天地大戦と大洪水


はじめに

 旧約聖書の正典において、大洪水以前(それ以後もだが)の天使と悪魔の行動に関する記述は極めて少ない。これはローマ・カトリックがいきすぎた天使への信仰を抑制するために、正典における天使の登場を可能な限り制限したためだと思われるが(それ以外の聖典は外伝、もしくは偽典とされた)、それゆえ、天使と悪魔の行動原理について、我々が知りえることは少ない。
 ここでは、大洪水以前についての伝承から、悪魔(堕天使)の誕生と、大洪水が何故起こったのか、について検証してみたい。

天地大戦

禁断の木の実

 アダムが創造された時、同時にリリスが創造されたのか、アダムひとりだったのかは不明。しかし、リリスが魔物を生んだこと、知恵の実(禁断の木の実)を食べるまで、アダムが性に関する知識を持ち合わせていなかったことから考えれば、リリスがアダムの最初の妻であったという説は、個人的には選択しがたい。
 そして、神と人間の敵対者となった、あるいは人間への誘惑者となった悪魔が、蛇となってイヴに「禁断の木の実」を食べるように奨める。
 「禁断の木の実」とは、何だったのだろう?
 エデンが第四天と地上のどちらにあったのかは不明なままである。だが、第三天にある「生命の木の実」と対になる存在として、「禁断の木の実」は「知恵の実」であるとされる。
 が、ここで問題となるのは、ヘブライ語の「知恵」が表す意味である。
 「そんなの、とっくに知ってるよ~」という人もいると思うが、一応。『創世記』の13章~19章に出てくるソドムとゴモラの話で、「知る」という言葉が出てくる。ヘブライ語で「知る」ということは、「知識を得る」という以外に「性的に交わる」ということでもある。「禁断の木の実」を食べてはいけない、とは「性行為」をしてはいけない、ということであるのだ。
 そもそも、エデンの中央にある木の実だけは食べてはならない、と神が言ったいうが、どれがその木であるのか(というより、どこがエデンの中央であるのか)を、アダムたちは常に認識できていたのであろうか? よほど奇怪な姿をした木でない限り、間違って食べてしまうことは十二分にありうるのでは?
 エデンの中央に存在しているのはアダム、そう考えると、これはすっきりする。「禁断の木の実」は、男性の生殖器を指すこともある。そのまんまである。
 神にエデンの中央にある「禁断の木の実」だけは食べてはならないと言われたものの、そう言われれば、食べたくなるのが人間である。しかし、実際には、どこがエデンの真ん中であるのかもわからなかったが、それがどの木のことであるのか、見つけられなかったのではあるまいか。その秘密を、蛇(サタンであったのか、リリスであったのか、それともルシフェルであったのかは不明だが)は教えたのではないだろうか?
 そう考えれば、キリスト教において、全ての人間が「原罪」を負って生まれてくること、キリストが唯一「原罪」を持たない存在であること、ことさらにマリアの「処女受胎」が強調されている理由などが理解できる。
 もともとのアダムとイヴは、永遠の命を持つかわりに、他の動物たちのように生殖することが禁じられていた存在だったのだ。その神の命令に背いて「性行為」をしたことが「禁断の木の実」を食べたこと、であり、「原罪」なのである。
 しかし、そうは言っても、我々はすでに「原罪」を負うことなく生まれてくることは不可能なのだけども‥‥あ、人工授精という方法がある‥‥カトリックは、強硬に人工授精に反対してるが‥‥

『ラジエルの書』

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大洪水

最終更新:2011年03月27日 16:47
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