「ダンテ、なんか煙い」

「あ?…あぁ、多分これだろ」

宛のない旅の途中、広い何もない原っぱの真ん中で休憩していた時、突然フールから文句が飛んできた。その原因は恐らくダンテが現在進行形で持っている、タバコ。しかめっ面でタバコを睨めつけると、それを見たダンテも眉間に皺を寄せる。

「…なんだよ、タバコくらい吸わせてくれよ」

「おれ、煙いの嫌いなんだよね」

「少しくらい我慢してくれたって」

「いーや、無理」

きっぱりと否定され、さらに眉間に皺を寄せるダンテ。しばらく睨み合いが続いた後、フールの方から沈黙を破った。

「それ何本目?」

「んー、二…いや三本目だったっけか」

それを聞いて少し悩んだ後、急に人差し指を空に立てダンテの目の前に突き出した。

「…なんだよ」

「一本」

「あ?」

「明日から一日一本。それで許す」

「は!?いやいやいやそんな急に減らせるわきゃねぇだろ!」

「じゃあおれに付いて来ないでね」

「え、いやそれは」

「一日一本、約束できますか」

「…ッ、わぁったよ約束すりゃいいんだろ一日一本!」

「うん、よくできました」

これで健康面も安心だね!とドヤ顔をかますフールを改めて睨み、ダンテは深い溜め息をついた。



ダンテとフールが一緒に旅を始めて間もない頃の小話。
最終更新:2014年10月21日 00:39