美装女戦士ミルキーレディSS『番組が与えた経済効果編』


今から一年前日曜日の午前8時半、その時間は世界の至福の時間であった。
皆様ご存じ、美装女戦士ミルキーレディの放送時間である。
第一話からきわどいエッチなシーンで視聴者の心を引きつけたその特撮番組は
開始から2話目にして子供の目に悪いと奥様方から苦情が来て中止の危機に陥るが
何故か男だけでなく女も魅了するヒロインのエッチ力により5話目が放送される頃には
もう誰も苦情の電話もしなくなった。

「社長、今日はミルキーレディを見るから30分遅刻しますがいいですね?」
「うむ、寧ろミルキーレディ終わるまでは日曜の出社時刻は10時にしよう」

第7話放送時点で世界のあらゆる企業が日曜日の出社時間を遅れさせた。
表向きは渋滞緩和とエネルギー対策となっている。
だがその建前は1週間と持たず、第8話放送後、国際会議でミルキーレディタイム法が可決。
日曜日はあらゆる企業が10時までは動かない事になった。
こんな事したら経済に大打撃と思われるだろう、だが実際には、日曜日は
ミルキーレディ関連商品はあらゆるものが完売し、製造側も広報も消費者も皆が
ミルキーレディを見た事でその後の一週間をバブル時代のように精力的に動けるのだ。

「先生、こんな漫画では今は売れませんよ。ミルキーレディを書いてください」
「くそっ、俺が書きたいものも書けないのか。何て時代だ!
でもミルキーレディ以上のものは書けないのは事実」

第14話放送後、日本の18禁漫画の全雑誌がミルキーレディをモデルにした読み切りを掲載。
第15話放送と同時に、連載エロマンガの全てにミルキーレディっぽいヒロインが書かれ、
それは一般紙にも波紋が広がった。
第16話が放送される頃には4大少年誌に新人賞を含め全部ミルキーレディ登場。
新聞の4コマもミルキーレディが怪人にやられエッチシーンになる寸前の所が描写された。

「ミルキーレディに腹パンしたい」
「ちょっとトイレでミルキーしてくるわ」
「お前オナネタ何話のミルキーレディだよ?俺12話派」

第20話が総集編スペシャルとなった時、世界の住民もまたミルキーレディのこれまでを
振り返り、それと同時にオナニー=ミルキーレディという認識が定着した。
その法則は放送を見る全ての人類及び動物に適用された。
地球の生物は日曜の8時から9時半に掛けて、ミルキーレディのやられ姿でオナニーするものと
定義されるに至る。

「ピポポポポポポポー!(この星のミルキーレディはエロイ!今度からオカズはこれにしよう)」
「1101010101010101(ミルキーレディについて演算すると回路がこのパターンを求めるメカ~)」

第28話終了時において、ついにミルキーレディは宇宙人・無生物にもオナネタとなってしまう。

第29話『やられる!?ミルキーレディ敗北!』

その週の日曜日8時半、ミルキーレディ制作陣を除くあらゆる性が年齢が種族が物質が元素が
テレビを見る為に本来の仕事を放棄した。流れ出すオープニング。

赤いハイレギュアオウ~ 正義ぃのすぃるすぃ~(オークにのしかかられるミルキーレディ)
美装女戦士ミルキーは~ 悪い怪人がぶっとばすぞぉ(スライムに絡まれるミルキーレディ)
ゴーゴーレツゴウェア~ ピンヒロインなのに弱い~(電撃でビリビリになるミルキーレディ)
ミルキーアヘ顔ダブルピース! ミルキーそこはらめぇ!(おばあちゃんに屁をかがされるミルキーレディ)
怒っても怖くない 美装女ミルキー どぅわぉ~(泥んこレスリングで一方的に汚れるミルキーレディ)



「お、お願いです、もう許してェ!」

開幕から病院のベッドに革ベルトで拘束されるミルキーレディ。
この番組にストーリーもバトルシーンも存在しない。
既にヒロインは敗北し完全に堕ちた状態から放送されるので、
前回までのあらすじとかは大体気にしなくてもいい。
ただ、ミルキーがナースの格好をしている事から視聴者は今回はこういうシチュエーションなんだなと理解する。

「ふっふふふ、ミルキーレディよ。今日はお前をこの方法で倒してやるぞ」

悪の怪人は懐から取り出すのは黒い瓶。

「これが何かわかるか?」
「そ、それはアルパ焼肉のタレ黄金水の味!」
「そうだ、アンモニア臭が酷くて在庫余りまくりの不人気のタレだ~。
こいつでお前をグチョグチョにしてやろう~」
「いやぁぁぁぁぁー!」

怪人の手によってミルキーレディの顔、胸、そしてスカートの中に塗りこまれて行く焼肉のタレ。
それが多数のカメラによって様々な角度から描写される。

「もうらめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

スカートの中、タレで濡れてスケスケの股間が大写しになってビクンビクンと痙攣する様子がスローになり
次回に続くのテロップ。ミルキーレディの落ちはこの股間大写しと汚れた顔面アップの二パターンのみである。
ここで一旦CМ。テレビには先程の戦いで使われたアルパ焼肉のタレ黄金水とナースコスプレ服が映される。
この日の午前中には全ての在庫が無くなる事だろう。

CМが明けると椅子に座った女性のインタビューが始まる。
先程ミルキーレディを演じていた新人女優の『落葉ふみ』だ。
ミルキーレディが他の特撮と大きく違う点の一つは特撮シーンは前半の15分だけであり、
残り15分、CМ明けからはこの新人女優のインタビューに切り替わる所だ。
無論こちらも見どころ満載。ミルキーレディの素の姿とされるこちらもまた
世界中のオナネタとされている。

【今日のシチュエーションはどうでした?】
「とっても臭かったですね、正直に言って。でも、ソコがよかったかも♡」

【最後は股間グショグショでしたね。感じました?】
「ハイ、あそこは演技無しに震えちゃいました」

【次回で最終回、見どころをどうぞ】
「次回ではなんと私ミルキーレディが敵怪人に敗北します、ってこれはいつもの事か。
それだけでなく、美装女の正体がついにばれるという展開ですよ。
なんてったって最終回、これが終わったら番組制作陣はトンズラこきますので
トコトンえっちに最後は衣装も全部脱ぎ棄て裸の私をお見せしちゃいます」

【それでは最後に今回のサービスシーンを】
「はーい、ではっ、今回は焼肉のタレをスカートの中に塗られてスケスケの股間が大写しになるシーンを」

そう言い、スカートをペロンと捲って落葉ふみは自分の手で焼肉のタレを下着の上に塗りたくって行く。

「はぁはぁ…気持ちいいぃ」

顔を赤らめシュッシュと手を下着の上で擦り合わせていく。
それに合わせカメラは少しづつ股間へと近づいていく。

「あああん、もうらめぇぇぇぇ!!!」

手をどけて股間をおっぴろげてビクンビクンと震えて見せる。
グチョグチョの股間が大写しでさらされ画面がモノクロになった所で画面に続くの文字が。
これにて番組は終了。世界中の視聴者達はテレビから離れ、あるいは録画を再生し各自が
数十分のオナニータイムへと突入した。


ミルキーレディSS『最終回の悲劇編』に続く

ミルキーレディSS『最終回の悲劇編』


ついにその日がやって来た。この世界のあらゆる存在を熱中させ、
生きる気力を与えて来た番組美装女戦士ミルキーレディ。その最終回である。
テレビを所持する者は全員がテレビにかじりつき、テレビを持たない者も近所の
テレビを持つ家におじゃまして正座。

「おい、後20分でミルキーレディ始まるぞ。俺達の基地で一緒にテレビみよーぜ!」
「分かった、自爆テロ用の爆弾ここに置いてくわ、続きは日本時間の10時からでいい?」

「謎は全て解けた、犯人はこの中にいますが…今はそれよりミルキーレディだ!」
「ああ、現場のビデオ確認するのは全員のオナニー終わってからだな」


紛争が起こっている地域だろうと、名探偵が真相を掴もうと、ミルキーレディは全てに優先される。
まして、今回は最終回だ。可能な限りの家庭や企業がブルーレイとDVD録画体勢で8時半を今か今かと待っている。

そして時は来た。ミルキーレディ開始の時刻、だがここで視聴者はいつもと違うオープニングに驚く。

いつもは注意書きとして放送前に『オナニーは番組終了まで我慢して番組に集中してください』と
テロップがでるのだが、今回は『最終回なので解禁します。どうぞ今からリアルタイムオナニーどうぞ』と
画面に表示されたのだ。

「イヤッホーーーーーーーーーーーー(゜Ⅲ゜)!!!!!!」

今まで放送リアルタイム中オナニーは視聴者全員の手できっちり守られていた。
放送局員の存在が不明である以上、相手からの指示を破ろうものならいつ
ミルキーレディが打ち切りになるとも分からないゆえにだ。
だが、向こうからオナニーしながら見てもいいよと言われれば別。
彼ら・彼女らは一斉に全裸ネクタイあるいはストッキング状態から完全全裸になり、
OP曲時点から既に何回も何回も絶頂に達していた。

黒いプワンストォ~ 値段はニーキュッパ~(偽ミルキーレディとのテスト対決で負けるミルキーレディ)
美装女戦士ミルキーは~ 結局一度も勝てなかったぞぉ(彼氏候補がホモにNTRれたミルキーレディ)
ゴーゴーレツリョナア~ リョナって何ですかぁ~(前番組のヒーローの誤爆でバズーカをくらうミルキーレディ)
ミルキー久保師匠! ミルキーくぱぁ!(基地が崩壊し流星と共に空に顔が浮かぶミルキーレディ)
最終回だし正体ばらすぞぉ 美装女ミルキー どぅわぉ~(完全勝利の夢を布団で見るミルキーレディ)


最終話『さらばミルキー!その正体!』

戦闘員の攻撃を四つん這いになって耐えるミルキーレディ、だが既に目に光は宿っておらず
ここからの逆転は無理だろう。
これまでミルキーレディを見て来た視聴者にはもうお馴染みだが、この番組での実力差は

銃を持った警察>24話で特別出演した前番組のヒーロー=敵幹部怪人>戦闘員=武装した一般人>
ミルキーの元彼氏>人質の幼女>ミルキーレディ=番組後半の落葉ふみ

という事に公式で決まっている。戦闘員とタイマンでミルキーレディが勝つのは
100円魔人ダスのCが500円魔人ダスのRに勝つ可能性並に低い。
順調にやられるミルキーレディの元へ毎回の拷問シチュエーション担当の幹部怪人エロチーンが登場。

「ふっふふ、今回はこの味塩コショー邪賢王ちゃんのフケ味をお前の顔に振りかけてやろう!
お前のクシャミ顔を見て皆で笑ってやるわ~」
「い、イヤァ、クシャミはイヤァ!」
「おやおや、よっぽど自分のクシャミ顔が自信が無いとみえる、そういう奴こそこのコショーを
振りかけたくなるのよ~」

ここまでで既に平均してティッシュ10箱以上をカラにした視聴者達は少し残念に思った。
確かにクシャミの顔は今まで無かったしそれのフェチも存在するが、最終回に持ってくるものではないだろう。
どんな神番組も最終回にピークは持ってこれない。ミルキーレディも22話~25話時点が最高だったのでは
ないだろうか。多くの視聴者達はそのような感情を抱きながらもうティッシュが無いので体内から
漏れ出る液を床にぶちまけていた。

パラパラと舞い落ちるコショーの粒がミルキーレディの目や鼻の穴に入る。
目にはじんわりと涙が溜まり、口と鼻がヒクヒクと震えてくる。そしてついに、大きなくしゃみが
ミルキーレディの口から発せられた。

「はっ・・・はっ・・・ハックション!オカマッ」

この瞬間、世界の人々の時間が止まった。全員が嫌な汗をかきながら画面を凝視したまま固まっている。

「な、なんだぁそのクシャミは!お前オカマだったのか!」

全世界の意見を代弁するかのようにエロチーンが突っ込みをいれる。

「私がオカマだなんてそんわけないじゃない!今まで何度も体を触って来たでしょ!」
「どうだかなー、よし、お前らこいつをひんむいてしまえっ!裸にしていいわけ
出来なくしてやるわーっ!」

にじりよる戦闘員、必死に自分の衣装を守ろうとするミルキーレディ。
困惑しクシャミ後の涙でメイクがグシャグシャのミルキーレディの顔のアップでカメラが止まり
『続く』の文字と共に今回使われたコショーのCMが始まった。

そしてCMが明ける前には視聴者はオナニー心を取り戻していた。
クシャミの語尾にオカマッが付いた時は何事かと思ったが、性別判定の名目で服を脱がす為の引き
としての演出なのだと理解した。前回のラストでミルキーレディが全裸になると予告されていた事と
上手く繋がり、ミルキーオカマ疑惑は瞬く間に消え去った。

番組後半、いつもならここからは素顔の落葉ふみのインタビューなのだが前半からの続きが再開された。
視聴者達は股間を前半以上に激しくいじり続ける。ついにモロだしになるミルキーの秘部を見る為、
そしてちょっとだけ浮上したオカマ疑惑を否定する為に。
もし、もし本当にミルキーレディは女じゃなかったら…今までの熱狂は何だったというのだろう。
ミルキーは女、それは決まっている事だが確実に自分の目に焼きつけなければならないと
テレビの前の皆は瞬き一つせず後半の展開に釘付けとなっていた。

『最終回の惨劇編に続く』

ミルキーレディSS『最終回の惨劇編』


「さあ、ミルキーレディ。その正体を見せてもらおうか。そうだな…まずは服が邪魔だな」

ビリィィィ!
幹部怪人エロチーンの両手が刃物に変形しミルキーレディの衣装切り裂く。
たちまち、ブラとパンティだけになってしまう。

「い、いやっ!」

体をよじって身を隠そうとするが残念ながら手足を拘束されている。
結果としてカメラには大きな胸がたゆんたゆんと揺れる姿が映される事となった。

「こ、これでわかったでしょう、私女よ~」
「さあ、どうだかなあ?触ってみない事には分からないだろう。オイッ、こいつのブラを外してやれ!」
「エロー!(戦闘員の掛け声)」

パチン…パチン
戦闘員が背中に回ってホックを外すとブラはストンと落ち、大きな胸がぶるるーんと揺れる。

「ふむ…左右の大きさの差も無く乳首も綺麗なピンク色だな。だが、いささかバランスが良すぎる」

エロチーンはそう言い、自らの股間に手を突っ込み一本の瓶を取り出す。

「本日の拷問グッズその2、姦崎家製造乳白色のメイク落とし~」

テーテ テーッテ テレレレー テッテ、とキレテツ大百科の発明品のテーマが流れる。

「や、やめなさい!ローションネタは先週アルパ焼肉のタレでやったじゃない!
シチュエーション被ってるわよ!」
「今回はジャンルとしては擬似ぶっかけだから何の問題も無い、
それより番組の心配をしている場合かミルキーレディよ。今からお前のオッパイにこれを塗りたくるのだぞ」
「や、やめてぇ!それはやばい、本格的にヤバいからぁ!」

だが、ミルキーレディに拒否権は存在しないし助けも来るはずもない。
エロチーンの手のくぼみに溜まっていくメイク落としはミルキーレディの両胸全体にどんどん塗られて行く。
そして瓶の半分近くが塗りこまれた時、胸の上の方から肌色のカスがボロボロと落ち始めた。

「ククク、化けの皮がはがれ出したな」

胸の上を重点的に擦り続けるエロチーン。そこから垢の様なものがどんどん溢れだし、
ついに外見に大きな変化が現れた。肩のすぐ下胸との間にクッキリと継ぎ目が顔をだしたのである。

「やはり作りもののオッパイを張り付けていただけだったか。どうれ、これだけ接着面を削れば
簡単に取れるだろう」

両胸をぐわしとつかみ一気に引っ張る。バリバリヤメテとマジックテープが剥がれ、偽物の
巨乳が床に落ちまっ平な胸が露出された。

「ククク、まだわからんな。貧乳を隠していただけかもしれんし、本当に男かもしれない。
やはり…下も確認しなければな!」

ストン!
下着が降ろされると同時にバネのように股間から挟みこんでいたチンチンがビョーンと飛び出す―
という事は無く、そこには無毛の割れ目があるだけだった。

「ううっ、ぐすっ、これでわかったでしょ。私は女よ。もうやめてぇ」
「いーや!こっちも胸と同じ様に特殊メイクでごまかしてるかもしれん!
まずはじっくり観察させてもらおう」

エロチーンが股間に顔を寄せ、それと同時に下着すら失いモロだしの股間にカメラが寄り
前方・後方・下方向三視点からアップで映される。

「指を突っ込んで調べたアソコの具合は女そのものだが…これはおかしいな股間周囲に毛穴すら見当たらない。
おいっ、ここも特殊メイクで本来の肉体をカバーしているのだろう!」
「違うの、違うの!もうやめてぇオカマッ!」

メイク落とし瓶の中身が今度は股間に塗りこまれる。胸とは違いデリケートな部分かつ塗り込み過ぎると
モッコリするが故にメイクは薄くしてあったのだろう。僅か数秒でメイクで作った境目の皮膚は落とされ
ヘソから下に前張りのごとく継ぎ目が現れた。

「さあ、もう言い逃れは出来んぞ。後はこの偽マンコを引きはがせばその下からチンチンが出てくる。
お前の正体が世界中に知れ渡るなあ!」
「違うのっ!私貧乳で貧マンでテレビ映りが悪いから特殊メイクでごまかしていただけなのよ!」
「胸はともかく下についてはそんな言い訳が通用するかー!今すぐその窮屈そうな股間を解放して
本当の股間を露わにしてやろう…いや待てよ」

エロチーンはミルキーの股間をいじっていた手を引っ込め再び自分の股間をモゾモゾと探る。

「本日の拷問アイテムその3、バイアグラ・お代はプリン一個ー」

テーテ テーッテ テレレレー テッテ(byキテレツ)

「それをどうするの?」
「こんなの使い道は一つに決まってるだろう?」

元々最弱設定な上、手足を拘束され、全身揉みし抱かれてぐったり状態のミルキーレディの口に
バイアグラをねじ込むのは容易い事だった。エロチーンはミルキーレディがバイアグラを飲み込んだのを
確認すると戦闘員を連れ彼女に背を向ける。

「では我々は一足先に帰って打ち上げ焼肉パーティといこうか」
「エロー!」
「ミルキーレディよ、あくまでも自分が女だと言うのなら番組終了までその股間を持たせる事だな」
「クッ・・・後数分カメラ回りっぱなしの間私を放置するの!?」
「後数分だと?お前は何を勘違いしている?」

指をパチンと鳴らすエロチーン。すると、エロチーン達が向かおうとする出入り口から大柄な男が
現れた。口に葉っぱを加えた大柄なシルエット、髪はツンツン頭で着ているのは赤茶色の胴着。

「オッス!オラ岩木悟空や!いっちょホームランやってみっか!」
「岩さん後は頼みます」

大男に頭を下げるエロチーン。ミルキーレディはその大男の事を知っていた。
彼こそは美装女戦士ミルキーレディの後番組、朝9時番組『ドカベンボール大甲子園・改』の主役
岩木悟空その人である。

「…ってドカベンボールはアニメじゃない!なんで特撮番組に出演できるのよ!!」
「今回はミルキーレディの世界に合わせて岩悟空実写版でお送りしているのだよ!
分かるかミルキーレディ…つまり今回は最終回1時間スペシャルだ!」

ミルキーレディの顔に絶望走る。つまり、ここから後30分以上この状態を耐えねばならないのである。
だが、その心配はある意味しなくても済む事になった。バイアグラの効果が既に現れ初めていたのだ。
それは突然ミルキーレディの全身に襲いかかる。

「うああああー!体が疼く!股間が痒いわぁ!」

手を縛られているミルキーレディは股をすり合わせ股間を鎮めようとする。
だが、それは逆効果。股間への血流はそれで止まるどころがますますその速度を速めていく。
その事によりミルキーレディの股間にも変化が現れだした。

内側からの圧力によりマジックテープで固定されていた偽物の性器がバリバリヤメテと音を立て
端から徐々に剥がれていく。
そこからの展開はあっという間だった、一度剥がれ始めた性器は最早ごまかす事など出来ず
むしろ加速して捲れていく、そして…内側の圧力を抑えきれなくなったその時、ついに―


「だ、だめぇ!みないでぇ!!」

バリバリバリ!ビィーン!
股間に貼られた偽物の女性器が完全に剥がれ落ち、股下に貼り合わせ隠していたチンチンが勢いよく
飛び出す。それが3視点のカメラで何度もリピートされ最後は正面からのスローモーションで
完のテロップが浮かび堂々の完結となった。

ミルキーレディが男だったと判明したこの時点で世界中の生物・無生物はオナニーを停止し、
ただ茫然と画面を見つめていた。今までミルキーレディの視聴によって得て来た日曜日を
幸せに生きる為の活力がぷつりと途切れ、彼らはテレビを消す事もその場を離れる事も出来ずにいた。
それが更なる悲劇を生むとも知らずに。


【1時間スペシャルは大変でしたね】
「そうですね、最終回ですから何かおこるとは聞かされていましたけど。
私も1時間放送になると知らされたのはこの放送前日だったんですよ」

そうだ、まだ10分以上の放送時間を残している。
テレビでは落葉ふみへのインタビュータイムが始まっていた。
椅子に座りインタビューを受ける落葉ふみはいつもと全く同じ、ついさっき
チンチン露出したヒロインと同一人物とは思えない落ち着きを持っていた。

【番組ではミルキーレディはマジックテープで偽物の性器を張り付けてたオカマというオチでしたが】
「私は違いますよ~、あれはあくまでもフィクションですっ!
あんな手間かかる特殊メイクなんて私はしてないですよっ」

【では今回のサービスは…やはり】
「はい、落葉ふみはミルキーレディとは違うんだって事の証明の為に
ここで全部ぬいじゃいます」

人々はオナニーを再開した。
ミルキーレディという偶像は脆くも崩れ去ったが!落葉ふみは健在だ!
我等に未だ希望あり!
そう、落葉ふみは女性という事にすがるしか無かった。故にこんな簡単な罠に皆は
自分からダイブしていったのだ。

「私、本当は色々と無理してたんですよ。この胸だってミルキーレディ役は巨乳じゃないとなって
監督に言われて、背中の肉寄せてヌーブラつけてごまかしてたんです。
ホラ、本当はこんなにちいさいオッパイなんですよ」

(大丈夫だ問題無い!オカマだった事に比べれば貧乳なんて!)

「足だってカメラ映りでごまかしてたけど結構筋肉質で太いんですよ。
お腹だってウェストニッパーを外すとこんなに膨らんでるし…」

(だ、大丈夫だ問題無い!ちょっとぽっちゃりでもこれだけ美人なら!)

「でも、股間はもっと大変だったんですよ。ちょっと興奮するとすぐに膨らみそうになるんです。
うふふっ、なんせ下着と取ると…下にこんなのがあるんですから」

(だだだだだっだいじょうぶだdっだだだだ、いやだいじょうぶじゃないだいじょうぶぶぶぶぶう)

「あー、暑い。もう全部脱いでいいですよね?え?あ、ハイこのマスク良く出来てるでしょ。
これを取るのがけっこう大変で…、あーきつかった。というわけでおいちゃんが落葉ふみの正体でしたー。
んじゃなー今まであんがとなー」

カメラが引き、ゴムマスクを剥がし完全に男の声と顔で手を振る落葉ふみを演じていた
オッサンの全身像で画面が止まりデカデカと完の文字。
バキンという音が世界に響く。ここに来てついに、あらゆる存在の心が同時に折れたのだった。


「オゲエエエエエエエエーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」

この日は後にリバース・デイと呼ばれる事になる。
世界の全存在は今まで騙されていた己を恥じながら苦しみぬいた。
だが、しばらくすると人々は皆落ちつきを取り戻し社会復帰した。
世界そのものがこのあまりの事態に対してミルキーレディという存在を否定し忘却したのだ。
そう、『ミルキーレディなんてなかった』とする事で辛うじて世界は存続した。
無論、これだけ文化に影響を与えたミルキーレディを完全に消す事は不可能であり、
番組制作スタッフはいずこへと消えたが、ミルキーレディこと落葉ふみ役のスタントマンだけは
この世界に残っていた。

結果、妥協点として『ミルキーレディはタチの悪い女装ヒロインドッキリ番組』という程度の
認識の弱体化に落ちついた。日本内だけで多少のブームを得た特撮、それが世界による精一杯の補正だった。
その後、多くの人を騙し苦しめたスタントマンは魔人学園に行く事となり、
かつて世界を危機に陥れた最終回は彼が敵として認識したグループに対してゲロを吐かせる程度に落ち着いた。


おしまい

■無限遠かなたプロモーションSS■


『無限遠 かなた(むげんえんかなた) 様

急で申し訳ありませんが、今晩ぼくと切り結びませんか。
24:00に武道館でお待ちします。』

無限遠かなた は歓喜した。
この学園に入学して3ヶ月、こんな出来事ははじめてだったのだ。
文体こそ柔らかいものの、彼女の下駄箱に入っていたそれは紛れもない「果たし状」であった。
「差出人の名前が無い… もしかすると大勢の魔人さんたちが徒党を組んで待ち伏せしてくれるのかもしれない」と想像して彼女はますます興奮した。

彼女こと無限遠かなた は命がけの闘争を求めてこの学園に入学した一般人だ。
とある理由から彼女は「強さ」を渇望し、それを実現する手段として絶え間ない闘争の中に身を投じることを選んだ。
「血みどろの毎日を 一瞬たりとも気の抜けない充実(さつばつ)とした学園生活を」

しかし彼女の望みは入学と同時に裏切られることとなる。
希望崎学園は平和だったのだ。
数ヶ月前まで上級生と下級生の抗争により戦場と化していた学園は、下級生陣営の完全勝利により平定されてしまったのだ。

失意の中、それでも彼女は闘争を掴むために最善を尽くした。
まずは学内一の武闘派集団と噂される生徒会に入会し、対立集団である番長グループを煽った。

「ばか番長! うすのろ番長! 悔しかったらわたしと勝負しろ!」

と彼女なりに必死に頑張って毎日挑発を繰り返したのだが、生来の品の良さが悪く働き、番長グループのメンバーがその下手くそな挑発に乗ることはなかった。
それどころか、毎日授業前と授業後、昼休みと放課後になると律儀に現れて「ばーかばーか!」と言って去っていく かなた に、番長グループの何人かは親しみを覚えるようになった。
通い始めて一ヶ月も経った頃には、やって来た かなた にお菓子を与えたり、お茶を出したりする者もちらほらと現れるようになる。
ここに達して鈍感な かなた も「わたし バカにされてるかも!?」と気付き、番長グループ挑発を諦め、訪問を辞めたのであった。

次に彼女は方針を変え、もっとダイレクトな手段をとった。
それは目ぼしい魔人生徒の下駄箱に果たし状を入れるというものであった。
『今日の放課後私と真剣に戦っていただけませんか?
正面玄関横の桜の木の下で待ってます。
一年一組 無限遠かなた』
と達筆な墨字で書かれた書状を毎日違う下駄箱に投じ、全校生徒が下校し終えるまで指定した木の下で今か今かと待ち続けた。
しかし、一ヶ月続けても彼女の対戦相手が現れることはなかった。
これは彼女の身を案じた番長グループの有志達が、下駄箱の主が果たし状を目にする前にそれを回収していたからなのだが、そんなことを彼女が知る由もない。

こうして彼女の意図とは別に彼女のファンは増えていった。
桜の木の下で来る日も来る日もモノ欲しそうな表情を浮かべ佇んでいる美少女の姿は、事情を知らない多くの一般生徒を惹き付けたのだ。
最初番長グループの数名だけで構成されていたその派閥は、一般生徒を巻き込み大所帯となり、現在では非公式ファンサイトが立ち上げられるほどの盛況ぶりである。

その非公式ファンサイト「KANATA∞」のTOPページに、ある呼びかけが掲載された。
『【緊急連絡】
本日我らが かなたん に決闘が申し込まれました
場所は校舎東の武道館
時間は24時

あとは・・・わかるな?』


23:30
入学してから3ヶ月間ずっと恋焦がれてきた真剣勝負に際し昂りを抑えられず、無限遠かなたは予定対戦時刻の30分前に道場についてしまっていた。
背中に家紋、右袖に流派無限と刺繍された試合用の道着袴を身に纏い、腰には先代から受け継いだ二本の継承刀が携えられている。
眉の上で短く切りそろえられた前髪を2、3度手櫛で梳かしてから、意を決して彼女は道場の扉に手をかけた。

「失礼します!」

開け放った扉の中から異常な熱気が流れ出す。
この熱気が人の熱によるものだと彼女が理解するまでそれほど時間はかからなかった。
道場の壁に沿って20名ほどの人間が横たわっていたのだ。
彼らは皆揃って気を失っているようであった。
その中には番長グループでも指折りの戦闘力を持った魔人や かなた が目を付け果たし状を出した屈強な魔人生徒の姿もあった。

そんな異質な雰囲気につつまれた道場の中心で、静と目を閉じ黙想に勤しむ一人の少年がいた。

「…これは……一体?」

「ぼくの方が知りたいですよ」

かなた の問いかけに少年は笑いながら答えた。

「ぼくがあなたを待っていたら、急に大勢の人が押し寄せてきたんです
『『かなたんに何さらすんじゃワレ!』』 『『しばくぞガキャ!』』ってね
だから準備運動がわりに軽くあしらっておきました」

そう楽しげに言い終わってから少年はゆるりと目を開けた。
その優しげな瞳を見た かなた は鏡を見ているような不思議な感覚に陥った。
そしてその感覚は次の少年の言葉で正体を表わすことになる。

「はじめまして 叔母さん
ぼくは無限遠ラプラス 無限遠はるかの息子です」

予測していなかった「無限遠はるか」というワードに かなた は驚愕した。
無限遠はるか は3年前に失踪した実の姉の名前であったのだ。

かなたが一心不乱に強さを求めるのは、失踪した姉と再び出会いたいがためであった。
圧倒的な強さを持っていた姉はるかは3年前のある日、師である父を倒し失踪してしまった。
「この道場で学ぶことが無くなったと感じて姉は消えたに違いない 私が強くなればきっと姉は私と戦うために戻ってきてくれるはず」と考えた彼女はひたすらに強さを求め行動を起こすようになったのだ。
また、かなたは姉のことを溺愛しており、それも彼女の決意をより固くした原因であった。

一瞬にして湧き上がった様々な疑問と感情にかき乱され、かなたは口をパクパクとさせた。
そんな様子を見かねた無限遠ラプラスは助け舟を出す。

「まずは…そうですね
『『わたしとみっつしか違わないお姉ちゃんにこんな大きな子供がいるわけない』』…でしょうか?」

少し考えてからコクコクと頷く かなた。

「信じて貰えないかもしれませんが、ぼくの母は強くなり過ぎたせいでこの世界から外れてしまったんです
こちらの世界の時間軸で約2年前の出来事です
それから活動領域を世界と世界の間に移した母はいろいろあってぼくを身ごもりました
その空間の時間軸で約12年前の出来事です」

この説明を聞いた かなた は難しい顔をしながら首を傾げた。
自分の説明が理解されなかったことを察したラプラスはくすっと笑って言った。

「面倒な説明はやめておきましょう
『ぼくを殺せば姉に会える』
これでどうでしょうか?」

その言葉を聞いた瞬間 かなた の目の色が変わる。
一瞬で抜刀し、長刀「壱」を頭上に、短刀「零」を胴の前に構えた。
王道的なその二刀の構えは別名「火の位(くらい)」と呼ばれる攻撃に重きを置いた構えだ。

その切り替えの速さに嬉しそうな表情浮かべながらラプラスは果物ナイフほどの極端に短い刀を引き抜き、胴のやや下で切っ先を地面に向けて構えた。
一般的に平正眼(ひらせいがん)と呼ばれるその防御主体の構えは、かなたの姉はるかが得意としていた構えであった。


「おねがいします!」

「おねがいします」

挨拶を交わした二人の間の空間が剣気でぐにゃりと歪む
先程までの物腰柔らかな少年と気の弱そうな少女は最早その場に存在していない。
そこに存在するのは目の前の敵を殺す以外の機能を持たない2体の殺人人形のみ。

じわりじわりと間合いを詰める両者であったが、先に動いたのは かなた であった。
長刀の利点である射程を生かし遠間から飛びかかると同時にラプラスの頭部を狙って長刀を振り下ろしたのだ。
恐るべき跳躍力と剣捌きから繰り出されたその一手目は、常人ならば可視できないほどの猛烈神速の打ち込みであった。
しかしそれを最小の体捌きのみでかわすラプラス、敵もまた化け物。
お互いの体が密着しそうな超近距離で、かなたの奥義が発動する。

―――――無限攻式「壱」

かなた唯一にして最強の奥義は二刀による連続攻撃である。
一手目の打ち込みによって生じる敵の隙を見極め、それに対し最も適切な二手目を打ち込み命を狩りとるというのがその奥義の概要だ。
一見誰にでもできそうなこの技が彼女固有の奥義たる所以は、一手目と二手目の間隔の短さにある。
ほぼ同時に放たれるそれは不可避といっても過言ではない代物なのだ。
かなたは長い鍛錬の末に断片的だが見切りに通じる技術を習得し、一手目を放った瞬間に敵の視線・表情・気配・重心・筋肉の強張り、その他もろもろの反応から次にとるであろう回避・防御行動を予測できる域に達したのだ。
それこそが奥義無限攻式「壱」の根幹である。

一手目が回避される以前にかなたは二手目を繰り出していた。
かなたが一手目を放った瞬間ラプラスの視線は長刀に向き、軸足の右半分が強張り、短刀を握る手が僅かに右へ動き、切っ先が少し上を向いた。
ここから かなたは左前方への体捌きによる回避行動と短刀による突きの反撃を予測して、それに対する二手目を放ったのだ。
かなたが放った二手目は低い軌道で腹部を狙ってくるラプラスの短刀を長刀「壱」でいなしつつ、短刀「零」の初期位置から最短経路でたどり着ける急所である腹部を刺すというものであった。

そうして実際かなたの読み通り、ラプラスは左前方に向かい体捌きによる回避行動を行った。
その刹那後、金属と金属が激しくぶつかる音がした。
ぶつかったのはラプラスの短刀とかなたの短刀「零」であった。
ラプラスの腹部を貫き抉らんと繰り出された必殺の二手目は、虚無を突いて伸びて来たラプラスの短刀によって防がれたのだ。
ほんの少し遅れてラプラスの短刀を防ぐべく軌道を変えた長刀「壱」が虚しく空を切った。

最大奥義を破られたかなたに動揺が走る。

一旦飛び退き体制をたて直そうと重心を後ろに置いたかなたの上半身にラプラスが飛びつく。
同時にラプラスは自らの短刀を捨て、かなたの両手首を掴んだ。
そうしてバランスを崩したかなたは仰向けに倒れこんだ。
胴体の上に跨り、ギリギリとかなたの手首を締め付けながら床に押し付けるラプラス。
体躯からは想像もつかない膂力が彼女の手首を締め上げる。

「ぐっ…あっ……!」

足をばたつかせ、体をねじり、出せる力を全て出し抵抗を試みる彼女であったが、規格外の力と痛みに屈し、ついには命とも言える二刀を手放してしまった。

羽を捥がれた鳥はそこで抵抗を諦めた。
敗北を認め、自らの死に瀕し、剣士から気弱な少女に戻った無限遠かなたはボロボロと涙を流した。

「…最期の言葉が『『おねえちゃん、わたし弱くてゴメンね』』ですか…
本当にあなたは母を慕っているのですね」

ラプラスが悲しげに呟く。

「あまり気を落とさないで下さい
先程の無限攻式『壱』は見事でしたよ
僕と母の攻式『壱』なんて いつもより力を入れて振り抜くだけですからね」

自虐気味に言ったラプラスの言葉に反応して、かなたは先程のことを回想する。

「『『…なぜあの時わたしの読みはハズレたの?
確かにこの子の切っ先と体は水月を刺すと言っていたのに』』ですね
それはですね…
『『ッ! この子まさか! わたしの思考を!』』
はい その通りです」

―――――無限守式『零』
読心による後の先の奪取。

「申し訳ないですがすべて筒抜けでした
長刀による打ち込みが餌であることはわかっていたので
一手目を避けたあと直前まで反撃を匂わせてから防御しました
それだけです
『『そんな反則…』』ですか
いえいえ あなたの『壱』もほぼそのレベルの強力な奥義ですよ
並みの読心能力者では読みとった思考を行動に反映させる前に絶命してしまいます
その方向性で磨いていけば近いうちに攻式『零』に辿りつけるでしょう」

一通りの感想を言い終えたラプラスはニッコリと微笑み、かなたの頬に舌を這わせ涙を舐めとった。
そしてその後に

「泣かないで下さい
今回はダメでしたが あなたがぼくを殺せるくらいに成長したらまた迎えに来ます
母もぼくもあなたと一緒の時を過ごしたいと思っていますので 頑張って強くなって下さいね」

と付け加えた。
そしてかなたの意識はそこで途切れた。


次にかなたが目を覚ましたとき、彼女は生徒会専用の医務室の中にいた。
意識が戻ると同時に飛び起きて周囲を警戒するかなたを見て、生徒会長の灰色熊(すてふぁにー)が優しく声をかける。

「おはよう
具合はどうかしら?」

だ、大丈夫です、と慌てて答え状況を把握し弛緩した彼女は、自らの両手首に鈍い痛みを感じた。
そこには小さな手形状に赤黒いアザがあったという。

この数ヶ月後、彼女は決心も新たにさらなる強さを求めて番長グループとの抗争に身を投じることとなる。

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最終更新:2011年07月26日 05:20