【モグタイ】

その競技の発祥は200年ほど前に遡る。
当時、東イストで国境警備の任についていたムゥ・モグ・タイは度重なる西側からの奇襲に頭を悩ませていた。
諸部族から徴兵された兵も練度はまちまちであり、また協調性や連携まで育てているほどの時間もなかった。
そこで考案された訓練法こそがモグタイの原型であると言われている。

まず10~20サンチほどの金属球と高さ5メトルの旗を用意する。
参加人数は8人。4対4のチーム戦である。
続いてフィールドに5メトルほどの投擲用のエリアを作り、そこから20メトル先に先ほどの旗を立てる。
フィールドは平坦であっても凸凹であっても構わない。
投擲エリアから旗に向かって鉄球を投げるまたは転がして、その多さと近さを競うのだ。

さてここからがこの競技の恐ろしいところ。
実はモグタイは攻守交代も、制限時間もないのだ。
しかも投擲権を得るためには『石焼きガルパオ』を完食しなくてはならない。
この『石焼きガルパオ』とは石焼きの熱々の丼に麦飯と味付け肉、辛く味付けした野菜と半熟卵をこれでもかと盛り付ける。
とどめがソースである。これがまた旨くて滋養があるが、濃い。非常に濃い。
『石焼きガルパオ』を一杯食べ切ると係より鉄球を渡され、初めて投擲が許される。
これを延々と繰り返し、どちらかが根をあげるまでひたすら続くのだ。

ムゥに曰く
「まず組を作れば、そこから役割が生まれる。そうならずとも個々の振る舞いが判る。
 いかに早く補給し、極限状態で的確に判断し、行動する。もちろん戦であるからには、終わりも攻守もない」
であるらしい。

挑み方にも決まりはなく
「大食いがひたすら食べて、他の者がひたすら投げる」
「全員で食べ進め、ある程度溜まってから一気に攻める」
などさまざまだ。
なかには
「力自慢が投擲で地形を地ならしして道を拓く」
という戦法を取るチームもあった。

なお、現代日本において人気のカーリングはこの競技が起源であるとされ
「(球を)乞う」「(戦況に)臨(む)」「(ひたすら)喰う」という名前からも明らかであり
ハーフタイム中に行われるもぐもぐタイムなどは特に顕著である。


明民書房刊 「異世界マイナースポーツ白書 ~イストモス理不尽編~」より

  • チームワークや共同連携がイストモスの戦いに根付いているのはケンタと狗人との関係からかね -- (名無しさん) 2018-05-20 00:53:21
  • イストモスの東西で見た目と味付け盛り方が違ってそうなガルパオだおなかが鳴る -- (名無しさん) 2018-05-24 08:38:27
  • オークやオーガとか見るからに大食いな種族が食事要員として入りそう -- (名無しさん) 2018-05-29 20:04:53
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最終更新:2018年06月01日 01:02