Nレポート*替え玉

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1989

N国外交官暗殺に失敗。新型銃のデモンストレーションだった。ヒットマンが未熟なせいもあった。
が、銃弾は胸元に命中したはずだった。専門的なことは省くが、従来より大幅に威力を増すカスタマイズを施した狙撃銃である。シミュレーションなら上半身と下半身がお別れしている。
外交官は気絶したものの、無傷。
懐に携帯ゲーム機を忍ばせていたためらしい。ゲーム機に銃弾は貫通するどころか、多少めりこんだだけで止まった。画面にひびも入らず、その後外交官は病院でテトリスに興じたという。ヒットマンはすぐ取り押さえられる。
この報告を聞いて、私はすぐN国のそのゲーム会社にスパイを送った。私は怒り狂っていた。なぜ私の傑作がかような娯楽商品に負けるのか。
一ヵ月後の彼の報告もまたふざけた内容ばかりだった。
  • 一分間火炎放射を浴びせても変色しただけで問題なく動作している。
  • ビルの二十階から落としても無傷。
  • 社長のストレス解消方法が床にゲーム機をたたきつけること。一ヶ月毎日一時間行われ、きまってその後スーパーMをプレイする。
  • 水には弱いらしい。ただ、外装はやはり頑丈で頭部にたたきつけられた場合、相手は高確率で死ぬ。
N国では強盗や警察官が好んで使用している。非常用の武器として有効らしい。
「鈍器として扱わないでください」とあちこちに張り紙が出るほどだとか。
彼は報告を終えると、N国の住民権を獲得した。現地でゲーム好きなワイフを掴まえたらしい。
私のところにもかの携帯ゲーム機が二つ贈られる。床にたたきつけても、やはり壊れなかった。


1996

新型武器開発は進み、やっとあのときの悪夢に終止符が打たれるはずだった。
が、携帯機は進化し、小型化に成功。だが、単なる小型化である。これにより暗殺の成功率は上昇したかに思えた。
しかし、赤とか緑とかつくソフトのせいで暗殺者の待ち時間の供になり、夢中になって暗殺予定時刻を過ぎてしまう事例が発生。
ゲーム機の携帯禁止が契約に追加される。一部は反発して暗殺者を廃業したという。また、前のモデルもなぜか再び売れるようになる。
これにより、「武器として扱わないでください」と政府から呼びかけられているらしい。
私の元にまた彼から小型になったそれが二台と赤のソフトが贈られた。今度は奇妙なコードもついていた。
私は床にたたきつけた。思ったより軽くて驚いたが、やはりなんともなかった。


1998

カラー表示になるらしい。赤とかは多少色がついて屁でもなかったが、金とか銀とかいうソフトにはかなりの色がついた。
私の妻は驚いて卒倒し、私の頬がなぜか濡れていた。
感極まって床にたたきつけたが、壊れるどころか、派手な音楽と供に相棒が進化していた。


2001

携帯機は進化し、据え置きゲームのコントローラーみたいな形になった。自動車ゲームが面白い。
4つになる息子が赤とか緑とか私たちの時代より進化したゲームに興じるのを見ると、言葉に言い表せられない。
ある日、息子が泣いていた。理由を聞くと、二階から降りるときにゲーム機を落としてしまったらしい。
壊してごめんなさいと泣きじゃくる彼に、そのゲーム機を渡す。スイッチをつけてあげ、慣れ親しんだBGMが流れると彼は顔を輝かせた。
このとき私は、なぜこんなにも頑丈なのか気づいた。


2011

3Dになる。いろいろと飛び出るらしく子供たちは大はしゃぎしている。
そんな息子たちを尻目に、私はたたきつけても不死身な相棒といまだに遊んでいる。