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2011年05月13日

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What? バフンウニとはどんな生き物か?
■バフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus)
解剖図


 バフンウニを含むウニ綱(Echinoidea)は棘皮動物門 に属します。つまり、ヒトデ綱(Asteroidea)やナマコ綱(Holothuroidea )と同じカテゴリです。いま、採集してきたウニ、ヒトデ、ナマコを、腹を上にして水槽に入れ、体高の半分ほどの海水を入れてみましょう。どの個体も等しく細い管足を伸ばし、じわじわと起き上がろうとする様子が観察できるはずです。このとき、棘の隙間から伸びる管足の吸盤で雌雄を見分けることができます。管足が、黄色っぽいのがメス、白っぽいのがオスです。
 バフンウニは本州、四国、九州全域近海の岩場、磯で、年間を通して採集することができます(太田は2004年7月下旬に静岡県伊豆下流の磯で採集したことがあります)。とはいえ、受精の実験を行うには卵を持っている必要があるので、実験に適した採集の時期は、バフンウニの場合は1~3月頃。ムラサキウニの場合は5~8月頃、サンショウウニの場合は6~9月頃になります。

■バフンウニの発生実験のシミュレーション

【卵・精子の採取】
1. 採集してきたバフンウニを水道水などの真水で洗う。
2. バフンウニの口器のまわりの柔らかいところにハサミを入れて、アリストテレスの提灯を取り出す。アリストテレスの提灯はウニが海藻をかきとって食べるための歯である。
3. アリストテレスの提灯をとりのぞいた穴から体腔液をすてる。
4. さかさまにして管びんに乗せる
5. 4%のKCL(塩化カリウム水溶液)を数滴、穴に滴下する。
6. すると、K+の働きによって筋肉が収縮し、体上部にある生殖孔から生殖細胞が放出される。 卵ならオレンジ色の小さな粒々が糸を引くように見える。精子なら乳液状に見える。
7. 卵の場合は、うわずみを捨て、新しい海水を管びんにつぎ足すことを数回繰り返して洗浄する。

How? どのようにしてK+の働きによって筋肉が収縮するのか?
ナトリウムポンプと同じく、イオンポンプの一種で、細胞内と細胞外のカルシウムイオン濃度を調節するために、細胞膜にある〔カルシウムポンプ〕という機能の働きがおこります。筋肉の収縮作用は、カルシウムイオンCa2+が筋肉組織の細胞内へ入ったときに起こりますが 、細胞外にK+を加えると、膜電位が変化。すると、カルシウムが出入りする細胞膜上のゲート(扉)、カルシウムチャンネルが開き、Ca2+が細胞内に流入。カルシウムはカルモジュリンと結合し、ミオシンがATPアーゼ作用をもつようになり、ATPのエネルギーで筋収縮が起こります。
……詳しくは、生物Ⅱ「筋肉と筋収縮」で述べたいと思います。

【受精】
採取した精子1滴を50mlの海水で薄めたものを、卵と混ぜる。
受精後、30秒ほどで受精膜が作られます。感動的瞬間! 
ウニ、イモリ、カエルの卵には殻がありません。実験発生学において、これらの動物が伝統的に用いられてきたのは、この観察のしやすさのためです。

【2細胞期から、桑実胚まで】
受精後、90分ほどで最初の卵割が起こります。あとは、40分ほどで細胞分裂を繰り返します。

受精卵から育っていくときも,呼吸は行っているので、新鮮な海水をときおり滴下すること。
 なお、試験管内に少量の海水とウニの2細胞期の卵を入れ、激しく振って割球を分離し、それぞれを飼育すると、大きさは小さいながらも、ほぼ完全なウニの幼生が発生します。1892年にこの実験を行い、個体発生への畏敬の念に打たれたのが、新生気論で有名なドイツのドリーシュ(Hans Driesh, 1867-1941)です。2細胞期から桑実胚morulaまでは、受精膜が胚を覆っています。この時期は細胞同士に接着力がないので、受精膜がなくなるとすぐばらばらになってしまいます。

【桑実胚から、胞胚を経て、プリズム幼生、プルテウス幼生へ】

 胞胚blastulaになると、胚は受精膜のなかでぐるぐると回転をはじめ、孵化します。ここまででおよそ12時間程度かかります。微細な繊毛が胚の周りに生えていることが、外環境で生活することができることを示唆しています。
 これ以降の発生過程については、『図録』54-55頁を参照してください。

What? ところで、そもそも「発生」という現象は、なにを指すのか?
細胞の増殖、分化、細胞同士の接着、形態形成の一連のプロセスを指します。
つまり、受精卵が何度も何度も細胞分裂をくり返していくあいだに、それぞれの細胞が分化differentiation して、同じ種類の細胞が集まって固有の機能を獲得した器官や組織となり、しかるべき位置に配置されていくプロセスを指します。
0.1ミリの受精卵が、1ミリの受精卵になり、1センチの受精卵になり、10センチの受精卵になっても、それは卵が膨らんだだけであって「発生」とは言えません。受精卵が分裂して多細胞になったとしても、その際、個々の細胞がばらばらになったのでは多細胞生物としての形態を形成することはできません。同じ種類の細胞同士が接着するメカニズム が必要となります(桑実胚の段階まで、このメカニズムが働いていないことは前述の通りです)。細胞同士の認知と接着は形態形成にとって重要ではありますが、それだけでは生物の形は作れません。さまざまな組織をどこに配置するかは接着分子だけでは解決しないからです。そこで前後、背腹という方向性を胚に対して与える必要が出てきます。
その複雑なプロセスの一部について、1学期をかけて、概観していきましょう。なぜ一部なのか? それは生命の発生段階における基本的な形態形成の原理さえ、まだ完全に人間は把握できていないからです。

Why? なぜこのようなプロセスを経ない個体発生・形態形成がありえないのか?
 もちろん遺伝子によって生化学的に制御されているからですが、なぜ「他の系のプロセス」を採用している生物種が地球上にないかは謎です。もしかしたら古生代カンブリア紀に出現し、そして滅び去ったオパビニアやアノマロカリスなどのバージェス動物群の奇怪な生き物のなかには、異なる個体発生・形態発生のプロセスを採用していた種があったかもしれません。
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