【錬金術とは】中世~近世までのヨーロッパで盛んに行われていた化学実験で、卑金属(酸化しやすい金属/鉄・銅・亜鉛など)から金や銀をつくりだす技術のこと。広義では、人間の肉体や魂までもを対象として、それらをより完全な存在へと練成する試みをも指す。貴重な金を他の物質からつくりだすことで莫大な富を得ることができる錬金術は、王侯貴族たちにもてはやされ、この錬金術を研究する錬金術師たちは、当時の最先端技術を研究する科学者として扱われていた。もっとも、錬金術の副産物として生み出されたいくつかの技術は、現代に生きる我々にとっても極めて重要な技術であり続けており、それが意味のない研究であったとは言えない状況である。また、ある物質を別の物質に変換するという技術は、現代の我々にとってこそ、現実のものとなりかけている研究分野であり、よく言われることだが、科学は錬金術から始まって、再び錬金術に還ろうとしているのだとも言える。その研究は、「賢者の石」を作り出すことを究極の目的としていた。「賢者の石」こそが卑金属を黄金に変え、また、永遠の生命を得ることの出来る霊薬「エリクサー」を作り出すもととなると考えられていたのである。 |