牧野浩臣

「泊も停止要請あるのか」 突然の発表、道内にも波紋

 中部電力浜岡原発の全原子炉停止を政府が要請したことは、北海道電力泊原発
1~3号機(泊村)を抱える北海道内にも波紋を広げた。

 北電の広報担当者は「テレビのニュースで初めて知った。詳しいことが分からず、
コメントしようがない。突然のことで驚いている」と困惑の様子。
北電は東日本大震災後、200億~300億円かけて非常用発電施設や防潮壁の新設などの
安全対策を公表していただけに、担当者は「どのような背景があるのかを含め今後の情報に注意したい」と話した。

 道原子力安全対策課は「浜岡原発に限らず、泊原発に対しても運転停止を要請することがあり得るのか、
まずは国に確認したい」とし、「(北電には)できることからスピード感を持って、
泊原発の安全対策に取り組むよう引き続き要請していく」と述べた。

 一方、泊村の牧野浩臣村長は「道内の電力の約4割を供給している中で泊原発を
止めるようなことにはならない。不可能だろう」と語った。




北海道・泊原発:プルサーマル計画 MOX燃料検査を申請 北電「計画通り進める」

北海道電力は20日、泊原発3号機(北海道泊村)で予定する
プルサーマル発電用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料製造に向けた検査申請を経済産業省に行った。
電気事業法に基づくもので、6月にも燃料加工を委託しているフランス企業が製造を始める。
早ければ12年度中に原子炉に装填(そうてん)・発電を開始する。

製造予定の燃料体は4体。
同法では燃料製造の1カ月前までに経産省に燃料の品質検査実施を申請することが義務付けられている。

同省は10年11月に北電のプルサーマル計画を許可。
北電は12月に東京電力からプルトニウムの提供契約を結び、
MOX燃料への加工を三菱原子燃料(茨城県東海村)を通じてフランスの企業に委託していた。

完成した燃料は国内輸送後に同省の検査を受け、問題がなければ12年度、遅くとも13年度中に3号機炉内に装填される。

北電は申請について「スケジュール通りに手続きを進めている」とし、
東京電力福島第1原発事故を受けた防潮堤設置などの安全対策が完了していないことについては
「安全対策は万全を期し、計画は計画として進めたい」と説明した。

ただし、福島第1原発3号機も燃料の一部にMOX燃料が使われており
「今後MOX燃料について(事故との関係などの)新たな事実が明らかになればその時に対応したい」と話している。

◇「問題なし」「時期尚早」 周辺自治体など賛否両論
泊原発周辺の自治体などからは「問題はない」「時期尚早」と、賛否両論の声が上がった。

泊村の牧野浩臣村長は「MOX燃料製造は以前からの計画であり(福島第1原発の事故後であろうと)申請は問題はない。
泊原発では福島のような事故は想定されないうえ、北電も緊急安全対策を講じている」と理解を示した。

泊原発から約40キロ離れた黒松内町の若見雅明町長は
「時期尚早だ。福島第1原発は『安全だ』と言われていた構造体が壊れてしまった。プルサーマル計画もより慎重であるべきだ」と指摘した。

高橋はるみ北海道知事は「福島第1原発事故で、MOX燃料の影響は明らかになっていない。
今後、MOX燃料に起因する課題が確認された場合、適切に対応していく」とのコメントを発表した。
道幹部は「道はまだ(試験運転中の)泊原発3号機の営業運転の是非さえ判断していない。
北電は営業運転よりも先の動きをしている」と戸惑いの表情を浮かべ
「道民は『福島での影響の有無が明確になるまで、もうちょっと待てばいいのでは』と思うだろう」と話した。

脱原発運動を展開する北海道平和運動フォーラムの長田秀樹事務局長は
「少なくとも福島の事故でのMOX燃料の影響を検証するまでは凍結すべきで、
スケジュールありきの北電の対応は道民の意識とかけ離れている」と批判した。

毎日新聞 2011年5月21日 北海道朝刊
http://mainichi.jp/hokkaido/seikei/news/20110521ddr041040005000c.html



原発再稼働要請、自治体は冷ややか

 海江田経産相が18日に表明した原子力発電所の安全宣言は、
原発の立地する自治体に理解を促し、再稼働につなげるのが狙いだ。
しかし新潟県の泉田裕彦知事が「論評に値しない」と強く反発するなど多くの自治体で不信感は消えておらず、
再稼働は立地自治体を個別に説得できるかどうかが焦点となる。

 東電柏崎刈羽原発(柏崎市、刈羽村)が立地する新潟県の泉田知事は18日、経産相の安全宣言について
「原発の安全性について、大臣談話は論評に値する内容を何も含んでいない」と極めて強く批判。
「(経産相は)福島原発の事故原因の検証も行わないまま、『安全性』を確認したとの談話を出した」と切り捨てた。

 福島原発の地元、福島県の佐藤雄平知事も18日の会見で、「国はどんな安全基準を示したのか。
(各県とも要請を受けるには)安全確認の証左が大前提だ」と述べ、
事故収束が進まない現段階での再開要請に不快感を表明。
停止中の福島第2原発について「再稼働はありえない」と述べた。

 全国最多の原発13基(商業炉のみ)が立地する福井県の反応も冷ややかだ。
これまで、国に対し新たな安全基準を求めてきたが、同県安全環境部の桜本宏企画幹は
「目新しい内容がなく、プラント(原発)の安全が担保できるとは考えられない」と話した。

 関西電力美浜原発を抱える福井県美浜町でも中村春彦副町長が、
同日開かれた県原子力平和利用協議会で安全宣言に触れ、
津波対策などについて国が明確に示していない点をあげ「要請があっても再起動に応じられない」と発言した。

 関電管内では大阪府の橋下徹知事もこの日、
「無責任だ。海江田大臣をはじめ、経産省の皆さんを強制的に原発の周りに住ませたらいい。
事故の収束もつけられない日本政府が『安全だ』とはどういう思考回路だ」と激しく反発した。

 慎重姿勢を示す自治体も多い。
このほか全国で唯一、県庁所在地に島根原発を抱える島根県の溝口善兵衛知事は
「(県の)原子力安全顧問など専門家の意見も聴く必要がある」と述べた。
東北電力女川原発の地元である宮城県の村井嘉浩知事も「コメントする段階にない」、
日本原子力発電東海第2原発がある茨城県も「コメントは控える」(原子力安全対策課)とそれぞれ直接の言及を避けた。

 東北電力東通原発を抱える青森県東通村の越善靖夫村長は
「今の段階でどうだこうだといわれても…」と困惑の表情を浮かべた。

 一方、九州電力玄海原発を抱える佐賀県の古川康知事は
「談話は再起動への国としての意思が明確に示されたものと受け止める」との前向きの談話を発表。
ただし玄海原発の運転再開に関しては「県議会の議論なども踏まえて判断する」と述べるにとどめた。

 北海道電力泊発電所のある泊村の牧野浩臣村長は「よかった。一刻も早く再稼働してほしい」と話すが、
歓迎する自治体は少数派で、政府は今後、多くの立地自治体が抱える不信感の解消に取り組む。



野田内閣:発足 経済産業相に鉢呂氏就任 泊原発対応に注目 /北海道

 野田佳彦新内閣で、衆院道4区選出の鉢呂吉雄・元民主党国対委員長(63)の経済産業相就任が決まった。
元農協出身の農政通で「原発政策には慎重」とも言われるが、党内では国対畑が長い「現実主義者」としても知られる。
道内関係者からは就任に歓迎の声が上がる一方、北海道電力泊原発1、2号機の再稼働問題や、
国内農業への影響が懸念される環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でどのような対応を見せるか注目している。

 鉢呂氏は新十津川町出身。北大農学部卒業後、今金町農協に勤務し、90年に旧衆院道3区(渡島、檜山管内。現8区)から出馬し初当選。
03年から泊原発のある現4区(後志管内)に「国替え」した。
今年7月には民主党道4区総支部代表として、泊原発3号機のプルサーマル発電凍結を求める要望書を北電に提出している。

 長年鉢呂氏を支援している小樽市の山本文雄・連合後援会会長(80)は「もともと反原発の人。
住民の不安の声を聞いて慎重にやってくれるのではないか。北電のやらせ問題でもきちんとした対応をしてくれるはず」と話す。

 高橋はるみ知事は、鉢呂氏の就任に「大変心強く思っている」とのコメントを発表し、
道幹部らも「原子力政策でしっかりとした方針を示してくれればありがたい」と表向きは歓迎するが、
「要望書などの行動は知っている。実際に担当する立場になった時にどうなるか」(道幹部)と、当面は様子見の構え。
泊村の牧野浩臣村長は「プルサーマルは国が安全だと確認し許可を出している。
それを踏まえて容認するなら容認すると判断していただきたい」と国として一貫した対応を求め、けん制する。
(後略)




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最終更新:2011年09月05日 23:45
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