毎日新聞 2011年3月16日 20時05分(最終更新 3月17日 0時54分)
2011.3.17 01:18 (1/2ページ)
地上からの放水と、ポンプ車による海水の炉心への注水活動は続けられているとみられるが、冷却作業の進展状況を東電は発表しておらず、不透明さを増している。
東電は同原発の緊急炉心冷却装置(ECCS)を稼働させる電力を供給するため、東北電力からの新たな送電線を設置する作業に入った。
◇「東電、危機感薄い」
「本当に最悪の事態になったときには東日本がつぶれるということも想定しなければならない。(東電は)危機感が非常に薄い」
菅直人首相は16日夜、首相官邸で会談した笹森清内閣府特別顧問に強い危機感を吐露した。東電と経済産業省原子力安全・保安院に任せている間に、福島第1原発の周辺は高濃度放射線に汚染された。そこまで事態が悪化するに至り、首相が「命がけの冷却作戦」を託した先は自衛隊だった。
◇防衛省「原発のノウハウない」
陸自は大震災の発生後、大型輸送ヘリCH47Jなど16機を霞目駐屯地(仙台市)に配置し、輸送任務などに使用してきた。今回の消火・冷却作戦では、放射線量のモニタリング調査のためUH601機を先行させて飛ばし、安全を確認したうえで放水用のヘリが現場へ向かう。17日に基準値を下回る保証はなく、放水を実施に移すには「放射線が低いとウソをつくしかない」との冗談まで漏れた。
もともと防衛省・自衛隊サイドには「我々に原発のノウハウはない。防護服は核攻撃後でも活動できるようになっているが、(原子炉から放出される)高濃度の放射能には耐えられない」(自衛隊幹部)との慎重論が強い。統幕幹部は「命の保証がない。非常に危険な任務だ」と17日以降も放射線量を慎重に見極める姿勢を示す。
「ノウハウを持っているとすれば米軍しかない」(同)と米軍の協力にも期待した。しかし、大震災被災者の救助・救援に空母ロナルド・レーガンなど艦船9隻を派遣している米軍も、放射線被ばくには警戒感を隠さない。15日には消火ポンプ車2台を東電に引き渡しながら、地上からの給水活動には加わらず、海上の艦船は原発の風下にならないように配置を変えている。
◇統幕幹部「今回は有事だ」
「自衛隊がトライする前に、一番危険な業務を米軍にお願いしますとは言えない」。統幕幹部は16日、こう語るとともに、「今回は有事だ。最高司令官である首相の判断。『やれ』と言われればやるだけだ」と、首相から命がけの任務を命じられた重みを強調する。
15日の時点で防衛省が検討していたのは4号機の使用済み核燃料プールに核分裂を抑えるホウ酸入りの水を投下する案だった。しかし、4号機は建屋の横にしか穴が開いておらず、上空からの放水には効果を疑問視する意見も強かった。
16日朝、建屋の屋根が吹き飛んでいた3号機から白煙が上がり、菅首相は3号機への放水を指示した。同日午前、記者会見中の北沢俊美防衛相の携帯に直接電話するなど、首相の強い意向が自衛隊を動かした。北沢氏は午後の省内の会議で「首相は『最後のとりでは自衛隊』という気持ちを非常に強く持っている」と理解を求めた。
警視庁が高圧放水車による放水を準備するほか、自衛隊も16日に引き続きヘリコプターによる給水を検討。東電は冷却装置を復旧させるため、電源車や東北電力の送電線から電気を引き込む作業を行う方針。
東電や経済産業省原子力安全・保安院によると、プールは水が全部蒸発しても、核分裂反応が連鎖する「再臨界」に至らない設計となっている。
(2011/03/17-07:12)
(2011年3月17日06時59分 読売新聞)
2011.3.17 08:02
< 2011年3月17日 8:33 >
3月17日 8時44分
ヘリコプターを上空に派遣するとともに、地上からも放水作業を行うため、全国の自衛隊の消防車を現地に向かわせています。
2011年3月17日9時44分
3月17日 10時30分
原子炉などを冷やす機能を回復させるとして、東京電力が、原発の近くを通る高圧送電線から敷地内に送電線を引き込む作業を行っていて、17日午後にも外部電源を一部復旧させたいとしています。そして、海水を使って原子炉を冷やす本来の冷却システムの回復を目指すとしています。ただ、ポンプは津波で海水をかぶっているため、修理が必要だということで、まずは、仮設のポンプをつないでシステムを動かすことを検討しているということです。
2011.3.17 10:39
2011年3月17日10時57分
1、2号機への外部からの送電が部分的に回復するとの見通しを明らかにした。これにより、非常用炉心冷却装置(ECCS)による各号機の炉内の冷却機能が復旧できる可能性があるという。3、4号機の使用済み燃料プールの冷却には、警察車両による放水や自衛隊ヘリコプターによる空からの水の投下に加え、海水注入施設を仮設する準備も進めているという。
保安院は、福島第1原発に通常7人いる、安全を監督する立場の保安検査官が17日までに、福島県庁に避難して1人もいないことを明らかにした。
毎日新聞 2011年3月17日 10時44分(最終更新 3月17日 11時42分)
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(2011/03/17 11:49)
最終更新:2011年03月18日 07:55