『コズミックフォージ』



<基本設定>

【名詞】《ギリシャ語:kosmikos-宇宙、ラテン語:fabrica-作る》
  超自然的な筆記具(鉄筆)の名前。それで書き記したことが現実になるという魔法の力を持つ。

-魔筆に関わる物語-

 アラム王国・・・かつてその恐怖によって栄華を欲しいままにした王国。もっとも邪悪な領主と妃により治められていた。2人はこの国すべての人にとって恐怖の対象であった。奇怪な儀式の噂をあちこちで耳にし、王が神秘の技を磨いているという噂も囁かれていた。邪悪なる王は絶えざる侵略により領土を広げ、力を増していった。しかし、王の欲望は尽きることなく、いつしか王自身に並ぶほどといわれる邪悪な魔法使いと手を結び、更に戦いを進めていった。彼らは彼ら以外の邪悪なものの存在を許さず、それらと戦い1つ1つ討ち滅ぼしていった。

 こうした戦いのさなかのある時、異教の神を強力な魔法の力でうち破った彼らは、その最後の命乞いからあることを聞いたのであった。それは「コズミックフォージ」という名の魔法のペンである。そのペンから紡ぎ出された言葉は大いなる力を持ち、宇宙の中に永遠に織り込まれてゆき、書き記されたことが現実となるという魔法の品物の存在である。王と魔法使いはコズミックフォージの在処の情報を聞いた後、情報をもたらした異教の神を葬り去ってしまった。

 しばらく後に彼らはこの魔法のペンを盗み出し、誰も想像することのできないほどの恐怖を宇宙の中に織り込み始めたのである。 しかし、ペンを盗み出してしばらくすると、王と魔法使いはお互いの力を恐れ、妬み始めた。このとき、すでに彼らはお互いの力を必要としなくなっていたのである。そして、互いの運命とペンの所有をめぐって最後の戦いが繰り広げられた。
 その戦いの結末は誰も知らなかった。しかし、戦いがもたらした荒廃だけは確実にその影響を周囲に与えていた。今でもアラム城を中心とする国土は荒れ果て、奇怪なモンスターがさまよう土地となり、住む人もいなくなってしまった。

 荒れ果てた土地と、その周囲にある神秘と謎に満ちた土地だけが今も静かに時を刻んでいる。
 城のすぐそばにそびえたつジャイアント・マウンテンは、悪魔の塔のようでもあり、天に突きつけた刃のようでもある。険しい地形は人の侵入を拒み、周辺に住み着いたモンスター達も手伝って、その山頂に人の足を踏み入れさせたことはない。
 山の北西にはアマズールと呼ばれる女性達だけがいるという王国があり、巨大なピラミッドを建造し、炎の魔神を崇拝しているといわれている。
 城の北には、魔法の森と呼ばれる神秘に満ちた妖精たちの王国があると伝えられている。
 城の東にはしょう気がよどむ沼地が広がっており、部分的には底なし沼になっているともいわれている。
 今では、かつて栄華を手にしていた、王、王妃、魔法使い、そして魔法のペンがどうなったのかを知る者はだれもいない。


  • これは禁断の魔筆コズミックフォージに関わる伝承で最も有名なものである。
 レプロシアキャンペーンには直接的には関係のない物語であるが、登場人物がどのような「報い」を受けたのか、簡単な説明をつけくわえておこう。

 ・災いの王は「永遠の命」を魔筆に願った結果、不死の貴族である吸血鬼と化してしまう。満たされない血の乾きと空腹感に苛まれて、王国の全ての者を死に誘った後で彼も死んだ。
  はずだった、が・・・魔筆の呪いにより彼は死ぬことを許されなかった。永遠に続く絶望の日々を送っていたが、悪魔の血を引く少女レベッカとの出会いによって心を癒される。
  そして、物語の終わりには最後の望みであった「滅びること」を赦される。

 ・悪魔の少女レベッカは、魔術師と王妃による邪悪なる実験の結果、生贄となった哀れな人間の女性と悪魔の間に生まれた呪われた子である。
  しかし、その気性は心優しいものであり、自身の生まれの不幸を呪うこともなく、静かに暮らしていくことを望んでいる。
  彼女の母とその愛人である牧師は王妃によって殺されており、彼女自身も殺されかけていたところを、王に救われる。
  孤独な王と少女は互いに惹かれあい、愛し合う存在となる。

 ・王妃は、かつては魔術師ゾーフィタスの愛人であり、狡猾で王に隠れて他の相手(レベッカの父である悪魔までも誘惑するほど)とも密通を繰り返すような女であった。
  しかし、自らの手から救い出されて王の寵愛を受けるレベッカに対して、強い嫉妬を感じた王妃は魔筆へとレベッカの死を願う。「悪魔の娘に死を!」
  その結果は皮肉なもので、悪魔のように冷酷な王妃自身に魔筆の災いが降りかかり、望みを書いた直後に自らのナイフの上に転倒して命を落とす。
  逆恨みともとれる王妃の嫉妬・怨念は彼女の存在を亡霊と化してしまう。
  そして、王とレベッカへの恨みを果たすべく、冒険者に偽りの記憶を語り、吸血鬼を滅ぼすための聖なる十字架を与える。

 ・王の片腕であった宮廷魔術師ゾーフィタスは、「全ての叡智を手にする事」を魔筆に望むが、その結果・・・
  知識を持つが力の無い善の心と強大な力を持つが正気を失った悪の心に分裂してしまう。
  新たに知ることによって同時に失われる知識があるため、一人の存在が「全ての叡智を手にする事」は不可能だったのだろう。
  邪悪なゾーフィタスは善のゾーフィタスを封印して、王妃と共に残虐非道な実験を繰り返すこととなる。


  • レプロシアの世界にはコズミックフォージそのものは存在しない。
 しかし、主神であるレプロスがこの地を訪れる際に、コズミックフォージの力を限定・分割して変化させた「創造の宝珠」を持ち込んでいる。
 それは、より良い世界の構築のために、魔筆の呪いを避けつつ限定運用する手段を試みたもので、
 願いの用途を「周囲のマナ・元素から生命や物品を生成すること」に特化させて、
 魔筆が本来、安置されている空間である「秩序の領域」と同様の効果をもつ宝珠の中に封じ込めたものである。


最終更新:2013年07月16日 07:36