シナリオ3日目シーン3 放課後 葵編 --- 文化祭の準備は明日から本格的に、今日は各自で今後の準備を検討すべし、ということになった。 教室で残って仲間内でなにやら相談をしているグループもあればそそくさと帰宅している子もいる。 明「一樹ぃー。一緒に帰ろうぜ。」 明が鞄を持ってやってきた。 一樹「せっかくのお誘いで悪いけど今日は一人で帰るよ。」 少し気になることもあるし……というのは言葉にはしなかった。 (ここに選択肢を入れるか昼休みの選択に応じて自動でルート分岐するか…) 水樹さん、お昼のあの様子じゃ不慣れで色々不便だろう。 学校の中を案内してあげてみようかと思う。 明「ちぃーつれないなぁー。ま、俺は別にいいけどよ、」 言葉を一旦切り、ニヤニヤしながら肘で小突いてきた。 明「後でちゃあんと聞かせろよ?」 一樹「な、……何をだよ。」 明「隠したって無駄無駄。顔に女のことを考えてますって書いてあるぞ?」 一樹「おいっ明……。」 明「じゃあな!しっかりやれよ!」 そういいながら明は教室を出ていった。妙なところで鋭くて困る。 何をしっかりやれというのだ。 教室内を見回すと水樹さんは、丁度帰り支度をしているところだ。 いきなり今日今から、で、余計なおせっかいかもしれないけれど、校内の案内を提案してみることにした。 一樹「水樹さん、今からちょっと時間ある?」 葵「……。」 いぶかしげにこっちを見ている。 一樹「暇ならちょっと学内を散歩しない?」 一樹「お昼の様子だと慣れなくて不便じゃないかと思ってさ。よければ案内するよ。」 葵「……ナンパにしてはベタな展開。」 葵「もっとひねりが無いと女の子の興味は引けない。」 一樹「ナ、ナンパじゃないよ!」 一樹「図書室の場所も知らなかったし、他の部屋とか建物の場所わかってないんじゃないかなって。」 一樹「まぁ余計なお節介だし嫌ならいいんだ。僕もまっすぐ帰る。」 ナンパと間違われるのは不本意だが、放課後に二人きりで校内を散歩しよう、という提案はいきなりすぎたかもしれない。 乗り気じゃない相手に無理強いする物でもないし、余計なお節介だったのなら素直に引き下がろう。 葵「嫌じゃない。」 葵「助かる。」 一樹「ナンパじゃないからね?」 葵「一樹の反応を試してみただけ。」 そういうとふふっと微笑んだ。どうやらまたからかわれたようだ。 僕なんかをからかって何が楽しいんだか。 一樹「じゃあどこから行こうか?」 ■(選択肢) (※順番に巡回するだけでストーリーに影響はないが、選択順序で後のクラウザー探しの際の発見場所が 変わる等の仕掛けを入れてもいいかもしれない。) (※一度選んだ選択肢は2度目にここに来た際に消去する。) (※すべて選び終わっていれば▲へ) 1.視聴覚室 2.美術室 3.プール (選択肢1) 一樹「ここが視聴覚室だよ。」 一樹「英語のヒアリングの授業なんかはここですることもあるね。」 水樹さんはきょろきょろと見回している。 一樹「事前に申請したら持込のビデオをここで鑑賞させてもらえるそうだよ。」 一樹「ただ申請書類が面倒だから利用する人は少ないけどね。」 制服のすそをクイっと引っ張られた。 どうやらもうここには興味がないらしい。 一樹「次はどこ行こうか?」(→■へ) (選択肢2) 一樹「美術室はここ。」 一樹「彩葉は……居ないか。放課後は美術部が部活動に使ってるよ。」 一樹「水樹さんは部活なにかするつもりなの?」 葵「まだ考え中。」 一樹「そっか。」 一樹「前の学校ではなにかやってたの?部活。」 葵「何もしてない。」 葵「9月にこっちに来るの、わかってたから。」 そりゃそうか。半年も待たずに引っ越すのがわかっていたなら、あえて入部して友達を増やすのも 辛くなる別れが増えるだけだろう。 一樹「そういわれればそうだね。4月に入部して9月に引越しだと半年もしないうちに退部になっちゃうね。」 葵「そう。」 一樹「引越し多いの?」 葵「そうでもない。」 葵「こっちに来たのも引越しと言うよりは、前に住んでた家に帰ってきただけ。」 一樹「へぇー。じゃあもともとはこの街出身なんだね。」 そういいながら、先日の屋上の件を思い出していた。 あったことはない、水樹さんはそう言ったけど、もしかしたら記憶に残っていないだけでどこかですれ違っていたのかもしれないな。 一樹「と、長居すると美術部の人の邪魔だし次行こうか。」(→■へ) (選択肢3) 一樹「プールはここだよ。」 葵「水着が見たいの?」 一樹「そ、そういうわけじゃないけど。」 そういいつつも咄嗟に水着姿の水樹さんを想像してしまった。 お世辞にも発育がいいとは言えないけど、それはそれでいいかもしれない。 葵「需要あり……。」 そんな僕の考えを見透かしたかのように例のメモをまた取っている。 長居するとまた水樹さんのペースになってしまうな。 一樹「じゃあ場所変えようか。」(→■へ) ▲ 一樹「結構歩いたね。」 葵「うん。」 一樹「どう?もっと回る?」 葵「満足。今日はもう帰る。」 一樹「そうだね、僕も少し疲れてきてたところ。」 一樹「今日はこの辺で帰ろっか。」 葵「一樹。」 ん?と振り返ると水樹さんは改まってまっすぐこっちを見ている。 葵「ありがとう。」 そういってぴょこんと頭を下げた。 一樹「いやいいっていいって。半分はお節介で押し付けたようなもんだし。」 照れながらそういう僕を見つつ水樹さんはつぶやいた。 葵「需要……あり。」 やっぱり最後までからかわれっぱなしだった。 ---