2chまとめ @ ウィキ
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2chまとめ @ ウィキ
ja
2011-04-24T18:01:32+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」10
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「安心しろ。俺がこの世にいる以上、世界は劇的で未来は薔薇色で現実は刺激的だ。 なんせこの俺が中心なのだからな」
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ニヤリと都城王土は笑ってその指先を結標淡希の胸におく。
トクントクンと鼓動を続けている結標淡希の心の臓の響きを感じて都城王土は笑うのだ。
「貴様達の夢はすなわち俺の所有物でもあるのだ。 その夢、その身で以て叶わぬのなら、全てを俺に献上しろ。
俺の気が向いたら俺が叶えてやってもよい。 なに、叶えるかどうかは俺が決めるがな」
それは傲慢で不遜で傲然で大胆不敵で泰然自若な宣言だったけど。
だけどそれは結標淡希の心の奥底、ひび割れていた魂を優しく暖めてくれた。
でも甘えるわけにはいかない。
結標淡希はまだ最後まで抗っていない。
胸に灯ったこの夢を。希望を。信念を。
自分一人で叶えたいのなら、都城王土に依存してはダメなのだ。
だから結標淡希は万感の思いを込めて礼を言う。
「…ありがと。 …でもさ。 …アンタに…都城王土に私の夢を献上するのは最後の最後にするね」
そうだ、結標淡希には共に視線をくぐりぬけた戦友がいる。
“あの子達”を結標淡希は絶対に見捨てない。
「だってさ、まだ私には。 まだ私のことを信じて待ってくれている“仲間”がいるんだし」
そう言ってゆっくりと大輪の白い花が咲くような笑みを見せる結標淡希はとてもとても美しかった。
その笑顔を見て、都城王土は感心したように小さく呟いた。
「…ふむ」
それだけ言ってただこちらを見つめる都城王土の視線に何故か胸が高鳴ってしまい慌てて結標淡希は問い返す。
「な…なに? …なによ?」
もしかして自分は変なことを言ってしまったのだろうか?
いやそんなはずはない。
でもそれならばどうして都城王土はニヤニヤと笑っているのだ?
混乱して立ち尽くしたままの結標淡希に向かって都城王土は笑いながら賛辞を述べる。
「なに。 中々いい気概だと思ってな。 涙だの鼻水だので笑いたくなるような酷い顔をしているが…
まぁ俺の視界に存在することを許してやってもよいということよ」
そう言って都城王土は呵々と笑って。
2011-04-24T18:01:32+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」9
https://w.atwiki.jp/7244/pages/34.html
■路地裏
「き、聞いてねえぞぉ! 警備員《アンチスキル》が警告もなしに発砲するのかよ!」
黒いスーツの男が泣き喚くようにして文句を吐く。
思い出すだけでゾッとする。
先発部隊の中で一番最後を走っていたと思ったら、凄まじい衝撃が車体に襲いかかったのだ。
防弾仕様であるはずのフロントがバゴン!という音と共に陥没し、それからはもう地獄だった。
喩えではない。
それはまさしく砲煙弾雨だった。
まるで天から降り注ぐ雷の鉄槌のようにそれは延々と続く。
それは信じられないほどの精密な射撃で、反撃するどころか逃げることも動くことすら許されなかった。
しかも恐ろしいことにその射撃は決してこちらの命を奪おうとはしない。
逃げようと思って一歩足を踏み出した瞬間、爆音と共に目の前のアスファルトが破裂する恐怖は味わおうと思っても味わえない。
いっそのこと頭をブチ抜かれる方がましだと思う程の審判の時間。
もはや絶望に身を震わせることしか出来ない男達が次々と恐怖のあまり失神していくのも当然だろう。
そして。
幸か不幸か何とか一人の男は目が醒めて。
同士を見捨てて逃走を始めた。
とはいえ。
それは幸か不幸かでいえば間違いなく不幸だろう。
ようやく男は気が付いた。
すぐ隣に、ギョロリとした目をした幽霊のような女が立っていたのだから。
男はギョッとして目を見開く。
いつの間にこんな側に近付かれたのだろう?
けれどその幽霊のような女は無表情のまま男の目をただ見つめているだけだった。
怯える男を観察するように見つめ続け、そしてようやくギョロ目の少女が口を開いた。
「顔色が悪いわね。 息も荒いし冷や汗も凄いわ」
ボソボソとそうこちらの身体を気遣うような台詞を口にするが、その実それは男の体調を気遣っているわけではないだろう。
暗がりの中に浮かび上がる幽霊のような少女に怯え、尻餅をつく男。
「でも気にしなくてもいいの」
恐ろしさのあまり、思わず身をかがめた男の耳元に少女が口を近づけて。
「because ・・・・・・・・・・・・・」
ボソリと何事かを囁かれ、男の眼が耐え切れんとばかりに恐怖で見開いた。
「ぎにゃあ
2011-04-24T17:37:49+09:00
1303634269
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」8
https://w.atwiki.jp/7244/pages/33.html
諸とも切り捨てられた。
自分も。 “仲間”も。 儚い“望み”も。
全ては結標淡希が今引きずっている[残骸]に劣るものであると判断された。
最後の希望が砕かれて、それを支えにしていた足がもう限界だとでもいうように立ち続けることを放棄する。
ペタンと座り込んで、結標淡希はうつろな笑い声をあげた。
「・・・は・・・あは・・・…あはは…」
また言われた。
“バケモノ”
それが嫌で、”それを無くしてくれると言っていた[組織]すら彼女を認めはしなかった。
結標淡希からすればよっぽど組織のほうが“バケモノ”だ。
命を手駒として扱い、失敗をすれば切り捨てられた。
ボロボロと涙を流しながら結標淡希は自分の肩に両腕を巻きつける。
そうでもしなければ自分が消えてしまいそうで。
絶望で死んでしまいそうで。
「いやだ… いやだよぉ… なんで…なんでこうなったのよぉ……」
だから、結標淡希は涙でぐしゃぐしゃになってただその場に蹲り泣くことしかできなかった。
■学園都市・総合ビル前
そこには和やかな雰囲気の少年少女達がいた。
上条当麻、御坂美琴、白井黒子、行橋未造の4人は一つ所に集まって今後どうするかという相談をしていたのだ。
「あ、そういや… 都城先輩は何処行ったんだ?」
愛しのお姉様の胸元に飛び込んでスリスリ頬ずっている白井黒子に若干ヒきながらそう上条当麻が行橋未造に問いかける。
「王土? 王土なら話の続きをしにいったんだよ☆」
そう言ってエヘヘと笑う行橋未造。
確かに都城王土は言った。
【なんともまぁせっかちな娘だ。 この俺がまだ話している途中だと言うのにな】
そう、都城王土が話すと決めて話をしたのならば、それを終わらせるのは都城王土でなければならない。
第三者の都合でそれを中断などということは決して許されない。
行橋未造の言う「話の続き」がなんであるか察した白井黒子はガバと振り向いた。
「待ってくださいですの! 私も向かいますの!」
白井黒子は、あの赤毛の少女の気持ちが判る。
それは能力を持つものならば誰しもがその胸に秘めている想いなのだ。
だから白井黒子は赤毛の少女を止めた
2011-04-24T17:37:00+09:00
1303634220
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」7
https://w.atwiki.jp/7244/pages/32.html
■学園都市・総合ビル
「ガッ…あ…あああああああああああっっ!!!」
両手で頭を抱え結標淡希は絶叫する。
壊された。
白井黒子に自らの信じるものを壊された。
考えてみればおかしな話だ。
例え[残骸]があったところでそれがどうして能力を消せることに繋がるのだろう。
でも…そんな事は関係なかった。
むしろ判っていてもその希望にすがりたかったのだ。
彼女は、結標淡希は自らのトラウマを思い出す。
“恐ろしいチカラ”
“危険なチカラ”
“迫害されるチカラ”
“嫌われるチカラ”
気がつけばその感情は結標淡希の心に決して消えない傷となって残っていたのだ。
座標転移を失敗した時もそうだった。
ふと、演算中にそんなことを考えてしまって。
気がつけば足がコンクリートの中に埋まっていた。
慌てて足を引き抜いたらベリィッ!という耳を塞ぎたくなる音と共に、足の皮膚がベロリと垂れ下がったのだ。
誰もいない静かなはずのビルの中で轟音が巻き起こる。
コンクリートがテーブルが椅子が食器が。
ナイフがフォークが鉄骨がスピーカーが。
ありとあらゆるものが空中で浮遊し、衝突し、弾け飛んでいるのだ。
それは結標淡希の能力『座標移動《ムーブポイント》』が暴走していることを意味する。
制御できない能力すらもそのままにして、結標淡希は未だテーブルの下で身動きがとれないままの白井黒子に向き直る。
ただ殺すのならば簡単だ。
このままそっとしゃがみこんで、その細い首筋に鋭利な刃物を突き立てればいい。
いや、もはや何もいらない。
ただ首を締めるだけでも白井黒子は抵抗出来ないだろう。
だが違う。そんなことを結標淡希は望んでいない。
結標淡希は“心”を壊されたのだ。
結標淡希は“心”を破られたのだ。
結標淡希は“心”を破壊されたのだ。
ならばやり返す。
この正義面した風紀委員の心を壊して破って破壊しなければ気が済まない。
「あはっ! あははっ! ねぇ見てよ白井さん! この光景を! この有様を!」
自らの傷口をさらけだすようにして結標淡希は両の手を広げる。
演者も脚本も不出来な舞台の上で
2011-04-24T17:35:21+09:00
1303634121
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」6
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■学園都市・総合ビル
喉に込み上げてくる吐き気を耐えながら赤毛の少女が[キャリーケース]を引きずって歩いていた。
悪寒で思わず嗚咽をしそうになるが、それでも結標淡希はそれを胃の腑に収める。
もう後には退けないのだ。
結標淡希は耳元で囁かれた“仲間”の願いを叶えなければならない。
あぁ…そういえば“あの男”の名前はなんて言ったっけ?
それすらも思い出せぬほど混迷し、まとまりのない考えのまま結標淡希はただただ亡者のように歩く。
その時だった。
「痛ッ…!?」
激痛と共に“右肩”にワイン抜きが刺さっている。
まるで意味が判らず、呆然とそれを視界に捉えて立ち尽くす結標淡希の身体に次々と激痛が生まれた。
“左脇腹” “右太もも” “右ふくらはぎ”
脳を刺す激痛に耐え切れず、がくりと地に伏せながら結標淡希はようやく事態を把握した。
痛みを訴えてくる全ての箇所に覚えがある。
手加減…という訳でもないが、それでも殺す必要はないと思って。
無力化するためにそれを打ち込んだ記憶がある。
突然始まった戦闘を見て悲鳴をあげながら店内にいた客が逃げ出していく。
あっという間に静かになったそのビルの部屋の中心で、結標淡希はたった一人痛みに耐えかねられずに蹲った。
細い肢体を震わせて、痛みに耐えることしかできない結標淡希に静かな声がかかる。
「大丈夫。 急所は外してありますわ。 もっとも貴女が打ち込んだ場所にそのままお返ししただけですけど?」
そこに立つは風紀委員《ジャッジメント》の腕章をその腕につけたツインテールの少女。
追いつかれたのか、と考える間もなく閃光のように真っ白く巨大な痛みが脳を灼いて結標淡希は呻いた。
そんな、赤毛の少女を見て。
まるでその痛みを思い出したかのように身体をさすって。
けれど、これは決して交わらない道なのだ、と決意している白井黒子はあえて優しく丁寧に口を開いた。
「さぁ、これでようやく五分と五分ですの。 何なら全裸になって傷の手当をする時間くらいは差し上げますわよ?」
白井黒子はそう言って上品に微笑んだ。
■とある病院
ムクリと闇の中で一人の少女が起き上がる。
その
2011-04-24T17:32:20+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」5
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お互いの目の奥に光るのは既に憎しみや怒りなどといったものではない。
ただ相手を打倒し、己が上であると示すことに躍起になった子供のような自己顕示欲。
そう。言うなればこれは規模こそ違えど子供の喧嘩なのだ。
そして都城王土と一方通行は楽しそうに、心底楽しそうに吼えた。
「その意気や良しッッッ! 往くぞッッッ!!!!」
「上ッ等だコラァァァ! 来いよォォォォ!!!!」
魂を震わせて都城王土と一方通行が己をぶつけあわんと全力を込める。
最強の盾があるのならば、当然最強の矛もあるだろう。
果たして都城王土の拳が最強の矛なのかすらも判らない。
ましてやこれは矛盾であり、なればどちらが勝つかなど推測するのも意味が無い。
しかし、それでも確かなことが一つある。
この一撃が交差すれば、確実にどちらかが死ぬ。
それは絶対の事実であり、誰にも違えることのできない真実なのだ。
絶対致死、一撃必倒、絶対必殺の威力をもった都城王土の力。
接触致死、瞬間必倒、完全必殺の威力をもった一方通行の力。
それは、その力は、その喧嘩は。
「イヤだよ王土ッ! ボクを置き去りにして一体何を考えているのさっ!!」
「絶対ダメッー!ってミサカはミサカは涙で顔をグシャグシャにしながら貴方に訴える!!」
突如乱入してきた二つの小さな影に阻まれ、不発に終わった。
小さな身体である。
拳を握り締めた都城王土の前に立つ小さな影の名は行橋未造。
己の存在意義であり、己の生きる意味を教えてくれた男を止めるため。
両の手を広げた一方通行の前に立つ小さな影の名は打ち止め《ラストオーダー》。
己を救いあげ、己を見殺しにはしないと言ってくれた男を止めるため。
けれど。
その小さな手は。震える身体は。涙で潤んだその瞳は。
紅い双眸を持つ男達の喧嘩を中断するに充分な力を持っていたのだ。
「…行橋」
「…クソガキ」
ポツリとそう呟いて。
今にも破裂しそうなほどに膨らみ、張り詰めた風船がしぼむように男達の気迫が急速に薄れていった。
都城王土は問う。
「…どうやって目覚めたのだ?」
「え
2011-04-24T17:30:38+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」
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2011-04-24T17:51:36+09:00
1303635096
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」4
https://w.atwiki.jp/7244/pages/28.html
「クカカカカッ!……面白ェ 面白ェよテメエ さァてテメエは何回死ねば俺のもとに辿りつけるんだァ!?」
ベクトル反射により無数の瓦礫や小石が凄まじい速度で飛来する。
目前に迫るそれは喩えるならば銃口を無数に並べたショットガンのよう。
無数の凶弾に正面から相対した都城王土は微塵も躊躇うことなく飛び込んでいった。
小石を弾き飛ばし、砂利を叩き落とし、鉄材を蹴り飛ばす様はまさに獅子奮迅という言葉が相応しい。
だが。
それでもなお一方通行の放った嵐のような弾幕は凶暴で獰猛で分厚かったのだ。
「ぬっ!?」
小さな小さな小石の欠片が都城王土の爪先を撃った。
そして、その機を逃さんとばかりに暴風雨が都城王土を蹂躙する。
グシャグシャと耳を塞ぎたくなるような人体の破壊音。
脇腹に鉄材がめり込み、首筋を小石がえぐりとり、砂利が肉に食い込んでいく。
だがしかし、それでも都城王土は止まらない。
数瞬か数秒か数分か。
時間という概念すら置き去りにしたような刹那の刻。
都城王土は、その身体に降り注ぐ凄まじい破壊と引換に。
ついに。ようやく。念願の。
一方通行の目の前、数メートルに辿り着いた。
それはつまり都城王土の拳が届く射程圏内ということである。
.
「どら、待たせたな。 これより退屈はさせんぞ?」
ボタボタとおびただしい血を垂らしながら、それすら些事であると言わんばかりに都城王土が笑った。
「はァ~… よくもまァそのザマで生きていられるもんだわなァ?」
心底感心したというふうに目を見開くは一方通行である。
それは、目前に立つ満身創痍の金色の男に対する彼なりの賛辞であった。
そして都城王土はそんな賛辞を当然と受け止めて返事をする。
「俺が行くと決めて俺が行くのだ。 あれしきの妨害など問題にならん。 避けれないのならばそのまま突き進むまでのことよ」
そう言って尊大に笑う都城王土。
だが、それを聞いた一方通行は何処か苦しそうに決定的で残酷な事実を言い放った。
「…けどよォ 忘れてねェか? オマエの拳は俺には届かねェんだよ」
そうなのだ。
例え一方通行の暴虐の化身のような嵐を抜けよ
2011-04-24T17:22:11+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」3
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そびえ立つビルの壁に“垂直に立っている”金髪紅眼の男がいた。
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「まったく。 無粋なことをするなよ女。 俺はもう少しその道化っぷりを楽しみたかったのだが」
ビルの壁に立っているのはもちろん都城王土である。
頭上で腕を組みながらニヤニヤ笑っている都城王土に向かい、スキルアウトが声を張り上げた。
「おっおめー能力者だな!? まさか催眠術!? もしかしたら念動力…いやいや重力操作の使い手かっ!?」
だが、そんなスキルアウトの叫びを聞いて肩をすくめる都城王土。
「ハッ! まったく催眠術とか念動力とか重力操作とか…お前たちバトル漫画やライトノベルの読み過ぎだよ」
「…いやいや。 あんたがそれ言うの?」
おかしなことを言う、と含み笑いをしながら壁に立つ見覚えのある金髪の男に、たまらず佐天涙子は小声で突っ込みをいれる。
「んだとぉ!? 壁に立っておきながらなに寝言ほざいてやがる!!」
思わず佐天涙子が頷きたくなるような、当然の反論を口にするスキルアウトだったが。
「なに、地球は俺にとって小さすぎるのだ ならば地球の重力如きではこの俺を縛ることなど出来るはずがないのが道理だろう?」
返ってきたのはさらに途方も無い大言壮語だった。
「…いやいやいや それこそさ」
「ねーよ!!!! あ! おまえは一体何を言っていやがるんだぁ!?」
思わずハモって突っ込みをいれてしまうスキルアウトと佐天涙子。
どことなく白けたような空気に都城王土は微かに眉をひそめて前言を撤回した。
「…なに、勿論今のは冗談だぞ?
こんなものは足の握力で壁にしがみつき腹筋で上体を起こしているだけに過ぎない 訓練すれば誰でもできることだ」
「…いやいやいやいや」
もはやどこから突っ込めばいいのかわからないほどの規格外。
スキルアウトに絡まれていた時の数十倍の疲弊が佐天涙子の肩に伸し掛る。
だが、それでもスキルアウトは一生懸命頑張って文句を言い続けていた。
こいつ頑張るなぁと佐天涙子は冷めた目でスキルアウトを評価する。
「うるせえぞ! なに人の上に立ってんだ! 見下してんじゃねえ! 降りてきやがれえ!」
2011-04-24T17:19:53+09:00
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都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」2
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■風紀委員第一七七支部
「あーもー! なんですのいったい!」
ツインテールが乱れるのも構わず頭をグシグシとかきむしった白井黒子が耐え切れないといった声をあげた。
「そりゃもう確かに? 風紀委員《ジャッジメント》は学生たちの治安維持機関ですもの? そりゃ当然学生たちの情報提供も受け付けておりますけども?」
憤懣やる方なしといった表情のままカチリとマウスを一回クリックする。
モニターに浮かび上がるテキストボックスを見て白井黒子はさらに頭を抱える。
「ですけど! 風紀委員の情報提供フォームは“目安箱”でも“目高箱”でも“妖怪ポスト”でもないんですの!」
もう耐えられない!といった先輩の叫びを聞いて初春飾利がホンワカとした声をあげる。
「はぁー また“アレ”ですかー?」
“アレ”とは学園都市に住まう学生たちからの報告。
曰く…学校帰り、ふと見上げると垂直に壁を歩く影を見た
曰く…早朝、気象飛行船のてっぺんに仁王立ちをする影があった
曰く…不気味な仮面が暗闇の中を通り抜けていった
曰く…ゲームセンターで99連勝をする子供がいた
オカルトじみたそんな噂話のような報告がここ最近風紀委員のメールボックスにあふれんばかりに届いてくるのだ。
「面白いですよねー でもきっと噂話とかですよー
そうだ、随分と疲れてるようですし紅茶でも淹れましょうか? 私一生懸命紅茶の本を読んで勉強したんですよー!」
お嬢様といえば紅茶ですものねー、と言いたげに笑う初春飾利の気遣いを察して白井黒子はフゥと小さな溜息をついた。
「…そうですわね。 では特別美味しいのをお願いしますの」
「まっかせてください!」
腕まくりをして小さな給湯室に向かおうとした初春飾利だったが、ちょうどその時来客を知らせるブザーが鳴った。
「あらまぁ… どなたでしょう? 今日は来客の予定は無かったはずですけども」
そう言いながら白井黒子が来客用のドアフォンモニターのスイッチを入れる。
そこには何ともアンバランスな高校生とおぼしき三人組が立っていた。
■
来客用のティーカップにコポコポと心地良い音を立てて琥珀色の液体が満たされていく。
2011-04-24T17:16:20+09:00
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