シナリオ2日目シーン3 --- 明「で、だ。」 昼休みに教室で弁当やパンを広げながら雑談をしていると明が切り出した。 明「コスチューム、どうするよ? やっぱ巫女さんは外せないよな、巫女さん。」 彩葉「私はね、メイドさん? 一回やってみたかったんだ。フリフリのヘッドドレスとか可愛いよね!」 ホームルームの勢いに当てられてか、彩葉もノリノリだ。 明「いいねいいねぇー。橙ヶ崎ならメイド似合うよ絶対。『おかえりなさいませー』ってやってみてよ。」 彩葉「こうかな……? おかえりなさいませ ご主人さま☆」 一樹「……!」 急にこっちを向いて上目遣いに言うもんだから思わず赤面してしまった。不意打ちは反則だ……。 明「おやぁー?一樹ちゅわーーん?真っ赤になってどうしちゃったのかなぁーー?」 一樹「う、うるさい……。」 照れ隠しに持っていたパンを勢いよく頬張って足元に視線を落とした。明に冷やかされて彩葉もなんだかモジモジしている。 そういうんじゃないんだけど……言い訳すると火に油だろうしと黙秘を決め込んでパンを頬張り続けた。 明「巫女さんはやっぱ竹箒だよな。なんかこう、箒をギュッと握ってるのをみるとああ俺もあんな風に握られてみたいなぁって思うんだよ。 んでたまに照れ隠しにブンブン振りまわしたりしてさ。」 からかうのも程々に明はさっきから巫女さんにご執心のようだ。 巫女さんに思い入れは無いけれど、熱弁を振るわれるとそんなにいいものなのかと見てみたくなってしまう。 スタイルのいい人……赤坂さんみたいな人なら似合うかもしれない。そんな妄想も膨らんでいた。 握られてみたいというのはよくわからないけれども。 一樹(そういえば赤坂さんの姿が見えない。学食でも行ってるのかな。) 葵「……甲冑。」 いつの間にか隣に現れた水樹さんが唐突に口を挟んだ。いつも唐突だなこの子は。 葵「……甲冑がいい。」 一樹「甲冑……?って戦国武将の鎧みたいな?」 ブンブンと勢いよく頷いている。女の子で甲冑を着たがるってかなり奇特な趣味だな……。 葵「今変な趣味だって思った……。」 一樹「お、思ってない思ってない。」 心の中が読めるのか。ドキッとしてしまった。 葵「あやしい……。」 明「変な趣味とは無礼千万だぞ一樹。偉大なる過去の積み重ねを顧みその担い手に思いを馳せる…… 歴史に憧れるのは何も中学生男子の専売特許じゃない。今や老若男女の共通言語なんだぜ。」 一樹「そ、そうなんだ?」 彩葉「ふぅーん。水樹さんは歴史が好きなんだね。作るの面白そう。いいかもね!」 明「で、どうよ。一樹はどれが一番いいと思う?」 (選択肢) 1.ベタだけどやっぱりメイド 2.意表をついて甲冑 3.巫女さんに握られたい…… (選択1) 一樹「ベタだけどやっぱりメイドは外せないかな。」 彩葉「だよねだよね! やっぱり私メイドさんに決めた♪ どんな服にしよっかなー♪」 明「んーまぁメイドは人気あるしなぁ。」 彩葉はご機嫌にぶつぶつとメイド服のデザインについて独り言を始めた。 葵「一樹は甲冑のよさがわかっていない。じっくりよさを教える必要がある。」 一樹「で、でも甲冑も巫女さんも見てみたいかなぁ……。きっと似合うと思うよ、うんうん。どのコスプレも楽しみだなあ。」 葵「じー……。」 一樹「あ、明はどうするの?何かコスプレするつもり?」 腑に落ちないといった表情の葵から視線を感じつつも気づかない振りをして明に話しかけた。(以下合流) (選択2) 一樹「意表をついて甲冑ってのも悪くないね。」 葵「意表をついてない。王道。」 一樹「う、うん。」 言葉を正しつつも水樹さんは満更でもないような様子だ。 一方で彩葉は、メイドさんかわいいのにー、とブツブツ言っている。 一樹「ところで明はどうするの?何かコスプレするの?」(以下合流) (選択3) 一樹「巫女さんに握られたい……わけじゃないけど、コスプレは見てみたいね。」 明「よくぞ言った!それでこそわが親友だ!」 一樹「赤坂さんとか似合いそうだよね。」 明「おうよおうよ。俺も赤坂に目をつけてたんだよ。」 赤坂さんの名前に彩葉と水樹さんがピクリと反応した……ような気がした。 なんだか場の空気が少し重い。 一樹「あ、明はさ、コスプレするの?」(以下合流) (合流後) 明「そうだなぁ。カリスマホストみたいにビシッと決めて全校の子猫ちゃんたちのハートをわしづかみ! だな。」 一樹「カリスマホストと普通のホストとなにが違うんだろう。」 明「胸元、とか?」 明「まあまあ。俺のことはいいから、お前もなんかコスプレ考えておくんだぜ?お前のその容姿で裏方担当とか許さないからな。」 明はそう言ってニヤリと微笑んだ。 なんだろう。すごく悪い予感しかしない。 自分がコスプレするなんて思いもしなかったけど何か考えておかないと大変なことになりそうだ。 --- シナリオ2日目シーン3 ここまで