「舐めていいか?」
「……知らない」
「んっ、へ、変なこと言わないの」
「舐めていいか?」
「……知らない」
上条は、わざとゆっくり吹寄の乳房に顔を近づけた。
吹寄の表情を見ると、眉をきゅっと引き寄せて、何かに耐えるような顔をしていた。
吹寄の表情を見ると、眉をきゅっと引き寄せて、何かに耐えるような顔をしていた。
「すげえエッチな顔してる」
「馬鹿ぁ……。見ないで、お願い」
「それは無理な相談だな。感じてる顔、めちゃくちゃ可愛いから」
「やぁぁ……だめ。おかしくなる」
「なってくれよ」
「馬鹿ぁ……。見ないで、お願い」
「それは無理な相談だな。感じてる顔、めちゃくちゃ可愛いから」
「やぁぁ……だめ。おかしくなる」
「なってくれよ」
ふう、と生暖かい息を乳房に吹きかけた。
むしゃぶりついてしまいたい衝動を抑えるのに、上条も必死だった。
むしゃぶりついてしまいたい衝動を抑えるのに、上条も必死だった。
「ひぁぁぁぁん!」
掠れるような声で、吹寄が鳴いた。
それに気をよくして上条は、固くなりきっていない乳首をちろりと舐める。
それに気をよくして上条は、固くなりきっていない乳首をちろりと舐める。
「ひゃん!」
ぴん、と吹寄の体がのけぞるように跳ねた。
上条はそのまま吸い付きたくなる気持ちを抑えて、じっと待つ。
上条はそのまま吸い付きたくなる気持ちを抑えて、じっと待つ。
「と、当麻……」
「舐めて欲しいか?」
「……」
「舐めて欲しいか?」
「……」
吹寄がそっぽをむいた。だが、その直前にすこしだけ頷いた気がする。
とりあえずは、それで合格ということにする。
上条はもう一度乳房に顔を近づけた。
とりあえずは、それで合格ということにする。
上条はもう一度乳房に顔を近づけた。
「あ、あ……」
「まだ舐めてないけど?」
「っ!!」
「まだ舐めてないけど?」
「っ!!」
意地悪な上条の顔を見て、吹寄が信じられないという顔をした。
そして羞恥に唇をわななかせ、上条から顔を見られないように必死にどこか別のところに顔を向けた。
死ぬほど、恥ずかしかった。
しかし吹寄は、そう思いながら嫌ではないと思う自分の心に戸惑っていた。
意地悪されるのは、普通に考えたら嫌なことのはずなのに。
自分は今、ひどく期待をしている。
上条がどこかのタイミングで、たくさんの快感を与えてくれることを。
そして、それまでずっと、こうして焦らし続けてくれることを。
そして羞恥に唇をわななかせ、上条から顔を見られないように必死にどこか別のところに顔を向けた。
死ぬほど、恥ずかしかった。
しかし吹寄は、そう思いながら嫌ではないと思う自分の心に戸惑っていた。
意地悪されるのは、普通に考えたら嫌なことのはずなのに。
自分は今、ひどく期待をしている。
上条がどこかのタイミングで、たくさんの快感を与えてくれることを。
そして、それまでずっと、こうして焦らし続けてくれることを。
667 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 23:05:48.72 ID:3R8WP1Kmo
「ねえ、当麻」
理性と乖離した体が、自然と上条の名前を呼んだ。
それに反応するように上条の手が胸を這う。慎重に、乳首を避けて。
それに反応するように上条の手が胸を這う。慎重に、乳首を避けて。
「あ……あ」
ほとんど声にならない声を、漏らしてしまう。
ほんの何センチか上条の指が先端に近づいただけで、体が期待をこめて反応してしまう。
ほんの何センチか上条の指が先端に近づいただけで、体が期待をこめて反応してしまう。
「して、ほしいか?」
「……あ、う」
「……あ、う」
素直に、従順に答えてしまいそうな自分がいる。
だけどそんな自分をさらけ出すのははずかしい。
……葛藤のはずなのに。葛藤していること自体が、もう快感だった。
だけどそんな自分をさらけ出すのははずかしい。
……葛藤のはずなのに。葛藤していること自体が、もう快感だった。
「乳首を舐めてくださいって、言ってくれよ」
「……だめ」
「駄目じゃないだろ? 言わなきゃ、やめるぞ?」
「だめ……!」
「あれもこれも駄目か」
「……」
「じゃあもう、やめちまうか?」
「あ、だ、だめ!」
「……だめ」
「駄目じゃないだろ? 言わなきゃ、やめるぞ?」
「だめ……!」
「あれもこれも駄目か」
「……」
「じゃあもう、やめちまうか?」
「あ、だ、だめ!」
上条が体をすっと離そうとした。寂しい。
それだけで、条件反射で吹寄は上条の首に腕を絡めて、抱きとめた。
それだけで、条件反射で吹寄は上条の首に腕を絡めて、抱きとめた。
「舐めてください、は?」
「あ……なめ、て」
「あ……なめ、て」
吹寄は、負けてしまった自分を自覚した。
耐えるのをやめて、今この瞬間、上条に溺れてしまった。
聞こえる最小限の声で、ちいさく、つぶやく。
耐えるのをやめて、今この瞬間、上条に溺れてしまった。
聞こえる最小限の声で、ちいさく、つぶやく。
「乳首を、舐めて、くだ、さ、っ?! はぁぁぁぁん! あっ! あぁぁ」
突然だった。不意打ちだった。完全に、この間を狙われていた。
従順になって、おねだりをしてしまったその瞬間。
吹寄が全てを言い終わる直前に、上条が乳首に吸い付いた。
従順になって、おねだりをしてしまったその瞬間。
吹寄が全てを言い終わる直前に、上条が乳首に吸い付いた。
「はぁん、はぁ、ん! ん! ん!」
上条が、乳首に吸い付いて、舌で乳首を転がしている。
だが吹寄にはもう細かいことはわからない。
どかんと、あるいはじゅわりと、体の奥から快感が吹き上げていて、
もう何がなんだかわからなかった。
もう五感が用をなさなくて、うねるような快感が体を痺れさせている。
その愛らしい吹寄の反応に、上条はひどく満足感を覚えていた。
まんまと成功した、という感じだった。
吹寄の体が急にぐにゃりとなって、ベッドの上で波打ちだした。
手が上条を求めるように動き、時折シーツの縒れをみつけてはぎゅっとつまむ。
そして太ももが、ぎゅっとこすり合わされるように動いた。
それは吹寄が、お腹のすぐ下に、何かを感じている証左のように思える。
だが吹寄にはもう細かいことはわからない。
どかんと、あるいはじゅわりと、体の奥から快感が吹き上げていて、
もう何がなんだかわからなかった。
もう五感が用をなさなくて、うねるような快感が体を痺れさせている。
その愛らしい吹寄の反応に、上条はひどく満足感を覚えていた。
まんまと成功した、という感じだった。
吹寄の体が急にぐにゃりとなって、ベッドの上で波打ちだした。
手が上条を求めるように動き、時折シーツの縒れをみつけてはぎゅっとつまむ。
そして太ももが、ぎゅっとこすり合わされるように動いた。
それは吹寄が、お腹のすぐ下に、何かを感じている証左のように思える。
668 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 23:06:35.39 ID:3R8WP1Kmo
「気持ちよかったか?」
舌が疲れてきたので、上条はそっと口を乳首から離した。
攻撃が止んだのを感じ取って、吹寄が荒い息を付きながら酸素を求めた。
上条の問いかけに、コクコクと首肯を返した。
攻撃が止んだのを感じ取って、吹寄が荒い息を付きながら酸素を求めた。
上条の問いかけに、コクコクと首肯を返した。
「エッチなところも、可愛いな」
「エッチじゃ、ない」
「そんなことないだろ」
「当麻が……全部悪いの」
「俺のせいかよ」
「だって」
「エッチじゃ、ない」
「そんなことないだろ」
「当麻が……全部悪いの」
「俺のせいかよ」
「だって」
涙がでてきそうだった。理由は分からないけれど。
ひとりじゃ、絶対にこんなことになんてならないから。
ひとりじゃ、絶対にこんなことになんてならないから。
「なあ制理」
「え?」
「太もも、こすり合わせてるけどさ」
「えっ?!」
「え?」
「太もも、こすり合わせてるけどさ」
「えっ?!」
あわてて吹寄は足の緊張を解いた。
まるでそれが、何かを暗示していたと認めるように。
まるでそれが、何かを暗示していたと認めるように。
「制理って、自分でするのか?」
「な、何、を?」
「自分の指で、気持ちよくなったりするのか?」
「そ、そんなこと聞かないで」
「認めてる?」
「ち、違う……! 一般論として、だめだってこと」
「なあ制理」
「な、何、を?」
「自分の指で、気持ちよくなったりするのか?」
「そ、そんなこと聞かないで」
「認めてる?」
「ち、違う……! 一般論として、だめだってこと」
「なあ制理」
上条が、覆いかぶさるのをやめて吹寄の横に寝転がった。
そして背中の方から吹寄を抱きしめて、その手を握った。
そして背中の方から吹寄を抱きしめて、その手を握った。
「いつもどうやってるのか、教えてくれよ」
「知らない……知らない!」
「知らない……知らない!」
吹寄はこれ以上追求されるのが怖かった。
だって、どんなリアクションをとっても、自分で慰めていることを認めたように受け取られそうだから。
エッチな女の子だとは、思われたくない。
だって、どんなリアクションをとっても、自分で慰めていることを認めたように受け取られそうだから。
エッチな女の子だとは、思われたくない。
「どの指?」
「してない……!」
「してない……!」
669 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/15(火) 23:07:19.89 ID:3R8WP1Kmo
やや強めの力で、上条がつかんだ吹寄の手を下半身へと持っていこうとする。
必死にそれに、抵抗する。
万が一にも触ってしまえば、自分の体がどうなっているか分かってしまう。
もう薄々気づいているけれど、それでも今は気づかないふりをしていたかった。
必死にそれに、抵抗する。
万が一にも触ってしまえば、自分の体がどうなっているか分かってしまう。
もう薄々気づいているけれど、それでも今は気づかないふりをしていたかった。
「もしかして指じゃない?」
「え?」
「道具持ってるとか」
「いくらなんでも、そんなわけないでしょ」
「でも制理、通販好きだろ?」
「っ! だ、だから何よ」
「え?」
「道具持ってるとか」
「いくらなんでも、そんなわけないでしょ」
「でも制理、通販好きだろ?」
「っ! だ、だから何よ」
声が上ずらないように、必死に吹寄はトーンを平常通りに保つ。
だが、何かを隠そうとしているのは、上条にはバレバレだった。
不意に、部屋に通るような大きめの声で、上条が吹寄に尋ねた。
だが、何かを隠そうとしているのは、上条にはバレバレだった。
不意に、部屋に通るような大きめの声で、上条が吹寄に尋ねた。
「なあ。あの電動マッサージ器、何に使うの?」
「えっ?!」
「えっ?!」
上条がむいた方向を、吹寄は思わず探った。
だって、あれは。見えるようなところに置いていないはず。
ちゃんとしまって、あるはずだから。
だって、あれは。見えるようなところに置いていないはず。
ちゃんとしまって、あるはずだから。
「……適当に言っただけなんだけど」
「あ、あ」
「持ってるんだな」
「それは、その」
「胸が大きい子は肩が凝るって言うから、制理が持ってても変じゃないと思うけど」
「あ、う……」
「あ、あ」
「持ってるんだな」
「それは、その」
「胸が大きい子は肩が凝るって言うから、制理が持ってても変じゃないと思うけど」
「あ、う……」
言葉が出なかった。完全に、上条のハッタリに騙された。
「マッサージ器、どこにあるんだ?」
「さ、さあ。忘れたわよ」
「そっか。じゃあ次までに見つけてくれよ」
「ど、どうして……?」
「肩凝り、ほぐすの手伝うからさ」
「う、うん……」
「さ、さあ。忘れたわよ」
「そっか。じゃあ次までに見つけてくれよ」
「ど、どうして……?」
「肩凝り、ほぐすの手伝うからさ」
「う、うん……」
それで終わらない気がしてならない。
「マッサージ器に、制理の匂いついてるかな?」
「えっ、だ、だめ!」
「えっ、だ、だめ!」
つい条件反射で言ってハッとなる。
「だめって、なんで?」
「それは……」
「それは……」
吹寄が首を振って言い淀む。だが、上条は追求をやめるつもりはなかった。
沈黙で、先を促しながら、見上げる吹寄の顔に微笑んだ。
沈黙で、先を促しながら、見上げる吹寄の顔に微笑んだ。
682 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/16(水) 22:43:17.36 ID:gXenleSHo
「制理?」
「……」
「黙ってると、わからないぞ」
「……でも」
「制理?」
「……」
「黙ってると、わからないぞ」
「……でも」
「制理?」
吹寄の表情が陰ったのに気づいて、上条は慌てた。
いじめると言っても、本気で相手を傷つけるようなことをしたいわけじゃない。
いじめると言っても、本気で相手を傷つけるようなことをしたいわけじゃない。
「ごめん、言いすぎた」
「……当麻」
「制理?」
「嫌いに、ならない?」
「え?」
「……当麻」
「制理?」
「嫌いに、ならない?」
「え?」
その確認は唐突で、あまり要領を得なかった。どういう類の心配なのかがわからない。
だけど、答えにはそれなりに自信があった。
だけど、答えにはそれなりに自信があった。
「制理のことを、嫌いにならない自信はある。どういう心配なのかわかんないんだけど」
「その。……自分で、エッチなことしてる女の子って、嫌?」
「つまり、自分の指で体に触ったりしてる女の子のことか?」
「その。……自分で、エッチなことしてる女の子って、嫌?」
「つまり、自分の指で体に触ったりしてる女の子のことか?」
認めたくないように、上条からそっぽをむいて、小さく頷いた。
その体を後ろから抱きしめる。そうして、小さな言葉も聞き漏らさないように、吹寄の頬にキスをした。
その体を後ろから抱きしめる。そうして、小さな言葉も聞き漏らさないように、吹寄の頬にキスをした。
「そういう女の子って、嫌かな?」
「いや別に、そんなことは思わないけど」
「そっか」
「いや別に、そんなことは思わないけど」
「そっか」
ほうっと、吹寄が息をついた。
そして、上条の手を握って、とぎれとぎれに呟いた。
そして、上条の手を握って、とぎれとぎれに呟いた。
「ちょっとだけ、したこと、あるの」
「マッサージ器で?」
「ち、ちがう……!」
「じゃあ、指で?」
「マッサージ器で?」
「ち、ちがう……!」
「じゃあ、指で?」
コクンと、吹寄が頷いた。
「友達がそういうののやり方の書いてある雑誌持ってきたことがあって、それ読んで。
ほ、ほんとに何回かだけだけど、ちょっと興味で、やったことがあって」
「そうなんだ。言っとくけど、別に嫌なことは何にもないし、それで吹寄の見方が変わるとかはないから」
「うん。……余計な心配だったかな」
「だな。ほら、キスしようぜ」
「うん」
ほ、ほんとに何回かだけだけど、ちょっと興味で、やったことがあって」
「そうなんだ。言っとくけど、別に嫌なことは何にもないし、それで吹寄の見方が変わるとかはないから」
「うん。……余計な心配だったかな」
「だな。ほら、キスしようぜ」
「うん」
683 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/16(水) 22:44:00.33 ID:gXenleSHo
ちゅ、と唾液ですこしベタつくキスをした。
肩の荷を降ろしたように、吹寄が笑った。
それでつい、上条はまた意地悪なことを考えてしまう。
肩の荷を降ろしたように、吹寄が笑った。
それでつい、上条はまた意地悪なことを考えてしまう。
「それでさ、制理」
「え?」
「電動マッサージ器に過剰反応したのはなんで?」
「えっ?!」
「え?」
「電動マッサージ器に過剰反応したのはなんで?」
「えっ?!」
吹寄の体が硬直した。
そして弁解するように、言葉を重ねる。
そして弁解するように、言葉を重ねる。
「あ、あれはほんとにただのマッサージの目的で買ったのよ。それだけ。
だけど後で通販サイトの評価コメント見て、そういう使い方もあるって、知っただけ」
「ああ、そういうことなのか」
「ええ。嘘じゃないからね」
「そういう念の押し方は嘘つきのすることだと思うんだけど」
「違うわよ。だって、貴方があたしのこと犯人扱いするから。
どんなふうに言っても、あなたの都合にいいように受け取られそうで」
だけど後で通販サイトの評価コメント見て、そういう使い方もあるって、知っただけ」
「ああ、そういうことなのか」
「ええ。嘘じゃないからね」
「そういう念の押し方は嘘つきのすることだと思うんだけど」
「違うわよ。だって、貴方があたしのこと犯人扱いするから。
どんなふうに言っても、あなたの都合にいいように受け取られそうで」
恨みがましい視線だった。あわててキスで機嫌を取りに行く。
「そういう当麻は、どうなの」
「へっ?」
「むしろ男子は、するのが普通くらいって聞いたし。その当麻は……?」
「へっ?」
「むしろ男子は、するのが普通くらいって聞いたし。その当麻は……?」
吹寄が言いよどんだ気持ちを、上条ははっきり理解した。これは恥ずかしい。
「し、しちゃ悪いかよ」
「……誰も悪いなんて言ってないでしょ。ほら、当麻だって聞かれたら困ってる」
「う、悪かったよ」
「それで、してるの?」
「……ああ」
「どれくらい?」
「どれくらい、って」
「雑誌には毎日って書いてた」
「ま、毎日はしねーよ」
「じゃあ週に一回?」
「……それよりは、多いです」
「そうなんだ」
「……誰も悪いなんて言ってないでしょ。ほら、当麻だって聞かれたら困ってる」
「う、悪かったよ」
「それで、してるの?」
「……ああ」
「どれくらい?」
「どれくらい、って」
「雑誌には毎日って書いてた」
「ま、毎日はしねーよ」
「じゃあ週に一回?」
「……それよりは、多いです」
「そうなんだ」
恥ずかしくて死にたくなった。
その様子をみて、吹寄は幾分か溜飲を下げたらしい。
その様子をみて、吹寄は幾分か溜飲を下げたらしい。
「ねえ、男子ってさ。そういうこと、する時ってさ、その、本とか見たりするんでしょう?」
「……ええ、一般的に言って、そうでございます」
「当麻も、そういうの持ってるの?」
「……ええ、一般的に言って、そうでございます」
「当麻も、そういうの持ってるの?」
684 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/16(水) 22:44:48.57 ID:gXenleSHo
心の中でもうやめてくれ!と上条は叫んだ。
男の尊厳を踏みにじる行為だと思う。
だけど先にいじめた関係で、強く出られなかった。
男の尊厳を踏みにじる行為だと思う。
だけど先にいじめた関係で、強く出られなかった。
「普通の男子だし、まあ、持ってる」
「ふうん……」
「ふうん……」
つまらなさそうな顔を、吹寄がした。
「制理?」
「……別に、写真に写ってる子のこと好きなわけじゃないのよね」
「ま、まあ。そりゃな」
「アイドルとか、そういうのの写真? まさか、クラスメイトのとか、ないわよね?」
「自分の知り合いの写真なんてねーよ。それは、さすがに」
「なら、許すべきなのかもしれないけど……」
「……別に、写真に写ってる子のこと好きなわけじゃないのよね」
「ま、まあ。そりゃな」
「アイドルとか、そういうのの写真? まさか、クラスメイトのとか、ないわよね?」
「自分の知り合いの写真なんてねーよ。それは、さすがに」
「なら、許すべきなのかもしれないけど……」
口の先を尖らせて、吹寄が不満げだった。
もしかして、焼餅を妬いてくれているのだろうか。
もしかして、焼餅を妬いてくれているのだろうか。
「制理?」
「……あたし以外の女の人の写真とか、ホントはもってて欲しくない」
「えっと」
「今日も帰って、そういう写真を見るつもりなの?」
「……あたし以外の女の人の写真とか、ホントはもってて欲しくない」
「えっと」
「今日も帰って、そういう写真を見るつもりなの?」
そんなの、全然面白くない。四六時中とは言わない。
だけど、今日の夜くらい、ずっと自分のことを考えていて欲しい。
それが吹寄の本音だった。
だけど、今日の夜くらい、ずっと自分のことを考えていて欲しい。
それが吹寄の本音だった。
「制理。それは大丈夫だ」
「えっ?」
「今から、死ぬほど恥ずかしい思いして、本当のこと言うから」
「う、うん……」
「き……昨日からずっと、そういうのするときは制理のことしか考えてない」
「……そ、そうなんだ」
「えっ?」
「今から、死ぬほど恥ずかしい思いして、本当のこと言うから」
「う、うん……」
「き……昨日からずっと、そういうのするときは制理のことしか考えてない」
「……そ、そうなんだ」
上条としては、ドン引きされるのも覚悟して言った内容だった。
だが意に反して、吹寄はどこか、まんざらでもないような顔をしていた。
だが意に反して、吹寄はどこか、まんざらでもないような顔をしていた。
「あたしのこと、考えててくれたんだ」
「……そういうことしてないときも、ずっと考えてた」
「そうなんだ」
「制理はどうなんだよ」
「……そういうことしてないときも、ずっと考えてた」
「そうなんだ」
「制理はどうなんだよ」
吹寄が、体を上条の方に向けた。
軽く誘導すると、すっぽりと、胸の中に収まった。
そして見上げるようにして、囁いた。
軽く誘導すると、すっぽりと、胸の中に収まった。
そして見上げるようにして、囁いた。
「あたしも……ずっと当麻のこと考えてた」
「具体的にはどんな?」
「キスしてもらった時の感触、思い出したり」
「おんなじだな。俺も、そういうの思い出してた。あと、次はどんなキスをしようかって」
「嬉しい」
「好きだよ」
「あたしも。大好き。……ねえ、当麻」
「ん?」
「その、これからもそういうことするときは、あたしのこと、考えてくれる?」
「具体的にはどんな?」
「キスしてもらった時の感触、思い出したり」
「おんなじだな。俺も、そういうの思い出してた。あと、次はどんなキスをしようかって」
「嬉しい」
「好きだよ」
「あたしも。大好き。……ねえ、当麻」
「ん?」
「その、これからもそういうことするときは、あたしのこと、考えてくれる?」
695 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/17(木) 23:11:23.91 ID:2lTAc6mJo
そのお願いをした吹寄の顔は、ちょっと怒った感じがした。
もちろん、可愛い彼女の頼みだから二つ返事で返事をしたいのだが。
もちろん、可愛い彼女の頼みだから二つ返事で返事をしたいのだが。
「お、おう」
「……歯切れ、悪い」
「……歯切れ、悪い」
今この瞬間から、二度と自分の集めたエロ本を見るなと言われたら、
それなりの割合で男子は抵抗を感じるものだと思う。
彼女は彼女、それとこれとは全く別のことだと思うのだが。
それなりの割合で男子は抵抗を感じるものだと思う。
彼女は彼女、それとこれとは全く別のことだと思うのだが。
「……やっぱ、そういう写真に写ってる女の人の方が綺麗なんだ」
「そ、そんなことはねえよ」
「どうだか。だって、あたしは別にモデルでもなんでもないし」
「いやでも、俺が生でそういう人達の裸は見ることはねーし」
「……あたし以外の女の人の裸を直接見て楽しむなんて、絶対に駄目なんだから、」
「あ、当たり前だ」
「そ、そんなことはねえよ」
「どうだか。だって、あたしは別にモデルでもなんでもないし」
「いやでも、俺が生でそういう人達の裸は見ることはねーし」
「……あたし以外の女の人の裸を直接見て楽しむなんて、絶対に駄目なんだから、」
「あ、当たり前だ」
際どかった。上条は嘘はついていない。
うっかり女の子の素っ裸を見たことはあっても、見て楽しんだことはない。
たぶん。だってあれとかあれとかあれはアクシデントだったわけだし。
うっかり女の子の素っ裸を見たことはあっても、見て楽しんだことはない。
たぶん。だってあれとかあれとかあれはアクシデントだったわけだし。
「やっぱ、あたしじゃ魅力ないかな」
「制理」
「制理」
キスをしようとしたら、阻まれることはなかったが受け止めてくれるそぶりもなかった。
誤魔化そうとしていると思われたのだろう。実際、そういう意味合いはなくもない。
誤魔化そうとしていると思われたのだろう。実際、そういう意味合いはなくもない。
「めちゃくちゃ、制理は綺麗だよ」
「……じゃあ、もうそういうエッチな本は捨てる?」
「えー、借りたり買ったりはしない方向で。
てか、そういうところはあまり追求しないのが男女のお約束では」
「そんな卑怯なの許さないわよ。あたしは、当麻のこと以外なんて絶対考えないもの」
「う」
「……じゃあ、もうそういうエッチな本は捨てる?」
「えー、借りたり買ったりはしない方向で。
てか、そういうところはあまり追求しないのが男女のお約束では」
「そんな卑怯なの許さないわよ。あたしは、当麻のこと以外なんて絶対考えないもの」
「う」
嬉しい言葉だった。それだけに自分の理性がわりと下半身の欲望に忠実なのが申し訳ない。
「もっと何か強烈な思い出とかがあれば、いいのかしら」
「え……?」
「そ、その! ヘンな意味じゃなくて。
もっとあたしのこと、好きになってもらえば大丈夫なのかなって」
「え……?」
「そ、その! ヘンな意味じゃなくて。
もっとあたしのこと、好きになってもらえば大丈夫なのかなって」
恥ずかしいことを言ってる自覚はあるらしい。
みるみるうちに、上条の顔を直視できなくなって、悶え出した。
みるみるうちに、上条の顔を直視できなくなって、悶え出した。
「制理」
「何?」
「男のわがままで悪いけど、ずっとってのは、なかなか難しい」
「どうして?」
「あのさ、ものすごく、男の勝手な言い分を言うぞ」
「うん、どうぞ。あたしもそういうの、分かっておきたいし」
「毎回同じ写真とか動画だと、飽きる」
「……要するに、男の人は毎回別の女の人がいいってこと?」
「現実にそういうことするわけじゃないぞ。
ただ、ほらなんだ。自分でするときくらい、いいだろ?」
「何?」
「男のわがままで悪いけど、ずっとってのは、なかなか難しい」
「どうして?」
「あのさ、ものすごく、男の勝手な言い分を言うぞ」
「うん、どうぞ。あたしもそういうの、分かっておきたいし」
「毎回同じ写真とか動画だと、飽きる」
「……要するに、男の人は毎回別の女の人がいいってこと?」
「現実にそういうことするわけじゃないぞ。
ただ、ほらなんだ。自分でするときくらい、いいだろ?」
696 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/17(木) 23:12:17.57 ID:2lTAc6mJo
まあ、わからないとも言わない。
毎度同じシチュエーションを再現するのでは昂らないという理屈は吹寄にも共感できた。
もちろんそういう感想を上条には絶対に知らせないが。
毎度同じシチュエーションを再現するのでは昂らないという理屈は吹寄にも共感できた。
もちろんそういう感想を上条には絶対に知らせないが。
「それで、どうしたいの?」
何か、提案があるような顔を上条がしていた。
よくわからないが、自分の方をちゃんとみてくれる案であれば、飲まないでもない。
よくわからないが、自分の方をちゃんとみてくれる案であれば、飲まないでもない。
「制理。今日は、下、脱いでくれよ」
「え……えっ?!」
「え……えっ?!」
予想外だった。てっきり、何か許してくれというお願いがくるものと思っていた。
こっちから、何かをするなんて。
こっちから、何かをするなんて。
「その、どうして?」
率直な疑問だった。ブラどころか胸まで晒しておいてなんだが、
下はあんまりこれまで見せたことはなかった。
もしかしたら気づかないうちに見られたり触られたりはしたかもしれない。
でも、こんなにはっきりと、お願いされるなんて。
下はあんまりこれまで見せたことはなかった。
もしかしたら気づかないうちに見られたり触られたりはしたかもしれない。
でも、こんなにはっきりと、お願いされるなんて。
「なにか制理が新しくエッチなことしてくれたら、それで我慢する」
「そ、そんなの。……だめ、恥ずかしい」
「じゃあ、俺もエロ本見るの我慢しない」
「それは……もう。なんでこんなおかしな取引になるのよ」
「そ、そんなの。……だめ、恥ずかしい」
「じゃあ、俺もエロ本見るの我慢しない」
「それは……もう。なんでこんなおかしな取引になるのよ」
上条がエロ本を見るのを許すか、今ここで下着を見せるか。
割に合わない気がする。なんといっても、
禁止し続けるには定期的にさらに過激なことをし続けないといけないのだから。
割に合わない気がする。なんといっても、
禁止し続けるには定期的にさらに過激なことをし続けないといけないのだから。
「で、どうする?」
「……当麻が、こんなに意地悪だって知らなかった」
「男はみんなこんなもんだ」
「そうかしら」
「なあ制理。そのジャージ、下ろしてくれよ。
そしたらずっと、吹寄のことだけ考えることにする。
写真とかであっても、他の女の子は見ない」
「……」
「約束する」
「約束されても。あたし、確認できないじゃない」
「そう言われましても」
「……本当に、あたしのことだけ考えて、その、してくれるの?」
「ああ」
「……当麻が、こんなに意地悪だって知らなかった」
「男はみんなこんなもんだ」
「そうかしら」
「なあ制理。そのジャージ、下ろしてくれよ。
そしたらずっと、吹寄のことだけ考えることにする。
写真とかであっても、他の女の子は見ない」
「……」
「約束する」
「約束されても。あたし、確認できないじゃない」
「そう言われましても」
「……本当に、あたしのことだけ考えて、その、してくれるの?」
「ああ」
別に下着を見せるくらいいいかな、と吹寄は考え始めていた。
夜にシャワーを浴びてからお気に入りのを履いているし、上下でちゃんとおそろいだ。
夜にシャワーを浴びてからお気に入りのを履いているし、上下でちゃんとおそろいだ。
「すっごく恥ずかしい思いしてるの、分かってよね」
「ん。ありがとな、制理」
「当麻にだから、許してるんだからね」
「ほかの男子にされるのは、嫌だ」
「しないわよ。当麻にだけ」
「ん。ありがとな、制理」
「当麻にだから、許してるんだからね」
「ほかの男子にされるのは、嫌だ」
「しないわよ。当麻にだけ」
697 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/17(木) 23:13:08.15 ID:2lTAc6mJo
吹寄は、目をつぶって上条にキスをねだった。
期待通りに上条は答えてくれた。ぎゅっと抱きしめて、優しいキスをしてくれる。
そして髪を撫でながら軽く舌を絡め合わせた。
期待通りに上条は答えてくれた。ぎゅっと抱きしめて、優しいキスをしてくれる。
そして髪を撫でながら軽く舌を絡め合わせた。
「制理。脱がして、いいか?」
「ジャージだけだから、ね?」
「わかってる」
「ジャージだけだから、ね?」
「わかってる」
許可を与えてくれたものの、不安があるのか吹寄がゴムの当たりに自分の手を添えた。
明確な拒絶はないので、上条はその手を軽く握ってから、ジャージのゴムに手をかけた。
骨張った腰の当たりまで下ろすと、吹寄が腰を浮かせてくれた。
その間に、お尻の下をくぐって、ジャージをずらす。
そのあとはもう簡単だ。するすると、吹寄の前も、あらわになる。
明確な拒絶はないので、上条はその手を軽く握ってから、ジャージのゴムに手をかけた。
骨張った腰の当たりまで下ろすと、吹寄が腰を浮かせてくれた。
その間に、お尻の下をくぐって、ジャージをずらす。
そのあとはもう簡単だ。するすると、吹寄の前も、あらわになる。
「あ……」
恥ずかしさに、吹寄が息をのんだ。上条も、そのあらわになった下半身の美しさに見とれていた。
可愛らしい、ブラとお揃いの下着。そしてそこから広がる、白い太もも。
肉付きの加減が、たまらなく魅力的だった。むしゃぶりつきたくなるような、そんな感じ。
そして濃密な吹寄の匂いが広がる。いくらか汗ばんだ感じがするそれを、上条は嫌だと思わなかった。
ただ、頭がクラクラするような妖艶さがあって、自制が効かなくなるのが怖かった。
可愛らしい、ブラとお揃いの下着。そしてそこから広がる、白い太もも。
肉付きの加減が、たまらなく魅力的だった。むしゃぶりつきたくなるような、そんな感じ。
そして濃密な吹寄の匂いが広がる。いくらか汗ばんだ感じがするそれを、上条は嫌だと思わなかった。
ただ、頭がクラクラするような妖艶さがあって、自制が効かなくなるのが怖かった。
「こ、これでいい? ねえ、当麻」
死にそうだった。恥ずかしさで、頭がおかしくなりそうだ。
上条の視線がひどく真剣なのが、恥ずかしさを助長する。
素肌を、そして最後に一枚残った布をこんなにまじまじとみられるなんて。
せめて、綺麗だと思っていて欲しい。
上条の視線がひどく真剣なのが、恥ずかしさを助長する。
素肌を、そして最後に一枚残った布をこんなにまじまじとみられるなんて。
せめて、綺麗だと思っていて欲しい。
「綺麗だ」
「ほ、本当に?」
「嘘じゃない」
「そ、それはよかった、けど。あっ!」
「ほ、本当に?」
「嘘じゃない」
「そ、それはよかった、けど。あっ!」
上条が、なんの断りもなく太ももに触った。その手のひらは熱かった。
膝のすぐ上から足の付け根の方に向かって、内ももを撫で上げた。
膝のすぐ上から足の付け根の方に向かって、内ももを撫で上げた。
「ひぁん! ちょ、ちょっと。触るなんて聞いてないよ」
「触っちゃだめなんて聞いてない」
「でもだめ。今日は触るのなし」
「触っちゃだめなんて聞いてない」
「でもだめ。今日は触るのなし」
慌てて、邪険にならないようにそっと手を払った。
あんまり大放出大売出しをしてしまうと、あとのエスカレートが恐ろしい。
あんまり大放出大売出しをしてしまうと、あとのエスカレートが恐ろしい。
「じゃあ、じっくり見せてもらうな?」
「……本当はそれも駄目って言いたいけど」
「これはしてもいい約束だろ?」
「当麻に、都合が良すぎるわよ」
「……本当はそれも駄目って言いたいけど」
「これはしてもいい約束だろ?」
「当麻に、都合が良すぎるわよ」
698 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/17(木) 23:14:40.43 ID:2lTAc6mJo
そう口で言うが、吹寄は抗わなかった。
「足、開いてくれよ」
「それはまた、今度」
「えー」
「だ、だって。あれもこれもしたら、次がすごいことになるもの」
「それは、否か?」
「……あんまり急なのは、怖いよ」
「悪い。今ちょっと焦ってるな、俺」
「うん……」
「それはまた、今度」
「えー」
「だ、だって。あれもこれもしたら、次がすごいことになるもの」
「それは、否か?」
「……あんまり急なのは、怖いよ」
「悪い。今ちょっと焦ってるな、俺」
「うん……」
上条が自制してくれたのに、ホッとする。
やっぱり男の上条の方が力は強いだろうから、
上条が暴走してしまったら、吹寄にはもうどうしようもないから。
顔を上げると、上条が微笑んでくれた。嬉しかった。
好きな人が優しく笑ってくれると、それだけで胸が一杯になる。
吹寄はきゅっとガードしていた太ももの力を抜いて、軽く体勢を整えた。
……それが、油断だった。
やっぱり男の上条の方が力は強いだろうから、
上条が暴走してしまったら、吹寄にはもうどうしようもないから。
顔を上げると、上条が微笑んでくれた。嬉しかった。
好きな人が優しく笑ってくれると、それだけで胸が一杯になる。
吹寄はきゅっとガードしていた太ももの力を抜いて、軽く体勢を整えた。
……それが、油断だった。
「あ……」
「どうしたの? 当麻……もう、あんまり見ないでよね」
「どうしたの? 当麻……もう、あんまり見ないでよね」
やっぱり当麻も女の子の下着に興味あるんだな、なんて事を思っていると、
なんだか、上条の顔が真剣で、じっと注視していた。
なんだか、上条の顔が真剣で、じっと注視していた。
「当麻?」
「制理の……濡れてる」
「えっ?!」
「制理の……濡れてる」
「えっ?!」
そんな、嘘だ。
吹寄は慌てて隠すように体を縮めた。
吹寄は慌てて隠すように体を縮めた。
「嘘」
「嘘じゃないって。だって、濡れた色してるし」
「だ、だけど。あたしそんなこと、なったことない」
「嘘じゃないって。だって、濡れた色してるし」
「だ、だけど。あたしそんなこと、なったことない」
それはまあそうだろう。
こんなに、感じた経験なんて今まで無かった。
こんなに、はしたない声をあげたことなんてなかった。
こんなに、感じた経験なんて今まで無かった。
こんなに、はしたない声をあげたことなんてなかった。
710 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/19(土) 08:03:57.60 ID:KNabhg7po
「じゃあ、触って確かめてみろよ」
「……やだ」
「俺がやろうか?」
「だ、だめ! 絶対だめ!」
「なんでだよ」
「だ、だって今日はそこまでしない約束じゃない」
「……やだ」
「俺がやろうか?」
「だ、だめ! 絶対だめ!」
「なんでだよ」
「だ、だって今日はそこまでしない約束じゃない」
たしかにそう、上条は吹寄に約束してくれた。だからこれを理由に拒むのは嘘ではない。
だが、触らなくてもわかるのだ。自分の下着が、濡れていることくらい。
じっとりとした感触に自分の下半身が包まれている自覚はあるし、
何より、さっき上条に可愛がってもらったときに、自分の指で以前そうなったときよりも、
何倍も強い感覚で体の奥がとろりとなる感じがしたから。
だが、触らなくてもわかるのだ。自分の下着が、濡れていることくらい。
じっとりとした感触に自分の下半身が包まれている自覚はあるし、
何より、さっき上条に可愛がってもらったときに、自分の指で以前そうなったときよりも、
何倍も強い感覚で体の奥がとろりとなる感じがしたから。
「気持ちよかったのか?」
「……知らない」
「なんで制理の体、こんなことになったんだろうな?」
「し、知らないわよ。あたしだってこんなの初めてで」
「……知らない」
「なんで制理の体、こんなことになったんだろうな?」
「し、知らないわよ。あたしだってこんなの初めてで」
上条が、意地悪そうに笑った。
「なんだ、濡れてるって自分でもわかってるんだな」
「あっ……!」
「なあ制理。そういうのって、触らなくてもわかるもんなのか?」
「馬鹿、馬鹿ぁ……聞かないでよ」
「制理も結構エッチなとこあるな」
「違う……。当麻が悪いの」
「俺?」
「当麻の手が、いやらしいから」
「いやらしいほうがいいんじゃないのか?」
「別に優しいだけで、いいもの」
「こんなに制理の体は悦んでるんだけどな」
「そんなこと、そんなことない」
「ほんとに?」
「だって」
「じゃあ、もっと体、触っていいか?」
「えっ?」
「嫌だって言われたら、しない」
「……」
「制理」
「あっ……!」
「なあ制理。そういうのって、触らなくてもわかるもんなのか?」
「馬鹿、馬鹿ぁ……聞かないでよ」
「制理も結構エッチなとこあるな」
「違う……。当麻が悪いの」
「俺?」
「当麻の手が、いやらしいから」
「いやらしいほうがいいんじゃないのか?」
「別に優しいだけで、いいもの」
「こんなに制理の体は悦んでるんだけどな」
「そんなこと、そんなことない」
「ほんとに?」
「だって」
「じゃあ、もっと体、触っていいか?」
「えっ?」
「嫌だって言われたら、しない」
「……」
「制理」
上条の目が、さっきみたいに獰猛な感じになっていた。
あたし触られちゃうんだな、と吹寄はすぐにそれを受け入れてしまっていた。
嫌な気持ちは、これっぽっちもない。
ただ、受け入れる姿勢をはっきりとは示さない。それは、はしたないから。
はっきりとは自覚していないが、少し拒みながらの方が、より吹寄も燃え上がるのだった。
あたし触られちゃうんだな、と吹寄はすぐにそれを受け入れてしまっていた。
嫌な気持ちは、これっぽっちもない。
ただ、受け入れる姿勢をはっきりとは示さない。それは、はしたないから。
はっきりとは自覚していないが、少し拒みながらの方が、より吹寄も燃え上がるのだった。
「ん……」
ちゅ、ちゅ、と水っぽい音を立てながら、上条が吹寄に口づけする。
やめてという意思表示なのか、離れないでという意思表示なのか、
どちらとも取れるような手つきで、吹寄が上条の手に自分の手を添えた。
やめてという意思表示なのか、離れないでという意思表示なのか、
どちらとも取れるような手つきで、吹寄が上条の手に自分の手を添えた。
724 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:32:24.84 ID:9eq0pQaso
吹寄の横に寝そべって、髪に手をかけながら吹寄の頭を自分の胸元に抱き込む。
まだ、いくらは気恥しさはあるようだが、素直に寄り添ってくれた吹寄の顔は穏やかだった。
上条はさっきの吹寄の反応を思い出しながら、手のひらを優しくというか、大きく使って撫でる。
首筋に近いところから、時間をかけて滑らせて、腰の当たりまで撫でる。
そしてそのまま止めずに再び首元へと撫で上げ、円を描く。
時折、肩甲骨のあたりの複雑なラインや、腰のあたりの背骨の輪郭を指でなぞり確かめるようにして、
変化を付けながら吹寄の肌の滑らかさを手のひらで堪能する。
まだ、いくらは気恥しさはあるようだが、素直に寄り添ってくれた吹寄の顔は穏やかだった。
上条はさっきの吹寄の反応を思い出しながら、手のひらを優しくというか、大きく使って撫でる。
首筋に近いところから、時間をかけて滑らせて、腰の当たりまで撫でる。
そしてそのまま止めずに再び首元へと撫で上げ、円を描く。
時折、肩甲骨のあたりの複雑なラインや、腰のあたりの背骨の輪郭を指でなぞり確かめるようにして、
変化を付けながら吹寄の肌の滑らかさを手のひらで堪能する。
「はぁぁ……。あぁぁ、ぁ」
吹寄の喘ぎ声が、たちまち始まった。
しかもさっきのような甲高く鋭いものではなくて、深い、ため息のような感じ。
そういう吹寄の変化が楽しく、また、行為のはじめとしてはそうしたやり方が正しい気がして、
上条は背中や、頭や、太ももや、時折乳房を、夢中で撫で続けた。
しかもさっきのような甲高く鋭いものではなくて、深い、ため息のような感じ。
そういう吹寄の変化が楽しく、また、行為のはじめとしてはそうしたやり方が正しい気がして、
上条は背中や、頭や、太ももや、時折乳房を、夢中で撫で続けた。
「はぁぁぁぁん……」
吹寄は、いつしか自分の声すら遠くに聞こえるような、まどろみの中にいた。
意識の懸濁した感じは、休みの日の朝寝に似ている。
何度も二度寝を繰り返して、ぼうっとしながら、寝るとも寝ないともつかないような世界にいる感じ。
ただ、寝起きとは大きな違いもある。
とびきりの安心感があることと、そしてなにより、上条が与えてくれる快感があることだった。
意識の懸濁した感じは、休みの日の朝寝に似ている。
何度も二度寝を繰り返して、ぼうっとしながら、寝るとも寝ないともつかないような世界にいる感じ。
ただ、寝起きとは大きな違いもある。
とびきりの安心感があることと、そしてなにより、上条が与えてくれる快感があることだった。
「あ、ん……当麻、当麻」
「好きだよ、制理」
「あたしも、愛して、る」
「好きだよ、制理」
「あたしも、愛して、る」
薄く目を開くと、優しく笑う上条が目の前にいる。
それだけで胸がいっぱいになる。嬉しくて、上条の懐に顔をうずめて、深く息を吸う。
上条の匂いがする。それだけで、またとても、落ち着いた気持ちになった。
それだけで胸がいっぱいになる。嬉しくて、上条の懐に顔をうずめて、深く息を吸う。
上条の匂いがする。それだけで、またとても、落ち着いた気持ちになった。
「すげー制理が甘えてる」
「うん……好き」
「うん……好き」
上条は、流行る自分の気持ちを必死にこらえながら、撫でるのを続ける。
吹寄は今隙だらけだ。だから何も策を練らずとも、吹寄の一番大事なところに触れると思う。
それどころか、下着だって脱がせるかもしれない。
そういう、吹寄が望まないことを、やってしまいたいという欲望が確実に上条の中にはあった。
撫でているだけでは、自分の欲望は満たされない。
吹寄は今隙だらけだ。だから何も策を練らずとも、吹寄の一番大事なところに触れると思う。
それどころか、下着だって脱がせるかもしれない。
そういう、吹寄が望まないことを、やってしまいたいという欲望が確実に上条の中にはあった。
撫でているだけでは、自分の欲望は満たされない。
「お尻、撫でていいか?」
「え……? うん、いいよ」
「え……? うん、いいよ」
あっさりと、吹寄が承諾を出した。それは今日の許容範囲外だったはずなのだが。
豊かなバストと同様にふっくらと肉のついた、そのお尻にまで上条は手を伸ばす。
もちろん下着越しだったが、その丸みのある感触に、やっぱり上条は感動を覚えてしまった。
女の子の体というのは、こんなにも男と違って、柔かくて丸い。
豊かなバストと同様にふっくらと肉のついた、そのお尻にまで上条は手を伸ばす。
もちろん下着越しだったが、その丸みのある感触に、やっぱり上条は感動を覚えてしまった。
女の子の体というのは、こんなにも男と違って、柔かくて丸い。
725 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:33:03.53 ID:9eq0pQaso
「エッチなところは、だめ」
「……どこのことだ?」
「知らない、わよ」
「……どこのことだ?」
「知らない、わよ」
吹寄は触ってもらえるのが嬉しくて、ついお尻を許可したのを少し後悔していた。
だって、濡れていると指摘されたさっきよりも、もっと自分の体の中から溢れてきている自覚があった。
上条が、自分の体のことを分かってき始めているのが、わかる。
快感が明確に周期を持ち始めていることに、吹寄は自覚はないものの、気づいていた。
だって、濡れていると指摘されたさっきよりも、もっと自分の体の中から溢れてきている自覚があった。
上条が、自分の体のことを分かってき始めているのが、わかる。
快感が明確に周期を持ち始めていることに、吹寄は自覚はないものの、気づいていた。
「はぁ、ん……! あ、あ、あぁ……」
よくわからないが、押し寄せる波のような快感が、自制できるより強くなりつつある。
そんなつもりはないのに、体がうねってしまう。
一箇所にじっとしていられなくて、上条に抱かれたまま吹寄は手足をくねらせた。
のろのろと暴れる吹寄を、笑って上条は自分の手元に引き寄せる。
そして手や足で吹寄の四肢を絡めとり、時にはキスで首や耳を愛撫した。
そんなつもりはないのに、体がうねってしまう。
一箇所にじっとしていられなくて、上条に抱かれたまま吹寄は手足をくねらせた。
のろのろと暴れる吹寄を、笑って上条は自分の手元に引き寄せる。
そして手や足で吹寄の四肢を絡めとり、時にはキスで首や耳を愛撫した。
「はぁ、あ」
快感の波が静まる。その度に吹寄は上条を見上げ、そして上条の匂いに包まれて吐息をつく。
昂ったときには視界や嗅覚があやふやになって上条の手のことしか考えられなくなるので、
落ち着いたときに感じられる上条の笑顔や、自分とは違う男らしい匂いに陶然となるのだった。
昂ったときには視界や嗅覚があやふやになって上条の手のことしか考えられなくなるので、
落ち着いたときに感じられる上条の笑顔や、自分とは違う男らしい匂いに陶然となるのだった。
「制理」
「え……? あ」
「え……? あ」
それは不意打ちだった。というか、上条の真剣というか、ちょっと必死な感じのする顔を見たら、
上条がなんだか何かを我慢しきれなくなったような感じに見えた。
太ももの間に手を差し込まれて、大きく開かされた。
そしてその間に、上条の下半身が滑り込んだ。
上条がなんだか何かを我慢しきれなくなったような感じに見えた。
太ももの間に手を差し込まれて、大きく開かされた。
そしてその間に、上条の下半身が滑り込んだ。
「当麻……?」
つい不安げに、問い返してしまった。ちょっと悪いことをしたような気持ちになる。
上条を、疑ったみたいで。
撫でられているときには、赤子のように上条のことを完全に信頼していたのに。
上条を、疑ったみたいで。
撫でられているときには、赤子のように上条のことを完全に信頼していたのに。
726 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:33:34.49 ID:9eq0pQaso
「脱がせたりは、しないから」
上条はジーンズを履いているし、自分だって下着を着けている。
だけど二人の下半身は、布越しにぴったりと接触していた。
布がなければなんの言い訳もできないような、完全に男女が交わる時の体位だった。
――当麻がこうしたいんだったら、いいかな。
吹寄は内心で、そんな風に考え始めていた。
一線を越えるのはもちろん怖いし、今日はそこまでは行って欲しくない。
だけど、これくらいなら。上条は優しいし、そして何より、気持ちいいから。
だけど二人の下半身は、布越しにぴったりと接触していた。
布がなければなんの言い訳もできないような、完全に男女が交わる時の体位だった。
――当麻がこうしたいんだったら、いいかな。
吹寄は内心で、そんな風に考え始めていた。
一線を越えるのはもちろん怖いし、今日はそこまでは行って欲しくない。
だけど、これくらいなら。上条は優しいし、そして何より、気持ちいいから。
「制理。愛してる」
「あたしも……。当麻」
「ん?」
「これ以上は、怖いから」
「わかってる。脱がせたりとかは、しないから」
「うん。あと、指で触るのも……」
「今日は、しない。約束する」
「うん。わがままでごめんね……?」
「無理言ってるのは俺の方だろ。なあ制理」
「え……?」
「気持ちよくしてください、って。言ってくれよ」
「あたしも……。当麻」
「ん?」
「これ以上は、怖いから」
「わかってる。脱がせたりとかは、しないから」
「うん。あと、指で触るのも……」
「今日は、しない。約束する」
「うん。わがままでごめんね……?」
「無理言ってるのは俺の方だろ。なあ制理」
「え……?」
「気持ちよくしてください、って。言ってくれよ」
恥ずかしかった。それを言うのは。
だってそれは紛れもない自分の本音だから。
もうほとんど溺れかかっている自分がそれをいえば、
引き返せないくらい、ひどく快楽に溺れてしまいそうだった。
だけど、それでも。
だってそれは紛れもない自分の本音だから。
もうほとんど溺れかかっている自分がそれをいえば、
引き返せないくらい、ひどく快楽に溺れてしまいそうだった。
だけど、それでも。
「気持ちよく、してください。撫でてください……」
「わかった。いっぱいしてやるから」
「うん……あぁ、はぁ、ん! は、あっ!」
「わかった。いっぱいしてやるから」
「うん……あぁ、はぁ、ん! は、あっ!」
上条が、太ももの間に押し込んだ自分の下半身を押し付けてくる。
自分の指とは違う、圧迫感。だがそれは強い快感を伴っていた。
自分の指とは違う、圧迫感。だがそれは強い快感を伴っていた。
「はぁぁんっ!」
二人きりの室内に、吹寄の甘い声が響いた。
自分で、その声の大きさにハッとなった。
自分で、その声の大きさにハッとなった。
「あ、あたし」
「すごく可愛い声だったな」
「えっ……」
「もっと鳴いてくれよ」
「や、だめ。隣に聞こえちゃ……あっ、はぁん! あぁ、あ!」
「すごく可愛い声だったな」
「えっ……」
「もっと鳴いてくれよ」
「や、だめ。隣に聞こえちゃ……あっ、はぁん! あぁ、あ!」
上条の攻めが、激化した。
さっきよりも「手」がひとつ多いのだ。
片手で髪を撫でられ、そしてもう片方の手で胸を弄ばれる。
口が首筋から耳にかけてを舐め上げていて、そしてさらに、下半身で吹寄の陰処を愛撫していた。
快感に、翻弄されてしまう。どこかへ流れていきそうな理性をつなぎ止めるように、吹寄は上条にすがりついた。
さっきよりも「手」がひとつ多いのだ。
片手で髪を撫でられ、そしてもう片方の手で胸を弄ばれる。
口が首筋から耳にかけてを舐め上げていて、そしてさらに、下半身で吹寄の陰処を愛撫していた。
快感に、翻弄されてしまう。どこかへ流れていきそうな理性をつなぎ止めるように、吹寄は上条にすがりついた。
727 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:36:34.49 ID:9eq0pQaso
「んっ! んっ! あ、とう、ま……はぁ」
「気持ちいいか?」
「うん。あっ、気持ち、いいよ」
「もっとして欲しい?」
「してほしい。離れちゃ嫌」
「放すわけねえよ」
「んんぅ!」
「気持ちいいか?」
「うん。あっ、気持ち、いいよ」
「もっとして欲しい?」
「してほしい。離れちゃ嫌」
「放すわけねえよ」
「んんぅ!」
上条が体重をかけるようにして、吹寄にぎゅっと密着した。
その重みすら、快感に変わる。
少し息苦しくなったところに、上条がキスをかぶせてきた。
その重みすら、快感に変わる。
少し息苦しくなったところに、上条がキスをかぶせてきた。
「気持ち良さそうな顔してる」
「み、見ないで……。恥ずかしい。恥ずかしいから」
「断る。制理の可愛い顔が見たくて、こういうことしてるんだ」
「いやぁぁぁ……」
「み、見ないで……。恥ずかしい。恥ずかしいから」
「断る。制理の可愛い顔が見たくて、こういうことしてるんだ」
「いやぁぁぁ……」
上条から顔をそらしたくて、首を左右にふっていやいやをする。
そんな吹寄の頬に手を添えて、上条は強引に吹寄を自分の方に向かせる。
息を止めるようにキスで口を塞ぐと、鼻から苦しそうに吹寄が息をついた。
そんな吹寄の頬に手を添えて、上条は強引に吹寄を自分の方に向かせる。
息を止めるようにキスで口を塞ぐと、鼻から苦しそうに吹寄が息をついた。
「んんっ、ん! ん!」
その口の中に、唾液を流し込む。
あっという間に、吹寄自身と上条の唾液で口の中があふれ、それが少し口元から溢れた。
それを上条はまた、ぺろりと舐めとる。
あっという間に、吹寄自身と上条の唾液で口の中があふれ、それが少し口元から溢れた。
それを上条はまた、ぺろりと舐めとる。
「はぅん、はぁん、あぁぁ……!」
もう、快感で頭の中がぐちゃぐちゃだった。
上条のことしか、考えられない。
上条が与えてくれる快感しか、感じられない。
密着した下半身がすごいことになっている自覚がある。
まだしないと約束はしたけれど。体は完全に、上条の体と繋がる準備ができていた。
そしてそれどころか、さらに。
上条のことしか、考えられない。
上条が与えてくれる快感しか、感じられない。
密着した下半身がすごいことになっている自覚がある。
まだしないと約束はしたけれど。体は完全に、上条の体と繋がる準備ができていた。
そしてそれどころか、さらに。
「とう、ま……怖い」
「制理? 怖いって」
「あたし、どっか行っちゃいそう」
「え……?」
「制理? 怖いって」
「あたし、どっか行っちゃいそう」
「え……?」
快感の波のうねりが、留まることを知らず高まっていく。
押しては引き、押しては引きを繰り返す中で、一番の高波が防波堤を越えそうな、
そんな予感を吹寄は覚えていた。
自分でしたときにはこんなことになったことなんてなかった。
その果ての向こうがどうなっているのか分からなくて、吹寄は漠然とした恐怖を覚えていた。
押しては引き、押しては引きを繰り返す中で、一番の高波が防波堤を越えそうな、
そんな予感を吹寄は覚えていた。
自分でしたときにはこんなことになったことなんてなかった。
その果ての向こうがどうなっているのか分からなくて、吹寄は漠然とした恐怖を覚えていた。
728 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:37:44.55 ID:9eq0pQaso
「イっちまえよ」
「えっ……?」
「俺はずっと制理の隣で、制理のこと抱いてるから」
「あ……」
「えっ……?」
「俺はずっと制理の隣で、制理のこと抱いてるから」
「あ……」
また、体の奥がじゅわりとなった。
だんだんと、嬉しさや、気持ちよさが、吹寄の体が持つ女らしい機能とリンクしていく。
上条によって体が開発されていくその過程を、吹寄はいま経験していた。
だんだんと、嬉しさや、気持ちよさが、吹寄の体が持つ女らしい機能とリンクしていく。
上条によって体が開発されていくその過程を、吹寄はいま経験していた。
「ずっと、一緒にいてね」
「当たり前だ。結婚してくれっていっただろ」
「うん。うん……!」
「愛してる。制理」
「あたしも、んっ! はぁぁぁん! 愛して、る! とうま、とうまぁ……!」
「当たり前だ。結婚してくれっていっただろ」
「うん。うん……!」
「愛してる。制理」
「あたしも、んっ! はぁぁぁん! 愛して、る! とうま、とうまぁ……!」
上条が、さらに力を込めて下半身を突き出した。吹寄は足を曲げて、上条を抱き込む。
離れて欲しくないから。その温かみを分け与えて欲しいから。
脳が過熱していく。さながら暴走するエンジンのように、吹寄の頭は理性を失い、
快楽ばかりを貪って、酸素を求めて荒い息をつく。
離れて欲しくないから。その温かみを分け与えて欲しいから。
脳が過熱していく。さながら暴走するエンジンのように、吹寄の頭は理性を失い、
快楽ばかりを貪って、酸素を求めて荒い息をつく。
「当麻……っっ。はぁん、はぁん、あたし、あたし」
「見てるから。ほら」
「うん。あっ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ……」
「見てるから。ほら」
「うん。あっ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ……」
瞬間。快楽の波が停止した。
そして、突如としてそれは、噴火するように吹寄の体を襲った。
そして、突如としてそれは、噴火するように吹寄の体を襲った。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!!!」
噴火するような、イメージだった。
自分が火山で、自分の中から再現なく何かがあふれ、流れ出していくイメージ。
細々と四肢が伝えてくる情報から、吹寄は自分が上条にしがみついて、痙攣しているらしいと何となく感じた。
声が自分の口から漏れているのもわかる。
だけどそんなことは些細なことでしかなくて。
信じられない量の快感が、焼き尽くすほどに脳から背筋を通り、
体全体に広がっていることが何よりもリアルで、吹寄の全てを支配していた。
自分が火山で、自分の中から再現なく何かがあふれ、流れ出していくイメージ。
細々と四肢が伝えてくる情報から、吹寄は自分が上条にしがみついて、痙攣しているらしいと何となく感じた。
声が自分の口から漏れているのもわかる。
だけどそんなことは些細なことでしかなくて。
信じられない量の快感が、焼き尽くすほどに脳から背筋を通り、
体全体に広がっていることが何よりもリアルで、吹寄の全てを支配していた。
「すげ……」
それが一般に、どういう名称で呼ばれる現象なのかを上条はようやく実感しつつあった。
ぎゅっときつく目をつぶり、何かに耐えるように喘ぐ吹寄を見て、上条もなにか満たされた気持ちになっていた。
ぎゅっときつく目をつぶり、何かに耐えるように喘ぐ吹寄を見て、上条もなにか満たされた気持ちになっていた。
「あ、っ。は、はぁ、は、ぁ……」
二三度、呼吸の仕方を忘れたみたいに無茶苦茶な息をついて、吹寄がようやく、体を弛緩させた。
多分10秒にも満たない時間だったと思う。
だけど、二人共のどちらにとっても、もっと長く感じられる瞬間だった。
多分10秒にも満たない時間だったと思う。
だけど、二人共のどちらにとっても、もっと長く感じられる瞬間だった。
729 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:38:22.96 ID:9eq0pQaso
「制理」
「当麻……あたし」
「イったか」
「……たぶん」
「当麻……あたし」
「イったか」
「……たぶん」
吹寄も、知識としては自分の身に起こったことがなんなのか、知っている。
だけどその達するという現象と自分の身に起こったそれが同じものなのか自信が持てなかった。
だけどその達するという現象と自分の身に起こったそれが同じものなのか自信が持てなかった。
「気持ちよかったか?」
「……うん」
「どれくらい」
「わかんない」
「わなんないって、なんで」
「言いようがないの……。今までで、一番」
「……うん」
「どれくらい」
「わかんない」
「わなんないって、なんで」
「言いようがないの……。今までで、一番」
吹寄が、もたれかかるように上条の胸に頭をあずけた。
本当は体全体で上条にしがみつきたくらいだった。
体が、うまく動かなかったのでそれは出来なかったけれど。
本当は体全体で上条にしがみつきたくらいだった。
体が、うまく動かなかったのでそれは出来なかったけれど。
「嬉しい……嬉しい」
「嬉しい? なんで?」
「わからない。だけど、貴方にこんなふうにしてもらえて、なんでか、嬉しいの」
「嬉しい? なんで?」
「わからない。だけど、貴方にこんなふうにしてもらえて、なんでか、嬉しいの」
吹寄の顔を見ると、疲れた顔で、せつなげに、だけどひどく嬉しそうに微笑んでいた。
そのなんとも言えない表情が、とても美しかった。
色気を放つというのとは少し違う。快感の極みを体験した爽快感のようなものが、浮かんでいた。
それは上条が惚れ直すのに充分なくらい、綺麗だった。
だからつい、茶化したようなことを言ってしまう。
そのなんとも言えない表情が、とても美しかった。
色気を放つというのとは少し違う。快感の極みを体験した爽快感のようなものが、浮かんでいた。
それは上条が惚れ直すのに充分なくらい、綺麗だった。
だからつい、茶化したようなことを言ってしまう。
「でも、約束破ってあきらかにやりまくっちまったけどな」
「それは。……うん。当麻は反省してね」
「なんだよ。俺が悪いのか」
「うん。全部、当麻のせいだから」
「ひでえ」
「だから。また、して」
「それは。……うん。当麻は反省してね」
「なんだよ。俺が悪いのか」
「うん。全部、当麻のせいだから」
「ひでえ」
「だから。また、して」
いたずらっぽく、吹寄が笑った。
「じゃあ今からもう一回するか」
「あ、だめ……だめっ」
「あ、だめ……だめっ」
割と本気で拒まれた。少なからず、ショックを受ける。
730 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:39:26.90 ID:9eq0pQaso
「い、今はだめ」
「なんでだよ」
「体がなんか過敏になってて。……気持ちいいって思えなくて」
「そうなんだ。悪い」
「当麻はわからなくて当然だもの。……そうよね?」
「なんで聞き返すんだよ。女の子の体、こんなに触ったの初めてだ」
「あは」
「なんでだよ」
「体がなんか過敏になってて。……気持ちいいって思えなくて」
「そうなんだ。悪い」
「当麻はわからなくて当然だもの。……そうよね?」
「なんで聞き返すんだよ。女の子の体、こんなに触ったの初めてだ」
「あは」
上条も緊張を解いて、吹寄の隣でだらりとした。
髪を撫でてやると、吹寄は嬉しそうに笑った。
不意に時間が知りたくなって、時計を見た。
髪を撫でてやると、吹寄は嬉しそうに笑った。
不意に時間が知りたくなって、時計を見た。
「当麻……」
吹寄もその行為の意味に、すぐに気がついたらしかった。
時計は、ここに来た時より二時間遅い時刻を指していた。
日付だってもう変わってしまった。
時計は、ここに来た時より二時間遅い時刻を指していた。
日付だってもう変わってしまった。
「朝まで一緒……はだめ、かな」
「明るくなってからここを出るのは、まずいな」
「うん……。そうよね」
「まあ、もうちょっとしたら帰るしかない、な」
「そっかぁ……」
「明るくなってからここを出るのは、まずいな」
「うん……。そうよね」
「まあ、もうちょっとしたら帰るしかない、な」
「そっかぁ……」
ありありと、吹寄が落胆の顔を見せた。
だって、こんなに幸せな時間があったというのに、ほんの数十分後にはまた独りになるなんて。
その落差が、あまりに切ない。
思わず涙ぐみそうになって、あわてて吹寄は自分のいつもの調子を取り戻すよう、心を奮い立たせた。
こんなのは、さすがに自分らしくなさすぎる。
だって、こんなに幸せな時間があったというのに、ほんの数十分後にはまた独りになるなんて。
その落差が、あまりに切ない。
思わず涙ぐみそうになって、あわてて吹寄は自分のいつもの調子を取り戻すよう、心を奮い立たせた。
こんなのは、さすがに自分らしくなさすぎる。
「また、しよう」
「うん……」
「別に毎日会えるわけだしさ、寂しがらなくても大丈夫だって」
「うん」
「今日の制理は、世界で一番可愛かった」
「……褒めないで」
「なんで?」
「優しくされると、寂しくて泣きそうになるのよ」
「うん……」
「別に毎日会えるわけだしさ、寂しがらなくても大丈夫だって」
「うん」
「今日の制理は、世界で一番可愛かった」
「……褒めないで」
「なんで?」
「優しくされると、寂しくて泣きそうになるのよ」
拗ねるように見上げられて、上条は困ってしまった。
冷たくなんて、出来る訳がない。こんなに愛しい彼女なのに。
そしてその彼女にこんな顔をされたら、優しくする以外に何もできやしなかった。
吹寄のお願いを無視して、髪をなでる。
冷たくなんて、出来る訳がない。こんなに愛しい彼女なのに。
そしてその彼女にこんな顔をされたら、優しくする以外に何もできやしなかった。
吹寄のお願いを無視して、髪をなでる。
「寝ちゃうまで、撫でてやろうか」
「え?」
「制理が寝たら、こっそり戻るから」
「でも、そんなの。悪いわよ。呼んでおいて見送りもしないなんて」
「気にするなよ。今日は制理のために、出来ること全部してやりたいんだ」
「え?」
「制理が寝たら、こっそり戻るから」
「でも、そんなの。悪いわよ。呼んでおいて見送りもしないなんて」
「気にするなよ。今日は制理のために、出来ること全部してやりたいんだ」
731 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:39:57.23 ID:9eq0pQaso
その提案は、悪くない。
どうせ別離の瞬間が寂しいのはどうやっても変わらないのだ。
せめて、眠りにつく瞬間が穏やかなのは、嬉しいことだった。
どうせ別離の瞬間が寂しいのはどうやっても変わらないのだ。
せめて、眠りにつく瞬間が穏やかなのは、嬉しいことだった。
「いいの……?」
「そりゃもちろん。それで制理が、よく眠れるんだったら」
「うん。撫でてもらってたら、すごく眠れる気がする」
「じゃあ、そうしてやるから」
「ありがとう」
「そりゃもちろん。それで制理が、よく眠れるんだったら」
「うん。撫でてもらってたら、すごく眠れる気がする」
「じゃあ、そうしてやるから」
「ありがとう」
おやすみのかわりに、二人はキスを交わした。
ゆっくりと、だけど深く。
吹寄が体勢を楽にして目をつぶると、上条がすぐ髪を撫で始めてくれた。
まず激しく動いて散らかった髪を整えてくれて、あとはそれと何度も何度も、梳くように。
とてもそれは、気持ちが良かった。
髪を撫でてもらえるのがこんなに気持ちいいのかと、驚いてしまうくらいに。
疲れているのもあって、吹寄が意識を落とすのにそう時間は掛からなかった。
ゆっくりと、だけど深く。
吹寄が体勢を楽にして目をつぶると、上条がすぐ髪を撫で始めてくれた。
まず激しく動いて散らかった髪を整えてくれて、あとはそれと何度も何度も、梳くように。
とてもそれは、気持ちが良かった。
髪を撫でてもらえるのがこんなに気持ちいいのかと、驚いてしまうくらいに。
疲れているのもあって、吹寄が意識を落とすのにそう時間は掛からなかった。
「……おやすみ」
何度か上条自身も意識を手放しかけたが、既のところで保って、そっと、吹寄を起こさないように部屋を出た。
732 :nubewo ◆sQkYhVdKvM [saga]:2011/11/22(火) 03:41:37.91 ID:9eq0pQaso
「ん……」
まだ夜と呼べる時間帯。
ふと、吹寄は目を覚ました。
ふと、吹寄は目を覚ました。
「当麻……あ」
喪失間。隣に、さっきまでいてくれた人がいなかった。
「あ、そうだ、当麻は戻っていって……」
愕然となる。このまま明るくなるまで、眠り続けられるものと思っていたのに。
よく考えてみれば下着一枚を除いて裸なのだ。エアコンをつけていても薄寒かった。
よく考えてみれば下着一枚を除いて裸なのだ。エアコンをつけていても薄寒かった。
「パジャマ、着なきゃ……」
中途半端に起きたせいで、意識と体が乖離したような気だるさがあった。
もしかしたら上条とした行為のせいかもしれない。
もしかしたら上条とした行為のせいかもしれない。
「よ、っと」
少し乱暴に体を起こして、ベッドに腰掛けた状態になる。
とりあえずジャージを、と思ったところで、それに気づいた。
とりあえずジャージを、と思ったところで、それに気づいた。
「あ……」
下着の感触が、ものすごく、気持ち悪い。
ごわごわとしているし、じっとり湿った感じがする。
ごわごわとしているし、じっとり湿った感じがする。
「……いますぐじゃないと、駄目か」
真新しくて、お気に入りの下着だった。
このまま脱いで朝まで放置したら、きっと汚れが落ちにくくなるだろう。
勤勉な吹寄とて、お気に入りでなければほったらかしたかもしれないが、
もしこの下着をまた見たいと上条に言われたときに、
上条に見せられないような染みが残っていたらと考えると、
やっぱり洗わざるを得ないという結論に達するのだった。
このまま脱いで朝まで放置したら、きっと汚れが落ちにくくなるだろう。
勤勉な吹寄とて、お気に入りでなければほったらかしたかもしれないが、
もしこの下着をまた見たいと上条に言われたときに、
上条に見せられないような染みが残っていたらと考えると、
やっぱり洗わざるを得ないという結論に達するのだった。
「はぁ……。なんでこんな時間に」
寂しさがジクジクと心を責める。
上条が居ないのが普通だというのを知らしめるように、日常が吹寄に襲いかかる。
バスルームで、するすると下着を脱いで落とした。
ついでに素っ裸のまま、鼻を首元に近づけて、臭いを確かめる。
さすがにそれで判断はつかなかったが、どう考えても、登校前にシャワーを浴びざるを得ない。
上条が居ないのが普通だというのを知らしめるように、日常が吹寄に襲いかかる。
バスルームで、するすると下着を脱いで落とした。
ついでに素っ裸のまま、鼻を首元に近づけて、臭いを確かめる。
さすがにそれで判断はつかなかったが、どう考えても、登校前にシャワーを浴びざるを得ない。
「今、のほうがいいわね」
朝にまた早起きしてシャワーを浴びて洗濯するのは大変だ。
起きてしまった以上は、シャワーは今のほうがいいだろう。
吹寄は裸のまま、洗面台の前に立った。
首元を中心に、鏡で自分の肌を確かめる。幸い、キスマークはなかった。
それを確認してから、赤いコックをひねって、タブに浅くお湯を貼る。
下着を裏返してクロッチの部分を見ると、いつもよりかなり大変なことになっていた。
起きてしまった以上は、シャワーは今のほうがいいだろう。
吹寄は裸のまま、洗面台の前に立った。
首元を中心に、鏡で自分の肌を確かめる。幸い、キスマークはなかった。
それを確認してから、赤いコックをひねって、タブに浅くお湯を貼る。
下着を裏返してクロッチの部分を見ると、いつもよりかなり大変なことになっていた。
「うわ……」
棚から小さなボトルを取り出し、中身のジェルをクロッチの部分に落とした。
お湯を救ってジェルを伸ばし、下着によく揉み込む。
使ったのはいわゆるランジェリー専用の洗剤だった。
手洗いでしっかりと揉んだ後、お湯に漬け洗いすることで汚れはきれいに落ちる。
お気に入りの下着を綺麗に保つ努力のひとつだった。
お湯を救ってジェルを伸ばし、下着によく揉み込む。
使ったのはいわゆるランジェリー専用の洗剤だった。
手洗いでしっかりと揉んだ後、お湯に漬け洗いすることで汚れはきれいに落ちる。
お気に入りの下着を綺麗に保つ努力のひとつだった。
「あたし、こんなことになったんだ……」
数時間前の出来事は、もう夢の中の出来事みたいだった。
上条の手に、そして口付けにあんなに翻弄されて。
嫌ではなかったけれど、反省はしてもいい気がする。
……また迫られたら、拒めない気もしたけれど。
上条の手に、そして口付けにあんなに翻弄されて。
嫌ではなかったけれど、反省はしてもいい気がする。
……また迫られたら、拒めない気もしたけれど。
「あ、そういえばメール」
もしかしたら、上条から何かが来ているかもしれない。
処理を済ませた下着を置いてリビングに戻り、ケータイを確かめると。
――今日の制理は死ぬほど可愛かった。愛してる、制理。
処理を済ませた下着を置いてリビングに戻り、ケータイを確かめると。
――今日の制理は死ぬほど可愛かった。愛してる、制理。
「あたしも……大好きだよ。当麻」
ぎゅっと携帯を胸に抱いて、吹寄は微笑んだ。