岸本英雄



【佐賀】 玄海町長の実弟企業に原発マネー 工事受注計17億円 岸本町長「町民が疑うなら、いつでも辞める」

 九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長(57)の実弟が経営する建設会社「岸本組」が、
町長就任の2006年8月以降の4年8カ月間で、電源立地地域対策交付金などの“原発マネー”を財源
に使った町発注工事と、九電発注の玄海原発関連工事を少なくとも総額約17億円分受注し、町長自身も
主要株主で株式の売却益や配当金として約1千万円を得ていたことが、西日本新聞の調べで分かった。

 九電は玄海町長の「同意」を玄海原発2、3号機運転再開の条件の一つとする。岸本町長はいったん
表明した再開同意を国のストレステスト(耐性評価)実施などで撤回したが、今後も町長の判断がカギ。
識者からは「身内を含め、これだけ原発の恩恵を受けている町トップが公正な判断ができるか疑問だ」
との指摘もある。岸本町長は「やましい気持ちはまったくない。町民が疑うなら、いつでも町長を辞める」
としている。

 九州の自治体では、政治腐敗防止などを目的に首長や議員の親族企業による当該自治体工事の受注を
禁じる政治倫理条例制定の動きが広がっているが、玄海町に同条例はなく、実弟企業が多額の町工事を
受注することも論議を呼びそうだ。

 岸本組は町長の曽祖父が1911(明治44)年に創業。昨年8月に同社が県へ提出した事業報告書には、
「最重要顧客」として玄海町や九電を挙げている。筆頭株主は実弟である社長で、持ち株比率2位は岸本組。
町長はそれに次ぎ発行株式の約12・5%を握る。

 岸本組の工事経歴書などによると、06年8月-10年4月に玄海原発関連で九電から受注・着工した
工事費の総額は少なくとも約4億8千万円。町から受注・着工した工事費(共同企業体工事含む)は
06年8月-11年4月に少なくとも約22億9千万円で、うち約12億2千万円分が電源立地地域対策
交付金や佐賀県核燃料サイクル補助金などを財源に使った電源3法交付金事業だった。町長の資産等報告書
によると、岸本町長は昨年末時点で岸本組の株式7270株、地元銀行の株式7700株を保有。
町長就任後の5年間の「配当所得」は約1140万円で、岸本町長は「ほとんど岸本組の分と思う」と
説明している。

 九州の政治倫理条例では、首長や議員の3親等(おじやおい)内の親族企業が市発注工事を受注すること
を禁じた熊本県八代市の条例が厳格な内容で知られる。民主主義の向上をテーマにした研究に取り組む
尾崎行雄記念財団の08年の調査では、条例内容に違いがあるものの、福岡県で約86%、熊本県で約67%
の自治体が導入済みで、佐賀県は10%にとどまる。

 岸本町長は6日の取材で原発運転再開の判断について「岸本組の受注の影響は全くない。町民が私を疑う
ようなら、いつでも町長を辞める」と話した。岸本組は「取材には応じられない」としている。

■原発マネー
 原子力発電所の立地自治体にはその見返りに、多額の交付金や補助金、電力施設の固定資産税、電力会社
の寄付金などがもたらされる。玄海原発がある佐賀県玄海町の場合、2011年度一般会計当初予算
(約57億円)のうち、原発関連財源が約6割。玄海原発1号機が運転開始した1975年度から10年度
までに、玄海町が受けた電源立地地域対策交付金や核燃料サイクル補助金、広報・安全交付金などの
「電源3法交付金」は、総額約267億円に上る。

2011/07/10付 西日本新聞朝刊
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/252790


【佐賀】 玄海町長の実弟企業が九電工事、15年で56億円分を受注

 九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の岸本英雄町長の実弟が経営する建設会社
「岸本組」(本社・佐賀県唐津市)が2008年度までの15年間に、九電発注の原発関連工事
だけで少なくとも約110件、総額約56億円分を受注していたことがわかった。

 原発の再稼働を巡っては、九電が岸本町長の了承を条件の一つにしている。再稼働の判断を握る
立地自治体の首長の親族企業が、九電から多額の工事を受注している実態に、識者は「一種の隠れ
献金ではないか」と指摘している。

 岸本組の工事経歴書などによると、同社は1994年度以降、消防倉庫、固体廃棄物貯蔵庫、
原発従業員の社宅修理など様々な原発関連工事を受注。2008年着工の温室熱供給設備設置工事
など1億円を超える事業を多数請け負っている。




岸本町長「(原発)交付金を基に政策を立てており影響は大きい」と頭を抱える

 原発の安全評価導入や九州電力の「やらせメール」問題の影響で玄海原発(佐賀県玄海町)
2、3号機の再稼働の見通しが立たないことから、佐賀県と玄海町に対する原発関連交付金や
税収が落ち込む可能性が高まっている。「原発マネー」に財源の多くを依存する玄海町の岸本
英雄町長は中長期的な財政計画見直しを職員に指示するとともに「減額分は国が補償すべきだ」
と主張。古川康知事も国への補てん請求を検討する考えだ。
 実質的に定期検査を終えた2、3号機の再稼働は既に予定より3カ月以上遅れている。今後
の安全評価のスケジュールが決まらない上、やらせメール問題の調査もあり再稼働は「いつ
になるのか判然としない」(九電)状況。耐震データ誤入力の発覚で3号機の年内再稼働はほぼ
不可能だ。
 再稼働の遅れによって減額が確実なのは、国から交付される「電源立地地域対策交付金」。
本年度の交付限度額は県が約11億円、玄海町が約14億5千万円。2年前の発電実績に応じ
て算出される項目が含まれており、2013年度以降の減額は避けられそうにない。
 町の試算では、2,3号機が年末まで再稼働しなかった場合13年度の町への交付額は「約3億円
減る可能性がある」(町幹部)。さらに12月に定期検査に入る1、4号機の再稼働が年度末
以降にずれ込むと、減額は約5億円に膨らむという。
 減額は町の予算規模57億円(本年度当初)の1割近い。
岸本町長は「交付金を基に政策を立てており影響は大きい」と頭を抱える。
県も「交付金を充てている事業を一般財源で賄うと、
できない事業も出てくるだろう」と困惑気味だ。
<後略>
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/259014




原発と命のどちらが大切か?
福島第一原発の事故を経たこの国にとって、答えはひとつしかないはずだ。
もちろん、「脱原発」に向けての課題は山積しているが、それでも目指すべき
方向は示されなければならない。求められているのは幅広い議論だ。
当然、原発の是非を判断するのは「国民」のはずだが、現実には法的根拠
もないまま立地自治体の市町村長や知事にその権限を委ねる形が続いている。
しかし、原発マネーに汚染された状態で、原発を拒絶することは不可能に近い。
汚染はどこまで拡がっているのだろう。

玄海、川内の背景
九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)をめぐっては、岸本英雄玄海町長と
その実弟が社長を務める岸本組による"原発マネー"独占の構図や、古川康佐賀県
知事の重点公約-九州国際重粒子線がん治療センターへの九電による39億7,000万
円もの寄附など、原発マネーが首長を侵食する実態を報じてきた。
「やらせメール」事件に見られるとおり、古川知事と九電との癒着は深刻だ。
<中略>

汚染の実態
佐賀県において原発マネーに汚染されているのは、岸本玄海町長や古川知事
だけなのだろうか。
じつは、知事や九電の関係をチェックする側の佐賀県議会やメディア側にも、
原発マネーの影がちらつく。
地方において、首長、議会、地元メディアは、それぞれ強大な「権力」を
有する存在だ。
立地自治体に原発の是非を判断させることは間違いだということを一貫して
主張してきたが、それは、すべての権力主体が原発マネーに汚染されている
からにほかならない。

次稿から、佐賀県における実態を報じていく。

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最終更新:2011年08月26日 05:23
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