都城王土「ほう…。学園都市か、なるほどこの俺を迎えるに相応しい」2

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■風紀委員第一七七支部 「あーもー! なんですのいったい!」 ツインテールが乱れるのも構わず頭をグシグシとかきむしった白井黒子が耐え切れないといった声をあげた。 「そりゃもう確かに? 風紀委員《ジャッジメント》は学生たちの治安維持機関ですもの? そりゃ当然学生たちの情報提供も受け付けておりますけども?」 憤懣やる方なしといった表情のままカチリとマウスを一回クリックする。 モニターに浮かび上がるテキストボックスを見て白井黒子はさらに頭を抱える。 「ですけど! 風紀委員の情報提供フォームは“目安箱”でも“目高箱”でも“妖怪ポスト”でもないんですの!」 もう耐えられない!といった先輩の叫びを聞いて初春飾利がホンワカとした声をあげる。 「はぁー また“アレ”ですかー?」 “アレ”とは学園都市に住まう学生たちからの報告。 曰く…学校帰り、ふと見上げると垂直に壁を歩く影を見た 曰く…早朝、気象飛行船のてっぺんに仁王立ちをする影があった 曰く…不気味な仮面が暗闇の中を通り抜けていった 曰く…ゲームセンターで99連勝をする子供がいた オカルトじみたそんな噂話のような報告がここ最近風紀委員のメールボックスにあふれんばかりに届いてくるのだ。 「面白いですよねー でもきっと噂話とかですよー   そうだ、随分と疲れてるようですし紅茶でも淹れましょうか? 私一生懸命紅茶の本を読んで勉強したんですよー!」 お嬢様といえば紅茶ですものねー、と言いたげに笑う初春飾利の気遣いを察して白井黒子はフゥと小さな溜息をついた。 「…そうですわね。 では特別美味しいのをお願いしますの」 「まっかせてください!」 腕まくりをして小さな給湯室に向かおうとした初春飾利だったが、ちょうどその時来客を知らせるブザーが鳴った。 「あらまぁ… どなたでしょう? 今日は来客の予定は無かったはずですけども」 そう言いながら白井黒子が来客用のドアフォンモニターのスイッチを入れる。 そこには何ともアンバランスな高校生とおぼしき三人組が立っていた。 ■ 来客用のティーカップにコポコポと心地良い音を立てて琥珀色の液体が満たされていく。 「あ、あのー 紅茶なんですけども、よかったらどうぞ」 お盆の上に5つの紅茶を載せて緊張した初春飾利がそれを奇妙な来客達に差し出した。 「わーいっ! ありがと☆」 遠慮無くカップを両手で掴みフーフーと息を吹いて熱を冷ましているのは行橋未造と名乗ったどう見ても小さな子供。 「あら、すまないわね」 軽く視線で会釈をすると静かにカップを手元に引き寄せるギョロ目の少女は布束砥信。 「ふむ…中々いい茶葉を使っているようだな」 そして。 偉そうにそう評価しながらクイとその紅茶を口に含む金髪の男は都城王土。 そのままゴクリと一口喉に流すと、都城王土は優雅な態度を崩さずに初春飾利に文句をつける。 「ふむ… マイカイ油が少々多いな。 それにミルクを冷えたまま使ったな?」 「えっ? あ、はい…そうですけど…」 香料として使用するほんの僅かな油の量、急いで造ったためミルクピッチャーで温め忘れたムサシノ牛乳。 それらをことごとく指摘され驚く初春飾利。 . 「まぁ俺の口にあわん、とまで言うつもりはない。 むしろ中々のものだ。 これからは今言ったことを忘れずに精進すれば尚良くなるだろうさ」 そう言いながら再度紅茶に口をつける都城王土。 「はぁ…えっと…ありがとうございます?」 思わずそう感謝の言葉を口にしてから初春飾利が白井黒子の耳元に口を近づけた。 「す、凄いですよ白井さん! さすがは長点上機学園の学生さんです!  なんかもう見るからに上流階級のお偉いさんみたいな空気がビンビンですよ! あと私の紅茶が褒められちゃいました!」 ヒソヒソと甘ったるい声に鼓膜を揺らされてくすぐったいような顔をする白井黒子。 「まったくあなたは… 少々褒められたからと言ってそう頬を緩ませてどうするんですの… しかも合格点ではなくて及第点だったじゃないですの」 そんな他愛も無い内緒話を二言三言交わして、ようやく白井黒子が来訪者達に向き直る。 「それでは…お話をまとめさせていただきますの」 この中では一番まともそうな人間、ウェーブ髪を無造作に肩に流している布束砥信に向かい先程聞いた話の確認をとる白井黒子。 「つまり、転校生であるそちらのお二方、都城王土さんと行橋未造さんが私達風紀委員《ジャッジメント》に興味をお持ちになられた…と?」 「sure その通りよ」 布束砥信がそう言うと当然のように都城王土がその後を引き継いだ。 「うむ。 なにせこの俺が暮らす街となるのだからな。  治安がどれほどのものか、治安を守るという者たちがどれほどのものか確かめておくのも悪くはないだろう」 そう言いながら空のカップを掲げ、初春飾利に二杯目を要求する都城王土。 まるでメイドのようにパタパタと給湯室に駆けていく後輩に内心溜息を突きながらも白井黒子が口を開く。 「……そうですわね。 そりゃ外部からの転校生ならばそういった不安があるのも当然でしょうし。  ちょうど今から諸用で買出し兼パトロールに行くつもりだったんですけども、ついてきたいというなら構いませんですのよ?」 こういう手合いは退屈な風紀委員の日常を見せればさっさと飽きてくれるだろう、それが白井黒子の考えだった。 紅茶に砂糖を一匙足しながら行橋未造が王土の顔を見上げる。 「だってさ☆ どうするの王土?」 その未造の言葉を聞き、僅かな時間考えたような風を見せた都城王土はこう言った。 「そうだな。 雲仙二年生の苦労を味わうのも一興か」 そう言って立ち上がった都城王土だったが、その背に飴玉を転がすような甘い声がかかる。 「あ、あのすいません。 都城さんと行橋さん? あの、もしよかったらでいいんですけど能力と強度《レベル》を教えてもらえたら嬉しいなーって…」 振り向くとそこにはモニターに向かった初春飾利がいた。 珍しく眉を潜めた都城王土がそのままオウム返しで問を発する。 「レベルだと?」 「そうですー。 やっぱり転校生だからなのかまだ全然[書庫《バンク》]に情報が無いんですよー。 ですので、どうせならここで登録しちゃおうかなーと思いまして」 そう説明しながらふにゃりと笑う初春飾利。 確かにこれは大事なことである。 誰がどのような能力を持っているのかという情報は有事の際の重要な手掛かりとなる。 出来る限り集めておくに越したことはないのだ。 そんな緩んだ顔で大事なことを聞いてどうするんですの…と心中で溜息をつく白井黒子。 だが、そんな初春飾利や白井黒子の思惑を都城王土はフンと笑い飛ばした。 「くだらんな。 俺の資質を図るなどこの俺ですら出来るわけがないのだ。 ましてやレベルなどという小さな括りで俺を推し量るなど不可能に決まってるだろうが」 「えっと…なるほど… そ、そうですよねー…」 「あの…都城先輩? そういうことじゃないんですの」 うむ、と頷く都城王土に呆れる白井黒子に助け舟を出したのは行橋未造だった。 「えへへ それ身体検査《システムスキャン》ってやつでしょ? ボクも王土も[無能力者《レベル0》]相当の[発電使い]なんだってさ☆」 そう言ってピラピラと薄っぺらい紙を背負った大きな籠のような鞄から取り出す行橋未造。 「ほう? そうなのか?」 今知った、と言わんばかりの態度で僅かに片眉をあげる都城王土。 「うん! ほら、なんだかやたら時間のかかった模試があったじゃない☆ あれがテストだったらしいよ?」 はいこれ、と言って身体検査《システムスキャン》の結果票を白井黒子に渡す行橋未造。 [無能力者《レベル0》] は測定不能や効果の薄い力を持つものに振り分けられる区分である。 測定の基準が違うのならばどれほど強大でデタラメな力を持っていようと問答無用で[無能力]と括られてしまうのだ。 都城王土は指先から電磁波を発する程度。 行橋未造は皮膚で電磁波を受信する程度。 確かに言葉にしてしまえばそれだけなのだから、機械的な身体検査《システムスキャン》ではレベル0と判定されるのも致し方無いのだろう。 そして当然。 白井黒子は、初春飾利は、布束砥信すら都城王土と行橋未造の真の力を知らない。 「無能力…ですの? まぁ長点上機学園は能力以外でも突出した一芸があれば入学できるって聞き及んでますけども…」 幾度も読み返してみるが、確かにそれは公式で使われている結果票である。 だが、どこか納得がいかず額にシワを寄せる白井黒子に、都城王土の憮然とした声がかかった。 「おいおまえ。 この俺をいつまで待たせるつもりだ? 行くと言ったのはおまえなのだからさっさとせんか」 お嬢様である白井黒子にとってここまで無礼で厚かましい男などそう出会いはしない。 生来の気の強さもあって思わず白井黒子は文句を口にした。 「なっ? いくら年上だとは言えレディに向かっておまえ呼ばわりはあんまりじゃないですの? そもそも私には白井黒子という立派な名前があるんですの!」 だが、そんな白井の抗議もこの男にとっては無意味である。 「シライ…クロコ? 白いのだか黒いのだかはっきりせんか。 …まぁいい。行くぞ白黒」 そう言うとドアに向かい歩みを進める都城王土。 だが白井黒子は動かない。 呆けた顔で硬直していたかと思えばプルプルと身体が小刻みに震え出す。 「しろくろ…? 白黒!? ちょっと! その呼び名はあんまりじゃないですの! 発言の撤回を要求するですの!」 ツインテールを逆立て、ギャーギャーと文句を言う白井黒子を華麗にスルーして都城王土が初春飾利に向き直った。 「おい花頭。 俺が手ずから助言をくれてやったのだ。 決して忘れるなよ? 次こそは俺が100%満足できる茶を用意しておけ」 「はっはいっ! がんばりますっ!」 思わず背筋を伸ばしてそう返事をした初春飾利を見て都城王土は満足そうに頷いて去っていく。 こちらを見ようともしない都城王土と視線を合わせるためにピョンピョンと跳ねながら白井黒子がその後を追う。 「聞いてますの!? 今度白黒なんて呼んだら風紀委員侮辱罪(そんなものはない)でしょっぴきますのよ!」 「おお怖い怖い。 今にも噛み付いてきそうではないか。 なぁ行橋?」 「えへへ! 気にしないでね白井さん☆ 王土は別に悪気があるわけじゃないんだ☆」 「well でも風紀委員侮辱罪なんてあったかしらね?」 「キィーッ!!! これはもう私堪忍袋の緒が切れますですの!!!」 まるで子供のように文句を言い続ける白井黒子をあしらいながら歩いて行く長点上機の三年生を見て初春飾利は面白そうに笑う。 仲良くなっている、とは口が裂けても言えないが。 それでも都城王土と行橋未造、それに布束砥信という高校生は悪い人ではないんだなと何となく思ったのだ。 ■学園都市・路地裏 (最ッ悪…超ツイてない…) 心のなかでそう佐天涙子が愚痴をこぼす。 事の始まりは偶然だった。 初春飾利が食べていたジャンボ王様パフェに惹かれ、今日はひとりでそれを買って学園都市の大通りを食べ歩いていたのが発端。 大通りに面する裏道から急に飛び出てきた数人のスキルアウトとおぼしきガラの悪い男と正面衝突してしまったのだ。 その名に恥じぬ超弩級のアイスと生クリームは男のジャケットにぶちまけられ、今こうして詰め寄られている。 「嬢ちゃんよぉ~ いったい何処見て歩いてんだぁ~!?」 「だ、だって… そっちからぶつかってきたんじゃないですか」 必死になって言い返すも、正当な主張などやはり通るはずがなかった。 「なぁ~にぃ~!? 人の服汚しといてイチャモンつけるたぁ~生意気じゃあねえかぁ! あ? どう思うよおめえら!」 「「「へいっ! アニキの言うとおりでさぁ!」」」 汚れたジャケットを見せびらかすようにして子分らしきチンピラに同意をとるスキルアウト。 (あぁもうホントまじで最悪…) 自分はなにか不運な星の下にでも生まれているんだろうか。 ■学園都市・大通り 「おい白黒。 退屈すぎてたまらんが」 生欠伸を今にも噛み殺しそうな気怠くつまらなさそうな言葉がかかる。 「ハァ… もう呼び名の件に関しては諦めましたの」 頭痛を抑えるようにこめかみを押さえて頭を振る白井黒子。 「ですけど。 退屈なのがいいんですの。 事件なんて起こらないほうがいいに決まってるじゃありませんの」 買出しの事務用品をブラブラと揺らせながらそう白井黒子が声をかける。 このまま何事も無く終わってくれれば、きっとこの無礼な男達と関わることなど二度とないだろう。 澄ました顔しながら街を歩く白井黒子だったが内心はグヘヘとほくそ笑んでいる。 その時だった。 「ね☆ 王土!」 クイクイと都城王土の袖を引っ張ってどこか遠くのほうを指差す行橋未造。 その指の先を見て、何かを察した都城王土の口元がニイと笑みを形作る。 「あぁそうだ。 白黒。 ひとつ聞いておきたいのだが」 前を歩く小さな少女の背中に声をかける都城王土。 「あぁもう…今度はなんですの?」 ピョコピョコとツインテールを揺らしながら白井黒子が背中を向けたまま返事をする。 「例えばだ。 暴漢に襲われている少女がいたとしたらおまえはどうする?」 「そんなの当然止めるに決まってますの」 何をいうんですの?と白井黒子は訝しみもせず即答で応える。 「ほう。 それを止めるのが風紀委員とやらじゃなかったのならば?」 そう問われ、白井黒子の脳裏に映ったのは片時も忘れたことのない最愛のお姉様。 「あまり…褒められた話ではありませんが。 わたくしも一般人であるお姉様に頼ってる部分も多々ありますし…正直言いますと助かるというのが本音ですわね」 あぁ、一緒に歩いているのがこんな粗暴で無礼な男ではなくて美しきお姉様だったらどんなにか素敵で百合百合なんでしょう…と妄想に浸り出す白井黒子。 あぁもうたまりませんの!お姉様分が不足してますの! 肩を自らで抱えイヤンイヤンと悶える白井黒子だったが。 そんな妄想も一瞬で冷めてしまう言葉を都城王土が口にした。 . 「ふむ。 喜べ白黒。 俺がお前の仕事を助けてやろう」 「……え?」 嫌な予感がした。 ザッと背筋に走ったのは形容しがたい冷や汗のような悪寒。 慌てて振り向くも、既にそこに都城王土と行橋未造の影も形もない。 「ちょ、ちょっと…今のはいったいなんですの?」 ヒクヒクと笑いながら、そこに一人残っていた布束砥信に問いかける。 「さぁ? 私には彼等が何を考えているかなんて分からないけども、とりあえずあっちの方に向かったのは確かよ」 肩をすくめ、オーバーなジェスチャーをしながらも白井黒子が今最も欲しいであろう情報を伝える布束砥信。 「ま…まさかとは思いますけども…厄介なことに首を突っ込んだんじゃないですわよね!?」 布束砥信が指さした方向に向かって慌てて駆け出しながら白井黒子が悲鳴のような怒声のような声をあげる。 そんな白井の後ろ姿を見ながら、冷静に布束砥信が独り言を呟いた。 「thought どう考えても厄介なことになりそうだけれど…」 ■学園都市・路地裏 「よお! よおよおよお! 俺たちゃあ何か間違ってること言ってるかぁ~? 人のものを汚したら弁償するのが人の道ってもんだろぉ?」 見栄を切って中学生の少女を囲むスキルアウト。 傍から見れば恥ずかしいにも程があるが、彼等はそんなことは気にしない。 詰め寄られ、しぶしぶ佐天涙子が財布を出した。 確か、今月の仕送りがまだだいぶ残っているはずだ。 痛い出費である。 今月は買い食いもオシャレもCDも諦めることになる。  だがそれでこの場が収まるのならば。 そう思ってこれ以上彼等の気を逆立てないように佐天涙子は恐る恐るスキルアウトに向かって口を開いた。 「べ、弁償って… 幾らですか?」 それを聞いたスキルアウトのリーダー格は両手を広げ、トントントンと片足でリズムを取った。 「おっととと! そうきたか! チューボーの嬢ちゃんにゃあ! あ! 判んないかもしれないが! こいつぁ学園都市外の高級輸入品!  名高いスキルアウトの俺様に相応しすぎる超有名ブランド! その名も[ゼロプラス]限定生産の! あ! 一着30万もするジャケットよ!」 生クリームでベトベトになったそのジャケットを歌舞伎役者の見栄のように広げたスキルアウトがポーズをとる。 「さ、30万!? 無理ですそんなお金払えませんって!」 「なぁにぃ~!? 御免ですんだら警察はいらねえってんだぁ~! とっとと30万耳揃えて払うかぁ! あ! さもなきゃあ俺等の言い分聞いてもらうとすんぜぇ!!」 歌舞伎役者のようなポーズをとったままの男の言葉と同時に周りの男達がジリジリと佐天涙子ににじり寄りだした。 その時だった。 どこかのツンツン頭のようなことを考えながら佐天涙子はがっくりと肩を落とす。
■風紀委員第一七七支部 「あーもー! なんですのいったい!」 ツインテールが乱れるのも構わず頭をグシグシとかきむしった白井黒子が耐え切れないといった声をあげた。 「そりゃもう確かに? 風紀委員《ジャッジメント》は学生たちの治安維持機関ですもの? そりゃ当然学生たちの情報提供も受け付けておりますけども?」 憤懣やる方なしといった表情のままカチリとマウスを一回クリックする。 モニターに浮かび上がるテキストボックスを見て白井黒子はさらに頭を抱える。 「ですけど! 風紀委員の情報提供フォームは“目安箱”でも“目高箱”でも“妖怪ポスト”でもないんですの!」 もう耐えられない!といった先輩の叫びを聞いて初春飾利がホンワカとした声をあげる。 「はぁー また“アレ”ですかー?」 “アレ”とは学園都市に住まう学生たちからの報告。 曰く…学校帰り、ふと見上げると垂直に壁を歩く影を見た 曰く…早朝、気象飛行船のてっぺんに仁王立ちをする影があった 曰く…不気味な仮面が暗闇の中を通り抜けていった 曰く…ゲームセンターで99連勝をする子供がいた オカルトじみたそんな噂話のような報告がここ最近風紀委員のメールボックスにあふれんばかりに届いてくるのだ。 「面白いですよねー でもきっと噂話とかですよー   そうだ、随分と疲れてるようですし紅茶でも淹れましょうか? 私一生懸命紅茶の本を読んで勉強したんですよー!」 お嬢様といえば紅茶ですものねー、と言いたげに笑う初春飾利の気遣いを察して白井黒子はフゥと小さな溜息をついた。 「…そうですわね。 では特別美味しいのをお願いしますの」 「まっかせてください!」 腕まくりをして小さな給湯室に向かおうとした初春飾利だったが、ちょうどその時来客を知らせるブザーが鳴った。 「あらまぁ… どなたでしょう? 今日は来客の予定は無かったはずですけども」 そう言いながら白井黒子が来客用のドアフォンモニターのスイッチを入れる。 そこには何ともアンバランスな高校生とおぼしき三人組が立っていた。 ■ 来客用のティーカップにコポコポと心地良い音を立てて琥珀色の液体が満たされていく。 「あ、あのー 紅茶なんですけども、よかったらどうぞ」 お盆の上に5つの紅茶を載せて緊張した初春飾利がそれを奇妙な来客達に差し出した。 「わーいっ! ありがと☆」 遠慮無くカップを両手で掴みフーフーと息を吹いて熱を冷ましているのは行橋未造と名乗ったどう見ても小さな子供。 「あら、すまないわね」 軽く視線で会釈をすると静かにカップを手元に引き寄せるギョロ目の少女は布束砥信。 「ふむ…中々いい茶葉を使っているようだな」 そして。 偉そうにそう評価しながらクイとその紅茶を口に含む金髪の男は都城王土。 そのままゴクリと一口喉に流すと、都城王土は優雅な態度を崩さずに初春飾利に文句をつける。 「ふむ… マイカイ油が少々多いな。 それにミルクを冷えたまま使ったな?」 「えっ? あ、はい…そうですけど…」 香料として使用するほんの僅かな油の量、急いで造ったためミルクピッチャーで温め忘れたムサシノ牛乳。 それらをことごとく指摘され驚く初春飾利。 . 「まぁ俺の口にあわん、とまで言うつもりはない。 むしろ中々のものだ。 これからは今言ったことを忘れずに精進すれば尚良くなるだろうさ」 そう言いながら再度紅茶に口をつける都城王土。 「はぁ…えっと…ありがとうございます?」 思わずそう感謝の言葉を口にしてから初春飾利が白井黒子の耳元に口を近づけた。 「す、凄いですよ白井さん! さすがは長点上機学園の学生さんです!  なんかもう見るからに上流階級のお偉いさんみたいな空気がビンビンですよ! あと私の紅茶が褒められちゃいました!」 ヒソヒソと甘ったるい声に鼓膜を揺らされてくすぐったいような顔をする白井黒子。 「まったくあなたは… 少々褒められたからと言ってそう頬を緩ませてどうするんですの… しかも合格点ではなくて及第点だったじゃないですの」 そんな他愛も無い内緒話を二言三言交わして、ようやく白井黒子が来訪者達に向き直る。 「それでは…お話をまとめさせていただきますの」 この中では一番まともそうな人間、ウェーブ髪を無造作に肩に流している布束砥信に向かい先程聞いた話の確認をとる白井黒子。 「つまり、転校生であるそちらのお二方、都城王土さんと行橋未造さんが私達風紀委員《ジャッジメント》に興味をお持ちになられた…と?」 「sure その通りよ」 布束砥信がそう言うと当然のように都城王土がその後を引き継いだ。 「うむ。 なにせこの俺が暮らす街となるのだからな。  治安がどれほどのものか、治安を守るという者たちがどれほどのものか確かめておくのも悪くはないだろう」 そう言いながら空のカップを掲げ、初春飾利に二杯目を要求する都城王土。 まるでメイドのようにパタパタと給湯室に駆けていく後輩に内心溜息を突きながらも白井黒子が口を開く。 「……そうですわね。 そりゃ外部からの転校生ならばそういった不安があるのも当然でしょうし。  ちょうど今から諸用で買出し兼パトロールに行くつもりだったんですけども、ついてきたいというなら構いませんですのよ?」 こういう手合いは退屈な風紀委員の日常を見せればさっさと飽きてくれるだろう、それが白井黒子の考えだった。 紅茶に砂糖を一匙足しながら行橋未造が王土の顔を見上げる。 「だってさ☆ どうするの王土?」 その未造の言葉を聞き、僅かな時間考えたような風を見せた都城王土はこう言った。 「そうだな。 雲仙二年生の苦労を味わうのも一興か」 そう言って立ち上がった都城王土だったが、その背に飴玉を転がすような甘い声がかかる。 「あ、あのすいません。 都城さんと行橋さん? あの、もしよかったらでいいんですけど能力と強度《レベル》を教えてもらえたら嬉しいなーって…」 振り向くとそこにはモニターに向かった初春飾利がいた。 珍しく眉を潜めた都城王土がそのままオウム返しで問を発する。 「レベルだと?」 「そうですー。 やっぱり転校生だからなのかまだ全然[書庫《バンク》]に情報が無いんですよー。 ですので、どうせならここで登録しちゃおうかなーと思いまして」 そう説明しながらふにゃりと笑う初春飾利。 確かにこれは大事なことである。 誰がどのような能力を持っているのかという情報は有事の際の重要な手掛かりとなる。 出来る限り集めておくに越したことはないのだ。 そんな緩んだ顔で大事なことを聞いてどうするんですの…と心中で溜息をつく白井黒子。 だが、そんな初春飾利や白井黒子の思惑を都城王土はフンと笑い飛ばした。 「くだらんな。 俺の資質を図るなどこの俺ですら出来るわけがないのだ。 ましてやレベルなどという小さな括りで俺を推し量るなど不可能に決まってるだろうが」 「えっと…なるほど… そ、そうですよねー…」 「あの…都城先輩? そういうことじゃないんですの」 うむ、と頷く都城王土に呆れる白井黒子に助け舟を出したのは行橋未造だった。 「えへへ それ身体検査《システムスキャン》ってやつでしょ? ボクも王土も[無能力者《レベル0》]相当の[発電使い]なんだってさ☆」 そう言ってピラピラと薄っぺらい紙を背負った大きな籠のような鞄から取り出す行橋未造。 「ほう? そうなのか?」 今知った、と言わんばかりの態度で僅かに片眉をあげる都城王土。 「うん! ほら、なんだかやたら時間のかかった模試があったじゃない☆ あれがテストだったらしいよ?」 はいこれ、と言って身体検査《システムスキャン》の結果票を白井黒子に渡す行橋未造。 [無能力者《レベル0》] は測定不能や効果の薄い力を持つものに振り分けられる区分である。 測定の基準が違うのならばどれほど強大でデタラメな力を持っていようと問答無用で[無能力]と括られてしまうのだ。 都城王土は指先から電磁波を発する程度。 行橋未造は皮膚で電磁波を受信する程度。 確かに言葉にしてしまえばそれだけなのだから、機械的な身体検査《システムスキャン》ではレベル0と判定されるのも致し方無いのだろう。 そして当然。 白井黒子は、初春飾利は、布束砥信すら都城王土と行橋未造の真の力を知らない。 「無能力…ですの? まぁ長点上機学園は能力以外でも突出した一芸があれば入学できるって聞き及んでますけども…」 幾度も読み返してみるが、確かにそれは公式で使われている結果票である。 だが、どこか納得がいかず額にシワを寄せる白井黒子に、都城王土の憮然とした声がかかった。 「おいおまえ。 この俺をいつまで待たせるつもりだ? 行くと言ったのはおまえなのだからさっさとせんか」 お嬢様である白井黒子にとってここまで無礼で厚かましい男などそう出会いはしない。 生来の気の強さもあって思わず白井黒子は文句を口にした。 「なっ? いくら年上だとは言えレディに向かっておまえ呼ばわりはあんまりじゃないですの? そもそも私には白井黒子という立派な名前があるんですの!」 だが、そんな白井の抗議もこの男にとっては無意味である。 「シライ…クロコ? 白いのだか黒いのだかはっきりせんか。 …まぁいい。行くぞ白黒」 そう言うとドアに向かい歩みを進める都城王土。 だが白井黒子は動かない。 呆けた顔で硬直していたかと思えばプルプルと身体が小刻みに震え出す。 「しろくろ…? 白黒!? ちょっと! その呼び名はあんまりじゃないですの! 発言の撤回を要求するですの!」 ツインテールを逆立て、ギャーギャーと文句を言う白井黒子を華麗にスルーして都城王土が初春飾利に向き直った。 「おい花頭。 俺が手ずから助言をくれてやったのだ。 決して忘れるなよ? 次こそは俺が100%満足できる茶を用意しておけ」 「はっはいっ! がんばりますっ!」 思わず背筋を伸ばしてそう返事をした初春飾利を見て都城王土は満足そうに頷いて去っていく。 こちらを見ようともしない都城王土と視線を合わせるためにピョンピョンと跳ねながら白井黒子がその後を追う。 「聞いてますの!? 今度白黒なんて呼んだら風紀委員侮辱罪(そんなものはない)でしょっぴきますのよ!」 「おお怖い怖い。 今にも噛み付いてきそうではないか。 なぁ行橋?」 「えへへ! 気にしないでね白井さん☆ 王土は別に悪気があるわけじゃないんだ☆」 「well でも風紀委員侮辱罪なんてあったかしらね?」 「キィーッ!!! これはもう私堪忍袋の緒が切れますですの!!!」 まるで子供のように文句を言い続ける白井黒子をあしらいながら歩いて行く長点上機の三年生を見て初春飾利は面白そうに笑う。 仲良くなっている、とは口が裂けても言えないが。 それでも都城王土と行橋未造、それに布束砥信という高校生は悪い人ではないんだなと何となく思ったのだ。 ■学園都市・路地裏 (最ッ悪…超ツイてない…) 心のなかでそう佐天涙子が愚痴をこぼす。 事の始まりは偶然だった。 初春飾利が食べていたジャンボ王様パフェに惹かれ、今日はひとりでそれを買って学園都市の大通りを食べ歩いていたのが発端。 大通りに面する裏道から急に飛び出てきた数人のスキルアウトとおぼしきガラの悪い男と正面衝突してしまったのだ。 その名に恥じぬ超弩級のアイスと生クリームは男のジャケットにぶちまけられ、今こうして詰め寄られている。 「嬢ちゃんよぉ~ いったい何処見て歩いてんだぁ~!?」 「だ、だって… そっちからぶつかってきたんじゃないですか」 必死になって言い返すも、正当な主張などやはり通るはずがなかった。 「なぁ~にぃ~!? 人の服汚しといてイチャモンつけるたぁ~生意気じゃあねえかぁ! あ? どう思うよおめえら!」 「「「へいっ! アニキの言うとおりでさぁ!」」」 汚れたジャケットを見せびらかすようにして子分らしきチンピラに同意をとるスキルアウト。 (あぁもうホントまじで最悪…) 自分はなにか不運な星の下にでも生まれているんだろうか。 ■学園都市・大通り 「おい白黒。 退屈すぎてたまらんが」 生欠伸を今にも噛み殺しそうな気怠くつまらなさそうな言葉がかかる。 「ハァ… もう呼び名の件に関しては諦めましたの」 頭痛を抑えるようにこめかみを押さえて頭を振る白井黒子。 「ですけど。 退屈なのがいいんですの。 事件なんて起こらないほうがいいに決まってるじゃありませんの」 買出しの事務用品をブラブラと揺らせながらそう白井黒子が声をかける。 このまま何事も無く終わってくれれば、きっとこの無礼な男達と関わることなど二度とないだろう。 澄ました顔しながら街を歩く白井黒子だったが内心はグヘヘとほくそ笑んでいる。 その時だった。 「ね☆ 王土!」 クイクイと都城王土の袖を引っ張ってどこか遠くのほうを指差す行橋未造。 その指の先を見て、何かを察した都城王土の口元がニイと笑みを形作る。 「あぁそうだ。 白黒。 ひとつ聞いておきたいのだが」 前を歩く小さな少女の背中に声をかける都城王土。 「あぁもう…今度はなんですの?」 ピョコピョコとツインテールを揺らしながら白井黒子が背中を向けたまま返事をする。 「例えばだ。 暴漢に襲われている少女がいたとしたらおまえはどうする?」 「そんなの当然止めるに決まってますの」 何をいうんですの?と白井黒子は訝しみもせず即答で応える。 「ほう。 それを止めるのが風紀委員とやらじゃなかったのならば?」 そう問われ、白井黒子の脳裏に映ったのは片時も忘れたことのない最愛のお姉様。 「あまり…褒められた話ではありませんが。 わたくしも一般人であるお姉様に頼ってる部分も多々ありますし…正直言いますと助かるというのが本音ですわね」 あぁ、一緒に歩いているのがこんな粗暴で無礼な男ではなくて美しきお姉様だったらどんなにか素敵で百合百合なんでしょう…と妄想に浸り出す白井黒子。 あぁもうたまりませんの!お姉様分が不足してますの! 肩を自らで抱えイヤンイヤンと悶える白井黒子だったが。 そんな妄想も一瞬で冷めてしまう言葉を都城王土が口にした。 . 「ふむ。 喜べ白黒。 俺がお前の仕事を助けてやろう」 「……え?」 嫌な予感がした。 ザッと背筋に走ったのは形容しがたい冷や汗のような悪寒。 慌てて振り向くも、既にそこに都城王土と行橋未造の影も形もない。 「ちょ、ちょっと…今のはいったいなんですの?」 ヒクヒクと笑いながら、そこに一人残っていた布束砥信に問いかける。 「さぁ? 私には彼等が何を考えているかなんて分からないけども、とりあえずあっちの方に向かったのは確かよ」 肩をすくめ、オーバーなジェスチャーをしながらも白井黒子が今最も欲しいであろう情報を伝える布束砥信。 「ま…まさかとは思いますけども…厄介なことに首を突っ込んだんじゃないですわよね!?」 布束砥信が指さした方向に向かって慌てて駆け出しながら白井黒子が悲鳴のような怒声のような声をあげる。 そんな白井の後ろ姿を見ながら、冷静に布束砥信が独り言を呟いた。 「thought どう考えても厄介なことになりそうだけれど…」 ■学園都市・路地裏 「よお! よおよおよお! 俺たちゃあ何か間違ってること言ってるかぁ~? 人のものを汚したら弁償するのが人の道ってもんだろぉ?」 見栄を切って中学生の少女を囲むスキルアウト。 傍から見れば恥ずかしいにも程があるが、彼等はそんなことは気にしない。 詰め寄られ、しぶしぶ佐天涙子が財布を出した。 確か、今月の仕送りがまだだいぶ残っているはずだ。 痛い出費である。 今月は買い食いもオシャレもCDも諦めることになる。  だがそれでこの場が収まるのならば。 そう思ってこれ以上彼等の気を逆立てないように佐天涙子は恐る恐るスキルアウトに向かって口を開いた。 「べ、弁償って… 幾らですか?」 それを聞いたスキルアウトのリーダー格は両手を広げ、トントントンと片足でリズムを取った。 「おっととと! そうきたか! チューボーの嬢ちゃんにゃあ! あ! 判んないかもしれないが! こいつぁ学園都市外の高級輸入品!  名高いスキルアウトの俺様に相応しすぎる超有名ブランド! その名も[ゼロプラス]限定生産の! あ! 一着30万もするジャケットよ!」 生クリームでベトベトになったそのジャケットを歌舞伎役者の見栄のように広げたスキルアウトがポーズをとる。 「さ、30万!? 無理ですそんなお金払えませんって!」 「なぁにぃ~!? 御免ですんだら警察はいらねえってんだぁ~! とっとと30万耳揃えて払うかぁ! あ! さもなきゃあ俺等の言い分聞いてもらうとすんぜぇ!!」 歌舞伎役者のようなポーズをとったままの男の言葉と同時に周りの男達がジリジリと佐天涙子ににじり寄りだした。 その時だった。 どこかのツンツン頭のようなことを考えながら佐天涙子はがっくりと肩を落とす。 「えへへ! 嘘ばーっか☆ その服ってファッションセンターしましまで買った徳用セール三着1980円のジャケットのくせに☆」 あどけなく可愛らしい声が路地裏に響き渡る。 「なっ!? 俺が墓場まで持って行こうと決心した秘密を!? どっどこのどいつだぁ! あ! 出てきやがれぇ!」 そう叫んだ男の声に応えるように、ピョンと音を立てて小さな子供が姿を現した。 「えへへっ! 出てきたよ☆」 それは何処からどう見ても小さな子供である。 「…ヘッ! ヘヘヘッ! 何処の誰かと思えばなんだよガキかぁ!」 心底驚いたというふうに胸をなで下ろすスキルアウト達。 「えへへ☆ 三着1980円っていうのは否定しないんだね?」 「…ッ! そりゃああれだ! 偶然似ていただけだろうよぉ!」 そう言いながらもまじまじと見られないように慌ててジャケットを脱ぎ、丸めて路上に放り投げるスキルアウト。 「まったく…いくらガキとはいえ推測や憶測でものを言っちゃあいけねえだろうがぁ! いやほんと…いけねえだろうがぁ…」 どことなく悲しげな声でそう呟くも…すぐに頭の中身を切り替えたのだろう、両の手を広げて佐天涙子に再度にじり寄る。 「あ、さて! さてさて嬢ちゃん! 気を取りなおして始めるぜ! 準備はいいかぁ!? こっちの準備は万端だぁ! さぁてリテイクシーンワンアックション!!」 伝統芸能のような物言いをしながら、改めて佐天涙子に飛び掛ろうとするスキルアウトだったが…その言葉は完全に無視されていた。 「…あれ? おーい嬢ちゃん? いいの? …襲っちゃうよ? キャー!とか無いの?」 許可をとるようにそう佐天涙子に確認をとるスキルアウトだったが、そこでようやく少女の視線が中空に固定されていることに気が付いた。。 「えーっと… フヘヘヘヘヘ! どうした嬢ちゃん! あまりの恐怖に棒立ちかぁ?」 なんだかもういろんな意味で酷すぎるスキルアウトがニヤリと笑う。 だがそれも即座に否定された。 「えっと…そういうんじゃなくて… アレ」 そう言って空を指差す佐天涙子。 「…えっ? どれ? どこ?」 腰をかがめ、佐天涙子の指の先を追ったスキルアウトの目が驚きで見開かれる。 「…って!ハアアァァァァ!? なんだぁありゃあ!?」 そこには。

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