The Fairy Tale Of The St. Rose School ―芽吹きの季節に― 5*雷華

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 朝食は七時、昨夜遅くに寮に入る人もいたため、この朝食から全ての生徒が揃う。だから今日から制服で朝食に集うことになっていた。
 二人はトランクを開けて制服を取り出しては着込む。
 半袖のブラウスに袖のないセーターをきる。色は濃い赤、右胸のエンブレムは校章をベースに寮ごとに違う。愛和たちウィング寮のは一対の広げた翼だ。
 スカートは緑のチェックで、裾を長めにとってありなかなか走りやすそうだと、愛和が言うと、アリスが苦笑いをして言った。
「校内走ると怒られるわよ」

 朝食は寮の一階、全員が学年ごとに席に着いたころ、一番前に座っていた寮長が立ちあがり、騒がしい寮生を片手を上げて黙らせる。
「上級生はおかえりなさい。そして一年生、ようこそエンジェル寮へ。私が今年の寮長、ミカエルの称号を貰った、ライラです。そして今年のガブリエルはこちらのサブリナです」
 生徒が拍手をして、ライラがまた片手を上げてあたりを鎮めた。
「今年一年よろしくお願いしますね。さて、早速今日の入学式に関する連絡ですが、朝食終了後、第一礼装に着替えて一年生は一階ホールに、二年生以上はいそいで入学式会場の大広間に整列をしてください。一年生の案内は二年生のリトルミカエルが行いますので、一年生、迷わないように」
 手で指し示した先で、セーラがにこりと笑う。
「さて、今日は入学式ということで、全校で正晩餐をとります。六時には大広間で席に着くようにしてください。さて遅くなりましたが、いただきましょう」
 そう言って座ったライラのかわりに、副寮長だというサブリナが立ち上がり、短い祈りの言葉を唱えた。
 皆が、アーメンと唱和し、食堂に食器の音が響き始める。

 愛和も倣ってアーメンと一言。ついでに両手を合わせていただきますとやってから、バイキングで既にとってきてある、パンとスクランブルエッグとソーセージとサラダとそのほかいろいろ大盛りを食べ始める。
「アイナ、よく食べるわね」と隣に座ったアリスが感心したように言う。
「そういうアリスは小食ね」
 アリスの皿の上にはロールパンがひとつだけ。それにコップ一杯の牛乳。これだけである。
「たくさん食べないと大きくなれないわよ。ね、そう思わない?」
 愛和のむちゃぶりが向かいに座っていたおとなしそうな子に命中した。
「え、えぇと、あたし? ……そうねえ、そうおもうわ」
「よね。ほらやっぱりもう少し食べなきゃ」
 そういって愛和がソーセージを一本アリスの皿に移した。
「あ、ありがとう」
 アリスはフォークを手にとってソーセージをかじる。
「ところで、愛和って身長どれくらい?」
 こうやって同じ年の西洋人と並ぶと、流石にアジアンは身長が低い。
「一五六cm。先月測ったときはね。でもまだ伸びる。ってか一七〇くらいまで伸びろ」
 言って愛和はまた一口パンをかじった。
「伸びると思うわよお。それだけ食べてれば」
 さっき愛和の無茶ぶりを受けた子が、おっとりした調子がで言った。
「そうよね。伸びるわよね。よーし食べるぞ!」
「あと、適度な運動もたいせつよねえ」
 聞いていたアリスが、ソーセージを食べ終わり、ロールパンを小さくちぎりながら聞く。
「ところであなた、名前はなんていうの?」
「あたし? ……んと、ミリイ・ロンナ・ユーウェルス・コーリア・サルヴィ・ジャスミン・ルアン・ルオトーレ。よ。ミリィでいいわ」
 指折り数えて名乗る。驚いてアリスがいう。
「長い名前なのね。親戚の皆さんが付けたの?」
「そう。祖父母とか叔父とか叔母とかがみんな名前を贈りたがったんだってさ」
「じゃあ、ミリィって呼ぶね」
「ははひも……みひひっへ」
「口の中のもの飲み込んでからね」
 アリスに言われ、もぐもぐごくん。と口を空にして、改めて言う。
「私もミリィって呼ぶね。私は愛和・竜町、アイナってよんで」
「アイナ・た、タツマチ……ィ?」
 少しなれないふうに言う。やっぱり言いにくいらしい。
「そ、合ってるよ」
「うん。アイナって呼ぶね。そうそう、これ……」
 と、隣に座っていた鋭そうな顔つきの少女を引っ張った。
「私の友達で、ルームメイトなの」
「ルナ・ルビィだ。エレメンタリースクールがミリィと一緒だったんだ」
 顔つきのとおり鋭い口調でルナと名乗った少女が言う。
「よろしく、ルナ」
 とアリスが笑いかける。愛和はというと、ちょうど最後にひと切れのパンでパンくずを集めて、口に放り込んだところだった。
「ごちそうさまでした。あ、ルナ、よろしくね」
 律儀に両手を合わせてから、ルナに挨拶をした。
「アイナ、食い意地はってる?」
「そ、そんなことないよ? 日本じゃ少しも残さないで食べるのがマナーだもの」
 と言って首をかしげてみせるが、ピッカピカのお皿を見れば、誰もが食い意地が張っていると考えてもおかしくはない。
「ま、そういうマナーなんだな。じゃ、私も倣ってみようか」
 と、ルナが手にもったパン切れでお皿の上に残った卵液や、ウィンナーの油をぬぐった。
「じゃ、あたしも」
「私も」
 残る二人もそれに倣う。おかげさま、四人の皿はとても綺麗になった。
「そういえば」と愛和が口を開いた。
「ガブリエルとかミカエルとかって、何? 寮長とかみたいなの?」



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